吉野山は桜だけでない。義経千本桜など歴史的な出来事も盛りだくさん

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トラベルパートナー: Mina

出身は東京都。幼少からの歴史好きから、歴史スポットやお寺・神社を巡るのが趣味に。関東地方を中心に、主にひとり旅でのんびり回っています。有名無名問わずに、気になった寺社を回っています。風景写真を綺麗に撮れるよう、写真は勉強中。

吉野山は桜だけじゃないんやで

奈良県吉野郡吉野町にある吉野山は、大峰連山の北の端から南に約8キロ続く尾根の総称です。日本有数の桜の名所として有名な土地ですが、そのことと吉野山から高野山、熊野にかけての地域が紀伊山地の霊場と参拝道として、世界遺産に指定されていることは、深い関係をもっています。そんな桜、信仰そして歴史と見どころが多い吉野山を紹介します。

信仰と歴史と桜の聖地

春に桜で染まる美しい景勝地である吉野山。その一方で、古来からの修験道の霊場にもなっている土地です。吉野、大峰と熊野三山を結ぶ大峰奥駆道では、現在でも修行が行われています。

また歴史の分岐点の舞台にもなっている吉野山。兄頼朝に追われた源義経が弁慶とともに身を隠した場所で、朝廷が分裂した南北朝時代には、南朝の都が置かれました。下剋上の時代を駆け抜け頂点に上り詰めた豊臣秀吉が、5000人と大規模な花見をいった土地として花見塚も残されています。現在は春の桜、秋の紅葉の名所という印象が強い吉野山ですが、信仰と歴史の跡が数多く残る見どころの多い山なのです。

吉野の桜は信仰の証

山桜を中心に、約200種3万本の桜が密集している吉野山。麓から山頂にかけて、下千本から中千本、上千本、奥千本とエリアがわかれ、毎年4月初旬から、順番に桜が咲き上がり、長く楽しめるのが特徴です。その美しさから千本桜、一目千本(ひとめで千本見える豪華さ)と称えられています。ただ、この桜は花見や山をきれいに染めるために植えられたものではありません。

役行者(えんのぎょうじゃ)が、金峯山寺(きんぷせんじ)を開く際に、蔵王権現を桜の木に彫ったことからご神木となった桜。その後蔵王権現や役行者の信仰の証として、信者や行者が献木として植えたのが、現在の桜の名所を作り出したのです。

金峯山寺は吉野のシンボル

中千本エリアにある金峯山寺は、修験道の開祖役行者が7世紀頃に創建したといわれるお寺。蔵王権現を本尊とする金峰山修験本宗(修験道)の総本山です。

修験道の総本山

修験道は日本古来の山岳信仰に、神道、道教、仏教を混合し成立した宗教。一日中山中を歩き巡る回峰行(かいほうぎょう)という修行が特徴で、現在でも多くの僧侶や修験者がいっています。国宝に指定されている本堂の蔵王堂は、木造建築としては東大寺大仏殿に次ぐ規模をもつ、吉野山のシンボルともいえる建物です。

境内には歴史的な場所も


本堂蔵王堂の正面、石柵で囲まれた中に、4本の桜が植えられた大塔宮御陣地。ここは元弘3年(1333年)南朝の後醍醐天皇の第二皇子大塔宮 護良親王が、落城を前に家臣たちと、桜の前で最期の酒宴を開いたと伝わる場所です。

住所|〒639-3115 奈良県吉野郡吉野町吉野山2498
営業時間|8:30〜16:30
定休日|無休
電話|0746-32-8371
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吉水神社は歴史好きなら必見

役行者が白鳳時代に開いたと伝わる金峯山寺の僧坊吉水院(よしみずいん)は、明治維新の神仏分離により吉水神社となりました。御祭神は後醍醐天皇で、南朝の忠臣だった楠木正成、吉水院宗信法印も祀っています。

歴史で度々登場する吉水神社

吉水神社は、南北朝の舞台となっただけでなく、たびたび歴史に登場する場所。兄頼朝に追われた源義経が、妻の静御前や弁慶らとともに一時隠れ住んだとも伝わっている場所。太閤豊臣秀吉が大々的に花見の宴をいった際、本陣が置かれたところ。そんな歴史の出来事に縁深いこの神社には、数々の宝物が残されています。

義経の鎧、弁慶の七つ道具、蝉丸の琵琶、秀吉愛用の金屏風、後醍醐天皇の御物などまさにお宝の宝庫。そんな多くの重要文化財を近くで鑑賞できるため歴史好きにはたまらない場所です。

南朝の皇居だった

南北朝時代、吉野に逃れた後醍醐天皇は、吉水院を行宮としました。その後、この地を南朝皇居と定めたのです。写真は後醍醐天皇玉座。後醍醐天皇は、京へ帰る日を切望しながら数年後に病没しています。

義経千本桜の舞台

頼朝に追われた義経が、静御前や弁慶とともに5日間身を隠していたといわれているのが吉水院。その際に使用していた部屋は、現在 源義経・静御前潜居の間として公開されています。義経は落ち延びるために、静御前と別れたため、ここがともに過ごした最後の地となりました。この義経と静御前の別れを題材としたのが、歌舞伎の演目として有名な義経千本桜です。

住所|〒639-3115 奈良県吉野郡吉野町吉野山579
営業時間|9:00〜17:00(拝観受付は16:30まで)
定休日|無休
電話|0746-32-3024
公式サイトはこちら

吉野水分神社は子授けの神さま

みくまりがみこもり(御子守)と訛ったことから、子授けの神として信仰を集めるようになったといわれる、上千本にある吉野水分(みくまり)神社。豊臣秀吉もここで祈願をし、秀頼を授かったといわれています。

