海龍王寺は奈良の隠れた名刹。平城宮ゆかりの寺で悠久の歴史を体感

公開日:2019/3/26 更新日:2019/12/26

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静岡県出身、歴史好きが高じて奈良県に移住しました。奈良県の記事をメインで書いています。旅行は家族で出かけることが多いです。神社仏閣の紹介が得意です。散歩や食べ歩きが趣味で、カメラを片手に日々新たな撮影スポットやおいしいお店を探しています。
海外旅行や海外留学するならここで安全祈願しときや!

奈良県には世界遺産も数多く、有名なお寺がたくさんあります。観光客も多いので、常ににぎやかな印象も。市街地から少し離れたところに、素朴さがあり、静かに過ごせるお寺、海龍王寺があります。この寺は、海外旅行や留学の安全というご利益のあるお寺。春には真っ白な雪柳が咲くことでも有名です。静かな時が流れる中で、散策を楽しみましょう。

海外渡航の安全祈願にご利益がある海龍王寺

海龍王寺は光明皇后が創建したお寺であり、平城京の隅に位置する事から別名、隅寺と呼ばれる事も。初代住職の玄昉は、奈良時代に遣唐使として無事渡航し、帰国した人物。そのため海外旅行や留学の安全祈願のご利益があるとされています。

奈良市街地にある大きな神社仏閣とは異なり静かな雰囲気でゆったりとした時が過ごせます。参道や築地塀などが奈良らしいと人気。素朴な雰囲気で愛されるお寺です。

海龍王寺の歴史

飛鳥時代からこの場所には毘沙門天を祀った寺院がありましたが、平城京ができて、光明皇后が新たに堂舎を建立し伽藍を整備し、731年創建し今のかたちとなりました。皇后が都内に建立したことからも分かるように、いわゆる格式高いお寺なので、歴代住職も高僧がついたそうです。真言律宗の筆頭格寺院とし、鎌倉時代に最も栄えました。

応仁の乱と同時期にあった慶長地震により大打撃を受けましたが、江戸時代になると幕府の庇護を受けて復興。明治の廃仏毀釈で荒廃する事になりますが、それ以降は整備され、修復が続けられています。

聖武天皇から賜った寺号

734年、唐から帰国の途中に東シナ海で暴風雨に遭いましたが、玄昉が乗っていた船のみが種子島に漂着し、翌735年に無事帰京ができます。暴風雨の中で、玄昉は一審に海龍王経を唱える事で、九死に一生を得たというエピソードが。玄昉は海龍王寺で、海龍王経を用い遣唐使の渡航安全祈願をしたので、聖武天皇より海龍王寺という寺号を賜った事が名前の由来です。

海龍王寺の見どころ

ひっそりと出迎えてくれる山門(表門)

室町時代に建立された門であり、奈良市指定文化財です。中央の丸い本柱の前後は、合計4本の柱が設けられています。この四脚門という様式が特徴の門。屋根の垂木の先が反り増しているというような中世らしい建築様式が色濃く、門横で出迎えてくれる素朴な印象の築地塀が、海龍王寺らしさを演出しているかのようです。

奈良らしい参道と築地塀

表門をくぐると、中門までは一直線の参道が。ここは、風情があり、いかにも奈良らしいと多くの人々に愛されています。参道の両脇にあるのは、木々と泥土を固めて作ったとされる築地塀。参道にはさまざまな木樹が植えられ、春になると海龍王寺名物の雪柳も咲きます。木々のおかげでうっそうとした陰影となり、美しい参道となっています。

奈良時代に建てられた西金堂

五重小塔は創建当初から現在まで変わる事なく、西金堂内に安置されています。五重小塔は外からのみ撮影可能。塔はお堂正面にあるので撮影しやすいです。天平時代前期の塔の建築様式を今に伝える、唯一現存する貴重な塔で国宝。

4.01メートルの工芸品のような小塔ではありますが、数十メートルある一般的な五重塔と同じく精密な造りです。光明皇后の住居内という限られた敷地の中で大伽藍を再現するには、大塔ではなく室内に置く事ができる小塔を造ったのではと考えられています。

寺内で一番大きい建造物である本堂

本堂は海龍王寺の中では一番大きなお堂です。元々中金堂があった場所に建てられているそう。1665年頃の江戸時代に建立された建物ですが、整然とした堂内の柱の位置をはじめ、屋根の造りなど奈良時代の建築様式を踏まえて造られていて趣があります。奈良市指定文化財。

