高野山町石道は慈尊院から高野山の奥の院まで約24キロの参詣道

公開日:2018/12/22 更新日:2019/10/30

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私の出身地は大阪です。在職中は国内各地を仕事でまわりましたが、今は気のむくままに向かう小さな旅先で出会う風景写真を撮り楽しんでいます。新緑映える山尾根歩きや古人訪ねる歴史探訪の旅が気に入り面白いです。
大師様とともに同行二人で歩んだ高野山町石道は精神浄化の旅

高野山町石道(こうやさんちょういしみち)はもともと、弘法大師空海がふもとにいる母に会いに行くために通った石道。当時、高野山の山上は女人禁制でした。そのため、母は慈尊院にとどまっていたそうです。そんな歴史のあるこの町石道。弘法大師は何度もこの道を通いましたが、実はなかなかの険しさ。この記事では、母と子を結んだ町石道の歴史と魅力、楽しみ方を詳しくご紹介していきます。

高野山町石道は主要参詣道

山道な上かなりの距離であったため、今この道を行こうとすると果てしなく感じてしまいます。しかし昔の移動手段は徒歩のみだったので、昔の人の体の丈夫さは驚きです。

町石道に建つ卒塔婆形町石

高野山長石道は、1町(約109メートル)ごとに卒塔婆形の町石が建てられています。その道は高野山壇上伽藍(だんじょうがらん)から始まり、山麓の慈尊院に至る参詣道に180基、壇上伽藍から奥之院に至る36基の計216基が、今もなお当時のまま。町石道は、かつては巡礼者が卒塔婆形町石ごとに礼拝し、高野山を目指していた主要参詣道だったのです。

町石道に建つ案内標識

慈尊院から高野山壇上伽藍の大塔まで、町石道を辿って歩くその距離はなんと22キロメートル徒歩でかかる時間は約7時間と、普段歩きなれていない人には驚きの道のり。山のふもとにある慈尊院に対し、高野山は標高900メートル弱。町石道を歩くのは、タフなトレッキングコースともいわれています。それぞれの卒塔婆形町石に刻まれている数字は、密教の諸尊を表すといわれる梵字。その刻まれた文字もチェックしてみてください。

高野山町石道を慈尊院から歩く

慈尊院は弘法大師によって建てられた由緒ある寺院です。その昔女性に高野山参拝が許されていたのはここまでだったため、安産や子育てに関係した信仰が深くあります。

世界遺産の慈尊院

慈尊院は、弘法大師が高野山を開創する際に高野山参拝の表玄関として創建したお寺です。高野山町石道の出発点となるこの場所。慈尊院弥勒堂は世界遺産に登録されていて、ご本尊である如来形の弥勒菩薩さまを拝むことができます。通称、女人高野とも呼ばれる慈尊院。子宝、安産、授乳、乳がん平癒で有名で、遠方からも多くの参拝者が訪れます。

本堂の弥勒堂・廟堂は重要文化財で世界遺産

ここに訪れた多くの人が驚くのが本堂の弥勒堂、廟堂前に奉納されずらりと並ぶオッパイ形の絵馬。弘法大師の母公が弥勒菩薩に化身されたという民間信仰や、女人の高野山への参拝が慈尊院までだったことなどに由来し、人々はここに乳房型絵馬を奉納し、子宝、安産、育児、授乳等を願うにいたったのがその始まり。この先への参拝を許されなかった当時の女性たちの願いを多く叶えていたのがこの慈尊院だったというわけです。

Address 〒648-0151 和歌山県伊都郡九度山町慈尊院832
Hours なし
Closed なし
Tel 0736-54-2214
Web jison-in.org/

