実録!京都観光で幻滅しない史跡めぐりのコツと心得

あこがれの都・京都――王朝文学を愛し、歴史にあこがれていた筆者が生まれてはじめてこの地を踏んだのは、2017年ゴールデンウィークのことでした。いや、なんというか、予想外でしたね。今回は完全実録で、京都旅行で幻滅(!)しないための心得や、王道観光スポットの「スゴい」見どころなどをお届けさせていただきます。もちろんまじめに歴史も取り扱いますよ!京都の主要観光スポット・史跡を12日かけて探訪した筆者が、夢とあこがれの都・京都を、現実的に楽しむためのコツをご紹介。これから修学旅行の方も、京都の大学をめざす受験生も必見です。

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京都旅行で幻滅しないための基礎知識

京都旅行で幻滅しないための基礎知識

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「エキゾチックJAPAN!」を求めて世界のみならず、国内からも大量の観光客を集める、永遠のみやこ・京都――東海道新幹線で曇天ゆえに富士山を見はぐった私が、京都に到着したのはゴールデンウィーク初日。
――なんといいますか、すごく、フクザツな気分になったんですよね。
まず、この章では「京都観光で幻滅しないために必要な心得」をいくつか伝授します!

街にあふれかえる、外国人そして外国人!

永遠の都の玄関〈京都駅〉。
そのすぐそばの巨大なバスターミナルからは京都市を網の目のようにめぐるバス市バスが発着。
京都の市バスは同一運賃区間なら、どこまで行っても一律230円(1日乗車券500円)でどこまでも載せていってくれます。
ちなみに方角を間違えると、北野天満宮へ行くつもりで比叡山あたりまで行く羽目になるので、運行表やバスの運転手さんへの確認は必須ですよ。

しかしまず驚愕するのは、外国人の多さ。
エキゾチックJAPAN!を求めて世界各国からお客様がおいでになる京都。
掲示物は5ヶ国語で書かれているところが多かったです。
あくまで体感ですが、ゴールデンウィークの京都は外国人が街の5割を締めているように感じました。

ちなみにどんな感じかというと、お店のおばさんいわく、こんな感じ。
「うちが美術館行ったときな、フランスのほうでなんのお休みか知りまへんけど、フランス語話す外国人ばっかりで日本人うちだけどしたえ」

洗濯物を干す日常と異空間の交錯

なんとなくテレビの特集などでキラキラした「外国」のような特殊なあこがれを抱いていませんか?しかし実際には、なんか、違います。

コンビニがあり、マクドナルドがあり、ゴミ収集所にはゴミ袋が積まれ、洗濯物をが干され、夕食をつくる香りがただよう……そんな日常のそばに、糺の森があり、北野天満宮があり、平安神宮があります。
なのでパット見「たまにスゴい神社仏閣があるけど、ただの都会」というのが私の第一印象でした。
でも幻滅しないでください!京都はホントはすごいところには違いないんですから。

ちなみに、女心と京都の空。
寒暖の差がはげしく、夏は水分と帽子・日傘は必須。
冬は厳寒、雪がこんこん降ります。
急な雨はめずらしくないので、いつでも折り畳み傘を出しておけるようにしましょう。
また、お寺や神社には拝観料が必要なところも多く、お守り売り場ではクレジットカードが使えません。
現金は多めに持っていきましょう!

神や仏にまもられて――〈平安時代〉編

神や仏にまもられて――〈平安時代〉編

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さて、ここからは京都の歴史についてまじめに辿っていきましょう。
夢の平安時代編です。
王朝文学好きにとっては残念なことながら、寝殿造りの建造物はあらかた取り壊されたか、応仁の乱で焼けてしまいました。
しかし人びとの崇敬を受ける寺社仏閣はどの時代もかならず尊ばれ、平成の世の現在にいたるまで再建され修繕され、残っています。
この章では鉄板中の鉄板!な2つの神社仏閣をご紹介しましょう。

観音様が見守る〈清水寺〉

なにかというと「清水の観音様」に頼っていた人びと。
音羽山にまします霊験あらたかな観音様を求めて、平安時代から巡礼が絶えません。
現代の今でも境内には托鉢僧が立って人びとにお経をよんでくれます。
観音様は、人びとの声を聞き届け、助けてくださる慈愛の仏様。
いにしえから人びとを見守り、人びとも清水の観音様を愛してきました。

清水寺といったら「舞台」!そこからの景色は壮観です。
そして筆者イチオシなのは清水寺〈胎内くぐり〉。
仏様の胎内をくぐって生まれ変わるという信仰体験ができます。
そこは完璧な暗黒!灯りが入ることは許されず、一度落とし物をしたら絶対に戻ってこないので、ご注意。
漆黒の闇から出て太陽をあおいだとき、なんだかふしぎな気分になりました。

