豪華すぎる!麗しの宮殿・赤坂迎賓館の歴史と成り立ちについて

JR四ツ谷駅から歩いて5分ほどのところに、「何アレ!」と思わず叫んでしまうような、そんな場所があるんです。迎賓館赤坂離宮、通称「赤坂迎賓館」。東京のど真ん中に忽然と姿を現す西洋風の巨大な建造物。近年、人数や時間帯の制限はありますが、一般に公開されており建物内部の見学が可能に。一歩中に入れば気分はセレブ。現実の嫌なことなんて忘れちゃいますよ。今回はそんな赤坂迎賓館の歴史や成り立ちと共に、中の様子などをたっぷりご紹介してまいります!

白亜の宮殿・赤坂迎賓館の歴史

赤坂迎賓館とは?

赤坂迎賓館とは?

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迎賓館とは国賓(外国の国王や政府のトップなど)が来日したときに会談や宿泊などのもてなしを行う施設のこと。
日本には赤坂迎賓館の他に、京都にも迎賓館があります。

東京都港区元赤坂、永田町や国会議事堂にも近い一等地にある赤坂迎賓館は敷地面積11万7000平方メートル、東京ドーム2.5個分もの広さ。
高さ5mもの鉄製の塀に囲まれ、まばゆいばかりに輝く正門は常に固く閉ざされ、何とも近寄りがたい雰囲気を醸し出しています。

そんな赤坂迎賓館、以前は一切立ち入りが禁じられていましたが、2016年から、本来の目的である国賓の接遇に支障のない範囲で一般にも公開されています。
建物内への入館は人数制限があり有料。
結構人気があるので、朝から既に定員オーバーという日も多いですし、そもそも一般公開のない日も。
建物内を見学するなら、内閣府のWebサイトでの事前予約をしたほうが確実。
また、入館前に持ち物検査があるので、大きな荷物などは持っていかないほうが賢明です。

「そこまでがっつり見たいわけじゃないんだけど…」という人は、敷地内のお庭を見てまわるだけ、というのはいかがでしょう。
前庭見学だけなら無料で事前予約も必要ありません。
手入れの行き届いた広い庭は豪華でありながらどこかつつましい感じも。
庭だけならふらっと訪れても見てまわることができるので、オススメです。

住居として建築~でも豪華すぎて使い勝手が悪かった

住居として建築~でも豪華すぎて使い勝手が悪かった

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前庭から迎賓館を改めて見上げあると、何度見てもその大きさに圧倒されます。
重厚感漂う壮大な石造りの建物には、一体どんな歴史があるのでしょうか。

赤坂迎賓館はもともと、東宮御所として建設されました。
つまり皇室の方のご自宅。
大正天皇となる皇太子・明宮嘉仁親王のために、1909年(明治42年)、紀州徳川家の江戸中屋敷跡に建てられました。
それまでこの場所には、明治宮殿完成までの間の明治天皇の仮御所が置かれていたのだそうです。

設計したのは明治時代に活躍した建築家・片山東熊で、宮廷建築のほか、宮内省(現宮内庁)の施設や国立博物館などを数多く手がけています。
片山東熊は東宮御所の建設に心血を注ぎ、ヨーロッパに視察に出るなど身を捧げて完成させました。
しかし、がんばりすぎてしまったのか、出来上がった御所はネオ・バロック様式の石造りの大宮殿。
とてつもなく華美な建物に仕上がってしまい、豪華ですが生活にはやや不向きな様子。
明治天皇は「贅沢すぎる」とひと言。
片山東熊はショックで寝込んでしまった、とのエピソードもあるそうです。

結局、嘉仁親王が完成した御所を使用することはほとんどなかったのだとか。
嘉仁親王が大正天皇となった後は、離宮として使われることとなり、赤坂離宮と呼ばれるようになったのだそうです。

国賓をもてなす施設として再出発

国賓をもてなす施設として再出発

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その後、皇太子裕仁親王(後の昭和天皇)がしばらくお住まいになっていたこともあったそうですが、昭和天皇になった後は、離宮として使用することもほとんどなくなってしまったのだそうです。
第二次世界大戦後も、昭和天皇が赤坂離宮に移り住むことはなく、御所として使われることはありませんでした。