堂内では文殊菩薩像などのさまざまな仏像が安置され、公開されています。縁側に腰かけ境内を眺め、奈良時代からの歴史ロマンをゆったりと感じるのもよさそうですね。



秘仏のご本尊、十一面観音菩薩立像

十一面観音菩薩立像は、海龍王寺のご本尊です。光明皇后自ら刻んだとされる十一面観音菩薩立像を元として鎌倉時代に慶派の仏師が造立したものであり、国の重要文化財です。秘仏で毎年春と秋のみ本堂で特別公開。長い間未公開の完全に秘仏だったため、状態がよく彩色などがきれいに残っています。

金泥が施されており、精巧な造り。さまざまな装飾具も箕に付けています。衣の彩色には切金文様が美しく、像そのもののプロポーションも素晴らしいです。

大和一の雪柳

春になると、小さな白い花をたくさんつける雪柳が境内のいたるところで咲き乱れます。春に桜が咲くお寺は多くありますが、真っ白な雪柳が咲くお寺は少ないため新鮮。大和一の雪柳と称されるほどの美しい雪柳です。

雪柳の前には五色椿と袖隠しという名の大輪の椿、白梅が咲きます。これらの花々と雪柳、そして桜の競演は見事です。

気になる御朱印について

御朱印は中門入ってすぐにある拝観受付場所でいただけます。いただける御朱印の種類は3種類ありますが、指定がない場合は観音様の慈悲のお力、という意味の、妙智力の御朱印となります。オリジナル御朱印帳の販売は残念ながらありません。

イケてる住職さんに会いに行こう

海龍王寺の住職は石川重元氏です。神社仏閣を愛してやまない漫画家のみうらじゅんさんに、イケ住、つまりイケてる住職と称されるエネルギーがあり面白い住職として有名です。

インスタグラムでは美しい海龍王寺の写真や動画、さまざまな情報の発信を精力的にされているので、是非チェックしてみてくださいね。境内のかわいい鳥たちもよくアップされています。

世界遺産の平城宮跡もあわせて立ち寄りたい

平城京は710年に遷都があり、かつて国の中心だった場所。現在は平城宮跡として整備されており、発掘や建物復原工事が続いています。海龍王寺は平城宮の鬼門である東北を護るために、都の東北の隅である現在の場所に造られたという話もあります。

見どころは復元された大極殿と朱雀門。2018年に新たにオープンしている朱雀門ひろばは注目スポットで、飲食店や土産店、さらに見学施設なども併設されています。

Address 〒630-8577 奈良市佐紀町
Hours なし
Closed なし
Tel 0742-36-8780
Web https://www.heijo-park.go.jp/

海龍王寺へのアクセス

電車でのアクセス

電車の場合、近鉄新大宮駅が最寄り駅です。新大宮駅から徒歩で行く事ができます。

バスでのアクセス

JR奈良駅または近鉄奈良駅からは大和西大寺・航空自衛隊前行きに乗車します。法華寺前にて下車し、徒歩すぐです。近鉄大和西大寺駅からはJR奈良駅行きに乗車、法華寺前下車徒歩すぐです。

車でのアクセス

大阪方面からの場合は、第二阪奈道路宝来ICで降り、東へ進みます。奈良警察署前を左折し、北へ進むと到着。京都方面からの場合は、京奈和自動車道木津ICを降り、国道24号線を南に進みます。法華寺東を右折し、西に進むと到着です。駐車場は10台あり(バスは事前連絡)、拝観者は無料。

Address 〒630-8001 奈良市法華寺北町897
Hours AM9:00~PM4:30
Closed 毎年8月12~17日、12月24~31日(寺行事のため)
Tel 0742-33-5765
Web http://www.kairyuouji.jp/

まとめ

海外旅行や留学の安全のご利益がある海龍王寺。遣唐使として唐へ渡っていた玄昉が、九死に一生を得て帰国した事に由来します。奈良らしい素朴な雰囲気があり静かでゆったりとしている事から、多くの人に愛され続けています。また、世界遺産である平城宮跡にも近い事から、こちらにも立ち寄ってみてはいかがでしょうか。