伊豆半島は美術館の宝庫だった!おすすめミュージアム20選

静岡県東部の伊豆半島は、隣接する箱根とともに首都圏から気軽に出かけられる距離にある温泉観光地の定番。でも食べ歩きや日帰り温泉だけで満足して帰っていませんか? じつは伊豆半島には個性的なミュージアムが数多く存在しています。今回はそんな伊豆半島のミュージアムをご紹介。

「伊豆は海山のあらゆる風景の画廊」

「伊豆は海山のあらゆる風景の画廊」

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日本人初のノーベル文学賞を受賞した川端康成は随筆「伊豆序説( 1931 )」冒頭で「伊豆は海山のあらゆる風景の画廊」と書き、「伊豆半島全体が一つの大きい公園 … 一つの大きい遊歩場」とつづけています。
大自然の創造した壮大な彫刻と、人の手になるアート作品とがともに楽しめるのも伊豆ならではと言えるでしょう。

1. 上原近代美術館(下田市)

伊豆半島南部の下田市は白浜海岸が有名なため「海」のイメージが強いですが、すこし山間部に入れば蓮台寺温泉や観音温泉などの隠れ湯的なスポットもあります。
上原近代美術館もそのような山あいの地に建つ美術館。
大正製薬名誉会長の上原昭二氏が長年にわたって収集した美術品を一般公開するための美術館として、2000年に開館しました。
セザンヌ、ルノワール、マティス、ピカソなどの西洋近代絵画をはじめ、梅原龍三郎、安井曽太郎、須田国太郎、川合玉堂、伊東深水など日本の絵画作品、マリーニ、マンズーなどの彫刻作品が常時展示されています。

現在開催中の展覧会は「冬の情景、そして春へ―モネから横山大観まで―(会期 : 2017年4月2日、会期中は無休)」。

隣接する上原仏教美術館は現在改修工事中で、2017年度に再オープンする予定です。

公益財団法人上原美術館

静岡県下田市宇土金341

Phone 0558-28-1228 / Fax 0558-28-1227

2. 池田20世紀美術館(伊東市)

「伊豆の瞳」と呼ばれる伊東市吉田の一碧湖は、約10万年前に活動した「伊豆東部単成火山群」の火口湖の跡だと言われています。

その一碧湖の湖畔に向かって下る「けやき通り」沿いに、たいへんモダンな銀色に輝く建物があります。
それが池田20世紀美術館です。
彫刻家井上武吉氏の設計による美術館は1975年に開館。
日本ではじめてステンレススチール張り外壁が採用された展示館は、それじたいが斬新なモダンアート作品と言ってもよいでしょう。

このモダンな建物の中にルノワール、ボナール、ピカソ、マチス、レジェ、シャガール、ウォーホル、ミロ、ダリなどヨーロッパ近現代の巨匠たちの作品が常設展示されています。

現在、「風のけしき―北 久美子展」が開催されています(会期 : 2017年1月10日まで)。

公益財団法人池田20世紀美術館

静岡県伊東市十足614

Phone 0557-45-2211 / Fax 0557-45-2212

3. 伊豆テディベア・ミュージアム(伊東市)

大室山火山の溶岩流が作った広大な台地、伊豆高原にはペンションや別荘が建ち並び、またアーティストの住民が多いことでも知られていますが、個人経営のユニークなコンセプトのミュージアムもたくさんあります。

伊豆テディベア・ミュージアムはその名のとおり全世界で愛されるクマのぬいぐるみ、テディベアの歴史と文化を紹介するミュージアムとして1995年に開館しました。
現在はテディベアのコレクションより、むしろ「となりのトトロ」の特別企画展のほうが有名かもしれません。
2階の展示室に入ると、巨大な「ネコバス」が出迎えてくれますよ。

伊豆テディベア・ミュージアム

静岡県伊東市八幡野1064-2

Phone 0557-54-5001 / FAX 0557-54-5005

4. 伊豆高原 象牙と石の彫刻美術館~ジュエルピア~(伊東市)

以前、伊豆西海岸の伊豆市土肥・小土肥(おどい)地区にあった「象牙美術宝庫」が、2014年に伊豆高原に移転して再オープンした美術館です。

桜葉栽培指導者だった初代館長が仕事先の中国で見た象牙芸術に魅了されて以来、個人で収集したきたコレクションで、その点数は280点にものぼります。

現在、象牙輸入はワシントン条約で禁じられているため、これだけの象牙芸術のコレクションを見られるのは世界でここだけという希少価値の高いミュージアムです。
館内にはジェルキャンドルやパワーストーンブレスレットなどの制作体験コーナーもあります。

