スペイン観光ならここ!魅力がギュッと詰まった歴史的スポット10選

スペイン王国はヨーロッパ南部イベリア半島に位置する国。国土は日本のおよそ1.3倍、ヨーロッパ大陸で3番目に大きく緑豊かな国土に、およそ4600万人の人々が暮らしています。首都は国のほぼ中央に位置する都市マドリードです。
初期人類最古の痕跡から20世紀最大級の巨大建造物まで、様々な遺構が残る国、スペイン。観光地としても大人気です。そんなスペインの歴史的スポット、うんと古い時代から、少しずつ辿りながらご紹介してまいります。

大迫力!スペインに行ったら必ず見たい先史時代の遺跡・遺構

三時代の巨石古墳「アンテケラのドルメン遺跡」

三時代の巨石古墳「アンテケラのドルメン遺跡」

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先史時代とは、文字のない(文字による記録のない)、発掘品や遺跡の調査・分析による情報によって解明される時代の総称。
石器時代や青銅器時代などを指して言います。
そんな時代の遺跡や遺構が、スペインにはたくさんあるんです。

その中のひとつが、スペインの南部アンダルシア地方マラガ近郊のアンテケラにある「アンテケラのドルメン遺跡」。
ヨーロッパを代表する巨石建造物です。

ドルメンとは”支石墓”や”埋葬地”という意味があるのだそうで、「古墳」と考えたほうがわかりやすいかもしれません。
ひとつの地域にいくつかの時代の遺跡が集まっていると考えられていて、その保存状態が良いことなどから2016年に世界遺産に登録されました。

「メンガ支石墓」は紀元前3000年頃の青銅器時代に造られたもので、横幅5m、高さ4m、奥行き25mの巨大古墳。
30以上もの巨石が使われており、最も大きなの重量はおよそ180tにもなるのだそうです。
石を組み上げた後に土で覆ったようで、一見、小高い丘のように見えます。

メンガから少し離れたところにあるのが「ビエラ支石墓」。
紀元前2500年から2000年前に造られたと考えられており、こちらも30近い巨石で組まれた墳丘型をしています。

この2つの古墳から4㎞ほど離れたところにあるのが「エル・ロメラル」。
近年になって、先の2つより少し新しい紀元前1800年頃の遺跡であることがわかり、石の種類や間取りが異なっているため、別の地域の都市文化の影響を受けているのではないか、とも考えられています。

人類誕生の謎解明なるか?「アタプエルカの考古遺跡」

スペインの北部のカスティーリャ・イ・レオン州ブルゴス県の町アタプエルカ。
ここにも、いくつかの時代の遺跡が折り重なるように残されています。
2000年に世界遺産に登録された「アタプエルカの考古遺跡」は、鉄道建設工事中に偶然発見されたのだそうです。

この一帯はカルスト地形(石灰岩などが雨や地下水によって浸食されてできた大地)による複雑な侵食地形で、洞窟や岩穴がそこかしこに。
ここに、旧人類から青銅器時代に至るまで、長期間に渡る人類の生活の痕跡が多数発見されているのです。

その中の40ほどの洞窟の中から、化石や人骨、古代人の生活の跡などがたくさん発見されています。
特に注目を集めているのが「シマ・デ・ロス・ウエソス(骨の採掘坑)」で、ネアンデルタール人の祖先でおよそ35万年前のものと思われる人骨や、ホモアンテセソールという80万年前の人骨、さらに120万年前と言われる人骨まで発見され、大変話題になりました。

現在も鋭意発掘調査中で、さらなる新しい発見があるのではと、期待が寄せられています。

浸食台地に広がる発掘調査現場は圧巻。
勝手に見学することはできませんが、見学ツアーが1日数回催されているので、発掘現場を間近で見ることも可能です。

珍しい屋外壁画「コア渓谷とシエガ・ベルデの先史時代の岩絵遺跡群」

先史時代の壁画というと、洞窟や岩穴などに描かれたものを思い浮かべる人が多いと思いますが、屋外に残されたものもあるんです。
スペインとポルトガルにまたがるようにして広範囲に渡る岸壁に描かれた岩絵は、まず1998年にポルトガルのコア渓谷が世界遺産に登録され、2010年にスペインのシエガ・ベルデが追加登録となりました。
紀元前2万年から1万年頃、旧石器時代のものと思われる岩壁画。
双方とも、同時代に描かれたものと考えられています。

