「ブランド人になれ!」感想。君はパンツを脱げるか?

旅と読書が好きなwondertrip編集長・廣瀬(@hirosekatsuya)です。「ブランド人になれ!」の読書感想記事をお届けします。

「ブランド人になれ! 会社の奴隷解放宣言」はこんな本

「ブランド人になれ! 会社の奴隷解放宣言」はこんな本
「ブランド人になれ!」は、ライブドア、LINE、ZOZOと渡り歩いてきたプロサラリーマン・田端信太郎氏が「いかに自分の名前をブランド化するか」を論じた本。Twitterでも言動が注目される田端氏の4年ぶりの新著ということで期待して購入。その感想をお届けします。

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この本は、田端氏が彼自身最高峰に自分をさらけ出している本

最近嬉しかったことがあったのですが、

人はなぜ読書をするのか、という考え方について、おそれ多いのですけど、幻冬舎・見城徹氏と同じだったんですよね。

というのも、

見城氏の新刊「読書という荒野」を読んで、その中に彼が本を読む理由のひとつに「読書をすれば無数の人生を体感できる」という話がでてくるのですが、

これはまさしく僕の選書基準だったりします。

僕は、他人の人生を疑似体験できるような本ばかりを好んで読んでいます。

勝手にこれを読書エクスペリエンスなどと読んでいます。

もちろん自己啓発本だっていいし、知識を獲得する手段としても本は優れていると思います。ただ、読書の最大の魅力は、単なる知識の獲得ではなく、「他人の人生の疑似体験」だと強く感じているから、

「7つの習慣」「ビジョナリー・カンパニー」など結局読破はしなかったのに、ここ1年の本でも「SHOE DOG」「江副浩正」などは大好物だったりします。

「江副浩正」なんて、リクルート創業者・江副浩正の妻との馴れ初めから始まり、資金繰りに窮してひりつく起業秘話から、逮捕後の理不尽な仕打ちまで明かされている。

これも見城氏の言葉を借りれば”内臓と内臓を擦り合わせるよう”な読書であると思うし、単に目で文を追うだけの読書にとどまらない、読み終えた日は寝れない感覚を覚えることができます。

※ちなみにナイキ創業者の「SHOE DOG」も、読み終えた日は寝れない系の本ですが、同じく妻との馴れ初めが明かされています。医療法人徳洲会の「神になりたかった男 徳田虎雄」もそうだったな。なんだか成功した起業家は本を書く時に妻との馴れ初めを書くものなのだろうか。

それはともかく、読書エクスペリエンスという選書基準でいうと、優れた本は「どこまで赤裸々なのか?」「どこまでさらけ出しているのか?」ということが個人的にポイントになってきます。

そんな中、「田端本」は彼の捉えるメディア論は好きで定期的にフォローしてきたし、僕も彼の本によって考えをアップデートしてきたひとりなのですが、

この本は、田端氏が彼自身最高峰に自分をさらけ出している本だと思うのです。さらけ出し度が相当高い。

さらけ出し度の基準でいうと、

「おいおいそんなこと言っちゃって大丈夫?」

とこちらが心配になる本こそ、このレベルが高いと思いますが、まさしく心配になる箇所のオンパレード。

特によかったのはこのあたり

さらけ出し度が傑出している本だから、見ごたえが多いし、だからこそ心を揺さぶるものがあるのだと思います。特に赤裸々だなー、よかったなーと思ったのはこのあたり。

・「時効だから許されると思うが…」で始まる話。

・過去最も炎上した、差別用語を使ってしまった話。

・妻に感謝されない、家庭は理不尽、のくだり。

僕が読書に求めているのは、こういう話なのです。

こういう、田端氏が先に失敗してくれたことをシェアしてくれるおかげで、僕は何周でも人生を生きることができる、そういう感覚を得ることができるのです。

こういう感覚が得られる本こそ最強のビジネス書だとさえ思う。

また、軽く読めるのは箕輪本の特徴だし、それが僕は好き。口当たり軽いのにハイカロリーな本を作るのは本当に上手だと思う。

口溶けの良さにすぐ味わってしまったひとは「100分の1に薄めたカルピスのような本」とか言うのだろうけど、

受け取るひとによっては、エネルギーの向け場所に困るくらいの感覚を得るはずなんですよね。

最後に痛い一発を放つ、読後感ある本

最後に読後感についてもひとつ。

ベストセラー「夢をかなえるゾウ」は、自己啓発本を読んだ読者に行動を促します。トイレ掃除をしないと次の章に進めないようになっているわけです。自己啓発本を読んで行動に移さないひとを指摘する傑作だと思います。

僕もなんなら、読書好きであるプロフィールを通じて、自己啓発本を読んで行動に移さないひとをどこか笑ってきた方かもしれない。

ただ、「夢をかなえるゾウ」などで指示される宿題は、まだかわいいほうだったのだと痛感することになりました。

「ブランド人になれ!」は、軽快なフレーズを続けて最後までさくっと読ませたくせに、最後の最後で「お前もパンツを脱げ」などという、難易度の高い宿題を要求してくるわけです。

安全な位置から本を読んできた読者を、絶望の淵に追いやる秀逸な一言だと思いましたね。

僕は、経営が忙しいなどの言い訳をつくり、自分の発信はサボってきた自覚があります。それでも、今年のはじめにはあちゅうさんの『「自分」を仕事にする生き方』を読んで、ああやっぱりTwitterはやろうかな、と思い、自分の中でスタートできたのが、淡々と本の感想を書き込むだけのTwitter。まさしくパンツは脱いでないわけですな。

だからこそ今回こそまずはパンツを脱ごう、行動に移そう。
そう具体的に思わせてくれた本でした。

果たしてパンツが脱げているのか、ぜひ私のTwitter(廣瀬 : @hirosekatsuya)を見ていただき、(できればフォローして)指摘してほしい。

発信するのって不安だし、滑ってないかなとか、独りよがりじゃないのかなとか、どうせ誰も見ていないのに細かい所とか気にしちゃいますよね。パンツを脱ぐって実際どういうことなのか、脱げてるのかなと、これから自己検証・自己嫌悪の旅がはじまるのだろう。

ただ、本を読んで何か一歩を踏み出せた爽快感はある。この爽快感が、この本の魅力なんじゃないかな。

さてそろそろ締めるとします。

「ブランド人になれ! 会社の奴隷解放宣言」は、知っている企業・事業の名が多くでてきて、読み心地はよく、読後感も強烈でした。本を読んだらきっと得られる、向けどころに困るほどのエネルギー。あなたはどうしますか。

おすすめの本です。

廣瀬

Writer:

wondertrip編集長。短い日程で多くの観光地を巡るエクストリームな旅行を得意とする。またお土産調査が趣味で、旅行に行くたびに編集部はお土産まみれになる。一番得意なエリアは京都。

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