レストランやアートギャラリーに変身!大阪にある大正時代の建築物たち

日本では東京、名古屋に次ぐ「3大都市」に数えられる大阪。多くの歴史・観光スポットに恵まれた大阪にはこの地をを代表する観光スポットである「大阪城」、前方後円墳としては日本最大級の「大仙陵古墳」といった歴史スポットが存在しています。今回はその大阪に残る歴史的スポットから「大正時代」に建設された建築物を見ていきましょう。

歴史的著名人が講演を行った「大阪市中央公会堂」

歴史的著名人が講演を行った「大阪市中央公会堂」

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北区にある「大阪市中央公会堂」は大阪市北区中之島にある集会施設。
1911年(明治44年)に株式仲買人・岩本栄之助が公会堂建設費として100万円(当時の価格)を寄付したことから建設されることになり、岡田信一郎案に基づいて当時の建築家・辰野金吾と片岡安が設計。
1918年(大正7年)の竣工後は講演や会合などに使用され、社会福祉家のヘレン・ケラー、ソビエト連邦の宇宙飛行士ユーリイ・ガガーリン、物理学者アルベルト・アインシュタインなど有名人がここで公演を行ったことも。
そうそうたる顔ぶれが姿を見せた格式高い場所ですね。

建物としては「ネオ・ルネッサンス様式」を基調とながら「バロック」の雰囲気も持ち、アーチ状の屋根と松岡壽によって「天地開闢(てんちかいびゃく。
世界の始まりを指す言葉)」が描かれた特別室の天井画・壁画も特徴。
現代まで「日本有数の公会堂建築」とされています。
近年は老朽化が進んでいましたが1999年(平成11年)3月から2002年(平成14年)にかけて行われた保存再生工事によって竣工当時の姿を取り戻し、ライトアップも行われるようになりました(時間は季節によって異なる)。
住所:大阪府大阪市北区中之島1-1-27

90年以上も現役のビル「船場ビルディング」

90年以上も現役のビル「船場ビルディング」

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1925年(大正14年)に竣工した船場ビルディングは地下1層、地上4階、塔屋1層で構成されるビル。
竣工時は「オフィスと住宅を併せ持つ革新的なビル」として注目を集め、竣工後は災害や大戦を乗り越え、竣工から90年以上経過した現在は大正期の佇まいを残した貴重な建築物に。
現在も現役のオフィスビルとして使用されています。

建物のデザインとしてはタイル張りオフィスビルの外観、細長いパティオ風の中庭を設けて吹き抜けとした内部中央、その周囲に回廊を巡らせる造り。
内部中央のパティオ風の中庭はトラックや荷馬車などを引き込むのに便利な設計が採用されていますが、これは船場が問屋街として発展したためにとられたもの。
90年以上も昔の時代にはすでに機能性、デザイン性の高さを両立した建築物を造り上げていたのです。
ちなみに見学の際は事前連絡する必要があるため注意を。
住所:大阪府大阪市中央区淡路町2-5-8

大阪における「モダニズム建築」の先駆け「丼池繊維会館」


中央区の丼池(どぶいけ)筋にある「丼池(どぶいけ)繊維会館」は1888(明治21年)年に設立された大阪屈指の規模を誇った銀行「愛国貯金銀行」の店舗として1922年(大正11年)に建築。
「東洋一の商工都市」として近代化が進んだ大阪における「モダニズム建築」の先駆け的存在として発展。
その後は丼池で設立された会社の福利厚生施設などとして使用。

タイル張りで水平ラインを強調するデザインは同時期に建設された「大丸百貨店大阪店(現在の大丸心斎橋店本館)」や「帝国ホテル」のような大胆な装飾とは異なる当時では珍しいデザインでしたが、長い歴史の中で幾度も手が加えられ1997年(平成9年)には最大の特徴であったファサードが鋼製のサイディングに覆われ失われることに。

その後立て直しをするかリノベーションをするかの話し合いが行われたのちに「再生プロジェクト」としてリノベーションが進められ、2016年(平成28年)には20年ぶりに外壁が建設時のタイル貼りに復元。
現在はビル内にアトリエショップなどが入居しています。
住所:大阪府大阪市中央区久太郎町3-1-16

クラシックカー展示場に再生「築港赤レンガ倉庫」

クラシックカー展示場に再生「築港赤レンガ倉庫」

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築港赤レンガ倉庫(ちっこうあかレンガそうこ)は大阪市港区海岸通にある歴史的建建築物。
大阪港の第1号岸壁に沿って1923年(大正12年)に建設。
設計は住友財閥で多くの建築物を手掛けた建築家・日高胖(ひだかゆたか)。

