中世に開花した世界屈指のゴシック建築!景観と開発のはざまで苦悩したケルン大聖堂の歴史

wondertripでは世界の絶景を紹介していますが、歴史地区や古代都市などの絶景スポットは、その歴史を少しでも知ることでより観光が楽しめます。今にも残る世界遺産のストーリーは、知識欲も刺激されますね。本日はドイツ「ケルン大聖堂の歴史」をご紹介します。

ケルンが誇る人気No.1の観光地!ケルン大聖堂

ケルンが誇る人気No.1の観光地!ケルン大聖堂

image by iStockphoto

ヨーロッパのちょうど中心にある人口100万の大都市、ケルン。
紀元50年にはアグリッピナ植民都市と称された古い歴史を持つ地です。
785年にカール大帝によって司教座が置かれこの頃から中心都市として栄えるようになりました。
1288年には帝国自由都市として隆盛を極めています。
こんに素敵な歴史を誇るケルンには貴重な文化遺産が点在しています。
そのシンボル的存在となっているのがケルン大聖堂です。

現在は観光客だけでなくドイツの人々の間でも人気の観光スポットで、ドイツで最も訪問者数が多い観光地となっています。
実は、ケルンは第二次世界大戦で焼け野原となりました。
しかし、奇跡的にこの大聖堂だけは破壊されずに残っています。
そういう意味でも、このケルン大聖堂は歴史的文化遺産として大切な存在なんです。
今回は、想像以上の巨大さに圧倒される、ケルン大聖堂の成り立ちと見どころ、世界遺産に登録されたからこその苦労に少しだけ触れてみたいと思います。
ドイツが世界に誇る大聖堂の魅力をぜひ、味わってくださいね。

ケルン大聖堂の住所・アクセスや営業時間など

名称 ケルン大聖堂
名称(英語) Cologne Cathedral
住所 Domkloster 4, 50667 Köln
営業時間・開場時間 (5-10月) 6:00-21:00 / (11-4月) 6:00-19:30 / 日・祝 13:00-16:30
利用料金や入場料 大聖堂:無料 / タワー:4ユーロ
参考サイト https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B1%E3%83%AB%E3%83%B3%E5%A4%A7%E8%81%96%E5%A0%82
最新情報は必ずリンク先をご確認ください。

ケルン大聖堂とは?

ケルン大聖堂とは?

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ケルン市中央駅に降りるとすぐに目を引くのが今回ご紹介するケルン大聖堂。
ドイツ・ゴシック様式で造られた高さ157メートルの大聖堂は、かつて世界一の高さを誇った堂々たる姿に圧倒される人も多いという大聖堂です。
この大聖堂が建つまでは、ピラミッドが世界最高の高さでした。
ピラミッドを追い抜いての堂々の一位に輝きました。
このケルン大聖堂の正式名称は、「ザンクト・ペーター・ウント・マリア大聖堂」となっています。
天を突きさすように聳える2本の尖塔の姿は、写真では味わえないほど壮大です。

この大聖堂が建てられたときのテーマは「天」だったとか。
天にいる神様に少しでも近づこうとひたすら高さを求めて造られ、632年もの歳月を経て完成しました。
今でも歴史的建造物の一つとして聳え立つ姿になるまでは、壮大なスペクタルがあったのでしょう。
このケルン大聖堂は、ゴシック様式の傑作として1996年にユネスコの世界遺産に登録されています。
ケルン生まれのオーデコロンの香りに包まれながらの観光はとっても素敵ですよ。

ケルン大聖堂の始まり

ケルン大聖堂の始まり

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このケルン大聖堂は、大司教によって建設の命を下され、1248年より建設が始まりました。
1320年には内陣部が完成し1322年には献堂が完成しています。
しかし、1559年からは宗教改革による資金不足により工事は一時中断されました。
1842年まで放置されるも、やっと建設にこぎつけた大聖堂は、オリジナルの設計図に基づき建設が再開されたのです。

スペインのサグラダファミリアにはかないませんが、完成したのは1880年。
ナント632年もの月日をかけて完成にこぎつけました。
でも、建設当初には、既に1880年に出来上がると予想していたのだとか。
途中282年もの間中断されたのにかかわらず、計画通りに完成させた凄さには敬服します。
このとても大きな大聖堂を作ったのはフランスで大聖堂の建設経験がある「ゲルハルト」です。
彼は、フランスのアミアン聖堂を模して設計していたのではといわれ、深く長い内陣や礼拝堂の配置などが似ています。

ゴシック建築の傑作!ケルン大聖堂

ゴシック建築の傑作!ケルン大聖堂

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ゴシック建築はもともと権力の象徴らしい重厚さを持っており、高く天空につき上げるように聳え立つ尖塔アーチと飛梁を採用したフライング・バットレス、骨組みをむき出しにしたようなリヴ・ボールドを設置したことから、大きなステンドグラスの設置が容易になりました。
フランスのパリで12世紀の半ばに現れたゴシック建築を採用した功績によるものです。
さすが、ゲルハルトといったところでしょうか。