この遺跡が発見されたのは1980年代。
発見当時、コア渓谷周辺でダムの建設計画が持ち上がっていました。
考古学者を始めとする有識者たちはこの遺跡を残すべくチームを結成し、ついにダム建設は中止に。
一帯を公園として一般に開放するなどして、歴史遺産の保全が叶ったのです。

発見された岩絵は22カ所。
発見が早かったこともあり、7割ほどがコア渓谷側です。
完全屋外、青空の下に広がる岩壁に、牛や馬、人物などが、力強い線で活き活きと描かれています。
絵の大きさはさまざまで、小さなものから等身大のものまで多種多様。
着色ではなく、細く滑らかな線で表現されています。

スペイン側からでも、コア渓谷の線画を見学可能。
青空の下の珍しい先史岩絵遺跡。
見ごたえ抜群です。

超有名!旧石器時代の洞窟美術「アルタミラ洞窟」

フランスの「ラスコー洞窟壁画」と並んで、おそらく誰もが一度は目にする先史遺跡ではないでしょうか。

スペインの北部、カンタブリア州のサンタンデル近郊にある旧石器時代の洞窟壁画「アルタミラ洞窟」。
1985年に世界遺産に登録(2008年拡張)された、世界的にも有名な遺跡です。

アルタミラ洞窟の壁画は旧石器時代のものと考えられており、大きく2つ、およそ1万8500年前のものと、1万6500年から1万4000年前のものが含まれています。
1万3000年頃に落石によって洞窟の入口が塞がれたため、壁画は外気に触れることなく現在に至ったのだそうです。
もし落石がなかったら、壁画はすべて消えてしまっていたのかも、と考えると、感慨深いものがあります。

描かれているものは牛や馬、イノシシなど動物が中心で、赤い洞窟の長さは約270m。

残念ながら現在では、壁画の損傷を防ぐため一般公開はされておらず、代わりに見学できるのは原寸大の洞窟に描かれたレプリカのみ。
しかし、洞窟の高さや壁の雰囲気は本物そのものなので、絵をどうやって描いたのか、想像を働かせることは可能。
入口には博物館があり、絵の解説など展示も豊富です。

スペインの歴史を物語る歴史的建造物たち

ローマ帝国時代の貴重な遺構「セゴビアの水道橋」

ローマ帝国時代の貴重な遺構「セゴビアの水道橋」

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スペインがあるイベリア半島は海に突き出した肥沃で温暖な土地。
先史時代から人々の暮らしがあったことは数々の遺跡が物語っていますが、紀元前12世紀頃になると、ギリシャやフェニキアなど地中海勢力が上陸し都市を形成していき、領地を争うようになります。
そして紀元前200年頃からローマ帝国が徐々にイベリア半島も侵攻。
500年にも及ぶローマ帝国の支配が始まります。

そんなローマ帝国時代の遺構が、スペインの首都・マドリードの北に位置する町・セゴビアに。
紀元前1世紀に造られたとされる「セゴビアの水道橋」です。

ローマ帝国はセゴビアの町を制圧した後、高い技術をもって水道橋を築き、高低差を利用して遠くの川から町まで水を引きました。
そのときに築いた水道橋が、ほぼ完全な状態で残っているのです。

セゴビアの水道橋は高さ約29m、長さは800mにもなる巨大建造物。
精巧に切り出された石を丁寧に積み上げ、16㎞離れた場所から水を引いています。
重機もセメントもない、2000年以上も前にこれだけの巨大建造物を造り上げるとは。
ローマ帝国の技術の高さがよくわかります。

橋の足元には歩道が整備されており、真下から見上げながら橋に沿って歩くことが可能。
脇の階段を上って橋と同じ高さから見る眺めも絶景です。
まるでここだけ時間が止まっているかのような、不思議な光景が目に飛び込んできます。