戦後、赤坂離宮は皇室から国の管理となります。
戦後まもない頃は、国会図書館や裁判所、東京オリンピック組織委員会の拠点として使われたこともあったそうです。

1960年代に入ると、時代が移り、諸外国の賓客が頻繁に来日するようになります。
国家元首や国王の来日ともなれば同行者も大勢いますし、警備も厳重。
東京にも、国賓をお迎えできる大きな施設が必要になってきたのです。
そこで名前があがったのが赤坂離宮でした。
御所として建てられた赤坂離宮を改修し、迎賓施設にしようというのです。

改修に費やされた歳月は5年。
100億円もの工費が投じられ、1974年(昭和49年)、赤坂離宮は迎賓館として再出発を果たしました。
時代は田中角栄政権。
赤坂迎賓館に迎えられた最初の国賓は、1974年11月に現職のアメリカ大統領として初めて日本を公式訪問し、昭和天皇とも会見したジェラルド・R・フォードだったそうです。

現在では多くの国賓をお迎えする場として、海外メディアにも頻繁に登場するようになった赤坂迎賓館。
その後もたびたび改修工事は施されていますが、建物自体は1909年に建てられたもの。
皇室の方々をして豪華すぎると言わしめた建物とは、どんな造りになっているのでしょう。

日本じゃないみたい!麗しきネオ・バロック様式の宮殿の中へ

豪華絢爛!赤坂迎賓館・観覧のポイント

豪華絢爛!赤坂迎賓館・観覧のポイント

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赤坂迎賓館の一般見学者は、正面門から入るわけにはいきませんので、敷地右手奥の西門から。
鬱蒼と木々が生い茂る中に建つ管理塔のようなところで手続きを済ませた後、本館右手脇の小さな入り口から中へ。
小さいといっても一般的な日本家屋に置き換えればかなり豪華なもので、石造りのひんやりした手すりに手をかければ、気分はすっかりセレブリティです。

建物中は、自由に見学できるわけではなく、歩いてよい場所は限られていてロープが張られており、順路が決まっています。
もちろん、装飾品や壁に近づいたり触れたりすることはできません。
どの部屋も広すぎて、天井の細かい装飾など見逃してしまう可能性も。
説明をしてくれるスタッフさんが立っているところもあるので、見どころなど質問してみてください。
もっと詳しい説明を聞きたい!という人は、旅行代理店のツアーなどに申し込むといいかもしれません。

見学できる部屋や順路はそのときによって異なるかもしれませんが、本館2階の公用室と、1階の玄関ホールを建物内側から見学。
さらに中央階段と2階の大ホールを見ることが出来ます。

館内の見学は、ゆっくりじっくり見れますが、腰を下ろしてくつろげるスペースはないので、基本的には前の人に続いてゾロゾロ移動しながら見てまわる感じ。
所要時間はだいたい1時間といったところです。

不定期ですが、ライトアップや、前庭にカフェカーが登場して暖かい飲み物がいただける日もあります。
ふらっと出かけて見学できる場合もありますが、事前にいろいろチェックして行ったほうが満喫できそうです。

豪華ながら可愛らしい印象の「玄関ホール」

豪華ながら可愛らしい印象の「玄関ホール」

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建物右側脇の入り口から中に入り、長い長い廊下を歩くと、玄関ホールと正面階段が見えてきます。
賓客の方々は正門から前庭を進み、この玄関ホールから中に入るのでしょう。
床はイタリア産の白い大理石と国産の黒い玄昌石(げんしょうせき)による白黒の市松模様で、おとぎの世界に迷い込んだような錯覚に。
以前は黒色の石も全部大理石だったそうですが、改修の際に玄昌石に変わったのだそうです。
その上に敷かれた真っ赤なじゅうたんが、一段と明るく華やかに映ります。

外からの光が差し込んで、窓や天井の装飾が金色に輝いてまばゆいばかり。
天井や壁、柱は白一色ですが、華やかな細かい装飾が施してあり、豪華な宮殿など見慣れている諸外国の方々も、きっと驚くはずです。

