世界で最も天国に近い国。ネパールの生きた神様「クマリ」の存在とは

世界で最も天に近い国といわれている国ネパール。世界最高峰の山であるエベレストで有名なこの国は「天空の国」とも呼ばれており、世界中の人々を魅了してきました。そんな天に近いネパールにはなんと‘神様’が実在するのだとか。今回はそんなネパールに実在する神様「クマリ」についての秘密を探ります。


天空の国ネパールとはどんな国?

天空の国ネパールとはどんな国?
ネパールは東南アジアに位置し、北は中国、南はインドに挟まれている内陸国です。
日本の約半分ほどの面積で、人口は約2600万人。
首都カトマンズは日本から直行便で約7時間の場所にあります。
ネパールはエベレストを含むヒマラヤ山脈に囲まれているため寒い国だと思っている人も多いでしょう。

実は首都カトマンズを含む多くの人々が住んでいるのは、熱帯または亜熱帯地域なのです。
街にはハイビスカスなどの南国植物が咲き乱れており、トレッキングを始めジャングルでのサファリやラフティングなどのアウトドアを楽しむことができます。
また、ネパールには多くの民族が暮らしており、その数は50種にも及ぶのだとか。
そのためさまざまな文化が入り交ざったネパールの生活は、言語をはじめ食事に至るまでバラエティに富んだ面白さがあり訪れた人々を魅了しているのだそう。

実在の神様「クマリ」とは一体? 

実在の神様「クマリ」とは一体? 
そんな美しい自然を持つ「天空の国」ネパールには、その名も「クマリ」という少女の神様が実在するのだそう。
昔からネパールには数千もの神様がいると言われており、中でもクマリは生き神様として人々に信仰されてきました。
特に首都カトマンズのクマリは‘ロイヤルクマリ’と呼ばれ、ネパール王も頭が上がらないほどの最高位のクマリなんだとか。

ロイヤルクマリはカトマンズのにある‘クマリの館’(Kumari Bahal)に住んでおり、年に1度の祭事の他は外に出ることもなく、人に会うこともないのだそう。
彼女の他にも各都市にローカルクマリと呼ばれる少女がおり彼女たちは皆、初潮を迎えるまでがクマリとしての任期になります。
そんなクマリに選出されるのはネパールで最も名誉があり、厳しい条件をクリアした者だけが選ばれるそう。
ではその条件とは一体どんな条件なのでしょうか。

クマリになるためのハイレベルな条件

クマリになるためのハイレベルな条件
栄誉あるクマリには32の条件があると言われています。
まず最初の条件は、ネワール族という民族であること。
そして仏教徒であり、満月に生まれた初潮を迎える前の少女でなければなりません。
さらに外見的な条件に、牛のようなまつ毛、やわらかく繊細な手、ライオンのような胸、ほら貝のような頬、青または黒の目、などいった条件があります。

内面的にも神を宿しているかを見極める試練があり、それは水牛の生首が置かれた小屋で一晩を過ごすというもの。
まだ3~4歳といった幼い少女は一人で夜を過ごすだけでも泣いてしまうでしょう。
しかしこの際に泣きわめくことのない者がクマリだと考えられているそう。
他にもこのような厳しい条件を満たしているかどうか、ヒンドゥー教司祭と仏教の高僧5人で判定し、クマリが選ばれるのだそうです。

クマリ発祥にまつわる言い伝え

クマリ発祥にまつわる言い伝え
ネパールのこのような文化は、一説によると6世紀ごろから始まったと考えられています。
そもそもなぜ大人ではなく‘少女’を神様として選出するのでしょう。
それにはこんな言い伝えがあるのだそう。

昔、カトマンズの王が、ネパール国の守護女神タレジュと遊んでいたときに目にした、赤い衣装の美しい女神に心が乱れてしまいました。
そんな王の心を見抜いた守護女神タレジュは「王朝の終わりは近い」と言い残し姿を消しました。
それを知った王は、タレジュを取り戻そうと祈りを捧げましたが、タレジュは「もう一度会いたいと望むのであれば、美しく穢れのない32の条件を備えた幼ない純潔の少女を選びなさい。
その中に宿り、あなたと会うことにしよう。」と告げます。
王は、すぐにその条件を満たす少女を探し出し、クマリとして崇拝し始めました。

こうした言い伝えにより、現在もクマリにはそのタレジュ女神が宿るといわれています。
そしてタレジュのもつ力を信じる人々が幸福へと導かれるのだとか。

クマリが人々に与える大きなパワー

クマリが人々に与える大きなパワー
女神の力が宿るクマリには、すばらしい力があると信じられています。
一説によるとクマリには未来を予言する力があるのだとか。
人々の災厄を遠ざけ、病気を治したり、繁栄をもたらすといった御利益があると考えられているます。
その力はとても大きく、ひと目見るだけで幸運を呼び込むほど強力だと言われています。

そんなクマリは言葉でそれらを伝えることはせず、笑うことも言葉を発することもなく、身ぶりや表情で神の意思を表すのだとか。
また、人前には姿を見せないクマリですが、年に1度、山車に乗って町を巡り繁栄と成功の力を与える「インドラ・ジャトラ」という祭りの際にその姿を現します。
祭りの時期になると彼女を一目見ようと地元の人々はもちろん、多くの観光客も訪れ人々の幸福を祈るのだそうです。

スピリチュアルなネパールで新しい世界が広がる

壮大なヒマラヤに見守られたネパールは、生活の中に「祈り」や「信じる心」のあるとてもスピリチュアルな国です。
クマリを目にすれば、科学では証明できない不思議な力を感じることができるかもしれません。
また、少女であるクマリたちは、大人が忘れてはならない「無心さ・純潔さ・非俗悪さ」といったこれらの大切な精神に気づかせてくれます。
常に幸福を願い、平和を祈る、そんなネパールの文化に触れることで、きっとこれまでに感じたことのない世界を広げることができるかもしれませんね。
photo by iStock
katsuya

Writer:

かつて仕事の都合で東京←→京都を年100回往復していました。京都の西七条に家を借り、なんと結婚相手も京都で見つけました。「地元民ではないけど、だからこそわかる京都」の魅力をお伝えします。

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