【歴史】999人の修道士が暮らした、ポルトガル最大級の修道院「アルコバッサの修道院」

wondertripでは世界の絶景を紹介していますが、歴史地区や古代都市などの絶景スポットは、その歴史を少しでも知ることでより観光が楽しめます。今にも残る世界遺産のストーリーは、知識欲も刺激されますね。本日は「アルコバッサの修道院」をご紹介します。

アルコバッサの修道院ってこんなところ

アルコバッサの修道院ってこんなところ

アルコバッサ修道院の住所・アクセスや営業時間など

名称 アルコバッサ修道院
住所 2460-018 Alcobaça
営業時間・開場時間 現地時間9:00-19:00
利用料金や入場料 6ユーロ
参考サイト http://www.mosteiroalcobaca.pt/pt/index.php
最新情報は必ずリンク先をご確認ください。

ポルトガル最大のゴシック建築

ポルトガル最大のゴシック建築
アルコバッサの修道院は、ポルトガルの首都リスボンから北へ約120kmにある小さな町アルコバッサの中心部にあります。
正式名称を王立サンタ・マリア・デ・アルコバッサ修道院といい、ポルトガル最古のゴシック様式の教会と、それをめぐる中世の建築物が良い状態で保存されており、ポルトガル文学に詠われている王家の悲恋の物語の舞台として有名です。
1178年に、ポルトガル初代の王アフォンソ1世の願いで教会が建てられて以来、ポルトガル王家の保護のもと現在までその荘厳な姿を見せています。
見所はゴシック彫刻の傑作ペドロ1世とその王妃イネスの棺や1000人もいた修道士をまかなうための巨大な厨房、階段上の5連のアーチが美しい説教段など数々あります。
また、アズレージョと呼ばれる装飾タイルで描かれた修道院の歴史も見応えがあります。

ポルトガル独立のためのささげもの

ポルトガル独立のためのささげもの
12世紀当時、ポルトガルはカスティーリャ王国からの独立を宣言したばかりで、カトリック教会のローマ教皇が独立を認めていませんでした。
中世ヨーロッパでは宗教の権威が強く、独立を裏付けるためにローマ教皇のお墨付きが必要でした。

そこでアフォンソ1世は、占領したばかりで戦争のために荒れ果てていたアルコバッサの地を、カトリックの修道会で農耕開拓に長けていたシトー会に寄進し、独立を認めてもらおうとしました。

領土の定着の意味も込めて、1178年に修道院の建設に着手します。
建設当初は木造だったそうですが、13世紀に入りようやくシトー会の修道士がやって来て、1252年に石造の修道院が完成します。
獲得した領地をなんとしても守り抜こうとする王家の必死さが伝わってくるようですね。

叶わぬ恋が結ばれる地

叶わぬ恋が結ばれる地
アルコバッサの修道院は、14世紀に起きた王家の悲恋の物語でも有名です。

ポルトガル王アフォンソ4世は、王子ペドロの妻としてカスティーリャ王国から王族の娘コンスタンサを迎えます。

しかしペドロは、コンスタンサの侍女イネスと愛し合うようになってしまいます。
見かねた王はイネスを殺害し、二人の恋は引き裂かれてしまいました。

ペドロは後に王になったあとイネスを王妃として家臣たちに認めさせ、その後は王妃をとらなかったそうです。
修道院内には足の裏を合わせるようにペドロとイネスの棺が安置されています。

最後の審判のあと、生き返って起き上がったときにお互いの顔がすぐに見られるようにとの願いが込められています。

999人の修道士

999人の修道士
ポルトガルの領土が増えるにつれ修道士が多く集まるようになり、修道院の規模もだんだんと大きくなっていきます。
アルコバッサの修道院には、一番多いときで999人もの修道士が暮らしていたそうです。
見所の一つである食堂は18世紀に改築されているものの、牛7頭が一度に焼けるグリルがあったそうです。

16世紀ごろにはポルトガルでもっとも蔵書の多い図書館も作られ、大航海時代の影響で様々な食材も流通するようになると、質素を旨とするシトー会の精神は忘れ去られ内装には華やかなマヌエル様式が施され、宴会が催されるようになります。

現在のファサードもこの時期に建てられたものですが、こちらも華麗なバロック建築となっており建築当初のゴシック様式の質素な趣とはだいぶ印象が違います。
その時代ごとの修道院の方針が表現されていてとても興味深いですね。

王家の衰退とともに

王家の衰退とともに
ペストの流行などで一時的に勢いは衰えますが、19世紀初頭までアルコバッサ修道院を中心としたシトー会の活動は続きます。

その活動が衰えたのは1810年のことでした。
半島戦争と呼ばれる戦争が始まり、フランスからナポレオン軍が攻めてきます。
ポルトガル王家はすでにブラジルに逃げてしまっており、なすがままとなっていた修道院を略奪、破壊していったのです。

1821年には時の政府が修道会の禁止命令を出し、長く続いたアルコバッサのシトー会も解散させられ修道院は放棄されてしまいます。
20世紀になり、文化財保護の観点から放棄されていたアルコバッサ修道院も修復を受けます。
その甲斐もあって、1985年に世界遺産リストに登録されました。

増築を重ねた巨大な建築物のあちこちから、歴史の大きなうねりが感じられますね。

壮大な歴史を感じて旅をしよう

いかがでしたか。
ただ息を呑む絶景に心焦がすだけではなく、その背景にある歴史を簡単にでも理解することで、世界遺産巡りはより楽しくなります。
「アルコバッサの修道院」への渡航をぜひご検討ください。
photo by iStock
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