ポーランドの古都クラクフ。ユダヤ人の悲しい過去とオシャレな現代が交錯する場所

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トラベルパートナー: Erica

中国、アメリカ、シンガポール、オーストラリア、ニュージーランドに滞在経験のある現役大学院生inイギリスです。メジャーで人気のある場所よりも、ちょっとマニアックで個性的な場所に旅センサーが働く関西人で、日本ではなかなか学べない、修了までにヨーロッパの負の歴史を探るのが目標です。

日本ではなかなか知る機会がないポーランドの歴史と負の爪痕がそこにある

ポーランド人自身が選ぶポーランドの観光地ナンバーワンは、南部の都市クラクフ。日本の観光地でいえば京都のようなスポットです。クラクフは美しいだけでなく、かつてポーランドでもっとも多くのユダヤ人が住み、長く複雑な歴史をかかえた都市です。

ポーランド第2の都市クラクフ

ポーランド王国時代の街並みが見られる

クラクフ歴史地区にはポーランド王国時代の建築が残っており、初めての世界遺産に登録されました。クラクフの中心地は、1038~1569年の王国時代に王族が住んでいた街であり、当時の建築の一部がそのまま残っています。13世紀のモンゴルの襲撃によりいったん壊滅したクラクフですが、14世紀に国王がユダヤ人の自治都市をつくりました。

ユダヤ人街として有名なカジミェシュ(Kazimierz)地区は再開発が進んでおり、センスのある若い世代に人気があります。王国時代の建築美、魅力のあるユダヤ人街など、クラクフはポーランドが歩んだ歴史を感じさせる都市です。

最初の世界遺産、クラクフ歴史地区

旧市街を中心としたクラクフ歴史地区は、旧王宮ヴァヴェル城とともに世界遺産に登録。1978年、世界遺産の最初の12スポットのひとつに選ばれました。クラクフの旧市街には、歴史あるものを大切にし、守っていこうとするヨーロッパの考え方が表われています。

クラクフ中央広場を満喫

ショップも博物館もある織物会館

クラクフ中央広場周辺には観光スポットが集中。博物館とショップが併設された織物会館、ラッパの音で有名な聖マリア教会、ポーランド王国時代の王の居城、ヴァヴェル城を回ってみましょう。

中央広場の中心にある織物会館は、お土産選びもでき、ポーランドの美術と歴史も学べる楽しいスポット。1階のショップには、東欧らしい雑貨やポーランドの名産品などが販売されています。2階のクラクフ国立美術館ではポーランドの歴史的な美術品を鑑賞することが可能。大人気の地階の博物館では、最新テクノロジーによりクラクフの歴史を解説しています。

13世紀に造られた聖マリア教会

聖マリア教会は、中央広場の東側にある荘厳な建築物。13世紀に造られ、建て直されながらも現在に至っています。礼拝堂にはキリスト教徒の礼拝客のみ入場可能。礼拝堂の内部を見ることはできるので、絢爛豪華でありかつ品格の高い内装を鑑賞しておきたいものです。聖マリア教会の塔から1時間おきにラッパが吹き鳴らされます。これは13世紀のモンゴル軍の襲撃の際のラッパの音を再現したもの。

歴代41名の王の居城、ヴァヴェル城

ヴァヴェル城は、11世紀以来、歴代のポーランド王の居城。世界遺産にクラクフ歴史地区とともに登録されています。代が替わるごとに、ゴシック様式、ルネサンス様式が取り入れられ、増改築された城は外観だけでも見応えがあります。大聖堂、旧王宮、内装、展示物など見どころもいっぱい。

ユダヤ人の歴史と文化に触れる

ユダヤ文化の中心、カジミェシュ地区

カジミェシュ地区は、再開発が進んでいるかつてのユダヤ人街。ユダヤ文化を継承しつつも新しい店舗などが次々にオープンしています。ダビデの星とは、正三角形に逆向きの正三角形を重ねた星型の図形。六芒星とも呼ばれるユダヤ教のシンボルです。カジミェシュ地区にはアーティスティックな落書きがされた建物があったり、ダビデの星が飾られたり落書きされたりしています。

カジミェシュ地区は、クラクフ旧市街が中世の雰囲気を今に伝えているのとは違って、カラフルな建物も多く、洗練されフォトジェニックなカフェなども増えているスポット。最近人気のあるエリアですが、旧市街地と比較すると、女性が夜遅く出歩く場合にはより注意が必要です。

