灰ケ峰から望む夜景は宝物。街の歴史を映す展望台で愛を語ろう

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31歳1児のママ。秋田県出身。 転勤族のため全国11箇所に住んだ経験があり、特に青森県中心に書いています。東北地方の歴史・文化・民間伝承が好き。実際に住んだからこそわかる情報を盛り込んだ記事作成を心がけています。

光あふれる瀬戸内海の風景そして愛する人と見たい夜景

広島県南西部に位置し、緑の山々と青い瀬戸内海にのぞむ呉市は人口約22万人。海軍基地として栄えてきたこの街には今も海の男たちが集い、同時に全国有数の工業都市として発展してきました。その呉市を見守っているかのような山がここ灰ヶ峰。愛する人と眺める美しい夜景には、街の歩みが感じられます。

明治時代から大きく発展を遂げた呉市

天然の要塞と海の男たちが守る街

広島市内から南東へ車で約1時間の呉市は、周囲を山と海で囲まれたその地形で昔から天然の要塞と呼ばれてきました。元々は小さな漁村でしたが、明治時代に旧海軍の基地が建設されてからは一大都市に変貌を遂げ、現在は中国地方屈指の工業地帯として栄えています。現在も海上自衛隊の総監部や潜水艦桟橋などが存在しており、まさに海軍の街と言えるでしょう。

ここ呉市には海軍の街と呼ばれるにふさわしく、有名になった大和ミュージアムや、てつのくじら館など旧海軍にまつわる観光スポットが多く、多くの人々が訪れています。てつのくじら館は海上自衛隊呉資料館の愛称で、潜水艦に関しての詳しい学習ができる国内でも貴重な施設。JR呉駅から徒歩10分足らずの場所なので、ぜひ立ち寄ってみましょう。

住所|〒737-0029 広島県呉市宝町5-32
営業時間|9:00-17:00(入館は16:30まで)
定休日|毎週火曜日(祝日の場合は翌日)と12月29日から1月3日まで
電話|0823-21-6111
公式サイトはこちら

灰ヶ峰に今も残る戦時の面影と文句なしの大展望

灰ヶ峰は戦時中に呉の街を守った場所

太平洋戦争で日本が戦局不利になり本土空襲が始まると、海軍基地やドック(造船施設)のある呉市はアメリカ軍の攻撃対象とされます。その呉市を守るための高射砲施設がおかれていたのが灰ヶ峰(はいがみね)で、ここも度々空襲を受けました。現在頂上には白いドーム型をした直径6.7mの気象レーダーがあり、ゲートには当時の面影が残されています。

灰ヶ峰の目印は白亜の円型レーダー

呉市は四方を山々に囲まれていますが、頂上にある白い円型気象レーダーのお陰で、灰ヶ峰がどこにあるかはすぐにわかるでしょう。灰ヶ峰という名称は、昔から山火事が頻繁におきて木々が灰になったのが由来とのこと。その頂上へ行くには細い道路を車で行くしか方法はなく、運転にあまり自信のない方には少し手ごわいかもしれません。

灰ヶ峰から見て実感する呉市の発展

現在は廃止されましたが明治時代には路面電車が通るなど、近代都市として大きな発展を遂げてきた呉市の道路は、とても広く清潔に整備されています。灰ヶ峰からはその呉市街地の本通や中通がはっきりと望め、改めてここが全国に先駆けて、交通機関や道路網が発展した街であることを実感できるでしょう。

また、毎年夏に開催される「呉海上花火大会」には、広島県内外から多くの人々が訪れて市街地は大変な賑わいを見せますが、ここ灰ケ峰で花火鑑賞をする人も多く、美しい花火が足下に見られるという穴場スポットでもあるのです。

遠く瀬戸内海の向こうにつづく島々までも

灰ヶ峰は標高737m。呉市では野呂山(のろさん・標高839m)に次ぐ高い山で、この737という数字は呉市の郵便番号上3ケタと同じなのです。700mを超える標高であることから、呉の街並みを見下ろすように、さらに遠く瀬戸内海の島々までの景色が楽しめるでしょう。そしてここは全国を代表する夜景スポットの函館山(北海道函館市)より2倍近い標高でもあり、その分夜景が楽しみです。

呉市内で2番目に高い山から360度のパノラマを

太平洋戦争時の高射砲施設がそのまま土台となっている灰ケ峰展望台からは、360度の大パノラマを堪能しましょう。目前に広がる呉湾の反対側には、東広島市方面へつづく山々や街並みが望めます。そして紅葉の名所と言えば宮島ですが、ここ灰ヶ峰も広島県を代表する紅葉の名所と言えるでしょう。