スペインの古都に建つ壮大な建造物「トレド大聖堂」

スペインの古都に建つ壮大な建造物「トレド大聖堂」

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領土を広げ過ぎたせいか、4世紀後半頃になるとローマ帝国は徐々にイベリア半島から撤退。
代わりに、ゲルマン民族の大移動の影響で南下してきたゴート族が西ゴート王国を建国。
560年にはローマ帝国時代から栄えていた町トレドに都を移します。
その後8世紀初頭にイスラム勢力に押されて滅亡。
イベリア半島は以後800年ほどの間、イスラム教と、イスラムに席巻されつつも国土を取り返そうとするキリスト教徒などによる小国とのせめぎ合いが続きます。

西ゴート王国の首都となったトレドは、こうした歴史から、様々な文化が入り混じった建築物が数多く残されています。
1986年には旧市街地全体が世界遺産に登録されました。

街中にはたくさんの歴史的建造物がありますが、中でもひときわ大きいのが「トレド大聖堂」。
1226年、イベリア半島の半分以上を占めていたカスティーリャ王国のフェルナンド3世の命で建設が始まり、およそ270年の歳月をかけて完成した巨大教会。
スペイン有数の規模を誇る大聖堂で、人気観光スポットであると共に、スペイン・カソリックの大本山にもなっています。

まっすぐ天を指し示すような鋭さを持つゴシック調の外観と、その外観からは想像もつかないほど内部は豪華絢爛、眩いばかりの装飾。
絵画や彫刻の美しさも圧倒的。
時を忘れて見入ってしまうこと間違いなしです。

古都グラナダに残るイスラム建築の最高傑作「アルハンブラ宮殿」

古都グラナダに残るイスラム建築の最高傑作「アルハンブラ宮殿」

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スペイン南部、アンダルシアにある都市グラナダ。
「アンダルシアの宝石」とも呼ばれ、人気の観光地でもあるこの街の小高い丘の上に、太陽の光を浴びて輝く美しい宮殿があります。
別名”赤い城”とも呼ばれる「アルハンブラ宮殿」です。

13世紀前半、イスラム勢力はキリスト教徒などによる”国土回復運動”の影響で徐々に覇権を失われ、この地で王国を築きます。
その際、丘の上に建てたのがこの宮殿です。

その形は宮殿というより城塞都市。
敷地内は広く、庭園や墓地、モスク、住宅など様々な施設が備えられ、2000人もの人々が暮らしていたと言われています。

スペイン・イスラム芸術の粋を集めた最高傑作のひとつと称される宮殿は「イスラム建築の華」とも呼ばれ、至るところから見ることができる街の象徴。
敷地内の庭園も荘厳でありながらどこか南部の独特の明るさがあり、まるでエキゾチックな雰囲気を醸し出しています。
建物内にはアラベスクと呼ばれる幾何学模様の装飾が至る所に施されており、技術の高さ・精密さは圧巻です。

この宮殿はイベリア半島におけるイスラム教徒の栄華の証であり、最後の砦とっもなりました。
13世紀終盤、グラナダがキリスト教徒の手に渡りイスラム王朝が潰えた後も、この宮殿は破壊されることなく残されたのだそうです。

まだまだあります!スペインで一度は訪れたい歴史的スポット

進め!あれは風車にあらず!「ラ・マンチャの白い風車」

進め!あれは風車にあらず!「ラ・マンチャの白い風車」

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マドリードから車で約1時間ほどのところにあるラ・マンチャ地方。
”マンチャ”とはアラブ語で「乾いた土地」という意味があるのだそうで、地名の語源にもなっています。
この地名を聞いて『ラ・マンチャの男』を思い描く人も多いでしょう。

『ラ・マンチャの男』とはセルバンテスの小説『ドン・キホーテ』をもとにしたミュージカル。
ラ・マンチャには小説に登場するような風車がたくさん建てられており、観光名所になっています。

風車を見ることができる場所はいくつかありますが、中でのコンスエグラという街は有名。
街を抜けた先にある荒涼とした丘の上に、白い円筒形のシンプルな風車が点々と連なって建っています。
もちろん、間近で見学することも可能。
荒野の先にあるので、水分補給を忘れないように注意してくださし。