オールドシナゴーグでユダヤの歴史を知る

ヘブライ語で、シナゴーグはモスクまたは教会のこと。オールドシナゴーグはポーランド最古のシナゴーグとされ、見学可能な区域はユダヤ文化の博物館になっています。オールドシナゴーグでユダヤ教とユダヤ人の歴史について知識を深めることが可能。

住所| 24 Szeroka Street, 31-053 Kraków
営業時間|11月~3月 月;10:00~14:00 火~日;9:00-16:00 4月~10月 月;10:00~14:00 火~日;9:00-17:00
定休日|無休
電話|+48 12 422 09 62, 12 431 05 45
公式サイトはこちら

Arielで味わうユダヤ料理

Arielはカジミェシュ地区にあるユダヤ料理のレストラン。ソースの味が染み渡っているのにさっぱりとした味のローストビーフは、ポテトのパンケーキとの相性も抜群。料理、内装ともにArielのようにユダヤの文化を取り入れているレストランは、この地区にたくさんあります。少し値段は高めですが、英語が話せるスタッフがいる店もあり接客もていねい。ぜひカジミェシュ地区のユダヤ料理店に行ってみましょう。

住所| Szeroka 31-053 Kraków, Poland
営業時間|10:00-0:00
定休日|なし
電話|+48 12 421 79 20
公式サイトはこちら

クラクフで絶対に訪れるべき場所

旧シンドラーの工場、クラクフ歴史博物館

クラクフを訪れたら見逃したくないスポットがあります。映画「シンドラーのリスト」で知られるオスカー・シンドラーの琺瑯(ほうろう)容器の工場は、市街地からビスワ川を挟んだ反対側にあります。シンドラーは第二次大戦下、1200人のユダヤ人をナチスの虐殺から救った実在のドイツ人実業家。救い出そうとしたユダヤ人の名前をリストにしたものが、シンドラーのリストです。

工場は現在は博物館になっており、ポーランドの独立、ナチスの支配に至る経過を詳細に展示。動画でシンドラーの工場で働いていた人々のインタビューを見ることもできます。入口には本物のシンドラーのリストを掲示。見学の順路に従っていくと、徐々にシンドラーの工場についての内容が濃くなってきます。

住所| Lipowa 4, 30-702 Kraków, Poland
営業時間|11月~3月 月;10:00~14:00 火~日;10:00-18:00 4月~10月 月;10:00~16:00 火~日;10:00-20:00
定休日|毎月第1月曜日
電話| +48 12 257 10 17
公式サイトはこちら

英雄広場の椅子のオブジェ

ナチス占領時代にユダヤ人ゲットーの中心だったのが現在の英雄広場。市街地からビスワ川を渡ってすぐ、バス停トラム駅のとなりの英雄広場に、椅子のオブジェがあります。第2次世界大戦中、ゲットーのユダヤ人が移送のために選別されたり、暴行、殺害されたりした場所。移送されるユダヤ人の家財が散乱していた風景の象徴として、椅子が点在するオブジェが造られたと言われています。

中央広場のクリスマスマーケット

12月クラクフ中央広場ではクリスマスマーケットが開催されます。おいしいポーランド料理の屋台や防寒グッズの店舗も多数。クラクフの冬は最低気温がマイナス30度近くになります。極寒の地らしいデザインの手編みの帽子、ストール、靴下などが販売され、見て回るだけでも楽しいマーケットです。マーケットの隣の特設ステージではライブなども開催。

クラクフへのアクセス

電車での行き方

クラクフへは、ワルシャワ・ショパン国際空港よりもクラクフ・バリツェ空港を利用する方が便利。EU圏内の国で乗り継ぐか直行便を利用した場合は、EU圏内の税関を通過済みの扱いになり、荷物を受け取ってすぐに出口に行くことが可能です。空港に隣接した駅から電車でクラクフ中央駅まで30分程度。券売機は、現金とカードが使えるものがあります。

バス・タクシーでの行き方

クラクフ空港からはバス、タクシーでもクラクフのメインエリアに行くことが可能。事前にチケットを用意できない場合、バスは現金で支払うことになるため、現地通貨ズウォティを用意しておく必要があります。

まとめ

クラクフは、ポーランドの長い歴史を実感することができる街。世界遺産でもある旧市街はもちろんですが、再開発されつつあるカジミェシュ地区も魅力がいっぱいです。カジミェシュ地区では新しい文化とユダヤ文化が交錯し、おしゃれなカフェ、レストランなども多数。ヨーロッパの美しい街並みを歩きたい人も、世界の負の遺産についてもっと知りたい人も、クラクフをぜひ訪れてみましょう。