手作業でトンネルを開通させた「ゼメリング鉄道」

wondertripでは世界の絶景を紹介していますが、歴史地区や古代都市などの絶景スポットは、その歴史を少しでも知ることでより観光が楽しめます。今にも残る世界遺産のストーリーは、知識欲も刺激されますね。本日はオーストリアの「ゼメリング鉄道」をご紹介します。

オーストリアの「ゼメリング鉄道」ってこんなところ

オーストリアの「ゼメリング鉄道」ってこんなところ

グロッグニッツ駅から途中ゼメリング駅を経由し、ミュルツツーシュラーク駅に至る。
世界初の山岳鉄道として知られるが、他山岳鉄道同様、走行時の地勢の険しさや高低差も特筆に値する。
ヨーロッパで最初に国際標準軌を採用した鉄道であり、鉄道自体も今なお稼働している。
走行距離は全長41.825キロ、高低差は460メートルになる。
建設期間は1848年から1854年までの6年間である。
(by Wikipedia

センメリング鉄道の住所・アクセスや営業時間など

名称 センメリング鉄道
住所 2680 Berndorf, Austria
営業時間・開場時間 24時間
利用料金や入場料 無料
参考サイト http://www.austria.info/jp/
最新情報は必ずリンク先をご確認ください。

ゼメリング鉄道とは?

ゼメリング鉄道とは?
オーストリアの首都ウィーンの南西、アルプスのゼメリング峠を通る世界初の山岳鉄道がゼメリング鉄道です。
グログニッツ‐ミュルツツーシュラーク間の約42㎞を走り、その線路はいたりあのヴェネツィアやクロアチアのザグレブまでつながっています。

鉄道ができるまでは馬車での往来でしたが、アルプスを越えるのは大変でした。
そこで鉄道を通そうということになったのです。
建設期間は1848年から1854年までの6年間だったそうです。

しかし、勾配やカーブをどうするかが問題でした。
そこで、設計者のカール・リッター・フォン・ゲーガは機関車の開発と共に最新技術を導入しました。
そしてアルプスの自然と調和する線路の敷設を行ったのです。
この点が世界遺産登録の上で高く評価されました。

ゼメリング鉄道の恩恵

ゼメリング鉄道の恩恵
ゲーガたちの苦労により1854年に開通したゼメリング鉄道は、42㎞の間にトンネル14ヶ所、高架橋16ヶ所、石橋100ヶ所、鉄橋11ヶ所が造られました。

日本はまだ黒船来航の頃ですから、それを考えると驚異的なことですね。
とはいえ当時はまだダイナマイトも発明されておらず、トンネルはすべて手作業で掘られました。
馬車での通行すら大変な場所で作業を行ったわけですから、本当に頭が下がります。

ゼメリング鉄道が開通すると、ウィーンと地中海世界が結ばれることになりました。
これは物の流れにも大きな影響を与え、文化が生まれました。
港からコーヒーが運ばれ、ウィーンのカフェ文化が花開くきっかけとなったのです。

ゼメリング鉄道の出発地:グログニッツ

ゼメリング鉄道の出発地:グログニッツ
ウィーンの南約75㎞の地点にある、人口約5600人ほどのグログニッツは、ゆったりとした時間が流れる穏やかな町です。

周辺を「ウィーン子の山」と呼ばれるラックスやシュネーベルクといった山々に囲まれており、古くからウィーン近郊の人々に親しまれています。

街のシンボルでもあるグログニッツ城は、廃墟となっていたところを改修され、歴史博物館となりました。
他にもシュトゥーバッハ城があり、教会も点在しています。
このような歴史を感じさせる古い街並みは、ゼメリング鉄道に乗る前に散策してみるのもおすすめですよ。
夏場は鉄道が通るルートを巡るハイキングコースもあります。
地域の農産物の市も立つので賑わいます。

ウィーンの軽井沢:ゼメリング

ウィーンの軽井沢:ゼメリング
ゼメリング鉄道開通の恩恵を最も受けた街が、鉄道の名に冠された街ゼメリングです。

ウィーンの軽井沢とも言うべき山間のリゾート地として発展し、格式ある高級ホテルが多数建設され、貴族や上流階級の市民たちが避暑地として滞在しました。

一時は人気が下降したものの、ゼメリング鉄道の世界遺産登録に伴い再び観光客が増加しています。
ゼメリング駅からのハイキングも人気です。
石やレンガを使用した鉄道の橋を見ながら歩くのもいいですよ。

夏には音楽や演劇のフェスティバルが開催され、多くのアーティストたちや観客が集います。
一方、冬場はウィンタースポーツの基地として人気を博しており、世界遺産登録の効果が表れていますね。

ブラームスゆかりの地:ミュルツツーシュラーク

ゼメリング鉄道の終点であるミュルツツーシュラークには、列車で約80分で到着します。

この街は、作曲家ブラームスが避暑に訪れ交響曲第4番を作曲したというゆかりの地となっており、彼が滞在した家は博物館として保存されています。
また、彼の足跡をたどる「ブラームスの道」もありますし、毎年9月にはブラームス音楽祭が開かれるなど、まさにブラームス尽くしの街なのです。

ブラームスの他にも多くの文化人がこの街を愛し、、博物館や資料館が街のあちこちに見られます。

街の中心部は歩行者天国となっており、ゆっくり散策を楽しめます。
美しい花々と街路樹に彩られた道を歩くと、ちょっとした芸術家気分になりそうですね。

壮大な歴史を感じて旅をしよう

いかがでしたか。
ただ息を呑む絶景に心焦がすだけではなく、その背景にある歴史を簡単にでも理解することで、世界遺産巡りはより楽しくなります。
オーストリアの「ゼメリング鉄道」への渡航をぜひご検討ください。
photo by iStock