丹生官省符神社の鳥居ははじまりの場所

高野山の地主神である丹生明神と狩場明神が祀られています。狩場明神は弘法大師を山上まで案内したと言われているのです。

世界遺産の丹生官省符神社

世界遺産である丹生官省符神社。慈尊院を創建する際に、その鎮守として祀られたのが丹生・高野明神でした。壮麗な春日造りの社殿が特徴的です。

慈尊院山門から、丹生官省符神社へと続く石階段の先に見える朱色の鳥居を目指し、約120段の石階段を上りきります。町石道入り口となる180町石は、石段を上りはじめた入り口右端に立っている卒塔婆形町石です。旅のスタート地点ともいえるこの場所を見逃さないようにご注意を。

丹生官省付神社

丹生官省付神社は、弘法大師が創建した丹生明神と高野明神をお祀りしている古い社です。こちらに行くためには九度山駅から徒歩約30分程かかります。丹生官省符神社を出てすぐ左手側にある179町石を見つけたら、柿畑などの果樹園に囲まれた農道を上っていきます。

高野山町石道から見える眺望く

道中には辺りを一望できるところがあります。豊かな自然が次々と目に入ってくるので、飽きることなく先へ進めます。



紀ノ川と金剛山のコントラスト

168町石から166町石までの道のりは右側が傾斜になっています。高いところが苦手な人は少し迫力を感じるかもしれませんが、右手に広がる紀ノ川、金剛山と葛城山のコントラストを楽しんで。和泉山脈の景観を味わいながら166町石まで歩きます。すると、町石道を少し過ぎたあたりに見晴らしのよい展望台があるので、ぜひ立ち寄ってください。

仲良く二つの鳥居が建つ、二つ鳥居

173町石を越え、一里石を過ぎたところで、丹生都比売神社の分岐点である六本杉峠にたどり着きます。丹生都比売神社を出て、二つ鳥居へ上がっていく八丁坂は世界遺産。八丁坂を上ると、丹生明神と高野明神の2つの鳥居があります。どちらも弘法大師が建立したものです。当初は木製でできていましたが、後に石の鳥居へと立て替えられました。

世界遺産の高野山は荘厳な空気感

高野山は荘厳な雰囲気漂う場所です。顔ともいえる朱塗りの総門があり人々を出迎えてくれます。奥の院は特に神聖で聖地されているのです。

大門は朱塗りの総門

山間の厳しい町石道参道を抜け、7番目の町石を越えるとようやく大門がみえてきます。あと一息で1番町石のある壇上伽藍・根本大塔に到着です。大門は、過去何度か焼失にあってきました。現在、築後約300年の大門の両脇には阿形象と吽形象が鎮座しています。その堂々とした姿は総門にふさわしい迫力ある山の門の姿となっています。

奥の院に向かう参道

奥の院は、弘法大師が御入定されている神聖な場所で聖地とされています。一の橋から奥の院までの参道は、始まり橋より先は人の世ではないとされる神秘な世界。そのため奥の院参道橋を渡る際には、橋の手前で一旦立ち止まり、手を合わせることが習慣とされています。

Address 〒648-0294 和歌山県伊都郡高野町高野山132
Hours なし
Closed なし
Tel 0736-56-2011
Web www.koyasan.or.jp/

九度山駅の寄り道観光スポット

真田の名前を聞いてピンと来た方もいるのではないでしょうか。あの真田幸村が一時を過ごした地が九度山なのです。ファンのみならず立ち寄っておきたい場所です。

真田庵と呼ばれる善名称院

九度山にある善名称院は、真田幸村父子の幽閉屋敷跡に建てられた高野山真言宗のお寺で、別名真田庵と呼ばれています。関ヶ原の戦いに敗れた真田昌幸・信繁の蟄居時代の草庵跡とも。真田に関する資料を見たいという人は、敷地内にある有料ですが宝物資料館へ行くことをおすすめします。その歴史をうかがうことができます。

Address 〒648-0101 和歌山県伊都郡九度山町九度山1413
Hours AM9:00~PM16:00
Closed なし
Tel 0736-54-2218
Web http://www.kudoyama-kanko.jp/midokoro/spot01.html