伊豆高原 象牙と石の彫刻美術館~ジュエルピア~

伊東市富戸1096-1

Phone 0557-48-7777 / Fax 0557-48-7788

5. 野坂オートマタ美術館(伊東市)

オートマタ(automata, automatonの複数形)は、18-19世紀のヨーロッパの王侯貴族たちに愛好された精巧なからくり仕掛けの自動人形のことです。

野坂オートマタ美術館は伊豆急行「伊豆高原」駅から大室山方面へつづく「さくら並木通り」沿いにあるオートマタ専門の美術館として2000年に開館しました。

2016-2017年にかけての年末年始期間に企画展 「貴族の世界」が開催されます(会期 : 2016年12月29日-2017年1月3日)。

静岡県伊東市八幡野字株尻1283番75

Phone 0557-55-1800 / Fax 0557-55-1700

6. 伊豆高原アンティーク・ジュエリーミュージアム(伊東市)

「伊豆高原」駅から城ヶ崎海岸方面、徒歩約20分のところにある、19世紀ヴィクトリア朝時代の金細工工芸品や宝飾品、ダイヤモンドやドレスを専門に展示するミュージアムで、今年で開館20周年を迎えます。

なかでも圧巻なのが、オールドヨーロピアンカットのダイヤモンドと天然パール620個をあしらったティアラ。
豪華な宝石やドレスを試着しての記念撮影もできます。

伊豆高原アンティーク・ジュエリーミュージアム

静岡県伊東市八幡野1030-63

Phone 0557-54-5566

7. 伊豆高原ステンドグラス美術館(伊東市)

小室山の麓、有名な川奈ゴルフコースを一望する高台に建つ石造りのマナーハウス風の建物が伊豆高原ステンドグラス美術館で、2006年に開館しました。

地中海のリゾート施設を思わせるようなこの美術館では、英国から譲渡された19世紀のアンティークステンドグラスを中心に鑑賞できます。

館内のチャペル「マリーズ礼拝堂」には100年前に製作されたアンティークオルゴールの演奏が、また「セント・ミッシェル教会」には1922年製作の2段手鍵盤および足鍵盤を備えたアンティークパイプオルガンの演奏も楽しめます。

館内では定期的にコンサートも開かれ、またカフェやイタリアンレストランも併設されています。

伊豆高原ステンドグラス美術館

静岡県伊東市川奈1439-1

Phone 0557-44-4333

8. 伊豆オルゴール館(伊東市)

「伊豆高原」駅やまも口より徒歩6分のところに、世界中の珍しいオルゴールや自動演奏楽器を収集した伊豆オルゴール館があります(「やまも / やんも」とは、地元の方言でヤマモモのことです)。

バリアフリー設計の館内は館長みずから米国などを回って集めたオーケストリオン、アンティークのストリートオルガン、ディスクオルゴール、シリンダーオルゴールなど130点が展示されており、自動演奏楽器のバレルピアノやオルガニートの演奏体験もできます。
また1897年にスタインウェイ社が製造した「大統領のピアノ」と呼ばれる貴重楽器の試奏もできます。

伊豆オルゴール館

静岡県伊東市八幡野1191-1

Phone 0557-53-0900 / Fax 0557-54-1478

9. MOA美術館(熱海市)

尾形光琳作の国宝「紅白梅図」を所蔵していることでも知られるMOA美術館は1982年、相模湾と沖合に浮かぶ初島を望む高台に開館した東洋美術を中心とする美術館です。

現在、施設改修工事のため休館中ですが、2017年2月5日にリニューアルオープンします。
春、敷地内に植樹されているソメイヨシノなど約150本の桜が海を背景に咲き誇るさまは桃源郷さながらの絶景で、お花見にもぴったりです。

MOA美術館

静岡県熱海市桃山町26-2

Phone 0557-84-2511(代表) / Fax 0557-84-2570

10. 熱海トリックアート迷宮館(熱海市)

熱海トリックアート迷宮館は、熱海市街を見下ろす錦ヶ浦山頂に建つ観光施設・熱海城内に2013年にオープンした「見て・触れて感じる」ことのできる体感型ミュージアムです。

