品木ダムは草津温泉の下流で河川の中和処理を行う唯一無二のダム

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トラベルパートナー: Yoshino

出身地は富山県。在住経験のある北陸・北関東の記事がメインです。読書が趣味なので、好きな作家に縁のある土地や小説の舞台となった場所を旅しています。

エメラルドグリーン色のダム湖上州湯の湖は必見だんべ

群馬県の草津温泉の下流にある品木ダム。硫黄の混じった強酸性の川の水を中和するという、世界で唯一の目的を持ったとても珍しいダムです。

品木ダムは上州湯の湖と呼ばれる人工湖を持ち、硫黄の混じった川の水とアルカリ性の石灰が混じった湖は、なんともいえないエメラルドグリーン色を湛えていて必見です。

ダムの目的の特殊性から、放流口やダム湖のほかに、他のダムにはない中和工場や水質管理所などの関連施設を有している品木ダム。ダムへのアクセス方法や関連の施設の詳細などについて、紹介していきたいと思います。

河川の中性化を最大の目的とするダム

群馬県には利根川水系のダムがいくつもありますが、中でも吾妻郡にある品木ダムは変わり種のダム。治水・利水・水力発電ではなく、酸性の河川の中和を目的として1965年に竣工しました。

品木ダムは、渋川・伊香保ICから草津温泉へ向かう途中にあり、くねくねと曲がる山道が続く国道292号を通っていきます。

ダム湖と水質管理所は車で10分程の距離

ダム湖とダムカードを配布している水質管理所は離れた位置にあります。ダム湖がある場所が吾妻郡中之条町で、水質管理所があるのが吾妻郡草津町です。

ダム湖のすぐそばにはダム管理所があり、車が数台停車できるスペースがあるので、こちらに停車してダムを眺めている人もちらほら。

人工のダム湖 上州湯の湖

草津温泉から流れ出る湯川、草津白根山から流れ出る谷沢川・大沢川は硫黄を多量に含む強酸性の川で、以前は魚も棲めない死の川と言われていました。

川の水質改善のために品木ダムが造られ、美しいエメラルドグリーン色の人工のダム湖「上州湯の湖」は観光スポットとなっています。

エメラルドグリーン色の湖

ダム湖の面積は12ヘクタールで、エメラルドグリーン色を湛えた湖水は、草津温泉の色にも似ています。新緑・紅葉の季節が観光のベストシーズンです。

橋の途中にあるクレストゲート

ダム管理所の前の道から続く橋の中ほどに、品木ダムのクレストゲートがあります。このあたりを通るのはダムを見に来る人くらいなのでしょうか、車通りも少ないです。橋の上から見るダム湖の景色も美しい。

クレストゲート直下の様子

クレストゲート直下の様子。ゲートの道流壁が、強い酸により赤く錆びついているのが見えます。ダム湖全体を眺めた時とは水の色が違い、バスクリンのような濃い深緑色に見えます。

クレストゲートから下を覗き見ることはできますが、ゲートの下流からはゲートの全体を眺めることができません。

重量式コンクリートダム

品木ダムは、堤高43.5m、堤長高106mの一般的な重力式コンクリートダム。ダムの目的の特殊性のせいか、水の中和の処理のしくみについていくつか看板が建っていました。

河川の中和のしくみ

「品木ダムは、湖水を貯めるダムではありません!」という文字が印象的な看板。ダムの上流にある中和センターで、河川に石灰を投入して強酸性の水を中和。

草津温泉街から流れ出る湯川は草津中和センターで、谷沢川と大沢川は香草中和センターでそれぞれ石灰が投入されて、その水が品木ダムのダム湖に流れ込こみ更に中和が進められます。

ダムの上流にある湯川

ダム湖から西の方へ少し車を走らせると、ダムの上流を流れる湯川が見えて来ました。草津の温泉街から流れ出してくる湯川はpH2.0の強酸性ですが、石灰を投入されてこの地点ではすでに中和処理が済んでいます。

湯川の砂防堰堤

先ほどの湯川の水が勢いよく流れ落ちている、湯川の砂防堰堤。水に含まれる硫黄のせいか、堰堤のコンクリートが黄色く変色していました。

湯川の貯砂ダムとも呼ばれ、ダム湖へ流れ込む直前のこの地点で河川に含まれる砂や堆積物が取り除かれます。そのため、貯砂ダムの上部には堆積した多量の砂が。

品木ダム右岸からの景色

ダム管理所から少し東へ車を走らせて、右岸から見たダム湖の様子。12ヘクタールの大きさのダム湖ですが、湖の周りを車が走らせることができる範囲は結構短い。

このダム湖の水が、下流の吾妻川に流れ込み農業用水として利用されています。河川の中和のため毎日大量の石灰が投入されるので、ダム湖の底には酸と石灰反応してできた堆積物が沈殿していくため、それを取り除く作業も時々実施。