倉庫は2棟あり延床面積はそれぞれ4,500平方メートル2,800平方メートル。
1999年(平成11年)に倉庫としての役割を終えるとほとんど使用されることはなく、2006年(平成18年)以降は耐震上の問題から構内立入禁止となり解体が検討されたことも。
しかし耐震補強工事、倉庫としての保存・活用を行う企業を募集すると2015年(平成27年)7月から自動車総合商社「ジーライオングループ」がクラシックカーの動態保存を行う「ジーライオンミュージアム」として活用することに。
クラシックカーと古風なレンガ倉庫の雰囲気はマッチしますね。

このほかではステーキハウスやカフェ、クラシックカーの展示販売スペースもあり、倉庫脇の築港赤レンガ広場では2008年(平成20年)から「夏至」の日に「築光キャンドルナイト」が開催。
5000個のキャンドルを「のんびり」眺めることで人気となっています。
住所:大阪府大阪市港区海岸通2-6-39

現在はアートギャラリーに「フジハラビル」


大阪市北区天神橋にある「フジハラビル」は1923年(大正12年)に建築されたビルで、地下1階、地上4階のビル外壁は褐色のスクラッチタイルと中央に置いた巨大なアーチが特徴。
もとは食品会社の人物が本社ビルとして使用していたビルですが、人物が亡くなった後は廃墟同然の状態に。
しかしビルを受け継いだ現オーナーが取り壊さず「DIY」によってビルを再生、10年の歳月をかけて完成。
現在では「天神橋のシンボル」的存在になっており、伝統を絶やさぬようにしたオーナーの努力が詰まっていますね。

現在は『アートギャラリーフジハラ』としてギャラリーやデザイン事務所などとして使用され、ここで個展を開く人も多数。
2009年(平成21年)から2010年(平成22年)にかけてNHKで放送された連続テレビ小説「ウェルかめ」のロケ地としても使用され、同ドラマでヒロイン・波美が務める「ゾメキトキメキ出版」が入る「徳葉ビル」として登場しています(ビルの外観に一部手を加えて登場)。
住所:大阪府大阪市北区天神橋1-10-4

高級フランス料理店に変身「旧大林組本社ビル」


大阪市中央区にある「旧大林組本社ビル」は1926年(大正15年)に大手総合建設会社「大林組」の4代目社屋として建設されたビル。
設計は社内コンペが行われたのち設計部員・平松英彦の作品が選ばれることに。

外観は当時のアメリカで流行、建築家・武田五一(たけだごいち)が多用した「スパニッシュ・ミッション風」のデザインを採用しており、建物全面に茶色のスクラッチタイル、腰壁に竜山石を使用した重厚な造りが特徴。
上方部両端にテラコッタの円形レリーフ(ラテン語で紀元1926年<ANNO DOMINI MCMXXVI>と刻まれている)を設置し、中央には各階の窓を囲む3連アーチ、最上部に設けられた3つのベランダも特徴的。

ビルは1973年に(昭和48年)に本社が「大阪大林ビル」に移転して役目を終えますが、1981年(昭和56年)からは外観を残して「辻学園調理技術専門学校(現在の辻学園調理・製菓専門学校)」の校舎として使用。
2007年(平成19年)に耐震補強を行ったのち高級フランス料理店「ルポン・ド・シエル」が入居してビル名も同名に変更し、3階には大林組の歴史資料館も設置。
大正ロマンあふれる中で高級料理がいただけるとは贅沢ですね。
住所:大阪府大阪市中央区北浜東6-9

大阪三大名建築の1つ「大阪倶楽部」

大阪三大名建築の1つ「大阪倶楽部」

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大阪倶楽部(おおさかくらぶ)は大阪府大阪市中央区にある社交倶楽部「社団法人大阪倶楽部」の会館で、建物は地上4階と地下1階によって構成。
1914年(大正3年)に創建された「大阪倶楽部」旧館が1922年(大正11年)に焼失したことから1924年(大正13年)に再建された建物で、設計は「大阪瓦斯ビルヂング」設計など大阪を中心に活躍した建築家・安井武雄。
外観は旧ローマ市街建築に見られる「石のアーチ」が目を引くものとなっており、建物の1階正面に並んだトーテムポールには怪獣が座るデザインが施されたもの。

第2次世界大戦下の1945年(昭和20年)には帝国海軍によって徴用され、1952年(昭和27年)までそれは続くことに。
大阪では現在まで「綿業会館(めんぎょうかいかん。
大阪市中央区)」や「大阪瓦斯ビルヂング」とともに「大阪三大名建築」の1つとされ、竣工以来大阪倶楽部の会員制会館として親しまれる存在に。
会員制の社交倶楽部であるため内部は非公開となっていますが、外からおしゃれな雰囲気は味わってみたいところですね。
住所:大阪府大阪市中央区今橋4-4-11

Junya Higashi

Writer:

これまで旅行に行った土地は鹿児島・霧島や韓国・ソウルなど。世界の土地や風習のことなど、自分の知らない世界を調べて見るのが好きです。旅行経験やライター活動で得た知識が、これから旅行を楽しむ人の役に立てば大変嬉しく思います。どうぞよろしくお願いいたします!

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