玄関入って正面には、2階へ向かう中央階段が続いています。
赤いじゅうたんが延々と続き、「どうぞ」と言われても恐れ多くて踏み出せないほどの神々しさ。
両側の壁は字彩かな紅の大理石が使われていて、天井のシャンデリアの光を反射して輝いています。

床の大理石の中で痛みの激しいものは改修工事の際に取り替えられているそうですが、柱などは100年前のものがそのまま残っているのだとか。
床、壁、柱と、色も模様も様々。
これでもかと使われている大理石も、見どころのひとつです。

大理石の巨大な柱は圧巻「大ホール」

大理石の巨大な柱は圧巻「大ホール」

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中央階段の上に広がるのが2階の大ホール。
階段からつながった開放的な空間で、ギリシャ古代建築を思わせる8本の巨大な柱が目に飛び込んできます。
柱はどれも丸く削られた円柱型。
イタリア産の大理石だそうで、紫色の斑紋が浮かび上がり、柱の上と下は金色でピカピカ。
玄関ホールのシックな感じとはうって変わって、気が遠くなるほどの豪華さ、優雅さです。

国賓の方々は中央階段を優雅に上がり、このホールで歓談なさるのでしょうか。
かの故・ダイアナ妃も来日の際はこのホールで優雅なひと時を過ごされたのだそうです。

赤坂迎賓館の2階大ホールで見逃してはならないものが、日本を代表する洋画家・小磯良平氏の絵画。
中央階段を上りきったところの左右の壁に一枚ずつかけられています。
1974年に描かれたものだそうで、左側が『絵画』、右側が『音楽』。
見上げるほどの大きな油絵で、描かれているのはアトリエで語らう若者たち。
ヨーロッパの宮殿なら、着飾ってしゃっちょこばった王様の肖像画でも飾ってありそうなものですが、ここで日本の画壇を代表する巨匠の集大成ともいえる絵を見ることが出来るとは。
壁に張り巡らされた金色の装飾や華やかな照明の中に溶け込むように佇む、ジーンズ姿の男性の表情がとても印象的に映ります。

壮麗で華やか!個性豊かな公用室は見応えあり!

名工渾身の作!絵画のような七宝焼に彩られた「花鳥の間」

赤坂迎賓館の建物の中では、ホールや玄関だけでなく、もちろん部屋の中を見学することもできます。
会議やレセプションに使われる部屋はどれも天井が高くて目がくらみそうですが、部屋の雰囲気や装飾など、それぞれ個性があるところが見どころです。

まず抑えておきたいのが「花鳥の間」。
広さおよそ330平方メートルという広さの公用室で、公式晩餐会の会場となる部屋だそうで、まず天井の高さと厳かな雰囲気に圧倒されます。

シャンデリアや壁の装飾に目を奪われてしまいがちですが、壁は暖かな木の風合いを保っていて、荘厳で落ち着いた雰囲気。
賓客の方々はここで食事をされるそうですが、天井にはイノシシやウサギなどの野生鳥獣が活き活きと描かれています。

しかし、「花鳥の間」最大の見どころはなんといっても、壁に飾られた七宝の額です。

様々な鳥と花木を描いた楕円型の七宝で、下絵を描いたのは明治から大正にかけて活躍した日本画家・渡辺省亭。
これに七宝の名工・涛川惣助が息を吹き込み、焼き物とは思えないほど繊細で細やかに描かれています。
大きさはそれほど大きくないので、じっくり見るには双眼鏡がほしいところです。

壁にはゴブラン織風タペストリーがかけられていて、より荘厳な雰囲気を演出。
ルネッサンス様式を思わせる優雅な部屋に、日本の鳥たちを描いた七宝焼きの額が見事にマッチした、重厚感あふれる雰囲気が魅力です。

トランプ大統領との首脳会談が行われた「彩鸞の間」

トランプ大統領との首脳会談が行われた「彩鸞の間」

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賓客が最初に通される控えの間として、協定の調印式やメディアインタビューの場として使われることが多いという「彩鸞(さいらん)の間」。
2017年11月に来日したトランプ大統領との首脳会談もこの部屋で行われ、その様子は世界中のメディアに配信されました。