清水寺は僧が修行していただけあって、急な坂道をずいずい登っていくこととなります。
それでも車椅子での参詣の方もいました。
お茶屋さんもあるんので、体力がなくてもゆっくりいきましょう。

いにしえの森に護られて〈下鴨神社〉

〈葵祭〉で有名な〈下鴨神社〉。
『源氏物語』ではあの光源氏も葵祭の勅使をし、下鴨神社そして上賀茂神社へ向かいました。
下鴨神社は神武天皇(つまり日本最初の天皇!)の時代から崇敬される、古く由緒正しい神社です。

圧巻なのは〈糺の森〉。
大鳥居を入って広がるのは、古代から生きる森。
東京ドームの3倍もの面積がほぼ手付かずの鎮守の森です。
糺の森を道沿いに進みに進んで、中ほどにさらに鳥居があり、そのそばの休憩処「さるや」さんでは、おいしい「申餅」をいただくことができます。
セットでついてくる、ほうじ茶のおいしさは一級!

参拝を済ませたら、一番奥にある〈御手洗池〉では、恋のおみくじを引くことができます。
御手洗池の水に浸けると、うっすら浮かびあがる文字。
さて、どんなお告げがあるでしょう?

東山と北山――〈室町時代〉編

東山と北山――〈室町時代〉編

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時代変わって、室町時代。
いったん東国へ移った政治の中心でしたが、もう一度西国に重点が置かれるように。
それは第3代将軍・足利義満が「花の御所」を「京都北小路〈室町〉」に据えたことにより、この時代は〈室町〉と呼ばれるようになったことからおわかりいただけるでしょう。
で、やっぱりこの時代の2大建築といったら〈金閣〉と〈銀閣〉!教科書でも教わった鉄板どころ、鉄板になるにはワケがある。
圧巻の室町時代2大建築をめぐってまいりました。

圧巻の「黄金」――三島由紀夫が「燃やした」金閣

正直京都が嫌いになりかけていた筆者。
「ただの都会(しかも外国人多い)」と思っていました。
しかし金閣寺には行こうと決意していました。

門をくぐって参道を進み、高い竹垣を左に曲がると「黄金」が待っています。
それは圧巻の輝きを放つ金色の御堂。
室町幕府第3代将軍・足利義満が建立した、北山文化の最高峰です。
日本文学の金字塔、三島由紀夫『金閣寺』は昭和25年にこの金閣寺が実際に放火された事件を題材にした小説。
美しいものを破壊したくなる――そんな真理を描いた傑作です。
読んでから参詣に来たので、感無量でした。
でも今は警備会社が固くセキュリティをしているので、燃やさないでください!

金閣は庭園をめぐりながら、遠く近くに金閣をながめるのが楽しみです。
あちこちめぐりましたが、私が京都で一番好きな場所は?と訊かれたら「金閣!」と間違いなく答えます。

庭園の〈コケ〉の美・銀閣

さて、パット見キレイで目を引く金閣とは対照的にあつかわれるのが〈銀閣〉。
第5代将軍・足利義政が築いた〈東山文化〉の傑作です。
本来は銀箔が貼られていた説、縁起のいい絵が描かれていた説……さまざまにありますが、今は質素素朴な味わいある「庵」のような建造物がそっと建っています。

建造物としては「あっこれが銀閣か、教科書以上に地味かも、ふーん」で終わってしまうのがわびしいところですが、銀閣のすばらしいところは、〈庭園〉!とくにコケの美しさははっと息を呑むほどです。
また庭園内を流れるせせらぎは心が清められます。

足利義政がお茶のために水をくんだ〈お茶の井〉も残っており「この場所に、歴史上の人物が立ってお水を汲んだ」……と感慨深い思いになれますよ。

江戸時代、そして明治へ

江戸時代、そして明治へ

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政治の中心が京都から東へ移り、京都は〈天領〉として幕府直轄で統治されます。
大政奉還にともなって、京都から天皇が東京にお移りになり、正式に遷都。
それでもいにしえの都に対するリスペクトは失われません。
実はいまの京都御所は江戸時代式の建築!あの大鳥居が建てられたのって、なんと……?イメージと違って意外と新しい京都の観光スポット2つをご紹介です。

古典・歴史好きなら一度は行きたい!〈京都御所〉

あえて江戸時代に持ってきましたが、京都といえば、京都御所です。
いにしえから天皇のまします、京都御所。
でも、平安京がこの地に据えられてからしょっちゅう火事に巻きこまれて、再建しては焼け、再建しては焼け……。