その縁もあり、秀頼は社殿を再建。本殿、拝殿、幣殿、楼門、回廊からなる建築、春にはシダレザクラ、初夏にはスズランが咲く、桃山文化の美しい境内です。祭神は水の配分を司る天之水分大神(あめのみくまりのおおかみ)。金峯山寺からいくと、徒歩約60分とかなり山奥となるので、参拝は計画的にしましょう。

住所|〒639-3115 奈良県吉野郡吉野町吉野山1612
営業時間|8:00~16:00(4月のみ8:00~17:00)
定休日|無休
電話|0746-32-3012
公式サイト|なし

金峯神社は吉野山の地主神

吉野山の奥千本にある金峯神社(きんぷじんじゃ)。吉野山の地主神、金山毘古命(かなやまひこのみこと)を祭神としています。藤原道長、源義経ゆかりの地でもあります。

藤原道長が祈願に訪れた

吉野山のもっとも奥深いところにある金峰神社。藤原道長も祈願に訪れたといわれる、修験道の行場です。静けさの漂う雰囲気のある神社ですが、ロープウェイを使い吉野山駅から徒歩で約2時間かかる奥深さ。最寄りの奥千本口バス停からは徒歩15分ですが、本数が少ないため、帰りの時間も計算していくようにしましょう。

金峰神社に残る義経が隠れた塔

義経と弁慶が追ってから逃れるために隠れたと伝わる義経隠れ塔は、金峰神社の境内から、坂道を3分ほど下がったところにあります。敵に囲まれ、屋根をけ破って逃げたという逸話から、蹴抜の塔(けぬけのとう)とも呼ばれています。

住所|〒639-3115 奈良県吉野郡吉野町吉野山1651
営業時間|自由参拝
定休日|なし
電話|080-2506-1741
公式サイト|なし

西行庵は桜と紅葉の名所

新古今和歌集の代表的歌人 西行法師が武士を捨て、3年間隠遁生活を送ったとされる小さな庵が、金峰神社からさらに山中へはいったところに残っています。春には桜、秋に紅葉が美しく彩りを見せる場所。庵の中には、西行の像が安置されています。

住所|〒639-3115 奈良県吉野郡吉野町吉野山
営業時間|なし
定休日|なし
電話|なし
公式サイト|なし

吉野山おすすめのお土産とグルメ

修行の場でもある吉野山。その影響もあってか、おすすめするグルメはヘルシーで健康を考えたものが多くあります。

役行者が作った陀羅尼助丸

約1300年前、疫病が蔓延した際、役行者が作り多くの人を救ったといわれる陀羅尼助丸(だらにすけがん)。黄檗を主成分として、胃腸の不調全般に効果がある、和薬の元祖ともいわれるものです。吉野山、大峰山の代表的なお土産で、写真のフジイ陀羅尼助丸が有名です。

住所|〒639-3115 奈良県吉野郡吉野町吉野山2413番地
営業時間|8:30~17:00
定休日|不定休
電話|0746-32-3025
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奈良名物柿の葉寿司

2日目が一番おいしいといわれる、柿の葉寿司。鯖や鮭を塩でしめてから、乾燥しないように柿の葉で包み、水分を抜いて発酵させた、奈良の郷土料理です。吉野山にも柿の葉寿司店は何軒もありますが、中でも人気なのは金峯山寺に向かう途中の銅(かね)の鳥居のすぐ横にある ひょうたろう。売り切れ次第終了で桜のシーズンには昼頃に終わってしまうこともあります。

住所|〒639-3115 奈良県吉野郡吉野町吉野山429
営業時間|9:00〜16:00(桜の時期のみ17:00まで)
定休日|月曜日
電話|0746-32-3070
公式サイト|なし

吉野といえば吉野葛

古来から葛の名産地だった吉野。現在でも希少な国産本葛粉を使ったスイーツが作られています。その中でもおすすめなのが、金峯山寺蔵王堂前にある中井春風堂。喫茶スペースで食べられる出来立ての葛切りや葛餅は、店主が目の前で作ってくれます。賞味期限10分といわれる葛のお菓子は、まさにここでしか味わえない一品だといえるでしょう。

住所|〒639-3115 奈良県吉野郡吉野町吉野山545
営業時間|10:00~17:00(オーダーストップ16:30)
定休日|水曜日(冬季は土日のみ営業)
電話|0746-32-3043
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吉野山へのアクセス

電車での行き方

橿原神宮前より近鉄特急で約40分、大阪阿部野橋から約1時間20分で、吉野駅下車。近鉄吉野線吉野駅下車。本来はロープウェイを使いますが、復旧工事が終わらず代行バスが運行中です。

車での行き方

国道24号線大和高田バイパスから四条ランプ、小房交差点を右折し、国道69号線を利用。桜の観光シーズンの吉野山は、かなりの混雑となります。臨時の交通規制(一方通行、通行止め、歩行者天国)があり、もっとも混雑する時期には、入山規制(麓に駐車)の可能性もあるためホームページなどで事前に確認をしてください。

普段は無料の駐車場も桜の時期には有料となります。下千本駐車場(吉野山観光駐車場)は、停められる台数が多く観光の中心となる場所なので、ここを使えれば便利です。

住所|〒639-3115 奈良県吉野郡吉野町吉野山
営業時間|なし
定休日|無休
電話|なし
公式サイトはこちら

まとめ

春の桜が有名な吉野山ですが、夏には紫陽花と新緑の森林浴が楽しめます。また秋は山が紅葉に染まり、冬は雪の中の静寂に包まれた社寺をゆっくり見られる時期と、四季折々の魅力をもっています。数々の歴史の舞台となり、史跡、文化財も間近で見られる吉野山。景観、歴史、信仰と多彩な文化が残っている土地です。