尻屋崎で本州北東の岬。厳しい自然に立ち向かう寒立馬を見ているとパワーが湧いてくる

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トラベルパートナー: wakame

31歳1児のママ。秋田県出身。 転勤族のため全国11箇所に住んだ経験があり、特に青森県中心に書いています。東北地方の歴史・文化・民間伝承が好き。実際に住んだからこそわかる情報を盛り込んだ記事作成を心がけています。

下北と言えば寒立馬!仔はめんこいして見るべし!

寒さの厳しい青森県。そんな中でも特に厳しいといわれるのが尻屋崎です。潮の流れや霧により、多くの人の行き来を困難にさせてきた場所でもあり、人々の苦労は長い間続いていました。ここにはそんな環境を打破しようと苦労した人々や、それを支えた動物が存在しました。

尻屋崎は青森県北東の岬

本州の北の果てである尻屋崎

尻屋崎(しりやざき)とは、青森県北東端にある灯台や岬一帯をさします。尻屋崎灯台は日本の灯台50選に選ばれ、歴史的にも文化的にも価値の高い建造物として知られる尻屋崎の目印的存在。辺りは一面緑の芝生が生い茂り、海と草原のコントラストが美しい景勝地です。

古くから交通の難所として知られた尻屋崎

津軽海峡から太平洋への潮の流れはとにかく変わりやすく、濃い霧も頻繁に発生することから、尻屋崎周辺の海域は古くから交通の難所として人々に恐れられてきました。江戸時代に入ってからも尻屋崎周辺は難所だったので、日本海側を通る西廻り航路が採用されていました。その後、江戸時代中期頃になるとようやく北海道から八戸までの航路が確保されるのがやっとでした。

明治以降は、対外戦争を見据えた北方防御の観点からも尻屋崎は重要な位置づけに。明治9年にはイギリス人のリチャード・ヘンリー・ブラントンの設計により、尻屋崎灯台が建造されることとなりました。

尻屋崎灯台が海に映える

尻屋のシンボルである尻屋崎灯台

尻屋崎の突端にそびえたつのが白亜の灯台 尻屋崎灯台です。ここは国内最大級のレンズが使用された日本で初めての電気式灯台。また、音波標識を発する霧信号所が設置された国内で初めての場所でもあります。尻屋崎灯台は、レンガ造りでは日本一の高さを誇っており、東北最古の洋式灯台としても歴史的価値が高いスポットとなっています。

航海に出ると、海上では夜は真っ暗で何も見えなくなります。それだけでも不安な中、霧が出てしまっては星の光も頼りにできず、恐ろしさが増してしまいます。この辺りでは付近のごつごつとした岩が多いことも加わり、船の座礁や遭難も多く、かつては多くの船乗りや漁師の命を奪ってきました。

尻屋崎灯台は、そんな悪条件で古くから交通の難所とされた尻屋周辺を海難事故から守り、安全な航路を示してきたとても重要な存在なのです。

尻屋崎灯台の中も観光できる

尻屋埼灯台は、入場料を払えば中に入ることも可能。128段の螺旋階段を上ると津軽海峡と太平洋を一望でき、その貴重な景色を堪能することができます。また、尻屋崎の海岸線にはかつて海難事故で亡くなった方の石碑やお地蔵様があります。

尻屋崎灯台の伝説

太平洋戦争中の1945年(昭和20年)、米軍機による機銃掃射を受け大破してしまった尻屋崎灯台。当時灯台に勤務していた村尾常人標識技手が殉職しました。しかし、翌1946年(昭和21年)になると米軍機の攻撃で破壊し尽くされたはずの尻屋崎灯台が光を放ったという目撃が相次ぎ、付近を航行中の漁船が遭難を免れるということが起こりました。

人々は尻屋崎灯台が光を放ったのは殉職した村尾標識技手の霊なのではないかと噂をするように。しかし、霧信号舎屋上に仮の灯りを点灯したことでこの現象は消えたといいます。尻屋崎灯台を心から頼りにしている船が多いからこそ、灯台守はその使命を全うしようとしていました。尻屋崎灯台が海の安全を守っていると、今もこの話が語り継がれています。

尻屋崎と言えば寒立馬

本州最北の地に住む馬

寒立馬(かんだちめ)とは尻屋崎に放牧されている馬のことを指し、青森県天然記念物に指定されています。テレビや広告の中で、雪の降る中体を寄せ合って寒さに耐えている姿の寒立馬をみたという人も多いことでしょう。夜間と冬季はゲートが閉まっているので中に入ることができませんが、寒立馬は一年中尻屋崎で放牧されているので近くに寄ってみることができます。

一時は9頭まで激減した寒立馬

寒立馬は太くてずんぐりとした体型で、足も短く太いのが特徴です。競馬馬のようにスマートに速くは走れませんが、極寒の地において食べ物があまりなくても生きることができること、馬力があることから農耕馬として活躍でき古くから大事にされてきました。