どうして天にまで届くほどに高い聖堂が必要だったんでしょうね。
キリスト教にとっては光が神そのものという考え方があり、ステンドグラスから降り注ぐ光や、天高く聳え神様に少しでも近づきたいという夢の実現だったのではないでしょうか?荘厳で芸術性の高い意匠を誇り見応えのある大聖堂の完成は、人々にとってどれほど誇り高いものだったかを、ケルン大聖堂が語っているような気がします。

壮麗な装飾が見事なケルン大聖堂

壮麗な装飾が見事なケルン大聖堂

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818年に完成した2代目のケルン大聖堂は1248年に火災に遭い、喪失しています。
ドイツの代表的ゴシック建築とされるこの聖堂は、3代目です。
高い高いというこの大聖堂には、枝のように聳える尖塔の先にまで精緻な装飾が施されています。
また、金属を使用せず石を積み上げただけで、こんなに高く建てられているのには驚かされます。
西ファサード入口の壮麗な彫刻は、特に必見です。

「ペトロとパウロの一生」を彫り込んだ門から堂内に入ると高さ43.5メートルを超える五廊式の身廊があり、その素晴らしさには目を見張るものがあります。
ゴシック様式の特徴であるリヴ・ボールド円天井と小塔アーチが連続する開放的な空間に、目いっぱい取り付けられたステンドグラスからの神々しい光は息を飲むほどの美しさです。
このステンドグラスの南側の色鮮やかなステンドグラスは、バイエルン王のルートヴィヒ1世が奉納しており「バイエルン窓」と呼ばれています。

美術品の宝庫のケルン大聖堂

美術品の宝庫のケルン大聖堂

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必見なのは中央祭壇に安置される、イエスの生まれた印の星を見たという東方三博士の聖遺物と共に、1164年にこの聖堂に運ばれた世界最大といわれる黄金細工の柩です。
この祭壇の右上の柱には、「ミラノのマドンナ」と呼ばれている聖マリアの彫像があり、優しく佇んでいます。

祭壇周辺には、1440年にシュテファン・ロッホナー作の『市の守護聖人の祭壇画』も見る価値ありです。
976年にゲロ大司教の手で造られたキリストの十字架『ゲロクロイツ』があり、この十字架に施されたキリストはキリスト像の原型となったといわれています。

世界遺産ケルン大聖堂の苦悩

世界遺産ケルン大聖堂の苦悩

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2004年にユネスコはケルン大聖堂を危機遺産に指定しました。
その理由は1キロメートル以上離れたライン川対岸の再開発計画にあります。
100メートルを超す5つの高層ビルを建てる計画があり、既にひとつが建てられました。
この様子を見たユネスコは、大聖堂周辺の都市景観が歴史的な完全性を損なうと警鐘を促したのです。

都市は発展しないと潤いを失い忘れ去られます。
ヨーロッパの中央にあり発展が期待されているケルンにとって都市化が進められないということは重大な問題でした。
なぜ、近代都市を造ってはいけないのか?と疑問に思いませんか。
街の中心に聳えるゆるぎない姿が世界遺産として重要なのだとユネスコは訴えているのです。
景観が原因で危機遺産に登録されたのはケルン大聖堂が初めてのことでした。

危機遺産から脱出したケルン大聖堂

危機遺産から脱出したケルン大聖堂

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ケルン市側は経済成長を止められないと都市開発を進めることは重要であるとして、景観と開発の両立の難しさに苦悩することとなったのです。
ユネスコ側は世界遺産周辺の開発は、規定の順守が関係しユネスコと協力して行うべきと主張しました。
中世以来の700年の歴史を誇るケルン大聖堂は、現代的な課題と直面したのです。

ケルン市は開発における規制を作り、景観を守りながら開発する道を選びました。
それは、計画した高層ビルの高さに制限を設け、緩衝地帯を広く持つことを約束したのです。
この危機を切り抜けるなんて、ケルンって素晴らしい都市なんだなぁと改めて思いました。
こうしたケルン市側の努力が報われ、2006年に危機遺産リストから削除されています。
今後も起こり得る都市の発展と歴史的建造物を守るということの難しさは、ケルンだけでなく世界中の課題となっていくのではないでしょうか?

ヨーロッパの中心に聳え立つゴシック様式の傑作!ケルン大聖堂に訪れてみませんか?

ドイツ文化の誇りとされるケルン大聖堂。
157.31メートルの南塔と157.38メートルの北塔の双塔は現在も高く聳えています。
南塔には509段の階段があり、109メートルの高さにある展望台からはケルン市街とライン川を一望できます。
展望台から景観と開発の問題を見事にクリアして、ケルン大聖堂を危機遺産んから脱出させたケルンの街並みを満喫してください。
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