二尊院は百人一首発祥の山麓に建つ古寺。美しい参道を歩こう

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トラベルパートナー: mika

兵庫県姫路市出身、神奈川県横浜市在住の2児の母です。兵庫県・神奈川県とその近郊を中心に、地元目線・郷土愛を交えて、各スポットを最大限に楽しめる情報をお伝えします。ワイワイ家族旅行も、一人でまったりする旅も大好きです。

動乱に失われつつも復興した名刹で心を洗われよう

日本を代表する古都・京都市の西部には、山紫水明と呼ばれるにふさわしい山々と川の景色が広がります。嵐山や渡月橋など観光名所の多いここ嵯峨野の一角に建つ二尊院は、創建されて約1200年という古刹。自然と歴史に彩られた山麓のお寺で、京都のひとときを過ごしましょう。

二尊院が建つのは百人一首が誕生した有名な山

京都市西部の右京区嵯峨野にある二尊院(にそんいん)は、正式名称を小倉山二尊教院華臺寺(おぐらやまにそんきょういんけだいじ)と呼びます。約5万坪におよぶ広い境内には多くの貴重な文化財や寺宝が残されています。寺院が建つこの場所は、有名な小倉百人一首が誕生した地・小倉山。

小倉山は風光明媚な桂川の北にある標高296mの山で、大らかな山河が広がる嵯峨野のあざやかな緑と、美しい紅葉を演出しています。ここ二尊院も四季それぞれに樹木が彩られ、歴史古い甍と自然のいとなみを愛でる人々が絶えません。

二尊院本堂にて人々の心を落ち着ける2体の本尊

二尊院は平安時代初期の承和年間(834年から847年)に、嵯峨天皇の勅願を受けた天台宗の名僧・円仁(えんにん・慈覚大師)が創建したと伝えられます。

室町時代にかけては、応仁の乱によって堂塔伽藍が火災焼失するなど苦難が続きますが、その度に復興し、地元信徒の大切な拠点となってきました。本堂の釈迦如来立像と阿弥陀如来立像は、重要文化財に指定されています。

本堂には向かって右側に釈迦如来立像、左側に阿弥陀如来立像の本尊・二如来が寄り添うようにたたずみます。釈迦如来は極楽浄土へ旅立つ人を現世から見送る、発遣の釈迦。阿弥陀如来は旅する人を極楽浄土から迎えに来る、来迎の阿弥陀。

極楽往生を願う静かな空気とともに合掌すれば、穏やかで清らかな気持ちになれるでしょう。

総門は参拝者を華やかなたたずまいで迎える

ここからは二尊院の見どころをご紹介します。最初に見えてくるのは総門(そうもん)。豊臣秀吉が晩年を過ごした伏見城の薬医門が、1613年に豪商・角倉了以(すみのくらりょうい)によって移築・寄進されたもので、美しく気高く参拝者を迎えてくれます。

室町時代に造られた門本体には唐草模様や数珠入り三つ巴紋・桃の巴蓋瓦などの装飾が華やかに施されており、京都市指定文化財となっています。

紅葉の馬場は季節の彩りが味わえる長大な参道

サクラが終われば緑のトンネルに

総門を抜ければ目の前に広がるまっすぐな参道。二尊院といえばすぐにこの参道が連想されるほど有名な場所でしょう。約100m余にわたってサクラとモミジの樹木が交互に植えられており、まさに緑のトンネル。

春はもちろんサクラが満開に咲き誇り、夏は新緑から深緑、冬には雪の情景と四季折々の姿を見せてくれます。中でも秋は、紅葉の馬場と表現される紅葉の名所となります。

晩秋には錦織りなす紅葉のトンネルに

夏までは緑一色だった参道は、やがて秋の深まりとともに黄色・橙色・赤色と全く別の景色に変わってゆきます。それまでの緑のトンネルは、いつしか紅葉のトンネルに。朱色のサクラと真紅のモミジが交互に植えてあるからこそ、それぞれに変化のある紅葉が楽しめます。

この時期には幾度となく足を運び、参道が日々色づいてゆく過程を観賞してみるのもいいでしょう。

二尊院本堂は歴史の戦乱を乗り越えてよみがえる

釈迦如来立像と阿弥陀如来立像の二尊が納められる本堂。室町時代の約11年間にわたって続いた応仁の乱は京都の大半を焼き尽くし、二尊院はその戦火で失われながらも再建されました。六間取り方丈形式と呼ばれる間口の広さが特徴的で、こちらも京都市指定文化財となっています。