展示館には、人間の目の錯覚を巧みに利用したトリックアートを専門に描く画家たちの作品がお出迎え。
ここでは写真撮影も自由なので、思い切り遊んでしまいましょう。
たっぷり遊んでおなかがすいたら、そのまま熱海城敷地内にある「海の見える喫茶&レストラン」へ。

熱海トリックアート迷宮館

静岡県熱海市曽我山1993( 熱海城別館 )

Phone 0557-82-7761 / Fax 0557-83-5535

11. IZU PHOTO MUSEUM(駿東郡長泉町)

IZU PHOTO MUSEUMは2009年、愛鷹(あしたか)山の麓、駿河湾を見下ろす複合文化施設クレマチスの丘の一角に開館した写真専門の美術館です。

現在、本邦初開催となるドイツの写真家ヨヘン・レンペルト氏の「Fieldwork — せかいをさがしに」展が開催されています(会期 : 2017年4月2日まで)。

IZU PHOTO MUSEUM

静岡県長泉町東野クレマチスの丘(スルガ平)347-1

Phone 055-989-8780 / Fax 055-989-8783

12. ヴァンジ彫刻庭園美術館(駿東郡長泉町)

ヴァンジ彫刻庭園美術館はIZU PHOTO MUSEUMに併設して建つ美術館で、イタリアの具象彫刻家、ジュリアーノ・ヴァンジ氏の世界初の個人美術館として2002年に開館しました。

館内と庭園にヴァンジの彫刻、版画、デッサンなど100点あまりが展示されています。
美術館の庭園はクレマチスガーデンになっており、四季を通じてさまざまな品種のクレマチスが彩ります。
ガーデン内にはピッツェリアや日本料理店もあります。

ヴァンジ彫刻庭園美術館

静岡県長泉町東野クレマチスの丘347-1

Phone 055-989-8787 / Fax 055-989-8790

13. ベルナール・ビュフェ美術館(駿東郡長泉町)

ベルナール・ビュフェ美術館はフランスの現代具象美術の巨匠ベルナール・ビュフェ作品を収蔵する美術館として、1973年に開館しました。

その後新館、版画館を増設したビュフェ美術館は現在では収蔵点数が2,000点を超え、世界最大級のビュフェ作品コレクションを誇っています。
1999年には「ビュフェこども美術館」もオープンし、子どもたちが美術とはじめて出会い、遊ぶことができる体感型施設になっています。

隣接してカフェ&ショップ「TREEHOUSE」もあります。

ベルナール・ビュフェ美術館

静岡県長泉町東野クレマチスの丘515-57

Phone 055-986-1300 / Fax 055-987-5511

14. 大岡信ことば館(三島市)

大岡信ことば館はJR東海道線 / 東海道新幹線「三島」駅北口を出てすぐの増進会出版社ビル1・2階にある文学館で、2009年に開館しました。

三島市出身の詩人、大岡信氏の名前を冠したこの文学館は文字どおり「ことば」にフォーカスしたユニークな展示活動を行っており、現在は「谷川俊太郎展・本当の事を云おうか・」展が開催中です(会期 : 12月25日まで)。

周辺には国指定名勝および天然記念物に指定されている三島市営公園「楽寿園」もあり、三島市街散策コースとしてもおすすめです。

静岡県三島市文教町1-9-11 Z会文教町ビル 1F、2F

Phone 055-976-9160 / Fax 055-989-1360

15. 佐野美術館(三島市)

おなじく三島市街地にある佐野美術館は1966年に開館、今年で50周年を迎える三島市民に親しまれている私設美術館です。

見どころは初代館長が収集した刀剣コレクションで、陶磁器、金銅仏、古写経、日本画、能面、装身具など寄贈品も含めて現在の収蔵点数は2,500点にものぼります。

洋画や日本画、絵本原画などの企画展示も好評で、現在は佐野美術館創立50周年、三島市制75周年を記念した「名刀は語る 磨きの文化」展が開かれています。
刀剣好きにとってはぜったいはずせない美術館と言えます。

公益財団法人 佐野美術館

静岡県三島市中田町1−43

Phone 055-975-7278 / Fax 055-973-1790

16. かんなみ仏の里美術館(田方郡函南町)