右岸にある発電所の取水口

ダム湖の右岸には発電所の取水口が。河川の中和を最大の目的とする品木ダムですが、せっかく水があるのだからとその副産物として水力発電も行われています。中和化された水が白砂川右岸の発電所へ送られて、水力発電に利用される仕組みです。

ダムカードは水質管理所で入手可能

品木ダムのダムカードが貰えるのは、ダム湖から離れた場所にある水質管理所。配布日時は、平日のAM8:30-PM5:15。

土日祝日・年末年始は配布していないのでご注意を。水質管理所では、草津中和工場のガイド付き見学ツアーも行われています。

中和工場の石灰投入口

草津温泉から流れ出す湯川に、石灰の混ざった水を注いでいる投入口。群馬県甘楽郡南牧村の山の中から持ってきた石灰石が、中和処理に利用されています。24時間休むことなく稼働。

国道292号沿いの道の駅六合

伊香保インターチェンジから品木ダムへ向かう途中にある、道の駅六合(くに)。六合と書いて「くに」と呼ばせます。

ここら辺の特産の花豆などの新鮮な野菜を販売する物産観光センター、お食事処、日帰り湯を備えた施設。国道292号沿いにあって、入りやすく駐車しやすいのでドライブの休憩におすすめです。

住所|〒377-1704 吾妻郡中之条町大字小雨字遠北22
営業時間|六合観光物産センター、お休み処「くに」:AM9:00-PM6:00、食事処「六合の郷しらすな」:AM9:00-PM5:00、応徳温泉・くつろぎの湯:AM10:00-PM8:00(7・8月はPM9:00まで)
定休日|食事処「六合の郷しらすな」:無休、六合観光物産センター:年始、お休み処「くに」:毎週木曜日、応徳温泉・くつろぎの湯:毎週火曜日
電話|0279-95-3342
公式サイトはこちら

品木ダムへのアクセス

自動車を利用する場合

東京方面からは、関越自動車道渋川伊香保ICで降りてから、県道35号、国道145号・292号を経由して約1時間30分。関西方面からは、上信越自動車道上田ICで降りてから、国道144号・292号を経由して約1時間10分。

品木ダムの水質管理所と、ダムである上州湯の湖は自動車で10分程離れた位置にあります。ダムの水質管理所へ行く場合は「群馬県吾妻郡草津町草津604-1」、上州湯の湖へ行く場合は「 群馬県吾妻郡中之条町入山3494」をそれぞれカーナビの住所検索に入力。

電車を利用する場合

最寄り駅はJR高崎・上越・吾妻線草津長野原口駅。駅からはJRバスに乗り換えて約25分で、終点の草津温泉バスターミナルに到着。バスターミナルから品木ダム水質管理所までは徒歩で約20分です。

住所|〒377-1711 群馬県吾妻郡草津町大字草津604-1
営業時間|随時
定休日|なし
電話|0279-88-5677(品木ダム水質管理所)
公式サイトはこちら

まとめ

硫黄の混じった河川の中和化を目的として作られた、唯一無二の品木ダム。魚も棲めない死の川と呼ばれ、鉄も溶かすような強酸性の水は下流の吾妻川や利根川のそばに住む人々の生活に深刻な影響を与えていましたが、1965年に竣工した品木ダムのお陰でクニマスなどの魚も棲めるようになり、死の川ではなくなりました。

強酸性の川そのものにアルカリ性の石灰を投入して中性化しようという発想は、なかなか世界でも類を見ないものです。水質管理所の近くの草津中和工場の石灰投入口では、片時も休まずに石灰水が投入され、品木ダムの果たす重要な役割を肌で感じられます。

水質管理所では、草津中和工場のガイド付き見学ツアーも開催。中和実験や工場見学などができる1時間弱のツアーで、ダムの目的・重要性を広く知ってもらおうという思いを感じます。見学ツアーは平日のみで土日祝日などは開催されていないのですが、ユニークな品木ダムについてもっと知りたいという方にはおすすめです。