約350年ぶりに実施された平成の大改修が2016年に終了、新たな美しさと壮麗さをぜひ御覧ください。

しあわせの鐘を打ち鳴らし日常生活と人々に感謝

こちらの鐘楼は1596年から1615年の間に建立。梵鐘は1604年に鋳造されましたが、388年後の1992年に再鋳造されています。

まず鐘の前に立って自分が生かされているしあわせを祈願し、自分のまわりの生きとし生けるものに感謝を捧げ、世界人類のしあわせのために3回打ち鳴らしましょう。せわしない日常で忘れかけていた、当たり前の生活ができる幸せを思い返す事ができます。

二尊院でいただける御朱印は実にさまざまで短歌もあり

種類豊富で期間限定版も

ここ二尊院では本尊二尊・圓光大師・九頭龍弁財天の御朱印や、百人一首発祥の地らしく歌人・柿本人麻呂の短歌が記された御朱印などが用意されています。

その短歌は「あしびきの山鳥の尾のしだり尾の 長々し夜をひとりかも寝む」を「長々し世を祈るこの寺」と少し変えて世の平和を願うもの。さらには月とすすきに紅葉をあしらった季節限定版もいただけますよ。

表紙の色も多彩な御朱印帳

二尊院の御朱印帳はシンプルながら、色とりどりの表紙がほんのり鮮やかで美しく、上品な感じがします。紋様と光沢素材に織り込まれたデザインで5種類のカラー。自身にいちばんぴったりの1冊を手にとって、ここから御朱印帳集めを始めるのもいいでしょう。

御園亭は春と秋の一時期限定で利用できる茶室

本堂に近い書院の奥にある御園亭(みそのてい)は、春と秋の一時期のみに開放される茶室。後水尾天皇の第六皇女である、賀子内親王(よしこないしんのう)の御化粧之間として使用された一室が、後に二尊院へ移築されました。気品に満ちた茶室でお茶を楽しみつつ、美しい庭をゆっくりと眺められる至福この上ない場所です。

小倉あん発祥の地で味わう和風スイーツの数々

参拝の心地よい疲れに沁みわたる甘味

二尊院とその周辺は小倉百人一首とともに、小倉あん発祥の地。境内にある小倉茶店四季庵は小倉ぜんざいが楽しめる事で、スイーツ好きな方には有名です。つぶあんで仕上げられたまさに本場の小倉あん。これを使用したふっくら感いっぱいのお餅、さらに暑い夏には冷やしぜんざいに塩昆布が絶妙に味覚を調和させます。参拝の休憩を和風の甘さで癒せば、また元気回復する事でしょう。

二尊院は四季と時代の移ろいを感じる京都の名刹

二尊院は今この世に生きている幸せをかみしめ、感謝する心を想い出させてくれます。春のサクラに初夏の深まる緑とアジサイ、秋の有名な紅葉という自然と季節の移ろいが、さらにその想いを強くさせてくれるでしょう。ここ京都嵯峨野の古刹で、心静かで優しい気持ちになる時間を過ごしてみませんか。

二尊院へのアクセス

バスでのアクセス

バスを利用の場合は京都駅前バスターミナルのD3乗り場で、京都市バス228系統に乗車し約60分の嵯峨釈迦堂前バス停で下車。ここから西へ徒歩約10分で到着します。

電車でのアクセス

電車を利用の場合は京福電鉄・嵐山本線の嵐山駅で下車、またはJR山陰本線の嵯峨嵐山駅で下車し、いずれも北西方向へ徒歩約15分~20分の距離です。

車でのアクセス

名神高速道路の京都南インターチェンジから約30分(約14km)の距離。ここから国道1号線や府道201号線、さらには桂川沿いに北西方向へ国道171号線や府道29号線を経由します。ただし京都市街地は交通混雑が発生する上、境内の無料駐車場も収容可能台数は約10台のみなので、公共交通機関の利用をおすすめします。

住所|〒616-8425 京都府京都市右京区嵯峨二尊院門前長神町27
営業時間|9:00-16:30
定休日|なし
電話|075-861-0687
公式サイトはこちら

まとめ

二尊院には、耳を澄ませて時を忘れる、という言葉があります。心静かに落ち着けば風の音に鳥のさえずり、街中を行き交う車両の音、そして自身の息遣い、やがて自身の心の声がきこえてくるかもしれません。今私は何を考え何のために生きるのか、何度も炎の中に消えながら復興した二尊院で感じてみませんか。