エジプトにある世界の聖地、聖カトリーナ修道院地域

wondertripでは世界の絶景を紹介していますが、歴史地区や古代都市などの絶景スポットは、その歴史を少しでも知ることでより観光が楽しめます。今にも残る世界遺産のストーリーは、知識欲も刺激されますね。本日はエジプトの「聖カトリーナ修道院地域」をご紹介します。

エジプトの「聖カトリーナ修道院地域」ってこんなところ

聖カタリナ修道院の住所・アクセスや営業時間など

名称 聖カタリナ修道院
住所 South Sinai Governorate
営業時間・開場時間 月曜から木曜9:00-11:45 金曜10:00-11:00 土曜9:00-11:45
利用料金や入場料 無料
参考サイト https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%81%96%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%83%AA%E3%83%8A%E4%BF%AE%E9%81%93%E9%99%A2
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3つの宗教の聖地

聖カトリーナ修道院地域は、エジプト共和国のシナイ半島南部に位置するシナイ山のふもとの峡谷の出口に開かれた、周囲を防壁で囲った修道院の建築物の総称です。
エジプトの首都カイロからは直線で約320kmの距離にあります。

聖カトリーナ修道院はキリスト教の一派である正教会の修道院としては最古のもので、現在も修道院としての機能を果たしています。
バシリカ式の主聖堂が中心に置かれ、設立当時から残る貴重な絵画やキリスト教の出来事にちなんだ聖像であるイコンが所蔵されています。

また、この地は預言者モーゼとイスラム教の開祖ムハンマドにゆかりがあることからキリスト教、ユダヤ教、イスラム教それぞれの重要な聖地とされていて、世界中から各宗教の巡礼者や観光客が訪れます。

燃える柴があった場所

この地になぜキリスト教の修道院が開かれたのか、簡単にみていきましょう。

「旧約聖書」出エジプト記第3章によると、預言者モーゼは羊を連れてシナイ山に登っていたところ、燃えているのになくならない柴木を見つけました。
不思議に思って近寄って行ったところ、その中から神が現れユダヤの民を導くよう預言を受けたということです。

このシナイ山のふもとの「燃える柴」があったとされる場所に、ローマ帝国皇帝コンスタンティヌス大帝の母ヘレナにより4世紀前半に燃える柴教会が建てられます。

その後、6世紀半ばまでに東ローマ帝国皇帝ユスティニアヌス1世により燃える柴教会を囲むように設立されたのが聖カトリーナ修道院の起源です。
外壁の古い花崗岩の色が悠久の歴史を感じさせます。

「聖カトリーナ」の謎

聖カトリーナ修道院は正式名称を「救世主の顕栄修道院」といいますが、修道院の名前になぜ聖カトリーナがつけられているのでしょう。
聖カトリーナはエジプトのアレクサンドリア出身のキリスト教の聖人で、正教会では特に重要視される聖人の一人です。
彼女はアレクサンドリアの知事の娘でしたが、キリスト教の洗礼を受けたのち、ローマ帝国皇帝にキリスト教への改宗を勧めたため、西暦305年斬首されてしまいます。
伝説では、死後に天使がカトリーナの遺体をシナイ山頂まで運び、西暦800年頃に修道士が遺骸を発見し葬ったといわれています。
そこで修道院と聖カトリーナが結び付けられて「聖カトリーナ修道院」という通称になっています。
主聖堂には聖カトリーナの遺骸を納めたといわれる棺が安置されています。

イスラム勢力に保護され修道活動が続く

東ローマ帝国が衰退した後、エジプトはイスラム勢力の領土となります。
イスラム教の創始者ムハンマドは、イスラム教でも重要な預言者であるモーゼにちなんだ修道院を、盟約書を書いて特別に保護します。
ムハンマド自身も政治的亡命を強いられた際に聖カトリーヌ修道院に身を寄せたといわれています。
修道院側でも恩返しのため修道院内にモスクを建て、イスラムとの共存を図りました。
このため、偶像崇拝を禁止するイスラム勢力からもイコンなどの人物像は黙認され、現在に至ります。
20世紀にいたるまで、修道院の入り口は外壁の高い部分にある扉だけだったことから、保護されていたとはいえ厳重な防御態勢だったことがうかがえますね。

11世紀から13世紀にかけて行われたヨーロッパのキリスト教徒による十字軍の際には、多数のキリスト教徒が戦争の合間にこの山深い伝説的な修道院を訪れていることがわかっています。

貴重な史料の宝庫としても有名

聖カトリーナ修道院の運営はほぼ寄進によってまかなわれています。
他のキリスト教の国やイスラム世界でも、聖カトリーヌ修道院に土地や建物など不動産を寄進し、そこから出た収益を修道院運営に回すという方法がとられています。
広く世界中から信仰を集めていたことがわかりますね。

また、聖カトリーナ修道院は4世紀の聖書写本「シナイ文書」をはじめとする、ギリシア語やアラビア語、コプト語など様々な言語で書かれた貴重な史料の宝庫としても知られていて、古文書の数はバチカン図書館に次ぐ規模となっています。

現役では世界最古となる修道院として、また建築物としても中世初期のデザインをとどめていること、各宗教の聖地としての価値などが評価されて、2002年に世界遺産リストに登録されています。

壮大な歴史を感じて旅をしよう

いかがでしたか。
ただ息を呑む絶景に心焦がすだけではなく、その背景にある歴史を簡単にでも理解することで、世界遺産巡りはより楽しくなります。
エジプトの「聖カトリーナ修道院地域」への渡航をぜひご検討ください。
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