吉野神宮は後醍醐天皇と南朝の忠臣を祀る神社。京を想う気持ちが伝わってくる

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トラベルパートナー: Mina

出身は東京都。幼少からの歴史好きから、歴史スポットやお寺・神社を巡るのが趣味に。関東地方を中心に、主にひとり旅でのんびり回っています。有名無名問わずに、気になった寺社を回っています。風景写真を綺麗に撮れるよう、写真は勉強中。

「吉野神宮」は縁結びでも有名やでぇ

吉野神宮は、日本有数の桜の名所として名高い吉野山のふもと、下千本エリアにあります。大河ドラマ「太平記」の主要人物として描かれ、歴史の渦に巻き込まれた後醍醐天皇を祭神とする神社。境内の摂社には、建武の中興の忠臣も祀られています。そんな歴史的な一面をもつと同時に桜の名所であり、金剛山、葛城山が遠望できる景観地でもあるそんな吉野神宮を紹介します。

吉野神宮の成り立ち

奈良県の吉野山のふもとにあり、後醍醐天皇を祀っている吉野神宮。明治22年(1889年)明治天皇により創建された比較的新しい神社で社殿が完成した明治25年(1892年)に吉水神社から御神体の後醍醐天皇を移し、遷座祭が行われました。この御神体は、後醍醐天皇の子の後村上天皇が自ら刻んだといわれています。

社殿は昭和7年(1932年)に改築されたもの。本殿、拝殿とともに総檜造りの建物は、近代神社の代表作として高く評価される建築です。27000坪の広大な境内には、桜やカエデなどの樹々が植えられ、静かで落ち着いた雰囲気は明治神宮に似ているという人もいます。葛城山、金剛山が遠望できるのも見事。桜の名所であることはもちろん、秋の紅葉は吉野を代表するスポットとして人気のある神社です。

吉野神宮が北を向いている理由

一部の例外を除き、ほとんどの神社は南か東に向けて建てられています。しかし吉野神宮は本殿、拝殿、神門、鳥居は直線的に北を向いているのが特徴です。

祭神の後醍醐天皇は南北朝時代に吉野へ逃れ、吉水院に南朝皇居を置き、ここから建武の新政に力を注ぎ王政復古を目指した人物。しかし志半ばで病に倒れ、数年後亡くなっています。その後醍醐天皇が望んでいたのは、御所のある京へ帰るということ。その思いを汲んで神社の建物は吉野から見て北、京のある方角へ向いているのです。

ご利益は縁結びとストレス解消

吉野神宮は、縁結びの神様として有名。とくに春の桜の時期はパワーが増大するといわれています。ただそれだけでなく少し変わったご利益として注目されているのが、ストレス解消というもの。女性の失恋によるストレスだけでなく男性の仕事での心の重さも浄化するご利益があるといわれています。また後醍醐天皇は学問や歌道に優れた才能をもっていたことから、学問の神様として参拝に訪れる人も多くいます。

桜の名所

平安時代から桜の名所として有名な吉野山。吉野神宮は、ふもと近くの下千本エリアにあります。春には桜がうつくしく神社を彩ります。

千本桜と称される

約200種およそ30000本もの桜が密集している吉野山。ふもとから山頂にかけて下千本、中千本、上千本、奥千本と気温の上昇とともにだんだんと咲いていきます。長く見られる吉野の桜はとくに遠望が素晴らしいといわれ、その姿は千本桜、一目千本と称されています。

戸開け桜

吉野山の南方にある大峰山の戸開け(山開き)は毎年5月3日。吉野山では遅咲きの桜を通称、戸開け桜といいますが、それは大峰山の山開きの頃に咲くという意味からきています。吉野神宮はこの戸開け桜のスポット。写真は吉野神宮のしだれ桜です。

吉野神宮の境内の様子

吉野神宮参道入り口にある二の鳥居。一の鳥居は、近鉄吉野神宮近くにあります。本来のお参りは一の鳥居から、二の鳥居、大鳥居を通るのが作法だそうです。

参道の入り口

表鳥居とも呼ばれる吉野神宮の二の鳥居。ここから長い参道が続いていきます。車での参拝の場合は駐車場がこの先にあるため、二の鳥居と参道を通らずに神社の境内へ入ることになります。参道を抜けた境内入口にあるのが大鳥居です。

