天国にいちばん近い場所!ヨセミテ国立公園の歴史と見どころ

雄大な自然、多様な動植物、絶景の数々……。カリフォルニア州にあるヨセミテ国立公園はアメリカでもっとも有名な国立公園のひとつで、年間400万人の観光客がおとずれます。日本からもグランドキャニオンとならんで人気が高く、いろんなツアーも組まれています。今回はそんなヨセミテ国立公園の見どころと、その歴史をご紹介しましょう。じつは「ヨセミテ」とは現地のことばで「殺し屋」を意味するのです……。

ヨセミテ国立公園ってどんなところ?

ヨセミテ国立公園ってどんなところ?

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ヨセミテの魅力は美しい大自然

北アメリカの西部、シエラネバダ山脈のなかにヨセミテ国立公園はあります。
西海岸のサンフランシスコからは東へ約250キロ、車で4時間たらずの距離にあります。
またロサンゼルスからは北へ6時間ほどの距離。
世界遺産(自然遺産)にも登録されていて、アメリカのみならず世界中から観光客がおとずれる人気の観光スポットです。

ヨセミテの魅力はなんといってもその美しい自然。
約3000平方キロメートルの広大な面積のうち、9割が手つかずのまま残されていて、「公園」というより大自然そのものです。
敷地内には、氷河がけずりとった巨大な渓谷や、そそりたつ花崗岩の白い絶壁、そこから流れおちる700メートル級の滝、ゆるやかな大小さまざまの渓流、鬱蒼と生い茂るセコイアの大木と、見るものを圧倒する景観にみちています。

また多様な植物を観察できるのも、ヨセミテの魅力です。
敷地内の高低差は標高600メートルから4000メートルと幅ひろく、低地の植物から高山帯の植物まで5つの植生帯をおなじ公園内で見ることができます。
希少植物もたくさんあって、四季おりおりにいろんな花や草木を楽しめます。
ちなみに敷地内でいちばん大きいジャイアントセコイアの木は高さ60メートルをこえます。

かわいい動物もいっぱい

ヨセミテでは、いろんな野生動物を間近で観察することもできます。
よくみかけるのはシカやコヨーテやリス、クマの親子も木々のあいだをよく散歩しています。
夜になるとアライグマが寄ってきてちょこんとすわっていたりします。
ほかにもウサギやマーモットなど、かわいらしい動物もたくさん寄ってきます。
人間に慣れているためですが、エサを与えないように注意してください。

哺乳動物だけでなく、ヨセミテにはたくさんの鳥や虫、魚など、生物の多様性にあふれています。
こうした動植物にふれようと、トレッキングやバードウォッチング、釣りや写真撮影を楽しむ人々もおおぜいいます。
また予約制のレクリエーションとしては数種類のハイキングや、川下りのラフティング、サイクリングに、13か所のキャンプ場まであります。
どれも夏場は混雑するので、予約はお早めに。

これらの自然や動植物を楽しむために、観光客のほとんどが訪れるのが、ヨセミテ国立公園内の「ヨセミテ渓谷」です。
東西に長さ13キロのこのヨセミテ渓谷に、有名な景観や各種観光施設、アクティビティの拠点が集まっています。
渓谷の面積は公園内のわずか1パーセントにすぎませんが、ほかの大部分は自然そのものなので、ヨセミテ国立公園といえばこのヨセミテ渓谷を指すこともあります。
これからヨセミテの成り立ちと歴史、おすすめスポットを紹介していきますが、大半がヨセミテ渓谷に関する事柄であることを、頭の片隅にとどめておいてください。

観光地になる前のヨセミテの成り立ちと歴史

観光地になる前のヨセミテの成り立ちと歴史

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ヨセミテの自然はこうして作られた

まずは渓谷や花崗岩の絶壁など、ヨセミテの自然がどのように形成されたのか、そこから見ていきましょう。

いまから約2億年前、恐竜が誕生し、パンゲア大陸が分裂をはじめた時代に、造山活動によってシエラネバダ山脈がつくられはじめます。
同時に山脈の地下では、マグマがゆっくりと固まって、白っぽい花崗岩ができていきました。
花崗岩は約1億年前にもふたたび大量につくられました。

やがて恐竜がほろび、約1000万年前ごろになると、断層の影響でシエラネバダ山脈がさらに高くなりました。
山が高くなると、そこから流れる川の勢いも強くなるので、山肌はどんどん削られていきます。
地表が削られたことで、地下の花崗岩が表面に表れました。
そして花崗岩はぺりっと縦にわれやすいので、おおきな剥離がおきたりして、いまの絶壁となりました。

約300万年前ごろからは、シエラネバダ山脈を何度も氷期がおそいました。
山脈の川沿いは巨大な氷河で覆われ、深いものでは1200メートルもありました。
この氷河が年に数センチ単位でとてもゆっくりと流れくだったことで、川沿いの山肌はトンネル状にまるく削られ、いまの渓谷の姿となったのです。

「ヨセミテ」の名前はかんちがいから?