これらの風車はもともと、風の力を利用して小麦や豆をひくために、14世紀頃に建てられたもの。
見渡す限り何もない、乾いた大地に吹き抜ける風を受け、風車は長い間、この地に住まう人々の暮らしを支えてきました。

現在では、風車は豆引きには使用されておらず、現役を退いて、遠路はるばるやってきた観光客を迎え入れながら静かに時を刻んでいます。

西へ向かえば必ずインドに辿り着く!「コロンブスの塔」

西へ向かえば必ずインドに辿り着く!「コロンブスの塔」

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クリストファー・コロンブスと言えば大航海時代を代表する航海者。
出身はイタリアのジェノヴァですが、インド発見のための航海費用を出資したのはスペインのイザベル女王。
その援助を受けて、1492年、コロンブスは新大陸発見(ただしインドではなくアメリカ大陸)を成し遂げます。
コロンブスは新大陸を発見した後、イザベル女王に報告するためにバルセロナへやって来たと言われており、コロンブスとバルセロナは深い関わりがあるのです。

バルセロナ港にほど近い広場に建つ「コロンブスの塔」は、1888年のバルセロナ万国博覧会の時に建造されたもの。
高さ60mの巨大な柱のような形をした塔の上に、右手をまっすぐ伸ばし遠くを指し示すコロンブスの像が建てられています。
この像だけでも7m以上あるそうで、遠くからでもよく見えますし、近くで見ると思っていた以上に大きく、迫力満点です。

塔の地下はショップになっていて、塔の上部にある展望台へのエレベーターもあります。
エレベーターも展望台もとても狭く、乗り場がわかりづらいのでそれほど人気ではなさそうですが、時間があれば是非。
遠くにサグラダ・ファミリアも見えます。
バルセロナの街を一望でき、見ごたえ十分です。

まだ未完成だけど最高傑作「サグラダ・ファミリア」

まだ未完成だけど最高傑作「サグラダ・ファミリア」

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スペインの歴史的建造物といったら、ここを外すわけにはまいりません。
バルセロナの街に燦然と輝く世界遺産「サグラダ・ファミリア」です。

建築家アントニ・ガウディの代表作として知られていますが、はて何のための建物?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
もともとは、民間カトリック団体であるサン・ホセ協会が、”すべて個人の寄付によって建設される贖罪教会”として建設を計画。
建築家フランシスコ・ビリャールが無償で設計を担当し、1882年に着工しました。
しかし意見の食い違いからビリャールが辞任し、その後任として任命されたのがアントニ・ガウディ。
当時はまだ、建築家としては無名に近かったのだそうです。

そのような背景からか、ガウディは詳細な設計図を描かず作業を進めていましたが、不幸にも建設途中でガウディがこの世を去ります。
現在ではガウディが遺した資料やスケッチなどをもとに、完成形を推測しながらの工事が続けられているのだそうです。

全て人々の寄付で建てられた教会。
「聖家族教会」と呼ばれるこの建造物の基本精神に基づき、現在も急がずゆっくりと作業が進められています。
何より、ガウディが「神は急いでおられない。
焦らなくていい」という言葉を残しているとか。
何でもすぐ結果を求めてしまう現代人の心に響く、珠玉の一言と言えそうです。

現在では観光収入も建築費用に充てられているそうで、1980年頃には「完成まで300年はかかる」と言われていた巨大建造物は、2026年(ガウディ没後100周年)には完成するとの見込み。
長い間、建設中であることが当たり前だったサグラダ・ファミリア。
近い将来、クレーンが外され、その全貌が明らかになる日は、もう間もなくです。

先史時代から現代、そして未来へ・魅力溢れる国スペインへ

イタリア、中国に続いて、スペインの世界遺産数は世界第3位(2017年時点)。
先史時代の有益な遺構や歴史的建造物が数多く残されている、様々な民族文化が交差した歴史深い国なのです。
燦々と照り付ける太陽と乾いた大地、色とりどりの街並み、陽気で情熱的な人々。
古き良き時代を大切に、長い歴史を紡ぎ続けているスペイン。
どの地方も個性豊かで魅力的です。
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