畠山記念館は有名実業家がこだわり建てた茶の湯の美術館

公開日:2019/2/28 更新日:2019/8/15

トラベルパートナー:トラベルパートナー: Kei
東京都出身。おもに東京から気軽に行ける場所を紹介。また、海が好きで、一年に一度は海のある場所へ旅行する。日本中の水族館に行くのが夢。美術館や博物館には一人で行きたいが、旅行は家族や友達と一緒に楽しみたい。
美術作品と日本庭園で抹茶を味わう上質なひととき

東京都の五反田や品川は、全国でも有名なオフィス街や住宅街として賑わいを見せます。人と交通の往来激しいこの大都会の一角に、都会の喧騒を忘れさせてくれるようなレトロでお洒落な建物が、畠山記念館。日本の産業を発展させた実業家の魂が、ここには宿っています。

まず畠山記念館とはどんな所でどんな人が建てたか

抹茶が頂ける茶の湯の美術館として有名

畠山記念館は東京オリンピックが開催された1964年に開館。茶道具を中心に陶磁器や漆器さらには能装束など、日本をはじめ中国や朝鮮半島の古美術品を展示公開している美術館です。創立者の畠山一清(はたけやまいっせい・1881~1971)は石川県金沢市出身。地元の守護大名・能登畠山氏の血を引く実業家で、環境装置や設備を製造する大手企業・株式会社荏原製作所を設立しました。

また一方で即翁(そくおう)と号して能楽や茶道を嗜み、美術品の収集を行った数寄者としても有名。数寄者(すきしゃ)とは芸道に熱心な人を意味し、特に茶道具を所有する人に対して呼称されます。そのこともあって畠山記念館は現在まで、茶の湯の美術館として親しまれているのです。

畠山記念館へ林の石畳をたどればレトロな本館が

本館へとつづく石畳と庭園の風景

記念館本館と受付はこの先にあり、まずは庭園の通路を進みます。茶の湯の美術館と呼ばれるにふさわしく茶庭(ちゃてい)と位置付けられ、石畳の通路も茶室へとつづく露地(ろじ)とされており、風情ゆたかな景色が楽しめるでしょう。尚、注意看板も立てられていますが、庭園のみの散策はできませんので悪しからず。

畠山記念館本館にやがて到着

石畳を進めば間もなく畠山記念館本館に到着、創立されて半世紀の歴史とレトロ感があふれています。入館したら玄関でスリッパに履き替え、脱いだ靴は鍵の付いたシューズロッカーに入れましょう。旅館フロントのような受付で見学手続きをします。

茶室のある展示室で名品を鑑賞

階段を2階に上がればそこは展示室。室内の一角には4畳半の茶室・省庵(せいあん)と庭園があり、茶道の雰囲気で美術鑑賞ができるでしょう。こちらでは展覧会が年4回開催され、展示品もその都度入れ替わっています。

尚、館内は撮影禁止なので注意。ちなみにこの写真は見学時に展示されていた、江戸時代の絵師・尾形乾山(おがたけんざん)作の色絵福寿文手鉢が描かれた絵葉書です。

抹茶の味と香りに感じる和の心

こちらでは有料で抹茶と菓子を頂くことができます。茶室はもちろん、近くの椅子に座って味わうことも可能。作品を鑑賞していれば、やがて運ばれてくる抹茶の香りに日本の文化を感じるでしょう。甘く愛らしい菓子も絶品です。

都会の喧騒を忘れさせる自然ゆたかな庭園を散策

深い緑の中に点在する茶室

畠山記念館の敷地内には全部で6ヶ所の茶室があります。木立ちの中、それぞれが石畳の露地で結ばれた庭園に、畠山一清のこだわりが感じられるでしょう。現在も茶会や花会に利用されており、茶の湯の美術館として親しまれることが頷けます。



沙那庵は畠山一清が即翁として建てた茶室

こちらは通常非公開の茶室・沙那庵(しゃなあん)で、写真は特別公開時に撮影したものです。1937年に畠山一清即翁が、自身の邸宅である般若苑(はんにゃえん)を建設する際に、現場監督として作業を見守る休憩所として建てた茶室。茅葺き屋根の草庵風になっており、特別公開時のみ中に入ることができます。

