「爆買い」「大騒ぎ」…中国人のマナーの悪さを指摘する前に知っておきたいこと

「爆買いする中国人は、マナーが・・・」、こうした声は少なくありません。ですが、それは中国の方々の問題ではなく、私たちの見方の問題なのかもしれません。過去を振り返り、旅行者のあるべき姿を考えるときが来ています。

裕福になりすぎた中国人観光客

「中国人と言えば、爆買い」というキーワードがすぐに浮かぶほど、私たちの中国人観光客に対してのイメージは、豊かで、贅沢、豪快な人たちといったものが定着してきました。
シャネルやグッチ、ルイ・ヴィトンといった高級ブランドも中国人観光客の囲い込戦略に躍起ですし、なんと中国では年間180万円以上の買い物を海外でしてはいけないという「爆買い禁止令」法案が提出されるほどの事態だと言います

裕福なイメージが強い中国観光客たちですが、23の国と地域で実施されたアンケートでは、「意識が低い」「大騒ぎする」など、あまり良くないイメージが世界的に広がっていることも事実のようです。

かつての「非常識観光客」は、日本人だった

私たちは、現在目の前にいる中国観光客のマナーを、文化の違い、人種の違いとして片付けがちですが、必ずしも他人事ではなさそうです。
わずか30年前、日本人観光客も海外の諸外国から、同じようなイメージを持たれていたことを、私たちは忘れてしまっているのかもしれません。

日本が高度経済成長期の真っ只中だった1980年頃、海外のメディアは、先進国を訪れては高級ブランド品を買いあさる日本人に対して、「海外名所の非常識日本人」「日本人の国際意識に赤信号」「行儀悪い日本人観光客が急増」などといった見出しを並べ、はやし立てたそうです

「醜い」「見苦しい」と言われた、アメリカ人観光客

実はこうしたことは、アメリカ人に対してもあったもので、第二次世界大戦後、世界でのアメリカの地位が確実なものになり、経済的にも豊かになるにつれ、裕福になったアメリカ人たちは世界中へ旅行し、大量の買い物をしたり、訪問先で大声で騒ぐようなことが指摘されるようになりました。

当時、アメリカ人観光客は、「Ugly American(見苦しいアメリカ人)」と呼ばれ、そのマナーの低さが世界的に問題視されていました。

「爆買い」は、誰もがする本能?

中国、日本、アメリカのいずれもが、かつての貧しい状況を乗り越えて、爆発的な成長を遂げた経緯があります。
庶民の懐が、急激に豊かになり、金銭感覚が麻痺するほどのお金を手に入れると、今まで溜まった我慢を一気に吐き出すかのように、気分は高揚し、お金を使い込んでしまう。
こうした行為は、人種によるものではなく、人間が元々持つ本能なのかもしません。

時代は変わり、現代のアメリカでは、今までの贅沢な生活はやめ、本当に必要なものだけを持ち、大切なものだけに時間を使い、シンプルに生きるという「Less is More(少ないことは、多くを得ること)」「Minimalist(ミニマリスト:最小限主義)」といったライフスタイル広がってきているそうです。

「贅沢旅行か、節約旅行か」、の前に

贅沢から節約へと、時代によって人の考え方や行いは変わってくるもので、これは旅行の楽しみ方についても同じです。
思う存分ショッピングを楽しみ、友人と賑やかにそのときを過ごすこともひとつですし、ヒッチハイクプランや、節約旅行を計画することも旅行者の自由です。

ですが、いずれの場合でも、訪れた先のルールを知り、その土地のマナーを守ることが、日本人を含む全ての旅行者に必要であることは言うまでもありません。

また、観光客を迎える側、訪問国の立場にたってみれば、その観光客を出身国や、人種、爆買いしていないかどうかっといった偏った目で見るのではなく、彼らの行動を、時代が生んだギャップとして受け止める器量が必要なのかもしれません。

「爆買いする中国人は嫌いだ」という一言で目を背けるのではなく、過去の自分に接するように、その土地での振る舞い方を教えてあげようという気持ちも、私たちにも必要なのではないでしょうか。

旅行者に必要なものは、「文化を尊重する姿勢」

人は誰もが、旅行する側でもあり、旅行者を迎える側でもあります。
どこにいても自分のライフスタイルを貫くのではなく、自分が旅行したときには現地のルールに従い、迎えるときには日本での過ごし方を教えてあげるように、行く場所・来る場所の文化を尊重する姿勢が、気持ちのよい旅行をもたらしてくれるはずです。