春夏は緑に秋は紅葉に包まれる

春から夏にかけては森林浴気分で歩ける緑のトンネルのような木々が多い参道。秋は紅葉に染まります。この参道を抜けると開けた空間が目の前に現れ大鳥居、神門、拝殿、本殿へと続く境内に出ます。

狛犬はスタイル良し

通常の神社の狛犬といえばずんぐりした体型にいかつい顔で座っているもの。しかし吉野神宮の大鳥居の狛犬はスリムなうえ、まるで空に向かって遠吠えをするように顔を上げています。この珍しい狛犬の原型は彫刻家として名高い北村西望氏の作品です。

後醍醐天皇を支えた忠臣を祀る摂社

拝殿右にある摂社三本殿は、後醍醐天皇を支えた南朝の忠臣を祀っている社殿。御影神社に藤原(日野)資朝(すけとも)卿、藤原(日野)俊基(としもと)卿、船岡神社は児島高徳卿、児島範長朝臣、桜山磁俊朝臣、瀧櫻神社には土居通増朝臣、得能通嗣朝臣をそれぞれ祀っている摂社が並んでいます。この摂社本殿、拝殿も登録有形文化財です。

御朱印と絵馬

社殿の左手にある授与所で御朱印がいただけます。吉野神宮だけでなく摂社の御朱印もいただけるのが特徴です。

御朱印はこちら

吉野神宮の御朱印と、摂社の御朱印がいただけます。御朱印帳は「大和の神々をたずねて」というものがあります。この御朱印帳は吉野神宮のオリジナルではなく奈良県内の神社を巡るための専用のもの。紫に金文字で大和の神々をたずねてという文字が刻まれています。売り切れていることが多いので目当ての人は、奈良の神社で見つけたら買っておいた方がいいでしょう。

縁結びの御利益がある吉野神宮の絵馬

吉野神宮は縁結びの御利益があるといわれている神社。それだけに縁結びのお守りや絵馬はかなり充実しています。写真の結縁絵馬は二枚重ねになっていて願い事が他の人に見えないよう工夫がされています。

周辺の見どころ

吉野神宮のある吉野山は紀伊山地の霊場と参拝道として、世界遺産に指定されている土地。歴史や文化的に価値の高い史跡、自然環境が守られていることから見どころがたくさんあります。

南朝皇居だった吉水神社

吉野山の中千本エリアにある吉水神社は、後醍醐天皇ゆかりの地。南北朝時代に南朝の行宮(仮の御所)としたところで、写真は後醍醐天皇の玉座です。後醍醐天皇を主祭神として、南朝の忠臣である楠木正成、吉水宗信法印も祀られています。他にも歌舞伎の演目として有名な源義経と静御前の悲しい別れを描いた「義経千本桜」の舞台となった場所、太閤豊臣秀吉が花見の大本陣としたなど歴史的な逸話が多い場所です。

住所|〒639-3115 奈良県吉野郡吉野町吉野山579
営業時間|9:00〜17:00
定休日|無休
電話|0746-32-3024
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吉野山のシンボル金峯山寺

7世紀に建立されたといわれる吉野山のシンボルにもなっている金峯山寺(きんぷせんじ)は、後醍醐天皇の子にゆかりのある場所。木造建築としては、東大寺大仏殿に次ぐ規模を誇る本堂蔵王堂の正面に、石柵で囲まれた4本の桜が植えられた大塔宮御陣地。ここは後醍醐天皇の第二皇子、大塔宮護良(もりよし)親王が、幕府軍に追い詰められ吉野に立てこもった際、落城を覚悟し最後の酒宴を開いた場所です。

住所|〒639-3115 奈良県吉野郡吉野町吉野山2498
営業時間|8:30〜16:30
定休日|無休
電話|0746-32-8371
公式サイトはこちら

吉野神宮へのアクセス

電車での行き方

近鉄吉野神宮駅より、駅前の大鳥居を通って坂道を約20分です。

車での行き方

国道24号線橿原から、国道169号線で約30分。駐車場は約100台可能。無料ですが、駐車は1時間以内となっています。

住所|〒639-3115 奈良県吉野郡吉野町吉野山3226
営業時間|8:30〜17:00
定休日|無休
電話|0746-32-3088
公式サイトはこちら

まとめ

桜の名所として日本有数の吉野山にある吉野神宮。紅葉も美しい場所です。ただ歴史を知りつつ見ると北へ向いた建物が示す通り、後醍醐天皇の京都への思いが伝わってきます。そんな思いを感じながら神社を参拝していくと境内の美しさに味わいが出てくることでしょう。