庭園で見つけた鮮やかな青色

庭園には樹齢250年~300年のクロマツやモチノキなどの大木や、それらの木立ちに囲まれた燈籠や石像などがあって、訪れる人々を楽しませてくれます。その中でもこの椅子とテーブルは、鮮やかな青色(あるいは瑠璃色)で存在感を放っていながら、庭園の深い緑に調和していました。

ここは江戸幕府より授けられた景勝地

こちらの庭園は薩摩の島津家が江戸幕府から授かり受けたもので、後に園内に広がる美しい景色を10ヶ所選び、亀岡十勝と称されました。そして1804年に大きな詩碑が建てられたのです。1880年には明治天皇がこの場において能楽を鑑賞されたことで、天皇に関わる史跡聖蹟の指定を受けています。

日本の産業を大きく発展させた師弟の像

左側はここ畠山記念館の創立者であり、荏原製作所創業者の畠山一清像。右側は機械工学者の井口在屋(いのくちありや・1856~1923)像です。2人は金沢市出身、畠山一清は東京帝国大学機械工学科で井口在屋に師事し、ともにゐのくち式機械事務所を創業しました。井口がここで開発した渦巻きポンプは、世界的な工業機械となっています。2人が見つめるのは日本の明日でしょうか。

畠山記念館の近くには寄り道スポットも充実

八芳園は都会とは思えない自然ゆたかな庭園

ここ八芳園(はっぽうえん)は畠山記念館から徒歩10分の距離。結婚式場として有名ですが、美しい緑や池を鑑賞しながら歩く回遊式庭園の見学もできます。こちらにも抹茶が頂ける茶室がある他、レストランやカフェもあるので昼食利用にいいでしょう。

Address 〒108-0071 東京都港区白金台1-1-1
Hours 施設によって別々
Closed 年中無休
Tel 03-3443-3111
Web www.happo-en.com/

東京都庭園美術館は世界的有名装飾

こちら東京都庭園美術館は畠山記念館から徒歩15分の距離。もとは日本の旧皇族である朝香宮鳩彦王(あさかのみややすひこおう)夫妻の邸宅として、1933年に建てられました。同王が1925年のパリ万国博覧会で目にし、深い関心と理解を示したアール・デコの装飾が美しく彩られています。庭園のみの見学も可能で、茶室のある日本庭園や西洋庭園に王侯貴族の気分が味わえるでしょう。

Address 〒108-0071 東京都港区白金台5-21-9
Hours 10:00-18:00(入館は17:30まで)
Closed 第2・第4水曜日(祝日の場合は開館、翌日休館)と年末年始。
Tel 03-5777-8600(ハローダイヤル)
Web www.teien-art-museum.ne.jp/

畠山記念館へのアクセス



電車での行き方

都営地下鉄浅草線の高輪台駅で下車し徒歩約5分、または都営地下鉄三田線あるいは東京メトロ南北線の白金台駅で下車し、徒歩約10分の距離です。住宅街の中で少し見つけにくいと思われるので、あらかじめルートを確認しておくといいでしょう。

タクシーでの行き方

JR五反田駅または品川駅から乗車すれば、約5分で到着の距離です。ただ交通混雑の激しい場所や、狭い住宅街を通るので多少時間がかかるかもしれません。五反田駅や品川駅は乗降客が多いため、待機しているタクシーも多いでしょう。

マイカーでの行き方

国道1号線(桜田通り)から200mほどの距離ですが、細かい道路が複雑に入り組んだ住宅街にあるため、マイカーでのアクセスはおすすめとは言えません。専用駐車場は記念館入口近くにありますがスペースは7台のみ、公共交通機関の利用をおすすめします。

Address 〒108-0071 東京都港区白金台2-20-12
Hours 10:00-17:00(4月から9月まで)、10:00-16:30(10月から3月まで)、入館は閉館30分前まで。
Closed 毎週月曜日(祝日の場合は火曜日)と年末年始、展示替え期間中。
Tel 03-3447-5787
Web www.ebara.co.jp/csr/hatakeyama/

まとめ

茶の湯を嗜んだ創立者の畠山一清は、日本の歴史に名を刻む実業家です。そんな彼が激務から解き放たれた場所が、大都会の一角にたたずむ森と庭園だったのでしょう。建物の中から外まで茶道にこだわりぬいた記念館も珍しいですね。ぜひこの森と庭園に和を味わいにきませんか。(畠山記念館は2019年3月18日から大規模改装工事のためしばらく休館)