現在の〈御所〉は1855(安政2)年、江戸時代は幕末によって建てられたバージョンです。
様式は江戸時代後期のものですが、その空間は実際に行ってきた人に聞くと「神聖そのもの」。
宮内庁職員がつねに状態を保ってくれている京都御所は、やはり特別な空間。

右近の橘、左近の桜!藤壺や桐壷などの局に清涼殿に!とフィーバーしたいところですが、公開されるのは外観だけ。
内部は見ることができません、が!古典好きなら公開期間に一度は行ってみたい聖地です。

明治に作られたの!?〈平安神宮〉の玉砂利をザックザク

真紅の大鳥居が圧巻の、平安神宮。
大鳥居周囲に広がる公園では、お弁当を広げる家族連れの姿も。
そのまま参道を歩いていくと、さらに鳥居。
その先は純白の玉砂利が広がる異空間!その先には美しい、平安京遷都当時の建築の社殿が待ち受けています。

実はこの平安神宮、作られたのは明治時代。
平安時代の大内裏を復元しています。
1855年に〈内国勧業博覧会〉つまりプチ万国博覧会の目玉として造営されたものです。
お祀りされているのは、平安京を遷都した、桓武天皇。

ザックザクと玉砂利を踏んでのお詣り。
あの感触は癖になります!そして平安時代の大内裏の形が今に再現されているなんて……ドキドキしちゃいます。

京都大学はほんとに森見登美彦ワールド!

京都大学はほんとに森見登美彦ワールド!

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ああ世の中はなんてオモチロイのでしょう!大人気作家・森見登美彦、愛称モリミーは京都と京都大学とその学生に根付くフシギきわまりない生態を描きつつ、現実と幻想を混じりあわせて楽しませてくれます。
でも……京大生の妹によると、「鴨川デルタも電気ブランも、韋駄天コタツもある」?どういうことなの?っていうか、なんなの京都大学!こればっかりは期待を裏切らない、フシギ大学・京都大学。
行ってみませんか?黒髪の乙女に出会えるのかは、別として。

受験生よ大志を抱け――京都大学時計塔へ

京都市左京区にある、京都大学。
「西の東大」つまり日本の最高学府の1つ、iPS細胞の山中教授の研究室もあります。
そこは森見登美彦の描くワンダフルな京都ワールドの原点です。

京都大学を目指すのか、何組かの聡明そうな少年少女がお父さんやお母さんといっしょに、時計塔をバックに写真を撮っていました。
出町柳駅から時計塔のほうへ歩いていくと、すぐ近く鳥居が見えます。
モリミーワールドによると「試験前に参詣すると必ず留年する」とまことしやかに言われる〈吉田神社〉です。
京都大学時計塔内のお土産屋さんでは、特製「京都大学グッズ」が販売されています。
かなりクオリティ高いので必見。

ちなみに京大生の妹によると「モリミーの書いていることは、だいたい京大のリアル」。
「『夜は短し歩けよ乙女』に登場する〈韋駄天コタツ〉は、学園祭で見かけたことがある。
おもしろいおじさんで、元ネタといって寄ってくる失礼な人には厳しい」「鴨川デルタで新歓する」「吉田寮は九龍城」……。
京都大学のキャンパスライフはどうやら見ているだけでも、薔薇色な模様。

事実!京大生は〈鴨川デルタ〉で新歓する

めでたく京都の大学に受かったら、薔薇色のキャンパスライフが待っています。
森見登美彦作品にたびたび登場する〈鴨川デルタ〉。
架空の場所かと思いきや、あるんです。
場所は、川端今出川を少し北に行ったところ。
出町柳駅が最寄り駅です。

私も見ることができました。
ゴールデンウィーク、絶好の行楽日和。
家族連れやカップル、友達同士でにぎわう(というより、すごい人だかり)の鴨川沿い。
賀茂川と高野川のあいだに三角州すなわち〈デルタ〉ができあがっています。

ここでは本当に、京都の大学生は新歓パーティーを行ったり、呑み会を繰り広げたりするとのこと。
トンビがやってきて、お弁当やお菓子やおつまみをかっさらっていくのは、和やかだけれどもちょっとあぶなっかしい光景でした。

やっぱりスゴい!異世界と日常のミラクルワールド

人生初の京都を経験してきた京都。
日常と異空間がまじりあういにしえの都。
行き交う外国人、ちょっとシックな外見だけど中身はふつうのセブンイレブンやファミリーマート、マクドナルド……京都は「夢の」都ではなくて、現在の現実に根付く場所。
でも一歩境内や敷地に入れば圧巻の異空間。
ミラクルワールド・京都をどうぞ楽しんできてください!
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