かんなみ仏の里美術館は2012年、函南町桑原地区にある「桑原薬師堂」に数百年にわたって秘蔵されてきた貴重な仏像24体を収蔵展示する美術館として新たに開設されました。

収蔵されているのは静岡県有形文化財の「十二神将立像」や国指定重要文化財「阿弥陀三尊像」など、学術上ひじょうに貴重な仏像ばかり。
仏像好きにはたまらない美術館になっています。

見学コースはまず資料展示室でガイドさんの説明を受けてから展示室に入るので、仏像に関して予備知識がなくてもじゅうぶんに堪能できるように配慮されています。

かんなみ仏の里美術館

静岡県田方郡函南町桑原89番地の1

Phone 055-948-9330 / Fax 055-978-0894

17. モン ミュゼ沼津(沼津市)

モン ミュゼ沼津は元沼津市長の故庄司辰雄氏の収集した絵画作品を常設展示する美術館として2000年に開館しました。
展示室内には小型のパイプオルガンもあり、不定期ですが演奏会も開催されます。

美術館周辺は若山牧水や井上靖ゆかりの地の千本松原があり、また深海魚の展示で人気の「沼津港深海水族館」もあります。

モン ミュゼ沼津

静岡県沼津市本字下一丁田900-1

Phone 055-952-8711

18. 黄金崎クリスタルパーク(賀茂郡西伊豆町)

伊豆半島西海岸中央部に位置する旧賀茂村宇久須(うぐす)地区は、かつてガラス原料の珪石の一大産地でした。
現在、珪石鉱山は操業を終えていますが、国産ガラス供給を担った歴史をたどり、国内外の現代ガラス工芸作品を専門に展示するミュージアムとして1997年に開館したのが、この黄金崎クリスタルパークです。

ミュージアムは伊豆珪石鉱山の歴史を説明するコーナーから始まり、ガラス作品制作体験工房、企画展示室 / 常設展示室、カフェレストラン棟から構成されています。

現在、「ガラスの表現とモチーフ-自然への憧憬」展が開催中です(会期 : 2017年4月23日まで)。

黄金崎クリスタルパーク

静岡県賀茂郡西伊豆町宇久須2204-3

Phone 0558-55-1515 / Fax 0558-55-1777

19. 加山雄三ミュージアム(賀茂郡西伊豆町)

西伊豆町を代表する景勝地・堂ヶ島海岸の目の前に建つこのミュージアムは、その名のとおり俳優にして作曲家、画家、そしてみずから設計した愛艇「光進丸」船長の顔も持つ才人、加山雄三氏の自作油絵や映画セット、趣味の鉄道模型などを常設展示しています。
併設されているレストランでは加山氏プロデュースのメニューもあり、伊豆最大級の広大な売場の売店には約3,000点の商品が取りそろえられています。
運がよければ北に位置する安良里(あらり)漁港に係留されている「光進丸」を見られるかも。

加山雄三ミュージアム

静岡県賀茂郡西伊豆町仁科2048-1

Phone 0558-52-1122 / Fax 0558-52-1476

20. 伊豆の長八美術館(賀茂郡松崎町)

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伊豆の長八美術館は松崎町出身の左官の名工、入江長八の業績を後世に伝えるために、1984年に開館した漆喰鏝絵専門の美術館です。
「漆喰芸術の殿堂」と銘打った建物は当時、日本屈指の左官職人が結集して作り上げたもので、建築界の芥川賞と言われる「吉田五十八賞」を受賞しています。

展示されている長八の漆喰鏝絵作品は、館内各所に用意されたルーペで仔細に観察することができます。
また漆喰鏝絵制作体験コーナーもあり、世界でたったひとつの漆喰鏝絵が制作できます。

伊豆の長八美術館

賀茂郡松崎町松崎23

Phone 0558-42-2540 / Fax 0558-42-2573

文学館や文学碑も多い伊豆半島

はじめに引用した川端康成をはじめ、伊豆半島には若山牧水、梶井基次郎、小出正吾、与謝野晶子、太宰治、三島由紀夫などの文学碑も数多く、まさに文学碑の宝庫のような地域でもあります。
そして井上靖(伊豆市 / 沼津市)、芹沢光治良(沼津市)、木下杢太郎(伊東市)といった郷土ゆかりの作家たちの文学館や記念館も各所に点在しています。
温泉で日ごろの疲れを癒やしつつ、伊豆のアートめぐりをしてみるのはどうでしょうか。
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