中南米の歴史の要衝地。パナマのカリブ海沿岸の要塞群、ポルトベロとサン・ロレンソ

wondertripでは世界の絶景を紹介していますが、歴史地区や古代都市などの絶景スポットは、その歴史を少しでも知ることでより観光が楽しめます。今にも残る世界遺産のストーリーは、知識欲も刺激されますね。本日は「パナマのカリブ海沿岸の要塞群:ポルトベロとサン・ロレンソ」をご紹介します。

パナマのカリブ海沿岸の要塞群ってこんなところ

Fortifications on the Caribbean Side of Panama: Portobelo-San Lorenzoの住所・アクセスや営業時間など

名称 Fortifications on the Caribbean Side of Panama: Portobelo-San Lorenzo
住所 Province of Colon – Distric of Cristobal Panama
営業時間・開場時間 24時間
利用料金や入場料 無料
参考サイト http://whc.unesco.org/en/list/135/
最新情報は必ずリンク先をご確認ください。

ポルトベロとサン・ロレンソ

ポルトベロとサン・ロレンソ
パナマ中部のカリブ海沿岸にあるポルトベロは、首都パナマシティーから車で約1時間半の場所にある港町です。
ここにあるスペイン植民地時代の5つの要塞跡とサン・ロレンソ要塞の遺構が、当時スペインが築いた軍事施設の高いレベルを現代に残しているとして、世界遺産に登録されています。
16世紀の大航海時代になると、南米にはスペイン人がやってきて植民地を建設しました。
「美しい港」という意味を持つポルトベロは、スペインが征服したペルーやボリビアからの金銀財宝の積出し港として大いに栄えたのです。
しかしそれは同時に海賊から狙われることとなり、スペイン人たちは襲撃に備えて強固な要塞を造ることにしたのでした。

ポルトベロに造られた5つの要塞

ポルトベロに造られた5つの要塞
海賊の襲撃を前に、スペイン人は自衛を余儀なくされました。
そこで、17世紀前半に湾の入口にサン・フェリペ・トド・フィエロ要塞とサンティアゴ・デ・ラ・グロリア要塞、湾内にサン・クリストバル要塞とサン・フェルナンド要塞、加えて街自体にサン・ヘロニモ要塞を建設し、ポルトベロを要塞の街に改造したのです。
しかし、5つの要塞をもってしても街を完全に守りきることはできませんでした。
同じくパナマの世界遺産にしてかつて栄えた都市パナマ・ビエホを壊滅させたイギリス人ヘンリー・モーガンによって、ポルトベロは襲われてしまいます。
そしてイギリス艦隊のエドワード・ヴァーノンの攻撃によっても被害を受けました。

サン・ロレンソ要塞

サン・ロレンソ要塞
ポルトベロから南西に60㎞行った所にカリブ海に注ぐチャグレス川があり、その河口付近の丘の上に造られたのがサン・ロレンソ要塞です。
1597年、スペイン黄金期の王フェリペ2世の命により、フランシスコ・バルベルデ・イ・メルカドが建設しました。

こちらは大きな損壊などなく、良好な状態で保存されています。
砲台や大砲、砦、跳ね橋などがそのまま残されているのが特徴です。
大西洋を向き、海賊の襲来に備えてずらりと並べられた大砲は壮観です。
ここが無人なのが不思議な感じがしますよ。

1821年のパナマ独立後、スペインはこの要塞を放棄しました。
その後は監獄、第二次世界大戦時のアメリカ軍のミサイル発射台設置場所でした。

国家公認の海賊:ヘンリー・モーガン

ポルトベロやパナマ・ビエホなどの港町を略奪したイギリスの海賊ヘンリー・モーガンは、スペイン人からは悪魔のように恐れられた男でした。
15歳で西インド諸島のバルバドス島に渡ると、そこから彼の海賊稼業がスタートします。
ジャマイカやキューバに遠征しては略奪行為を働き、その次に彼が標的としたのがポルトベロだったのです。

ご紹介の通り、ポルトベロには5つの要塞があり、当時は難攻不落と思われていました。
しかしモーガンはそこをたった460人で陥落させたのです。

驚いたことに、彼はイギリス本国から敵国の船への略奪を認められた「私掠免許」を持っていました。
いわば国家公認で海賊稼業をしていたわけです。

地元住民が崇拝する黒いキリスト

ポルトベロの街にあるサン・フェリペ教会には、黒い肌のキリスト像があります。
これは中南米の幾つかの地域にのみ伝説があるようです。

なぜキリストの肌が黒いかについては諸説ありますが、そのひとつはここが黒人奴隷の売買拠点であったことに関係がありそうだと言われています。
ポルトベロの住民の肌の色はパナマシティーの人々のものよりも濃く、アフリカから売られた黒人奴隷の血を引いていることがわかるのです。

毎年10月には祭りが行われ、人々の中には未舗装の道を裸足で這うように歩いたりと苦行を行う人もおり、救急車が出動するほどです。
しかし、黒いキリストはずっと人々の信仰の対象であり続けているのですね。

壮大な歴史を感じて旅をしよう

いかがでしたか。
ただ息を呑む絶景に心焦がすだけではなく、その背景にある歴史を簡単にでも理解することで、世界遺産巡りはより楽しくなります。
「パナマのカリブ海沿岸の要塞群」への渡航をぜひご検討ください。
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