スイスの動脈にして世界遺産、レーティシュ鉄道アルブラ線・ベルニナ線

wondertripでは世界の絶景を紹介していますが、歴史地区や古代都市などの絶景スポットは、その歴史を少しでも知ることでより観光が楽しめます。今にも残る世界遺産のストーリーは、知識欲も刺激されますね。本日はスイスの「レーティシュ鉄道」をご紹介します。

スイスの「レーティシュ鉄道」ってこんなところ

レーティシュ鉄道とは

紀元前3000年頃この地に住んでいた先住民ラエティア族の名に由来するレーティシュ鉄道は、スイス東部のグラウビュンデン州を中心に400㎞の鉄道網を持つスイス最大の私鉄で、100年以上の歴史を誇ります。
経済・観光の両面で大きな役割を果たし、地域に欠かせない存在です。

沿線には世界有数のリゾート地サンモリッツやダヴォスがありますが、特にサンモリッツは冬季オリンピックが開催されたことでも知られていますね。

その中でも、アルプスの雄大な景観を楽しめることでも有名なのが、世界遺産に登録されたアルブラ線とベルニナ線です。
主にスイスを走る路線ですが、終点のティラーノはイタリアになります。

アルブラ線

トゥージス-サンモリッツを走る全長67㎞のアルブラ線は、1898年に着工し1904年に開通しました。

急峻なアルプスを鉄道で越え、かつ景観も守るために、石橋やトンネル、カーブを多用するという工夫が成されています。

必見の名所は、高さ65mの渓谷にそびえる石造りのラントヴァッサー橋です。
目がくらむような高さですが、ぜひ車窓から覗いてみたいものですね。
写真におさめるべき絶景ですよ。

ここを通る氷河特急は、橋やトンネルを通過するため時速34㎞ほどでしか走りません。
そのため、世界一遅い急行と呼ばれています。
また、パノラマカーとなっているベルニナ・エクスプレスも人気の列車ですよ。

ベルニナ線

サンモリッツ-ティラーノを走るベルニナ線は、全長61㎞の鉄道です。
1910年に開通しましたが、元々はレーティシュ鉄道とは別の鉄道で、第2次大戦による経済状態の悪化に伴い1944年に合併しました。

ベルニナ線の特徴は、歯車式ではなく一般のレールだけで1800m以上の高低差を克服したことです。
ヘアピンカーブや円を描くように橋を架けるオープンループを多用し、ぐるぐる回りながら進みます。

車窓の景観は欧州車窓展望ベスト10に選ばれたこともあり、氷河や森などの美しいアルプスの景観が広がっています。
ちなみに、途中のオスピツィオ・ベルニナ駅(2253m)は、ヨーロッパ最高所の駅として有名です。

アルプスを克服した鉄道技術

山岳に鉄道を敷設するには、トンネルや橋を作ることはもちろん、標高差を克服するためのう回路など、多くの条件が要求されました。

しかし19世紀後半になると、掘削技術が進歩し、ループトンネルを掘ることができるようになり、山岳鉄道の敷設が可能になったのです。
しかしそれだけではなく、アルプスという大自然の景観を壊さず、いかに周囲と共存していくかということも考慮に入れました。
そのため、今でもレーティシュ鉄道の周りには牧歌的な光景が広がり、人々の暮らしがあるのです。
その点が世界遺産登録においても評価されました。

また、鉄道技術は日本の箱根登山鉄道も参考にしており、今では姉妹鉄道となっています。

雪山の味方「モンスター」

冬のアルプスともなれば、豪雪となるのは必然的です。
となると線路に雪が積もり、列車が進めなくなってしまいます。

そこで登場するのが、「モンスター」の愛称で親しまれている除雪車です。
1910年に造られた蒸気機関車ですがまだまだ現役。
雪崩などひどい雪の際にはこのモンスターが豪快に雪をかき分けていきます。
前面にある巨大なプロペラは、今ある除雪車よりも硬く大きいので、大量の雪や石、木がぶつかっても壊れないのだそうですよ。
実に頼もしい存在です。

レーティシュ鉄道のシンボルは赤い車輛なのですが、2010年にはベルニナ線100周年を記念して新車両「アレグラ」が登場しました。
こちらも人気ですよ。

壮大な歴史を感じて旅をしよう

いかがでしたか。
ただ息を呑む絶景に心焦がすだけではなく、その背景にある歴史を簡単にでも理解することで、世界遺産巡りはより楽しくなります。
スイスの「レーティシュ鉄道」への渡航をぜひご検討ください。
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