真田ミュージアムで真田家を学ぼう

真田ミュージアムでは、真田昌幸、幸村、大助の真田三代がこの九度山の地でどのような生活を送ったのかを、わかりやすくパネル展示とドラマ仕立ての映像でご紹介しています。大坂冬の陣で活躍した、要塞真田丸があった場所についての記録やその全貌、強さの秘訣を迫力あるジオラマやグラフィックパネルで見ることができます。大河ドラマを見ていなかった人でもわかりやすく解説されているので必見。

Address 〒648-0101 和歌山県伊都郡九度山町九度山1452-4
Hours AM9:00~PM17:00(最終入場 PM16:30)
Closed 月・火曜日(祝日の場合は営業・翌平日休館)
Tel 0736-54-2727
Web https://www.kudoyama-kanko.jp/sanada/index.html

お土産とおすすめ食事処

グルメだって充実しています。お土産を買いに道の駅へ寄っても良いですし、腰を落ち着けてそばをすするのも良いです。



道の駅 柿の郷くどやまには名産品がいっぱい

九度山おすすめのお土産は、なんといっても名物の柿、柿の葉寿司、つぶれ梅にはちみつ味の梅の数々。和歌山県の名物をぜひ味わってください。

紀ノ川沿いの道の駅を歩いていると、カフェ風パン屋さんや食料品スーパーが姿を現します。店内をのぞくと、多くの地産農作物や和歌山県の特産加工品を目にすることができるのです。大河ドラマ以降の真田幸村ブームにより、休日は混雑気味な状態が続いています。

Address 〒648-0161 和歌山県伊都郡九度山町入郷5-5
Hours AM9:00~PM18:30
Closed なし(ただし1月1日〜1月3日は定休日)
Tel 0736-54-9966
Web http://kakinosatokudoyama.com/

落ち着いた雰囲気のそば処 幸村庵

大河ドラマで真田幸村が主役を務めていたころよりかは平日は比較的日常を取り戻してきています。落ち着いてきた平日の九度山で、ゆっくりと食事ができる場所、それがそば処真田庵です。

店内は風情ある古民家風関西風の薄味のお蕎麦ですが、麺は本場信州の二八蕎麦を使用しています。これは、真田家がこの地に持ち込んだそば粉が原点になっているといわれています。

Address 〒648-0101 和歌山県伊都郡九度山町九度山1404
Hours AM11:00~PM18:00
Closed 毎週月曜日
Tel 0736-54-3751
Web http://www.kudoyama-kanko.jp/gourmet/yukimuraan.html

高野山町石道へのアクセス

電車での行き方

南海高野線に乗り九度山駅で下車したあと、九度山駅より高野山ケーブルカーに乗り換えて、極楽橋駅で下車。南海高野線は大阪難波駅より約73分で、九度山駅から極楽橋駅までは約30分かかります。

九度山駅から徒歩での行き方

九度山駅からそれぞれの場所へ向かうまでの時間です。実際に行った時の目安にしてみてください。
・九度山駅より真田庵まで徒歩10分
・慈尊院途中にある道の駅まで徒歩20分
・慈尊院までは徒歩30分

シンボルマークは六文銭の九度山駅

九度山の地は弘法大師が山を下り、ふもとの慈尊院に滞在していた母のもとに月に9度通ったことがその名の由来といわれています。駅のシンボルマークになっている六文銭は、死後に三途の川を渡る際の船賃に困らぬよう、衣類に着けられた銭を由来とした、真田家の家紋です。どちらも歴史と色濃く関係しており、今も遠い昔とつながっているような気持になります。

まとめ

高野山への参詣道、高野七口のなかのひとつである高野山町石道。主要参詣道であるこの道は、麓慈尊院からはじまり山上の大門を目指して上る険しく長い登山道です。

この約24キロメートルの登山道で出会う数々の卒塔婆形町石を敬い拝みながら、高野山へ。かなり大変な道のりですが、この日常生活から切り離された行為により自然と自己との対話ができる、いわば山行になるのではないでしょうか。忙しい毎日を変えたい、そんな人にもおすすめのコースです。