油日神社は山静かなる甲賀の里を見守り続けて

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トラベルパートナー: Takeshi

出身地は京都。得意なエリアは関西近郊です。 日本全国様々な町を野に咲く花のように風に吹かれながら旅をしています。 そんな旅先で出会った人達とのふれあいや素晴らしい風景を写真で皆様にお届けしたいと思っています。 グルメ好きで特におむすびが好きなので、地元グルメも紹介したいと思っています。よろしくお願いします。

癒しのパワースポットでござる

滋賀県南部に位置する甲賀市は人口約9万人。東西南に三重県と京都府が境を接し、日本の歴史を物語るに欠かせない地です。緑も豊かなその街はずれに、古式ゆかしく佇む油日神社。忍者たちが駆けめぐった山裾に、人々は心から崇敬を抱きます。

油日神社は甲賀の武士が力を団結させた場所

甲賀の人々を見守る心の拠り所

油日神社(あぶらひじんじゃ)は用明天皇もしくは天武天皇の代(飛鳥時代)創建と伝えられています。御祭神である油日大神(あぶらひのおおかみ)が、東南側にある現在の油日岳(標高693m)頂上に御降臨。その際「油の火のような大光明を放った」事が名称の由来です。

戦国時代には「郡中惣(ぐんちゅうそう)」として、武士たちが集合する中枢拠点となりました。また神社に関わりの深い聖徳太子を軍神とするなど、古くより人々から崇められたのです。まさに「甲賀の総社」にふさわしい役割を果たしてきたのでしょう。境内には当時を物語る多くの史跡や重要文化財が見られ、甲賀郡中惣遺跡群として国の史跡指定を受けています。

参拝前には龍の水でお清めを

それでは油日神社に参拝します。まずは鳥居前で一礼し、手水舎の冷水で心身をお清め。柄杓に汲んだ水で左手を清め右手も同様、再び右手に持ち替えて左手に水を受け口をすすぎます。最後に柄杓の柄を清め、元の位置へ戻しましょう。手水口は龍が模られており、ゆっくりと水が流れています。

表参道が賑わう例祭と5年に1度の大祭

ここからは木立ちに囲まれた表参道へ入ります。春は桜が咲き誇り普段は静かな佇まいですが、5月1日の例祭となれば別でしょう。とりわけ5年に1度行われる奴振(やっこふり)は、貴族や武士・姫君などに扮した人々が参道を彩ります。勇ましく華やかな大名行列風の祭りは、滋賀県選択無形民俗文化財に指定されているのです。

神社にある全国でも貴重な梵鐘

一般的には寺院で見られる梵鐘、大晦日には除夜の鐘が打ち鳴らされます。しかしこちらは珍しい神社の梵鐘。戦国時代~江戸時代の御家人で、豊臣秀吉や徳川秀忠など天下人に仕えた山岡景以(やまおかかげもち)が1620年に寄贈しました。

製造を手掛けたのは近江国栗太郡辻村(現在の滋賀県栗東市)を拠点とする太田家。江戸時代に幕府御用の重職を務め、全国各地で活躍した鋳物師の名門です。明治時代の廃仏毀釈も免れた貴重な鐘は、甲賀市有形文化財に指定されています。

油日神社楼門はドラマや映画の舞台に

油日神社の楼門は、左右に伸びる廻廊と共に国指定重要文化財です。こちらはドラマや映画のロケ地としても有名。2017年~2018年放送のNHK連続テレビ小説「わろてんか」では、ヒロイン役の葵わかなさん・夫役の松坂桃李さんが出会うシーンが撮影されました。また同じく松坂桃李さん主演の最新作映画「居眠り磐音」のロケも行われています。

拝殿に御神火を迎える一大祭事

いよいよ油日神社拝殿と本殿の前に到着、共に檜皮葺の国指定重要文化財です。ここ油日神社は油日岳を奥宮、平地を里宮とする配置関係。毎年9月11日には油日岳奥宮にて神火を焚く「岳ごもり」を行い、翌12日にこちら里宮に神火を持ち帰ります。

そして13日に神火は拝殿へ移され、約1,000枚の皿に点火。消えないよう御守りする「大宮ごもり」が行われるのです。それぞれ地区別に人々が座り、御神酒を頂きながら行う年に1度の祭事。普段は本殿での参拝となる油日神社ですが、この3日間は拝殿が重要な役割を果たします。

油日神社本殿と御神木のコウヤマキ

こちら本殿には主祭神・油日大神がお祀りされています。油日大神は勝軍神として崇敬されており、武士たちの活動拠点だった事も頷けるでしょう。柱が4本の三間社流造(さんげんしゃながれづくり)と檜皮葺が映える屋根。また御神木のコウヤマキは樹齢750年以上を誇り、こちらも国の重要文化財指定を受けています。

