稲荷山古墳は人気映画のロケ地。国宝が出土した墳頂からの眺めも良好

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トラベルパートナー: Yoshino

出身地は富山県。在住経験のある北陸・北関東の記事がメインです。読書が趣味なので、好きな作家に縁のある土地や小説の舞台となった場所を旅しています。

9基の古墳が鎮座するのどかな雰囲気の古墳公園の一角にあります

埼玉県行田市にある稲荷山古墳は、国宝の金錯銘鉄剣が出土したことでも有名な歴史的価値の高い前方後円墳です。稲荷山古墳がある一帯には、ほかにも日本最大級の大きさを誇る丸墓山古墳や将軍山古墳などの9基の巨大な古墳があり、埼玉古墳群と呼ばれて国の特別史跡にも指定されています。

埼玉古墳群の一帯は、さきたま古墳公園として整備されており、古墳の出土品を展示する博物館やレストハウスなども設置。歴史的価値の高い古墳群や公園内の見どころ、アクセスについて詳しく紹介していきます。

城下町行田にある古墳群

野村萬斎主演の「のぼうの城」で有名な忍城城下の埼玉県行田市には、埼玉古墳群と呼ばれる9つの巨大な古墳があります。

国宝の金錯銘鉄剣(きんさくめいてっけん)が出土した稲荷山古墳などを有する埼玉古墳群は、国の特別史跡にも指定されており、その歴史的価値から世界遺産への登録をも視野に入れている人気の観光スポットです。

さきたま古墳公園の一角にある

埼玉古墳群のある一帯は、さきたま古墳公園として整備されています。約30ヘクタールの公園の敷地内には、前方後円墳八基・円墳1基の合計九つもの古墳が鎮座。

ほかにも古墳から出土した宝物を展示したさきたま史跡の博物館、江戸時代の民家を移築した遠藤家、はにわ作りが体験できるはにわの館、レストハウスなどがある広々とした公園です。

古墳道路に面した公園の大型駐車場を利用

駐車場は県道73号(古墳道路)に面した、普通車が303台駐車できる公園の広い駐車場が利用可能。

第一駐車場は普通車、第二駐車場は大型車用で、平日でも学校の遠足のバスや観光バスも多数停車しています。私が訪問した時には、中国からの団体の観光客やテレビ局の取材も訪れていました。

春には桜が美しい公園

四季を通じて様々な様子が見られる古墳公園。春は桜・梅・スイセン、夏はナツツバキ・花菖蒲、秋は紅葉・コスモス、そして冬に雪が降れば雪化粧をした古墳の様子を楽しめます。

古墳の周りにもソメイヨシノが植えられており、ピンク色で飾られた古墳の様子もきれいです。

国宝が出土した稲荷山古墳

古墳群の一つの稲荷山古墳は、5世紀後半につくられた前方後円墳です。墳丘の全長は120mで、埼玉古墳群の中でも丸墓山古墳に次いで2番目の大きさ。古墳に設置された階段から、古墳の頂上へ上ることもできます。

前墳の頂上から見た景色

稲荷山古墳は、丸墓山古墳と将軍山古墳の中間に位置しており、高さ約12mの墳頂からは両方の古墳の全体像が把握可能。

写真の将軍山古墳は6世紀後半につくられた、全長約90mの前方後円墳です。古墳の周囲には、のどかな田園風景が広がっています。

前墳と後墳をつなぐ通路

稲荷山古墳は前方後円墳なので前円墳と後円墳を有し、どちらの墳頂にも上ることが可能。古墳の階段を上り下りしてウォーキングをしている地元の方もちらほら。歴史ある古墳が、行田市民の生活の一部に溶け込んでいるのが見て取れます。

後円墳から出土した礫槨

稲荷山古墳の発掘調査により、後円墳からは二基の埋葬施設が出土。ひとつは礫槨(れきかく)と呼ばれ、ここから金錯銘鉄剣や馬具などが見つかりました。

これらの副葬品から、稲荷山古墳が5世紀ごろにつくられた古墳であることが判明。5~7世紀につくられたとされる埼玉古墳群の中でも、最初期につくられた古墳です。

もうひとつの埋葬施設粘土槨

後円墳から出土したもうひとつの埋葬施設粘土槨(ねんどかく)。こちらは残念ながら盗掘にあっていましたが、発掘調査では馬具や鉄刀の断片が見つかっています。

芝生広場から見た稲荷山古墳

公園内の広々とした芝生広場からは、稲荷山古墳の様子が良く見えます。5月の芝生広場にはクローバーが咲いており、青空と芝生にはさまれた古墳はとてものどかな雰囲気でした。

