神さまも登場、ローマ建国の物語
ローマ人のルーツはトロイにあった?
はるかな昔、いまのトルコの西岸にトロイという都市が栄えていました。
トロイは周辺の覇権をめぐってギリシアと争っていましたが、やがてギリシア軍に攻められ、城壁のなかに木馬を招き入れてしまい、そのワナによって滅ぼされてしまいます。
唯一トロイから落ちのびたのが、トロイ王の婿アエネイスでした。
アエネイスは幾多の困難のすえに、イタリア半島の中部、ティベル川という大河が流れる場所にたどりつきます。
そこにはラティヌスという王のおさめる国がありました。
アエネイスはラティヌス王に気に入られ、王の娘をめとって、やっとそこに定住します。
やがてアエネイスの息子が王位を継ぎ、王国とその周辺はラティヌス王にちなんで「ラティウム」と呼ばれるようになっていきました。
これが「ラテン」という呼び名の語源。
ちなみにいまでもイタリア語、スペイン語、ポルトガル語などを話す人々を「ラテン人」と呼ぶのは、これらの言葉が古代ラテン語をもとにしているからです。
ときはながれ、王国に継承あらそいが起こります。
王のひとり娘が次の王を産むまえに、その叔父が王となり、娘は処女のまま巫女にされてしまいます。
しかし娘が川のほとりでまどろんでいたところ、天にいた軍神マルスが彼女にひとめぼれ。
二人は愛を交わし、娘は双子を宿します。
それに気づいた叔父はかんかんに怒り、やがて産まれた双子をカゴにいれて川に流してしまいました。
この双子がローマを建国するのです。
オオカミに育てられた双子
双子の赤ん坊をのせたカゴはティベル川をくだり、海にたどりつくまえに川岸の枝にひっかかって止まりました。
そこは七つの低い丘が集まってそびえている場所でした。
そこに一匹のメスオオカミがあらわれて、カゴを見つけます。
オオカミはカゴを拾いあげて近くの丘まではこび、そこでみずからの乳で双子を育てはじめました。
やがて今度はひとりの羊飼いが双子を見つけ、かれらを引きとって、ロムルスとレムスと名付けました。
ロムルスとレムスは成長すると、すぐに若者たちのボスになりました。
立派に育った双子をみて、羊飼いは出生の秘密を伝えます。
復讐を決意したロムルスとレムスは3000人の若者たちを引きつれて、生まれた国へと舞い戻り、叔父をたおしました。
そして二人は王位を継ぐことなく、自分たちだけの新たな国をつくろうと決意します。
その場所こそ、かつてオオカミに育てられた場所、七つの丘がそびえる土地でした。
ロムルスとレムスは建国のさなか、ささいな兄弟ゲンカをおこし、レムスは戦闘中に死んでしまいます。
そこでロムルスはオオカミに育てられた丘のうえで、神々に生贄をささげる式をおこない、そしてみずからの名前にちなんだ「ローマ」の建国を宣言します。
こうして紀元前753年4月、ロムルスを初代王として、わずか3000人の民とともに、ローマの歴史ははじまりました。
発展と、滅亡の危機、そして再起するローマ >>