約20万年前にアフリカで誕生した現生人類は、やがて各地にちらばり、陸つづきだったベーリング海峡をわたって、1万年前にはアメリカ大陸にもやってきました。
こうして住みついた人々がネイティブ・アメリカン、いわゆるインディアンの祖先たちです。
シエラネバダ山脈にもネイティブ・アメリカンのいくつかの部族が暮らしていました。

1800年代の半ば、ヨセミテ渓谷にはアワニチ族という部族が住んでいました。
アワニチとはかれらがこの渓谷を「おおきな口(アワニー)」と呼ぶことに由来します。
かれらアワニチ族ははみだしものの集まりだったようで、ちかくに住むおだやかなミウォク族からは「殺し屋たち(ヨヘミテ)」と恐れられていました。

そこに、白い肌をして銃をもった欧米人がやってきます。
きっかけは1848年からのカリフォルニアのゴールドラッシュでしたが、すぐに軍隊もやってきました。
アワニチ族は戦いをいどみますが、アメリカ軍の歩兵大隊のまえに敗れ、村を焼かれ、のこりの人々はインディアン居留地に強制収容されました。
ちなみに現在アワニチ族の村は、ヨセミテ博物館の裏に再現されています。

そして欧米人たちはこの地を「ヨセミテ」と名づけました。
「アワニー」でなく「ヨヘミテ」ということばを元にしたのは、ミウォク語の「グリズリーベア」の発音とよく似ていて、勘違いしたからだといわれています。
名づけた人も、まさかヨセミテが「殺し屋たち」なんてぶっそうな意味だとは思わなかったでしょう。

ヨセミテの発展と保護に貢献したガレン=クラーク

ヨセミテの発展と保護に貢献したガレン=クラーク

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あらたな観光スポットの発見

アメリカ西部にたくさんの人が住むようになると、ヨセミテ渓谷の美しさをうわさに聞いて、訪れる旅行者がでてきました。
そのなかには画家やライター、写真家などもいて、かれらがヨセミテのスケッチや記事、写真を出版したりしたことで、ヨセミテは「比類なき渓谷」としてひろく知られるようになりました。

こうした観光初期の時代において、おおきな役割をはたしたのがカナダ生まれの入植者ガレン=クラークです。
クラークは1857年、ヨセミテ渓谷の南にあるワオナという土地で、ジャイアントセコイアの森(マリポサ=グローブ)を発見しました。
200本以上の巨大な大木がたちならぶ絶景に、彼は心打たれました。
そして渓谷だけでなく、このマリポサ=グローブも必見のスポットであると新聞に記事を投稿しました。

クラークはそれから、ワオナにロッジを建て、馬車道を整備し、たくさんの観光客をもてなしました。
またクラークはひときわ大きい2本のセコイアの木をくりぬいて、馬車用と荷車用のトンネルをつくり、人気の観光スポットとしました。
荷車用トンネルの木は1969年に雪の重みで倒れてしまいましたが、馬車用トンネルの木はいまも生きていて、人間がらくらくと通りぬけることができます。

ヨセミテの保護にも活躍したクラーク

しかし、ヨセミテが観光名所として発展するにつれて、乱開発や密猟も増えてきました。
そこでクラークは政府に、ヨセミテ渓谷とマリポサ=グローブの保護を訴えました。
やがてクラークの主張は連邦議会に受け入れられ、ときの大統領リンカーンが署名して、1864年にヨセミテはアメリカ史上はじめて、自然保護と公共利用のための公園と制定されました。
これがのち、国立公園という制度になっていきます。

クラークは公園の初代管理者に任命され、ヨセミテの保護と発展に貢献しました。
1869年に大陸横断鉄道が開通すると、ヨセミテを訪れる観光客はさらに増えていきました。
ただ、クラークはワオナのロッジを維持するためにたくさん借金をしてしまい、結果としてロッジを売りわたしました。
いま、クラークのロッジは「ワオナホテル」として整備され、現在もおおくの観光客が宿泊しています。