「寒立」という言葉はマタギ言葉に由来し、カモシカが冬に山の高いところで長時間雪中に立ちつくす様をさす言葉。寒立馬は1995年には9頭にまで減ってしまいましたが、その後の保護政策で40頭ほどまで回復してきています。

寒立馬を間近で見られるチャンス

尻屋崎周辺は一帯が寒立馬の放牧地となっており、至る所で寒立馬を見るチャンスがあります。寒立馬は人間に慣れており、カメラで撮影されても近くに寄られても全く動じることがありません。ただし、念のために寒立馬の背後には立たないようにしましょう。

寒立馬の子供同士がじゃれ合ったり、お腹を出してのんびりと昼寝を楽しむ姿を見られる場所はここしかありません。自由気ままに生活する寒立馬を見ると、見ているこちらまで微笑ましくなりリラックスした気分になってきます。

寒立馬の観光におすすめなのは春

寒立馬は毎年4~6月に出産時期を迎え、その時期には生まれたばかりの仔馬に出会えることがあります。下北半島は4~6月になると雪が解け、徐々に草花が芽吹きます。まだ肌寒くはありますが、関東・関西に比べて梅雨入りも遅いので、春の尻屋崎は観光に向いているといえるでしょう。

1~3月の冬の時期は尻屋崎周辺が閉鎖されるため観光はできません。この時期になると寒立馬は、アタカと呼ばれる放牧地で毎日を過ごしています。

寒立馬は1~3月の間、防風林で囲まれた越冬放牧地であるアタカに移動をして春の訪れを待ちます。冬の尻屋崎周辺は立ち入り禁止ですが、アタカは誰でも自由に入ることができます。

冬には津軽海峡と太平洋を背景にした真っ白な雪原や、樹氷に囲まれた寒立馬を見ることができるでしょう。粉雪が舞いあがるような厳しい寒さの土地では、食べるものも少なく、そんな中で雪をかき分けて草を食む寒立馬たち。生き物の力強さを感じます。

寒立馬のノミ・シラミに注意

尻屋崎に住む寒立馬たちは、放牧というよりも野外で暮らす野生に近い状態で毎日を過ごしています。そうしたほぼ野生の環境ゆえ、動物園のように消毒された状態ではないので、体にはダニ・ノミ・シラミがついているかもしれません。

寒立馬は人間に慣れていていつもとてもおとなしく、近くに寄って触ることもできる環境なので、寒立馬を撫でている観光客はたくさんいます。しかし、シラミ予防の観点からは触らない方がいいですよ。

尻屋崎のランチスポット

尻屋崎周辺は建物が少ないため飲食に困りそうなイメージがありますが、ランチを楽しめる場所もあります。評判なのが地元の方々が通う岩屋の定食屋。新鮮な生うに丼やあわび丼など、他ではありえないほどのボリュームの料理をを低価格で食べることができます。下北半島でよく食べられている岩のりの味噌汁は、海鮮にとても合う独特の食感が人気です。

尻屋崎周辺のごはん屋さんは不定休のところが多いので、行く前に電話で営業しているか聞いておくと安心です。

住所|〒035-0113 青森県下北郡東通村大字岩屋字往来149-2
営業時間|10:30~15:00
定休日|不定休
電話|0175-47-2759
公式サイトはこちら

尻屋崎へのアクセス

車で行く場合

車の場合、むつ市中心部から青森県道6号線で北東へ向かい、約40分ほどで到着します。尻屋崎まで到着したら、踏切のようなゲートをくぐり敷地内に入ります。夜間や冬季はそのゲート自体が閉まり中に入ることはできません。県道から尻屋崎灯台に向かう途中の道路にも、寒立馬がいるかもしれないので注意が必要です。

バスで行く場合

むつ市中心部にあるむつバスターミナルから、尻屋行のバスが出ています。むつバスターミナルから尻屋線に乗って約1時間で到着。終点で下車し、バス停を降りるとすぐのところにあります。なお、JR下北駅からむつバスターミナルへはバスで約50分ほど、JR青森駅からむつバスターミナルまでは約2時間半ほどかかります。

住所|〒035-0111 青森県下北郡東通村尻屋
営業時間|【4月1日~4月30日】8:00 ~ 15:45 【5月1日~11月30日】7:00 ~ 16:45
定休日|12~3月
電話|東通村役場 0175-27-2111
公式サイトはこちら

まとめ

本州の最も北東端に位置する尻屋崎。その厳しい環境に昔は苦労を重ねた人が多くいたのも頷ける、自然と対峙した場所です。また、厳しい冬を乗り越えるのに適した寒立馬たちがどのように暮らし、この土地の人と関わってきたのか。そんな想像を膨らませるのも旅の思い出になることでしょう。

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