部屋の広さは160平方メートルほどで、正面玄関の真上に位置し、「花鳥の間」とは間逆と言ってもいいほど、まばゆいばかりの華やかさを誇ります。

白い壁一面に金の装飾が施され、ひときわ豪華なシャンデリアに照らされてまばゆいばかり。
壁には10枚の大きな鏡がかけられ、部屋をより広く大きく豪華に見せています。
19世紀前半、ナポレオンの時代に流行したアンピール様式(帝政様式)で彩られているのだそうです。

部屋の名前にもなっている”鸞”とは架空の鳥で、鳳凰の一種。
部屋の両側にある飾り暖炉の上のレリーフがそれにあたります。
装飾があまりにも金色に輝いていてよく見えないのが難点なのですが、部屋の中の装飾をよくよく観察すると、ライオンや兜、刀などが描かれている箇所も。
部屋の中にはガイドさんがいて、部屋の見どころや装飾の意味などいろいろ説明してくれます。

そんなガイドさんから聞いたお話ですが、天井に下がっているシャンデリア、創建当初からろうそくではなく電球が使われていたのだとか。
日本ではまだ電気が珍しかった時代、海外製の自家発電装置を備えていて、照明には電球を使い、暖房設備も整っていたのだそうです。
迎賓館の豪華さはうわべだけでなく内部にも。
感服です。

麗しき天女が舞い降りる部屋「羽衣の間」

「花鳥の間」とは中央階段を挟んで反対側に位置する「羽衣の間」は、広さ大きさこそ「花鳥の間」と同じような構造をしていますが、また雰囲気の異なる部屋です。
ここはもともとは舞踏会場として設計されていたそうで、オーケストラボックスも設えてあり、着飾って優雅に踊る人々の姿が目に浮かぶよう。
また、迎賓館の中で最も大きいとされる、重量800kgのシャンデリアがあり、圧倒的な存在感を放っています。
7000個もの部品で組み立てられたものだそうで、これも明治時代から電気で明るく輝いていたのかと思うと、ただひたすらため息あるのみです。

名前の由来は、天井に描かれた絵画。
謡曲『羽衣』の「虚空に花ふり音楽聞こえ霊香四方に薫ず」という一節を描いたという300平方メートルにも及ぶ大壁画で、曲面画法という非常に珍しい画法を用いています。
ただし、絵はフランスに発注したのたそうで、天女や羽衣のイメージが伝わらなかったのか、絵の中に天女は見当たりません。
ただ、ものは考えようで、見方によっては「ホールで踊っているあなた自身が天女」という、粋でオシャレな解釈の仕方もできるのだそうです。

前庭から建物外観を見上げるのも忘れずに!

前庭から建物外観を見上げるのも忘れずに!

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100年前に設えた建物とは思えないほど、荘厳で鮮やかな室内をひとまわりした後は、庭の散策も忘れずに。
とにかく大きくて、木造の日本家屋とは異なる威圧感に溢れている迎賓館の外観ですが、よく見ると、細かい装飾がそこかしこに施されています。
例えば、建物を正面から見ると、両サイドに球体のようなものがあり、四方を黄金の鳥が守っているような装飾が。
鳥に見えるものは「彩鸞の間」にもいた鸞で、まるで地球を守っているかのように猛々しく両翼を広げています。

また、正面玄関の切妻屋根の左右に立っている銅像も何ともユニーク。
鎧兜を身につけた武将の姿が。
まるで迎賓館の守護神のようです。

庭はとても広くて、都会のど真ん中であることを忘れるほど。
洋風の石造りの建築物の前に、濃い緑色の味わい深い松の木があしらわれているから、洋風になりすぎずぴしっと引き締まって見えるのかもしれません。

庭の大半が砂利敷きなので、歩きやすい靴がオススメです。

日本の技術の粋を集めた「赤坂迎賓館」でうっとりセレブ気分

豪華絢爛、贅をつくした建造物・赤坂迎賓館。
大理石と金箔がこれでもかと使われていますが、単に豪華なだけでなく、つましさというか、訪れる人に愛されているというか、大事に大事に管理されているんだろうなぁと感じさせる、そんな建物でもあります。
国賓をもてなす施設ですので、そうそう気軽に見学できるわけではありませんが、見て損はありません!しばし現実を忘れて夢の世界へ。
そんな赤坂迎賓館に是非お出かけください。
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