お金で失敗したあとも、クラークはヨセミテの自然を愛し、おとずれる人々にお茶やクマの肉をふるまったりしてもてなしました。
そうした客のなかに、スコットランド生まれの植物学者ジョン=ミューアがいました。
このミューアがヨセミテを国立公園とし、そしてヨセミテの自然保護をさらにすすめていきます。

「自然保護の父」ジョン=ミューア

「自然保護の父」ジョン=ミューア

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ヨセミテを国立公園にしたミューア

ジョン=ミューアもまた、クラークとおなじく、ヨセミテの自然に魅せられたひとりです。
1868年に30歳でヨセミテをはじめて訪れてから、40年以上にわたって、ミューアはヨセミテの自然保護と、地形や動植物の研究に生涯をささげました。
ミューアは初の自然保護運動家であり、またヨセミテ渓谷が氷河によって形成されたことをはじめて理論化した人のひとりでもあります。

1870年代から1880年代にかけて、アメリカ西部の人口はますます増えて、開発がすすんでいました。
シエラネバダ山脈の木々もたくさん伐採され、また食糧確保のため羊の放牧もさかんにおこなわれていました。
こうした開発が生態系を破壊すると気づいたミューアは、連邦議会へのロビー活動をはじめます。
ヨセミテ渓谷の周辺一帯を国立公園にして、連邦政府の保護下におくべきだと主張しました。
ミューアの活動はやがて実をむすび、1890年、ヨセミテの広大な自然は国立公園に指定されました。

しかし肝心のヨセミテ渓谷とマリポサ=グローブはカリフォルニア州管轄のままで、渓谷の環境悪化やセコイアの伐採がつづけられていました。
そこでミューアはさらにいろいろな著作を発表して自然保護をうったえ、またヨセミテ渓谷およびマリポサ=グローブも国立公園にふくめるよう、政府にはたらきかけていきました。

二人きりでキャンプして大統領の心を変える

ミューアの活動のかいもあって、1903年、セオドア=ルーズベルトが大統領としてはじめてヨセミテ渓谷の視察にやってきます。
ミューアはそこで大統領と3日間のキャンプをおこない、ねばりづよく説得しました。
その結果、ルーズベルト大統領はヨセミテ渓谷とマリポサ=グローブを国立公園にふくめることを決断。
こうして、連邦政府の保護下に一元化された、広大なヨセミテ国立公園が完成しました。

またこれ以降、国立公園には管理・保護のための国家予算がつけられるようになり、さらに内務省に国立公園局が設置されて、ヨセミテをはじめとするアメリカの国立公園は国が管理するようになりました。
いまでもヨセミテの管理・運営は国立公園局と、国から委託された会社、そしてたくさんのボランティアによっておこなわれています。

ミューアはその後もヨセミテの自然をまもるため、いろいろな活動をつづけました。
公園北部にダムの建設計画がもちあがると、反対運動を展開しました。
これは最初の大規模な環境運動といわれています。
また自然を自然のままに残そうと、公園の9割を「ヨセミテ自然保護区域」に指定することに成功しました。

こうしたミューアの活動によって、ヨセミテの自然はありのままの姿でのこり、また訪れる人々もヨセミテの環境を破壊することなく、自然そのものを楽しむ姿勢へと変わりました。
彼が妻に書き送った手紙の一節を最後に紹介しましょう。
「手荷物も持たず、ただひとり静かにたたずむことで、はじめて人は真に自然の心にふれることができるのです」。

それから現代にいたるまでのヨセミテの歴史は……

それから現代にいたるまでのヨセミテの歴史は……

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ミューアの創設した「シエラクラブ」

20世紀に入り、ガソリン自動車が普及すると、ヨセミテ国立公園をおとずれる人はますます増加しました。
そうした観光客に、ヨセミテの自然の楽しみ方を伝えたのが、ジョン=ミューアの創設した自然保護団体「シエラクラブ」です。

1892年に設立されたシエラクラブは、名だたる登山家や写真家、ロッククライミングのスペシャリストなどがメンバーでした。
かれらはミューアとともにヨセミテの保護を政府にうったえたり、ダム建設の反対運動をしたりするとともに、ヨセミテ渓谷でさまざまな野外活動を計画・実行しました。

