1000年の歴史をもつメルク修道院の魅力とは

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トラベルパートナー: Chika

神戸出身。出張で行くドイツ、フランス、イギリスなどを中心に執筆します。もっぱら一人旅ばかりで、主に美術館や教会など古い建物を巡るのが大好きです。

オーストリアの渓谷に聳える歴史ある修道院をご紹介

オーストリア北部のヴァッハウ渓谷に位置するメルク修道院は、11世紀から続く伝統ある修道院です。バロック様式の傑作といわれるその建物や、素晴らしい内装など、見応えたっぷりです。この記事では、メルク修道院の魅力や周辺の美しい町並みなどについてご紹介していきます。

メルク修道院ってどんなところ

世界遺産のヴァッハウ渓谷

ヴァッハウ渓谷は、オーストリア北部に位置するドナウ川下流域に広がる渓谷地帯です。川の両側に豊かな丘陵地帯が続いており、ぶどう畑が広がっています。そんな中に点在している古い町並みや古城も魅力的な景色となっており、2000年にはヴァッハウ渓谷の文化的景観として世界遺産に登録されました。

11世紀から続く修道院

メルク修道院は、1089年にオーストリア辺境伯レオポルト2世により設立されたベネディクト会修道院です。現存するバロック式建築の修道院は、1702年から1736年にかけてヤコブ・プランタウアーの設計によって建設されました。今は観光地化されはいますが、現役の修道院でもあるため見学の際は配慮を忘れないようにしましょう。

薔薇の名前の主人公も暮らしていた

メルク修道院は、1986年に公開されたショーン・コネリー主演の映画である「薔薇の名前」とゆかりが深い場所です。ショーン・コネリーが演じた、ウィリアムの弟子として登場するメルクのアドソ。彼はこの修道院出身という設定です。ウンベルト・エーコの原作小説の中では、すでに老年となったアドソがメルク修道院にて当時の事を回想しながら手記を書いています。アドソがここにいたのか、など考えながら歩くと大変ワクワクできます。

改築を重ねた建築をじっくり楽しもう

ドイツ語圏バロック建築の傑作

16世紀、17世紀になると、オスマン帝国の侵略や三十年戦争により修道院の建物は荒廃してしまいました。そのため、現在残っている建物の大部分は、18世紀に入り建設されたものです。オーストリア人のプランタウアーにより設計されました。建設事業は約30年にもおよんだといいます。内装を担当したのは、ヨーハン・ロットマイヤーやパウル・トロガーというオーストリアを代表する画家の面々でした。

付属聖堂は高揚感あふれる内装に注目

修道院付属聖堂は修道院の中で最も重要な場所なため、内装もとりわけ豪華です。内装の指揮はイタリアの芸術家、アントニオ・ベドゥッツィにより執られました。壮大で思わず息を呑むほどの祭壇と天井画ですが、日本人の筆者にとっては、少々圧力が強い印象でした。

ヴァッハウ渓谷の眺めは爽快

華麗すぎるほどのバロック建築にクラクラしてしまったら、一歩外に出てみましょう。そこにはドナウ川が作り出すヴァッハウ渓谷の穏やかな眺めが広がっています。その景色に癒やされる事間違いなしです。自然と人工物が見事に対比しているのも、この修道院の魅力のひとつといえるでしょう。

世界有数の修道院附属図書館は必見

10万冊の蔵書を誇る附属図書館へ

メルク修道院を世界的に有名にしたといわれているのが、こちらの附属図書館です。1089年から存在しており、代々修道僧の手で一字一字写された写本など、合わせて10万冊の蔵書を誇ります。ただ、この修道院にある蔵書の中で有名だった1455年のグーテンベルク聖書の初版は、資金難の際に売却されてしまったそうです。

一部の写本は展示ケースで見る事ができる

他の図書館の多くでは、写本は研究者にしか公開されていません。しかし、こちらでは一部を展示ケースにて公開しています。展示ケースごしとはいえ、本物の写本を古くから続く図書館にて見学できるのは貴重な機会です。中世から伝統的に続くヨーロッパの写本芸術の素晴らしさを、ぜひ体感していってください。

グルメなメルクを楽しもう

アンズ製品がメルクの定番

メルク修道院のお土産といえば、アンズ製品が有名です。定番のアンズジャムのほか、アンズのリキュールなどもあります。リキュールは甘酸っぱい味で飲みやすいお酒でした。メルク修道院の周辺は、ぶどうと並びアンズの栽培も盛んにおこなわれてきました。修道院の土地で取れたアンズは、どことなくご利益を感じます。

修道院なのにワインが

日本人の感覚からしてみるとなんとなく意外なのですが、ヨーロッパの修道院ではお酒を作っている事が多々あります。ヴァッハウ渓谷はぶどうの栽培が盛んなため、修道院で所有している土地でもワイン用のぶどうを栽培しています。ドイツ語圏の多くのワイン同様、メルク修道院のワインも白ワインです。こちらも、ご利益が期待できるかもしれません。

レストランやカフェで休憩も

修道院内には2か所の食事スペースがあります。ひとつは別棟に入っているレストランで、もうひとつは庭園内にあるカフェです。レストランでは、オーストリアの伝統料理を楽しむ事ができます。こちらはウィーン市内にも店舗を出しているお店です。庭園内にあるカフェは、南国風のエキゾチックな壁画が素敵なお店で、個人的にはこちらの方がおすすめです。

音楽の国オーストリアを体感

メルク修道院では、定期的にコンサートが開かれています。この時は修道院の夜の姿を知れるチャンスです。民族衣装をまとった演奏家による演奏や、巨大パイプオルガンの見学がセットとなったコンサートなど、さまざまな趣向を凝らした催しとなっています。また、ミサに出席してオルガンの音色を聴いていくのも素敵です。信徒の方に配慮して後方の席にて見学しましょう。

メルクの旧市街も忘れず散策しよう

小さな町なのでサクッと散策できる

メルク修道院は高台にあり、その麓がメルクの町です。教区教会を中心に小さくまとまっている印象を受けます。ここにもアンズ製品が並んでいるので、修道院で買いそびれた人はぜひお求めください。お土産以外にパフェやアイスなど、テイクアウトメニューも楽しめます。町にはかわいい色の家が立ち並んでおり、フォトジェニックな景色が広がります。観光客が多いためか、フレンドリーな土地柄でした。

ヴァッハウ渓谷クルーズの拠点にも

メルクの町は、ドナウ川クルーズの拠点というもうひとつの顔を持っています。日本の渓谷とは違い、緩やかで流れも穏やかなヴァッハウ渓谷のクルーズは、その心地よさに癒やされること間違いなしです。クルーズでは古城やメルクのような小さなかわいらしい町が次々と登場してくるので、ぜひ体験していってください。

メルク修道院へのアクセス

電車での行き方

ウィーン西駅からメルク駅まで鉄道で約1時間半ほどです。メルク駅にて下車後、メルク修道院までは町中を経由し、徒歩約10分となります。

住所|〒A 3390 Abt-Berthold-Dietmayr-Strasse 1, Melk
営業時間|4-10月:9:00-17:30、11-3月:11:00と14:00のガイドツアーのみ
定休日|無休
電話|0043(0)2752-555-0
公式サイトはこちら

まとめ

オーストリアにあるメルク修道院は、世界有数の蔵書を誇る図書館や、絢爛豪華な修道院付属聖堂など、見ごたえたっぷりの修道院です。ヴァッハウ渓谷の美しい景色と共に楽しめる場所となっています。この辺りはまた、ドナウ川クルーズの拠点でもあるので、歴史探訪と合わせて体験するのもおすすめです。