油日神社の神馬像と光り輝く神紋

境内に見られる神馬像には、神社の神紋「木瓜に二つ引」が輝きます。神紋とはその神社固有の紋章や印章、また神馬とは神様が騎乗する高貴な馬のこと。本来は白馬なのですが、油日神社では像として崇められています。しかし5年に1度行われる「奴振」では白馬が登場し、それは神々しい光景に違いありません。

楼門に奉納されている食用油一斗缶

御祭神の油日大神は「油の火の神」としても信仰を集めています。そのためここ油日神社には全国の油業者が参拝し、数々の一斗缶を奉納してゆくのです。写真の場所は楼門を通って振り返った左側、さまざまな食用油に昔なつかしさを感じるでしょう。

歴史民俗資料館が神社境内に

こちらは神社境内に建つ甲賀市立歴史民俗資料館、古文書や甲冑など歴史の里にふさわしい展示物が揃います。とりわけ県文化財に指定される田作福太夫神の面にずずい子面が有名、どちらも桜宮聖出雲という人物の作品です。ずずい子は随筆家・白洲正子の著書「かくれ里」に登場し、裸の男性人形がその有名さを物語るでしょう。同資料館は有料、見学には事前の予約が必要です。

御守りに御朱印にロケ情報も

表参道の南側に建つ社務所では、御守りに御札・御朱印が授けられます。また事前予約制で御祈祷に御祓いの受付も可能。そして油日神社はドラマや映画の有名ロケ地とあって、何とその撮影作品や日時に関する情報も教えて頂けますよ。

油日神社の御朱印は宮司さん直筆

油日神社の御朱印は直筆で頂けるタイプ。参拝後に頂くのが作法ですが宮司さんが少人数対応のため、手続き中に参拝することができます。また日時によっては宮司さんの業務により、社務所が閉鎖されている場合も。必ず事前に確認しておきましょう。

油日神社周辺の有名グルメスポットへ行こう

宇奈月は京都から来たラーメン名店

ここは油日神社から東へ約3km、車で約5分弱の距離。元々は京都で展開していた有名ラーメン店が、ここ甲賀市に移転してきたのです。京都での想い出が深いあまり、遠路はるばる足を運ぶファンも多いとか。豚骨醤油味ラーメンが好評ですが、サイドメニューの巻き寿司がこれまた絶品でしょう。県道沿いにぽつんと建ち平日のみ営業、しかし連日行列が絶えることはありません。

住所|〒520-3426 滋賀県甲賀市甲賀町田堵野339
営業時間|【昼間】11:30-14:00【夜間】17:00-21:30 (土曜日は昼間のみ営業)
定休日|日曜日と祝日
電話|0748-88-2451
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松茸屋魚松本店は近江牛すき焼きが美味

油日神社から北へ約2.5km、車で約10分の距離にある名店。地元特産の近江牛と松茸のすき焼きが、季節を問わず頂ける「名物あばれ食い」が好評です。ほとんどの人が食べ放題コースを注文するほど有名ですが、時間制なので来店するならば事前に要確認。また季節に合わせた舟盛刺身御膳や天ぷら御膳、寒ブリと松茸の鍋なども味わえるでしょう。

住所|〒520-3411 滋賀県甲賀市甲賀町神2376
営業時間|9:00-19:00
定休日|不定休
電話|0748-88-2206
公式サイトはこちら

油日神社へのアクセス

徒歩での行き方

JR草津線・油日駅から徒歩約30分の距離。県道135号線を南東へ進むと、左に油日神社一の鳥居があります。鳥居を通り同道を北東へ進んで油日交差点、ここから県道131号線を東方向へ行けば到着するでしょう。ただし草津線は単線で本数が少ないため時刻表は必ずチェックしてください。また油日駅にはレンタサイクルがあるので便利です。

車での行き方

名阪国道を利用の場合、上柘植インターチェンジから約15分の距離。県道4号線を北へ進み、油日交差点で右折し県道131号線へ入ります。新名神高速道路を利用の場合、甲賀土山インターチェンジから約20分の距離。県道24号線~539号線~130号線~131号線を西南方向へ進みます。

または甲南インターチェンジから約20分の距離。ここから県道337号線~134号線~135号線と進み、油日駅付近から131号線へ入れば到着するでしょう。約10台可能な無料駐車場あり。ただし祭事開催日は混雑するため、公共交通機関やレンタサイクルの利用がおすすめです。

住所|〒520-3413 滋賀県甲賀市甲賀町油日1042
営業時間|8:30-17:00
定休日|なし
電話|0748-88-2106
公式サイトはこちら

まとめ


古き飛鳥時代の創建と伝わる油日神社。境内に鐘があり、回廊が囲む神社も全国には数少ないでしょう。しかしふんだんな木の香りと、人々からの崇敬は神社も寺院も同じ。厳粛さに華やかさもまじえて神様をお祀りする、山静かな油日神社へ足を運んでみませんか。