いろんなハイキングコースを開拓したり、長期間のトレッキングを数十人でおこなったり、1週間ていどの長期キャンプをしたり。
またシエラネバダ山脈の山々を初登頂して登山道をひらいたり、ロッククライミングを先導したり。
いまでこそ当たり前のレクリエーションの数々ですが、シエラクラブのメンバーたちはそれを先駆けておこない、自然を活かしたヨセミテの楽しみ方を提供していったのです。

こうしたレクリエーションが充実していったことで、ヨセミテ国立公園は自然を満喫できる場所として、さらなる人気を博し、世界中から観光客がおしよせるようになりました。

世界自然遺産に登録される

やがてヨセミテは年間数百万人がおとずれるアメリカ屈指の観光スポットとなりました。
園内はさらに整備されて、ヨセミテ博物館が建てられたり、3つ星ホテルができたり、ビジターセンターも充実していきました。
また夏場の交通混雑の解消と、自動車の排気ガス削減のため、園内に無料のシャトルバスも走るようになりました。

1970年代ごろから旅客機の運航がさかんになると、ヨセミテの美しさは世界中に知られるようになり、日本からも訪れる観光客が増えていきました。
そして1984年、ヨセミテ国立公園は世界自然遺産に登録されました。
登録理由は以下の2つです。
「ひときわすぐれた自然美および美的な重要性をもつ最高の自然現象または地域をふくむ」、「地球の歴史上の主要な段階を示す顕著な見本である」。

いまヨセミテは、絶景の観光スポットとして、カリフォルニアの人々の避暑地として、子どもたちやアウトドア派のレクリエーション場所として、ロッククライミングの聖地として、そして動植物学や地質学のサンプルの宝庫として、毎年おおくの人々がおとずれています。
これだけの雄大な自然と多様な生態系が手つかずのまま残っているのも、クラークやミューアをはじめとした先人たちの努力のたまものです。

では、こうしたヨセミテ国立公園の見どころを、以下くわしく紹介していきましょう。

ヨセミテ渓谷の見どころ(岩山)

ヨセミテ渓谷の見どころ(岩山)

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ヨセミテ随一の絶景ポイント、トンネルビュー

ヨセミテでいちばん有名な絶景は「トンネルビュー」とよばれるポイントです。
ヨセミテ渓谷の巨大なU字型が一望のもとに見わたせて、人工物はひとつも目に入りません。
谷底には絨毯のような緑の森、左手には花崗岩の巨大な一枚岩「エル=キャピタン」、右手には大聖堂の形をした「カテドラルロック」、中央奥にはドームをたてに半分切ったような形の「ハーフドーム」が見えます。

このトンネルビューというパノラマ風景は、写真家アンセル=アダムスが好んで撮影したことでも有名です。
アダムスは17歳からシエラクラブの会員で、ヨセミテ渓谷のさまざまな風景をモノクロ写真で撮影しました。
ちなみにアダムスのトンネルビューの写真は3000万円で落札されたこともあるとか。

トンネルビューはもっとも有名で、観光客でにぎわっていますが、穴場としてはそこから30分ほど歩いて登ったところにある「インスピレーションビュー」もおすすめです。
トンネルビューの景観がもうすこし高いところから、しかも人のいないしずかな環境で堪能できます。
体力に自信のある人はぜひ登ってみてください。

エル=キャピタン、ハーフドーム、グレイシャーポイント

トンネルビューから谷底にすこし進むと、左手に「エル=キャピタン」が見えてきます。
花崗岩の一枚岩としては世界一のおおきさで、谷底からは約1000メートルの高さがあります。
名前の由来は「岩の族長」を指すスペイン語。
ロッククライミングの名所でもあり、のぼりきるには数日かかるので、目をこらすと絶壁の上で眠ったり食事をしたりしているクライマーを見ることができます。

谷をはさんでエル=キャピタンの向かいはカテドラルロック。
もうすこし進むと左手に「スリーブラザーズ」という3つの岩山、右手には手ごろな展望台として人気の「センチネルドーム」という岩山がみえます。
そこからさらに進むと、ヨセミテ渓谷の中心部にたどりつきます。
東を見上げると「ロイヤルアーチ」という、花崗岩がアーチ状に剥落した絶壁が広がります。
その上にはきれいなドーム型の岩山「ノースドーム」。
そしてさらに東にはハーフドームがあります。