季節や時間帯でさまざまに変化

春の桜に秋の紅葉は県内代表的スポット

灰ケ峰の中腹部にはソメイヨシノをはじめ多数の桜が植えられており、春になれば瀬戸内海のブルーをバックにした花の乱舞が繰り広げられます。この時期は登山者も多く、より近くで桜を鑑賞できるでしょう。そして秋は快晴の下、360度を覆いつくす紅葉は宮島にも負けない絶景となります。

瀬戸内海に沈む夕日に朝日も拝める展望台

灰ヶ峰展望台は南西方向に呉湾があり、夕日を望む絶景スポットとしても知られています。それは海いっぱいに反射して広がる光が、遠く瀬戸内海の島々まで浮かび上がらせるような光景でしょう。またここは朝日を望むこともでき、元日には初日の出を拝む人々も多いようです。

灰ヶ峰といえば何と言ってもこの夜景

灰ケ峰は中四国三大夜景に数えられる有名夜景スポットです。呉市中心部の街灯りや、少し目線を上げれば海上自衛隊の基地や桟橋、さらには護衛艦などの艦船や工場群の灯りまで見ることができるでしょう。黒々と広がる呉湾に、点々と浮かぶ船灯りも小さいながら力強く、港町 呉をいっそう感じさせてくれます。

呉市街地中心部はひときわ街灯りが明るく、特に本通や中通などメインストリート周辺に広がる光の筋が「くれ」と読めたカップルは、きっと結ばれるという伝説があるのです。一方で灰ケ峰は超常現象的な噂も地元やネット上で囁かれていますが、展望台周辺や道路は街灯が少なく真っ暗になるため、何はともあれ夜は充分注意して出かけましょう。でも夜景の美しさはそんな暗さを吹き飛ばしてくれるはずです。

呉市と灰ヶ峰はあの歴史的大ヒット映画の舞台

灰ヶ峰はヒロインの住んでいた場所

2016年11月に公開後その大ヒットにより公開規模を拡大し、上映期間が2年以上という異例のロングランとなったアニメ映画「この世界の片隅に」は、ここ広島県呉市が舞台です。広島市内で生まれ育った主人公すずが嫁いできたのが、呉市の灰ケ峰山麓付近という設定になっていました。この映画に登場する風景や建物が、市内のあちこちで見られます。

何度も空襲を受け多くの人々が犠牲になった呉市。ここ灰ケ峰も例外ではありませんでしたが、それでも強く生きのびた人々がいるという、呉市民にとってかけがえのない場所なのでしょう。今も車でくねくねした道路を上らなければならず、生活した先人たちの苦労がしのばれる灰ヶ峰。事前にその歴史を知れば、呉の美しい景色がより感慨深くなるはずです。

灰ケ峰へのアクセス

車での行き方

呉市中心部からアクセスするルートは複数ありますが、メインは広島呉道路(クレアライン)の呉インターチェンジから約30分の距離を、国道185号線の呉越峠方面へ北上し西畑交差点で左折後、県道174号線を進むルートでしょう。

呉市は山の斜面に住宅が密集している地域が多く、灰ケ峰への途中にも住宅が多数建っています。うっかり県道を外れると、軽自動車しか通れないような狭い道路に入ってしまうでしょう。また山麓の住宅街を過ぎると、小刻みなカーブの多い山道をずっと上ることになるので、乗り物酔いしやすい方は注意が必要です。

バスと徒歩での行き方

バスで行くこともできますが、登山者以外はおすすめできないでしょう。呉駅から広電バス焼山熊野苗代線の熊野団地・苗代下条方面行き(平原経由)に乗車し、約30分の神山峠バス停で下車しますが、ここから灰ヶ峰展望台までは徒歩で1時間30分(約6.0km)を要するため、観光向きではありません。

灰ケ峰へ登山するならば、呉駅から同バス路線で約35分の、柳迫灰ヶ峰登山口バス停で下車し頂上展望台まで約5.3kmの距離となります。登山道途中には屋根付きのベンチが点在していますが、草木の茂みや木の枝をかき分けて行く場所や、一部危険箇所もあるため健脚向きと言えるでしょう。

住所|〒737-0922 広島県呉市栃原町
営業時間|なし
定休日|なし
電話|なし
公式サイトはこちら

まとめ

海とともに発展し、そこで生きる人々とともに発展してきた呉市。それまでは小さな漁村だった土地が明治~大正~昭和~平成と栄えるその頭上で、時に人間の対立を、時に人間の生き様を見守りつづけてきた山こそ灰ヶ峰でしょう。大らかに広がる山と海と島々、そして宝石のような街灯りの風景に、呉市という街を感じてみませんか。