オランジュリー美術館にあるモネの「睡蓮」を見に行こう。ガラス張りの展示室で壁一面の絵は圧巻

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出身地は富山県。在住経験のある北陸・北関東の記事がメインです。読書が趣味なので、好きな作家に縁のある土地や小説の舞台となった場所を旅しています。

「睡蓮」を展示するために作られた小さな美術館

パリで最も古く、最も大きいと言われるテュイルリー公園の中にたたずむオランジェリー美術館。そこにはフランスの画家クロード・モネの代表作「睡蓮」の作品群が圧倒的な迫力で展示されています。名作が筆使いまで見えるほど間近に鑑賞できる貴重なチャンス。今日はオランジェリー美術館の巡り方、楽しみ方をご紹介します。

オランジュリー美術館は、もともとはオレンジの温室だった

モネの「睡蓮」が飾られていることで有名なオランジュリー美術館。建物の外観も美しく、周辺は自然環境に恵まれています。もとはオレンジの温室でしたが、一体なぜ美術館へと姿を変えたのでしょうか。

モネの睡蓮を飾るために美術館へ

オランジュリー美術館は、オランジュリーという名の通り、もともとはオレンジを育てるための温室でしたが、1927年に印象派で有名な画家クロード=モネの代表作睡蓮(Nymphéas)を飾るために美術館として整備されたそうです。絵画を飾ることを前提に美術館が建てられるなんて凄いこと。モネの睡蓮はそれだけの価値がある世紀の名作と言われています。モネの他にも、オーギュスト・ルノワール、ポール・セザンヌ、パブロ・ピカソなど印象派たちの絵画が多数展示されています。

テュイルリー公園を散歩しながらオランジュリー美術館へ

オランジュリー美術館(Musée de I’Orangerie)は、パリのテュイルリー公園の中、セーヌ川沿いに建っています。ルーブル美術館やオルセー美術館といった、他の名だたるフランスの美術館に比べると、とてもこじんまりとしたかわいらしい美術館です。

改装を経て2006年5月に再オープン

大改修後、自然豊かなオレンジの温室は、美術館へと様変わりしました。しかし、現在も自然光が入り込み、あたたかく心地のよさを感じるものとなっています。

自然光が入る美しい展示室への変貌

6年間に渡る大規模な工事を経て、2006年5月27日にリニューアルオープンしたばかりのオランジュリー美術館。睡蓮の展示室は、生前のモネが望んだ通り、窓から自然の光を取り入れた作りに改装されました。建物の壁はガラス張りになっていて、かつてオレンジ温室だった名残がうかがえます。

小さな美術館なので、混んでくると入場制限が

平日の開館直後は人も少なく、じっくりと絵画を鑑賞できますが、土日になると非常に混雑しています。小さな美術館のため、混雑してくると入場制限がかかり、入り口で並んで待つことになりますので注意してくださいね。

チケットは、オランジュリー美術館とオルセー美術館の共通チケットもあり、両方鑑賞したいなら、こちらの購入がお得です。鑑賞には日本語のオーディオガイドもあって便利です。

「睡蓮」は2部屋に分かれて展示されている

美術館の入り口を進んで1階にモネの「睡蓮」を飾った広々とした展示室があります。ここはオランジュリー美術館の一番の見どころであり人気スポットの睡蓮の間と呼ばれています。「睡蓮」は8枚の連作になっていて、4枚ずつ2部屋に分かれて展示されています。楕円を描く美しい壁を囲むように飾られた睡蓮。その美しさはまさに圧巻です。

第一室は「朝」から「日没」まで

壁にかけられた大きな絵は、朝から日没までを切り取って描かれています。同じ睡蓮でも、時間によって変化するその風景美を堪能できます。

ゆったりとした4枚の絵が飾られる空間

睡蓮はモネが暮らしたフランスのジルヴェニー家の庭の池を描いた作品です。第一室には「朝」「緑の投影」「雲」「日没」の様子を描いた4枚の睡蓮が飾られています。写真は連作の中の緑の投影。

水面に映る白い雲が美しい「雲」

写真は連作の中の「雲」。池の水面に映る白い雲が美しい作品です。睡蓮の連作の中でも、特に明るい色彩で描かれているのが特徴です。

夕暮れの様子を描いた「日没」

睡蓮は時間の経過とともに少しずつ変化していく水辺の様子を描いた連作です。写真は、連作の中の「日没」。これはモネの最も晩年の作品です。他の作品に比べて色を多く使っているのが特徴で、水面のラベンダー色や夕日の黄色が印象的です。

第二室には柳と睡蓮を描いた絵を含む4作品

洗練された空間の中、4枚の絵が飾られています。室内は広々としているため、絵から遠ざかって全体を見ることもできれば、近づいて細やかな筆のタッチをじっくりと観察することもできます。

第一室の奥に進むと第二室があり、ちょうど縦型の楕円形の部屋がちょうど2つくっついたような構造になっています。第二室には「樹木の反映」「2本の柳」「朝の柳」「柳のある明るい朝」の4枚の絵画が飾られています。写真中央にあるのが連作の中の「2本の柳」です。