半円を半分にわったような形のハーフドームは、谷底から1500メートルほどの高さ。
かつては登頂不可能といわれていましたが、1875年に登頂ルートがひらかれて、現在では南まわりで5時間以上かけて登ることができます。
日程に余裕のある場合はチャレンジみてください。
またドームの断面側はロッククライミングの難所としても知られています。

このハーフドームをはじめヨセミテ渓谷を間近に見下ろせるポイントが「グレイシャーポイント」。
かつてジョン=ミューアがルーズベルト大統領とキャンプをはった場所でもあり、日の出と日没時にはとくに人気のスポットとなっています。

ヨセミテ渓谷の見どころ(川と滝)

ヨセミテ渓谷の見どころ(川と滝)

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初春の「フラジールアイス」と、ヨセミテ滝

ヨセミテ渓谷に流れているのは、マーセド川をはじめとしたいくつかの水系です。
標高が高いため水は澄んでいてしかも冷たく、散策でほてった体をここちよく冷やしてくれます。
水量が多いのは春あたりで、逆に秋になると水量はすくなくなります。
またヨセミテ渓谷にはたくさんの滝もあって、とおくからながめたり、近づいてミストを浴びたりすることができます。

初春、雪解けがはじまると、ヨセミテの川では「フラジールアイス」という現象を見ることができます。
これは雪のかたまりや氷晶がシャーベットのように川をくだるもので、しゃらしゃらと音をたてて白い結晶が流れていく様子は幻想的です。
4月ごろによく見られますが、2月や3月からはじまることもあります。
最新の情報をチェックされてください。

ヨセミテ渓谷で最大の滝はヨセミテ滝です。
アッパーフォールとロウアーフォールに分かれていて、2つ合わせると高さは739メートルになります。
渓谷の中心部からすぐに行けるので、おおぜいの観光客がおとずれます。
ちなみに雪解けのころ、アッパーフォールでは雪が大量のしろい砂のようにふりそそぐ「アイスコーン(スノーコーン)」という現象も見ることができます。
逆に夏場にはロウアーフォールで水遊びする人たちをよくみかけます。

ほかにも魅力的な滝がいっぱい

ヨセミテ滝とならんで人気のスポットが、ハーフドームの南にあるネバダ滝とバーナル滝です。
この2つはマーセド川本流にある滝なので、水量が多く、雪解け水がすくなくなる秋にも枯れることなく見学することができます。
バーナル滝と、さらに奥にあるネバダ滝には、ミストトレイルまたはジョン=ミューアトレイルという遊歩道が通じています。

カテドラルロックの近くには、ブライダルベール滝があります。
流れおちる滝の水が風になびいて、花嫁のベールのようにみえることからこの名前がつきました。
とくに水量の多い5月ごろには、すてきなベールがみえるでしょう。
ただ近づきすぎると水しぶきをあびてずぶ濡れになりますのでご用心。

またエル=キャピタンの東側には、ホーステイル滝もあります。
直訳すると「馬のしっぽ」という名前の滝で、その名のとおり水量は多くありません。
ただこのホーステイル滝では、年に数回だけ、滝の水が赤く燃えるようにみえる「ファイアフォール」という現象を見ることができます。
2月中旬ごろ、雲のない夕暮れ時、夕日がまっすぐに滝にさしこむと、10分ほど滝の水が赤く染まります。
とても神秘的な光景ですが、雪解け水がじゅうぶんにあること、晴天であることなどが条件なので、気候をよくチェックしてから行くといいでしょう。

ほかにもヨセミテ渓谷にはたくさんの滝や川、湖などがあります。
トレイル(遊歩道)もいくつも伸びているので、ぜひいろいろな水系にふれて心癒されてください。

ヨセミテ渓谷以外の見どころ

ヨセミテ渓谷以外の見どころ

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マリポサ=グローブ、タイオガロード

ヨセミテ渓谷には見どころが多く、ほとんどの観光客が訪れますが、それだけに夏場などのハイシーズンは混雑もつきもの。
そこで人もすくなくてゆっくり楽しめる、ヨセミテ渓谷以外のおすすめスポットも紹介しましょう。

公園の南、ヨセミテ渓谷から20キロのところには、マリポサ=グローブがひろがります。
巨大なセコイアの木々の下には遊歩道がいくつもあって、とくに朝早くの森林浴などはとても心地よいでしょう。
クラークがほった木のトンネルも残っています。
体力に自信のない場合は1時間ちょっとのトラムツアーもあるので、車にのって見学してまわることもできます。
またマリポサ=グローブから北西に5キロのところにはワオナホテル(現在はビッグツリーズロッジ)もあります。