日本最大規模の丸墓山古墳

古墳の南側にある石田堤

稲荷山古墳の横にある丸墓山古墳は、直径105mの日本最大規模の円墳。かつては、忍城攻略の命を受けた石田三成が丸墓山古墳の頂上に陣を張っていたことでも有名です。

忍城の水攻めのために石田堤とよばれる28kmの長い堤が築かれましたが、現在でも丸墓山古墳の南側の道沿いにその名残が残っています。

丸墓山古墳から見た忍城

稲荷山古墳と同様に丸墓山古墳にも階段が設置されており、墳頂へ上ることも可能。高さ約19mの丸墓山古墳の墳頂からは、東側に稲荷山古墳・将軍山古墳、西側に忍城を眺めることができます。民家の屋根の奥に、木々に囲まれて建っているお城が忍城です。

金錯銘鉄剣を展示するさきたま史跡の博物館

稲荷山古墳・丸墓山古墳から駐車場の方へ戻り、県73道号をはさんだ向かい側にはさきたま史跡の博物館があります。一見こじんまりとした博物館ですが、古墳から見つかった国宝を見ることが出来、入館料もリーズナブルでおすすめです。

国宝の金錯銘鉄剣

さきたま史跡の博物館一の見どころの、稲荷山古墳から見つかった金錯銘鉄剣(きんさくめいてっけん)。鉄剣の表面と裏面に合計で115文字が刻まれ、ワカタケル大王に仕えたヲワケという人物の功績などがわかります。古代国家の成り立ちを示す重要な遺物として、1983年に国宝に指定されました。

移築された遠藤家

博物館の近くにある、江戸時代の民家を移築した遠藤家。家の内部に上がることはできませんが、縁側に腰かけて休憩することはOK。縁側に座って公園を眺めていると、ほっと和みます。

稲荷山古墳へのアクセス

自動車を利用する場合

関越自動車道東松山ICからは約40分。東北自動車道羽生ICからは約20分。首都圏中央連絡自動車道桶川加納ICからは約40分。駐車場は、さきたま古墳公園の無料駐車場を利用できます。

電車を利用する場合

JR吹上駅北口からは4.4㎞で、タクシーで約15分。JR行田駅東口から5.1㎞。行田駅からは、さきたま古墳公園行きのバスが出ています。市内循環バス「観光拠点循環コース」に15分乗車し、停留所「埼玉古墳公園前」で下車して徒歩約2分。

秩父鉄道行田市駅南口からは2.7km。駅からさきたま古墳公園までは、タクシーで約10分、市内循環バスで約20分、徒歩で約30分です。

住所|〒361-0025 埼玉県行田市埼玉4834
営業時間|随時
定休日|なし
電話|048-559-1111(埼玉県さきたま史跡の博物館)
公式サイトはこちら

まとめ

忍城の城下町行田市にある、九つの巨大な古墳が集まった埼玉古墳群。その中でも稲荷山古墳は、国宝にも指定された金錯銘鉄剣が出土した価値の高い古墳です。

かつては墳頂部に稲荷社が祀られていたことでその名前がついた稲荷山古墳ですが、水田地帯の中にあったことから「田山」とも呼ばれていました。現在も古墳のまわりには水田が広がっており、初夏には水を張って鏡のように反射した田んぼで田植えをする様子も見られます。

古墳が出土した一帯はさきたま古墳公園として緑豊かに整備されて、四季を通じて咲く花々が古墳を彩ります。特に桜の季節には、丸墓山古墳の墳頂や石田堤に植えられたソメイヨシノが開花し、とても美しいです。

現在は埼玉古墳群は国の特別史跡に指定されていますが、さらにその上の世界遺産への登録を目指しています。将来もしかしたら世界遺産に登録されてしまう前に、是非一度訪れてみてはいかがでしょうか。