「2本の柳」は最も大きな作品

飾られている絵画の高さは全て2mで統一されていますが、横幅の長さはそれぞれの作品で異なっています。「2本の柳」はキャンバスの両端に特徴的な柳が描かれた作品で、睡蓮の連作の中で最も横幅が長く17mもある大作です。

「柳のある明るい朝」は暗い柳で池の明るさが引き立つ作品

写真は連作の中の「柳のある明るい朝」。「2本の柳」に比べて、柳が池の中に覆いかぶさるように描かれているのが特徴です。ガラス張りの天井から射し込む光が、作品の自然な美しさをより一層引き立てています。

油絵の絵筆の跡がわかる位に近づいて見ることができる

この美術館は作品との距離がとても近く、絵筆の跡もわかるくらい近づいて鑑賞できるのが特徴です。「睡蓮」も実際に近くで観ると、とてもダイナミックな筆づかいをしていることが分かります。

近づいてじっくり見たり、また、遠ざかって眺めたりして鑑賞すると新たな発見があるかもしれません。

地下2階にはジャン・ヴァルテールとポール・ギョームがコレクションした絵画がある

オランジュリー美術館は地下にも部屋があり、名画家たちによる数々の絵が展示されています。

見応えのある絵画コレクションがずらり

1階の睡蓮の間を出て、順路に沿って階段を下りていくとジャン・ヴァルテールとポール・ギョームコレクションと絶賛される絵画コレクションが見られます。ここにはルノワールやセザンヌ、マチス、ピカソなどの有名画家の作品が展示されています。大変見ごたえがあるのでぜひ回ってみてください。

モディリアーニの「ポール・ギョームの肖像」

1884年イタリア生まれの画家、アメデオ・モディリアーニはパリで活動しました。この絵画のモデルとなったポール・ギョームは美術収集家で、若いモディリアーニの才能を見出して世に送り出した人でした。この作品は、ポール・ギョームへの賛辞として描かれたと言われています。

アンリ・ルソーの「人形を持つ子ども」

アンリ・ルソーは、1844年生まれのフランスの画家。パリの税関職員を勤めながら絵を描いていたそうです。この人形を持つ子どもは、1892年に制作されたもので、女の子のどこか不釣り合いで平面的な体つきといい、とても興味深い作品です。鑑賞者をまっすぐに見つめてくる眼差しが強い印象を残します。

ルノワールの「ピアノを弾く少女たち」

ピエール=オーギュスト・ルノワールは、1841年生まれのフランスの印象派の画家。1892年に描かれたピアノを弾く少女たちもポール・ギョームのコレクションのひとつです。この作品はルノワールの代表作で、顔を寄せる二人の少女の可憐で可愛らしい様子が淡いタッチで描かれています。

とても有名な絵画なので、どこかで一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。そういう意味でも非常に親近感のある作品です。

ピカソの「白い帽子の女」

ここには、あのピカソの絵画も飾られており、白い帽子の女は1917年に描かれた作品。妻のオルガと思われる女性がモデルとなっています。ピカソがシュールな作風に変化する前の、とても古典的な作風が見られます。

地下1階はミュージアムショップとカフェ

地下2階のジャン・ヴァルテールとポール・ギョームコレクションを見てから、地下1階へ行くと、ミュージアムショップがあります。ショップでは絵画の関連書籍や絵ハガキなどがたくさん並んでいます。併設されたカフェではドリンク類や軽食をとることができるので、鑑賞のあと一息入れるのにぴったりです。

ショップとカフェの営業時間
・ショップ AM9:30~PM5:45
・カフェ  AM9:30~PM5:30

オランジュリー美術館は、こじんまりした美術館なので1時間30分もあれば十分回れます。カフェで旅の絵葉書を書いて過ごすのも素敵です。

オランジュリー美術館へのアクセス

地下鉄(メトロ)での行き方

地下鉄1号線、8号線、12号線のいずれかの電車に乗ります。コンコルド駅(Concorde)で下車し、そこから美術館までは徒歩で向かいます。駅から美術館まで徒歩5分程です。

バスでの行き方

24番、42番、52番、72番、73番、84番、94番のいずれかの番号のバスに乗ります。バス停の上に、バスの路線番号が表示されているので、それを目印にしてください。コンコルド(Concorde)のバス停で下車。そこがテュイルリー公園の北側です。そこから公園内を歩いて10分程で美術館に到着します。

住所|〒75001 Jardin des Tuilleries 75001 Paris
営業時間|AM9:00-PM6:00
定休日|毎週火曜日、5/1、7/14(午前)、12/25
電話|(01)44778007
公式サイトはこちら

まとめ

いかがでしょうか。小さな佇まいながら、睡蓮をはじめとした絵画と空間デザインのすばらしい融合を体感できるオランジェリー美術館。テュイルリー公園の散策と共に豊かな時間を過ごせます。ゆっくり時間をとって訪れたいとっておきの場所。パリに行ったらぜひ立ち寄ってみてくださいね。