ヨセミテ渓谷の北にはタイオガロードという道が東西に約60キロはしっています。
ここは絶好のドライブコースです。
渓谷とちがって比較的平坦な風景がひろがり、木々や草原、ひろい青空とそれを映す湖など、のんびりと眺めながらドライブすることができます。
タイオガロードの途中にはオルムステッドポイントという絶景場所があり、南にハーフドームの絶壁、東にテナヤ湖、北にホフマン山などを見ることができます。
グレイシャーポイントよりおすすめという人もいます。

トゥオルミ=メドウス、ライエル山、ヘッチ=ヘッチー渓谷

タイオガロードの東出口ちかくには、トゥオルミ=メドウスという草原がひろがります。
ここはカリフォルニアに水を供給するトゥオルミ川とタイオガロードが交差する場所で、おだやかな川の流れとすてきな木々の風景から、ヨセミテの一大キャンプ地ともなっています。
ロッジのほかにもビジターセンターやカフェ、雑貨店にガソリンスタンドまであるので、ちかくまで来たらぜひ立ち寄ってみてください。

このトゥオルミ=メドウスから、トゥオルミ川を歩いてさかのぼると、公園内の最高峰、ライエル山に登頂できます。
標高3997メートルから一望するヨセミテの自然は最高です。
またタイオガロード沿いにはトゥオルミ=メドウス以外にもいくつかキャンプ地があります。
なお、11月から5月にかけて、タイオガロードは雪のため閉鎖されますので、開通時期はヨセミテのホームページや旅行代理店などでよくチェックされてください。

タイオガロードからさらに北には、ヘッチ=ヘッチー渓谷があります。
トゥオルミ川の流れがつくった渓谷で、いまは貯水湖になっています。
これはジョン=ミューアたちの反対運動もむなしく建設されたダムで、自然保護運動の最初の地ともいえます。
ダムでは魚釣りをしたり、周囲をトレッキングしたりして楽しむ人もいます。
ちかくにはワパマ滝という美しい滝も見ることができます。

ヨセミテの楽しみ方

ヨセミテの楽しみ方

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いろんなトレイルを歩こう

ヨセミテ国立公園を満喫するには、ドライブもいいですが、ハイキング(トレッキング)がおすすめです。
ヨセミテには長短さまざまなトレイル(遊歩道)が整備されていて、総長1200キロにもおよびます。
日程や目的、体力などにあわせて、いろんなハイキングを楽しんでください。

多くのトレイルはヨセミテ渓谷の中心、ヨセミテヴィレッジから伸びています。
ヨセミテヴィレッジにはビジターセンターや各種ショッピングもあり、ここで情報と備品をそろえてから出発してもいいでしょう。
てごろなトレイルとしては、センチネルドームにのぼるものや、鏡のような美しさのミラー湖に行くミラーレイクトレイルなどがあります。
どちらも片道1時間とかかりません。

バーナル滝とさらにその奥のネバダ滝へのコースも人気があります。
バーナル滝の直前部分では、水量のおおい時期はミストでずぶ濡れになるのでカッパが必需品です。
そこからさらに進むと、ハーフドームへのトレイルになります。
片道5、6時間ていどかかるので、じゅうぶんな装備と水分を持参しましょう。
とくに最後の150メートルは傾斜がきつく、ロープをつたって歩くので、軍手か手袋がかかせません。

また、ヨセミテ滝の上にでるトレイルも人気があります。
片道3時間かかり、ほとんどがきつい登りですが、上からみるヨセミテ滝の絶景をもとめておおくの人が歩いています。
水量のおおい時期の午後には、滝に虹がかかっていることもあります。

たくさんのレクリエーションと施設

トレイルはヨセミテ渓谷以外にもあって、とくにトゥオルミ=メドウス付近はいろいろなトレイルが整備されています。
また登山道のような山登りのトレイルもあり、さらには全行程に3週間かかる「ジョン=ミューアトレイル」などもあります。
長短いずれのトレイルを行くにしても、歩きやすい靴と、服装と、装備と、じゅうぶんな水分をもって歩きましょう。

