インドの前身、ムガル帝国の栄子衰退を見守った「古都アグラ」

wondertripでは世界の絶景を紹介していますが、歴史地区や古代都市などの絶景スポットは、その歴史を少しでも知ることでより観光が楽しめます。今にも残る世界遺産のストーリーは、知識欲も刺激されますね。本日はインドの「アグラ城塞をやさしく解説!」をご紹介します。

アグラ城塞ってこんなところ

アグラ城塞ってこんなところ

アーグラ城塞(Agra Fort)の住所・アクセスや営業時間など

名称 アーグラ城塞(Agra Fort)
住所 Rakabganj, Agra, Uttar Pradesh
営業時間・開場時間 日の出~日没
利用料金や入場料 Rs 250+Rs 50 (ADA) ビデオ持ち込み料 Rs 25 入り口の荷物預り 無料 オーディオガイド (英語) Rs 118
参考サイト http://www.tajmahal.gov.in/
最新情報は必ずリンク先をご確認ください。

ムガル帝国の古都アグラ

ムガル帝国の古都アグラ
インド北部、ガンジス川支流のヤムナー川沿いの街アグラは、16~19世紀後半まで続いたイスラム王朝ムガル帝国の初期の都でした。

そこに3代皇帝アクバルが城を建設し、4代・5代皇帝が増築を加え城塞都市となります。

皇帝権力の象徴である赤い砂岩でできた城は、「赤い城」の異称を持っています。
川向うにあるタージ・マハルもまた世界遺産に登録されており、近距離に2つの世界遺産が向かい合っている形となっています。

しかし6代アウラングゼーブ帝以降は首都がデリーに戻り、帝国の衰退と共にアグラ城塞は対抗勢力などの略奪と占拠に遭いました。
短い間輝いた古都アグラですが、その美しさと歴史は今も語り継がれています。

皇帝たちの歴史とアグラ城

皇帝たちの歴史とアグラ城
3代皇帝アクバルはヒンドゥー教徒との融和を図り、自らもヒンドゥー教徒の妃を迎えました。
ムガル帝国の最盛期を築いた皇帝として、彼はインドで最も人気のある皇帝です。

彼の息子4代ジャハーンギール、5代シャー・ジャハーンによる城塞増築によって、アグラ城はペルシアとヒンドゥー教の様式が混じったものとなりました。
ただ、シャー・ジャハーンは息子の6代アウラングゼーブ帝によって城の一画の塔「ムサンマン・ブルジ」に幽閉されてしまいました。
終生ここから出られなかった彼は、最愛の妃ムムタズ・マハルの墓タージ・マハルを対岸に眺めながら晩年を過ごすことになったのです。
実の息子によって幽閉されるという悲しい最後でした。

アグラ城塞の特徴

アグラ城塞の特徴
アグラ城塞の中でもアクバル帝時代から残っているのがジャハーンギール宮殿です。
アクバルの融和政策を反映した、ペルシア+ヒンドゥーの様式が見られる宮殿です。
城塞の外観から「赤い城」と呼ばれるアグラ城塞ですが、内部に入ると白い大理石の宮殿も見られます。
これはシャー・ジャハーンの好みがかなり反映されたもので、謁見の場や真珠のモスク、皇帝の神殿などは白大理石に象嵌細工を施した、繊細で優美な内装です。
こうした内装は、タージ・マハルに共通します。

アグラ城塞にあるのは城だけではありませんでした。
バザール(市場)やモスクが設けられており、城と言うよりは都市としての機能をすべて備えていたのです。

大帝アクバルの憂い

大帝アクバルの憂い
アラビア語で「偉大」を意味するアクバル帝は、先述の通りインドで人気のある皇帝です。
戦争に強かったのはもちろんですが、彼が多くの宗教に寛容な態度を取ったことも評価を高める要因でした。
ヒンドゥー教徒の妃を娶っただけでなく、キリスト教にまで関心を寄せたと言います。
しかし、大帝の悩みの種は息子サリーム(後のジャハーンギール)でした。
サリームは父に反抗的であっただけでなく、若い頃からアヘン中毒でした。
ついには後継問題で挙兵し、父の親友を殺害してしまいます。
後、サリームが謝罪することで乱は収束しましたが、全盛を迎えつつある帝国に影を落とすような出来事でした。
アクバルも心残りだったことでしょう。

親子の絆の薄さが帝国の亀裂に

親子の絆の薄さが帝国の亀裂に
5代シャー・ジャハーンは妃ムムタズ・マハルを深く愛し、その愛を形にしたのがタージ・マハルでした。

しかしこの巨大で美しい墓を造ったことでムガル帝国の財政は逼迫してしまいます。
そして彼は息子アウラングゼーブとは不仲でした。
というのも彼はアウラングゼーブの兄を溺愛していたのです。

帝が病に倒れると、アウラングゼーブは彼をアグラ城に幽閉します。
そして次に行ったのは兄弟の粛清でした。
その首を幽閉した父帝の元に送り付けたのです。

敬虔なムスリムだった彼の治世後半は、各地の異教徒の反乱によって混乱していきます。
そして、自分のやり方を後悔しながら亡くなりました。
この後ムガル帝国は急速に衰えていくのです。

壮大な歴史を感じて旅をしよう

いかがでしたか。
ただ息を呑む絶景に心焦がすだけではなく、その背景にある歴史を簡単にでも理解することで、世界遺産巡りはより楽しくなります。
「アグラ城塞」への渡航をぜひご検討ください。
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