世界遺産のきっかけをつくった人類の宝『アブ・シンベル神殿』

現在世界中には数多くの世界遺産があり、それらは私たちが後世に伝えていくべきものとして大切に保護されています。その世界遺産条約のきっかけとなったのが、エジプトに残された岩の神殿を守るための活動でした。ここではそんな、世界遺産の契機となったエジプトのアブ・シンベル神殿についてご紹介します。

アブ・シンベル神殿(Nubian Monuments from Abu Simbel)

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アブ・シンベル神殿はエジプトはアスワンの南280キロ、ヌビア地方にある神殿。岩山をくり抜いて造られた大小2つの神殿から成り、大神殿は高さ33m、幅63、奥行き63mにも及ぶ巨大な岩窟神殿です。

アブ・シンベル神殿(Nubian Monuments from Abu Simbel)

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約3000年前にラムセス2世によって建てられたこの神殿には、高さ20m以上もある4体のラムセス2世像が刻まれています。像の上には太陽神ラーとそれを礼拝するヒヒの像が並び、足下には王妃や王子が刻み込まれています。

アブ・シンベル神殿(Nubian Monuments from Abu Simbel)

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ラムセス2世は建築王とも呼ばれ、この神殿の他にもカルナック神殿、ルクソール神殿など、多くの神殿を築きました。

アブ・シンベル神殿(Nubian Monuments from Abu Simbel)

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このアブ・シンベル神殿にはヒッタイトの軍勢を蹴散らすラムセス2世の勇ましい様子が派手に描かれています。エジプトの王たるもの、人民には太陽神としての威厳を示さねばならなかったのでしょうが、研究によればエジプト軍は終始劣勢で、ラムセス2世は命からがら逃げ延びたとか。

アブ・シンベル神殿(Nubian Monuments from Abu Simbel)

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この神殿が数千年の時を超えて世界中から注目を浴びるようになったのが1950年代のこと。アスワン・ハイ・ダムの建設計画により、この神殿を含むヌビア遺跡群はダム湖の底に水没することとなったのです。これに対してUNESCOが遺跡を救済すべきというアピールを展開し、巨大遺跡群を切り分けて高い位置に移動させることに。

アブ・シンベル神殿(Nubian Monuments from Abu Simbel)

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これが契機となり、価値ある遺産を守ろうという動きの中で採択されたのが世界遺産条約です。この神殿は現代を生きる私たちに、人類や地球が歩んできた歴史を敬い後世に残す、という道を示してくれたのです。

アブ・シンベル神殿(Nubian Monuments from Abu Simbel)

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輝く太陽の下に3000年もの間そびえたつ、大迫力の岩の神殿。それを造った古代の人々の想いと、それを残すことに情熱を捧げた現代人の想いが融合した、奇跡の建造物です。

アブ・シンベル神殿(Nubian Monuments from Abu Simbel)への行き方


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エジプトの首都カイロへは直行便もしくはヨーロッパや中東の主要空港経由で。
カイロから国内線もしくは列車(16時間)で、この地域の遺跡群観光の中心地アスワンへ向かいます。
アブ・シンベルはアスワンから南へ280kmほどの位置にあり、アスワン発着の飛行で向かうのが一般的です。