またヨセミテではラフティングやサイクリングも楽しめます。
ラフティングはヨセミテ渓谷のハーフドームヴィレッジという場所でボートを借りて、マーセド川をくだります。
流れがゆるやかなので、急流だとこわいという人にも安心です。
サイクリング用の自転車はヨセミテバレーロッジかハーフドームヴィレッジでレンタルできます。

また乗馬が楽しめるのもヨセミテのかくれた魅力です。
ヨセミテ渓谷と、トゥオルミ=メドウスと、ワオナの3か所で体験できます。
とくに子ども連れの家族に人気のアトラクションとなっています。

そしてヨセミテ渓谷には、さまざまなレストランや、お土産屋さん、博物館に、アンセル=アダムスのギャラリーまでそろっています。
また公園内には13か所のキャンプ場もあります。
いろいろな楽しみ方でヨセミテ国立公園を満喫してください。

ヨセミテの宿泊と、気をつけること

ヨセミテの宿泊と、気をつけること

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ヨセミテ国立公園に泊まろう

ヨセミテの魅力を味わうには、日帰りではたりません。
ヨセミテの入場料もいちど払うと7日間はフリーパスになるので(2017年1月現在の入場料は車30ドル、バイク20ドル、その他15ドル)、ぜひとも数日かけて、いろんなスポットを見てまわってください。

そのために宿泊が必要になりますが、ヨセミテ国立公園内にはさまざまな宿泊施設が整っています。
もっとも有名なのはマジェスティック=ヨセミテ=ホテル(旧アワニーホテル、2016年にヨセミテの管理会社が変わったため名称変更)。
ヨセミテ随一の高級ホテルで、アップル社のスティーブ=ジョブズが結婚式を挙げたことでも有名です。
料金は高めですが、木のぬくもりとホスピタリティを感じられ、おちついて宿泊できるでしょう。

ほかにもヨセミテ渓谷には「○○ロッジ」「○○ヴィレッジ」などの名前で、モーテルやキャビンがあります。
またヨセミテ渓谷以外にも、温水プール付きのエバーグリーンロッジ(ヘッチ=ヘッチー渓谷ちかく)から、共同シャワーとキャビンだけのホワイトウルフロッジ(タイオガロード沿い)まで、値段によってさまざまなレベルの宿泊施設がそろっています。
そして公園近郊にも観光客用のホテルはたくさんあります。

宿泊料金や設備、訪れたい場所からの距離、レンタカーの有無などとあわせて、よく計画して予約しましょう。
ヨセミテ公園内の宿泊予約はすべて、Yosemite Concession Serviceのホームページ(http://www.travelyosemite.com/)からおこなえます。
ちなみに夏場は絶望的に混雑するので、予約はおはやめに。

ヨセミテを訪れるときに気をつけること

ヨセミテ国立公園は自然そのものですので、旅行のさいにはいくつか注意点もあります。
まずひとつは現地の気候。
公園自体は365日開園していますが、とくに冬場には危険防止のためかなりの観光スポットが閉鎖されます。
解放される時期はその年の気候によってまちまち。
また車のチェーン規制もあるので、最新の情報を入手してから訪れるようにしましょう。

つぎに服装です。
ヨセミテは標高が高いため、夏場でも夜は気温が下がります。
またハーフドームなどさらに高い場所に登るなら、厚手の服がかかせません。
環境への配慮からエアコンを置いていないホテルもあるので、重ね着できる服を持っていきましょう。
ハイキングをするなら履きなれた歩きやすい靴も必須です。

またヨセミテではいろんな野生動物と出会います。
とくに注意してほしいのはブラックベアとよばれる北米のクマ。
おとなしい種類のクマですが、もし出会ったら、すみやかにさっと離れましょう。
またハイキングやキャンプのさいの食べ物はベアボックスという鉄製のロッカーにしまうこと。
車のなかに残しておくのもやめましょう。

最後に園内の駐車場ですが、ハイシーズンの昼ごろには満車になります。
そこでおすすめは無料シャトルバス。
ヨセミテ渓谷を中心に、いろんなところへ連れていってくれます。
いちど車を停めたら、シャトルバスをうまく活用してください。

そうだ、ヨセミテの自然に会いにいこう

いかがでしたか。
ヨセミテ国立公園はひごろの忙しさや喧騒を忘れさせてくれる雄大な自然にみちています。
かつて欧米人がはじめてこの地をおとずれたとき、「われわれは天国の門の前に来たのだ」とつぶやいたとか。
日常をわすれて、ちょっとヨセミテで、心と体を癒しに行きませんか。
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