ローマ時代の段階でこんな大規模な治水事業が出来てたなんて…世界遺産ポン・デュ・ガール(ローマの水道橋)に感動

wondertripでは世界の絶景を紹介していますが、歴史地区や古代都市などの絶景スポットは、その歴史を少しでも知ることでより観光が楽しめます。今にも残る世界遺産のストーリーは、知識欲も刺激されますね。本日はフランス「ポン・デュ・ガール(ローマの水道橋)」をご紹介します。

ポン・デュ・ガール(ローマの水道橋)ってこんなところ

ポン・デュ・ガールの住所・アクセスや営業時間など

名称 ポン・デュ・ガール
住所 400 Route du Pont du Gard, 30210 Vers-Pont-du-Gard, フランス
営業時間・開場時間 6月、9月:9:00-19:00,7月、8月:9:00-20:00,3-5月、10月:9:00-18:00,11-2月:9:00~17:00
利用料金や入場料 徒歩、自転車:1人10ユーロ、車の場合は5人まで:1台18ユーロ
参考サイト http://www.pontdugard.fr/fr
最新情報は必ずリンク先をご確認ください。

ポン・デュ・ガールとは?

美しい自然と温暖な気候、美味しいワインの産地で知られる南フランス・プロヴァンス地方のガール県、ガルドン川にかかる水道橋が、ポン・デュ・ガールです。
「ガール川に架かる橋」という意味ですが、これはガルドン川がかつてガール川と呼ばれていたためです。

三層アーチのこの橋は、高さが約48.77m、長さ275mと、下から見上げると想像以上の大きさに驚きます。
しかしこれは水路のほんの一部に過ぎず、本来はもっと長大な水道橋がこの地にかけられていたのでした。

そんなことをいったい誰がやってのけたのかというと…当時、ヨーロッパと地中海沿岸を支配した一大勢力・古代ローマの人々だったのです。

ポン・デュ・ガールの成り立ち

ローマ人は植民地にローマ都市を建設していきましたが、この地にはネマウスス(後のニーム)が造られました。

しかし人口増加に伴い水不足が起こり、これを解消するために50㎞離れたユゼスの水源から水を引いてくることにしたのです。

ローマ皇帝アウグストゥスの腹心・アグリッパは当時ネマウススを含むこのガリアの地を統治していました。
ポン・デュ・ガールの建設は彼の命によって行われたのですが、それが紀元前19年頃、なんと今から約2000年も前のことだったのですから驚きです。

工事は5年とも14年ともいう短期間で終わり、水不足は解消されました。
そして完成から600年以上、現役の水道橋として機能したのです。

古代ローマと水

ローマ人は帝国内の大都市には必ず水道を造りました。
都のローマには11もの水道が整備されています。

ローマ人にとって水は富の象徴であり、浴場や噴水をたくさん作りました。
そして、水を管理することのできる水道建築は最も偉大な仕事だったのです。

水道橋に限らず、破壊と毒の混入を避けるために地下水道を造ったり不純物を取り除く沈殿槽を作ったりと、ローマ人の技術は紀元前の時代にすでに相当な水準に達していたことがわかります。

そうしたローマ人の治水事業の中で建設されたポン・デュ・ガールも、精巧に造られた橋が効率よく大量の水を運べるように設計されていました。
このような水道橋はヨーロッパ各地に残っています。

ポン・デュ・ガールの構造

ローマ人の技術を結集して建設されたポン・デュ・ガールですが、巨大なだけではありません。

3層のアーチ構造は、ガルドン川の渓谷を渡るために考え出されました。
均等な大きさの石を組み上げてできており、石の大きさは下から上に行くにつれて小さくなっています。
こうすることで橋の強度を保ったのですね。
下層のアーチの石はひとつ6トンもあるそうです。

水源ユゼスとネマウススの街の高低差はわずか12mだったため、1㎞で34㎝と勾配を絶妙に調整し、1日に2万?もの水を供給できるように計算されています。
当時は組み上げポンプなどありませんでした。
ローマ人の技術と知力、恐るべしとしか言いようがありません。

後世の人々の評価と今

18世紀の大哲学者ジャン=ジャック・ルソーは、ポン・デュ・ガールの偉大さを称賛しています。
現に、ポン・デュ・ガールは長い時間を経ても壊れずに保たれていた唯一の三層橋であり、古代ローマの技術のすごさを現在まで伝えています。
この素晴らしい建築を目にしようと、多くの人々がこの地を訪れます。
ライトアップが行われたり、敷地内には2000年前の南仏の風景を再現したハイキングコースがあったりと、新たなポン・デュ・ガールを目にすることもできるのです。

夏場には橋をバックにガルドン川で水遊びをすることもできます。
水道橋として機能しなくなっても、そこにあるだけでこの橋はローマの威厳を伝え続けているのです。

壮大な歴史を感じて旅をしよう

いかがでしたか。
ただ息を呑む絶景に心焦がすだけではなく、その背景にある歴史を簡単にでも理解することで、世界遺産巡りはより楽しくなります。
「ポン・デュ・ガール(ローマの水道橋)」への渡航をぜひご検討ください。
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