大国ロシアを築いた女帝が作った華麗なるエカテリーナ宮殿の歴史

wondertripでは世界の絶景を紹介していますが、歴史地区や古代都市などの絶景スポットは、その歴史を少しでも知ることでより観光が楽しめます。今にも残る世界遺産のストーリーは、知識欲も刺激されますね。本日はロシア「エカテリーナ宮殿」をご紹介します。


ロシア・バロック様式の最高峰!エカテリーナ宮殿とは?

ロシア・バロック様式の最高峰!エカテリーナ宮殿とは?

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エカテリーナ宮殿は、ロシアの旧都サンクトペテルブルクの中心部から南東へ25kmほど離れた避暑地ツァールスコエ・セローにある、ピョートル大帝が妃のために建てた夏の宮殿です。
名前はこの城の持ち主「エカテリーナ1世」から付けられました。
全長325mに渡るファサードの見事な装飾や純度の高い金を多用し贅を尽くした55の部屋の内装の美しさでも有名です。
中央階段を2階に上がったところで出迎えてくれる2つの天使の彫刻は可愛らしい姿を見せてくれています。

美しいがゆえにナチスドイツに持ち去られ、どこへ消えたかわからなくなったミステリアスな「琥珀の間」が特に有名です。
近年この琥珀の間が再現され、観光客の行列が途絶えないほど人気のスポットになっています。
琥珀の間の金ピカはもちろん食堂から回廊、大広間まで、内部は全て煌びやかに飾られた豪華な宮殿は、ロシアの栄華を語っているようでとても興味深い建築物です。
この宮殿は1990年に「サンクト・ペテルブルグの歴史地区と関連建造物群」として、エルミタージュ美術館、アレクサンドル・ネフスキー修道院等と共に世界遺産に登録されています。

今回は、金、白、青のカラフルな色彩が素敵なテーマパークのようなエカテリーナ宮殿の歴史に少しだけ触れてみたいと思います。

エカテリーナ宮殿の住所・アクセスや営業時間など

名称 エカテリーナ宮殿
名称(英語) Catherine Palace
住所 Garden St, 7, Pushkin, Saint Petersburg, Russia, 196601
営業時間・開場時間 現地時間:水曜-月曜日10:00-16:45
利用料金や入場料 320ルーブル
参考サイト http://www.saint-petersburg.com/pushkin/catherine-palace/
最新情報は必ずリンク先をご確認ください。

エカテリーナ宮殿のスポットページ

ロシア帝国の栄華の象徴とされるエカテリーナ宮殿の始まり

ロシア帝国の栄華の象徴とされるエカテリーナ宮殿の始まり

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この宮殿は、1717年にロマノフ王朝中興の祖ピョートル大帝(在位1682-1725年)が、ロシア語で「皇族の村」と呼ばれるツァールスコエ・セローに、農民から大帝の2番目の妻となったロシア初の女帝エカテリーナ1世(在位1725-1727年)のために夏の避暑地として造らせた宮殿です。
宮殿を造ったのはドイツの建築家Johann-Friedrich Braunstein。
当初は石造りのとても地味な宮殿でした。
その後、第4代ロシア皇帝アンナ・ペトローヴナ(在位1730-1740年)がロシア人建築家に命じ増築させています。

現在大人気の絢爛豪華な琥珀の間の始まりは、18世紀初頭にプロイセンで作られた数枚の琥珀細工のパネルでした。
これを造らせたフリードリッヒ1世は、琥珀で覆った部屋を造り始めますが、完成を見ずに亡くなりました。
息子のフリードリッヒ・ウィルヘルム1世は琥珀の間に関心を持たず、このパネルを1716年にプロイセンに訪れたピョートル大帝に譲ったのです。
ところが大帝もどうやって組み立ててよいのかわからずそのまま放置されてしまいました。

現代の華やかな姿へと改築されたエカテリーナ宮殿

現代の華やかな姿へと改築されたエカテリーナ宮殿

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この地味な宮殿が生まれ変わるときがやってきました。
ピョートル大帝とエカテリーナ1世の娘、エリザヴェータが第6代ロシア皇帝(在位1741-1762年)に即位するやいなや、「母の時代に作った宮殿は時代遅れで使い勝手が良くない」という理由により抜根的に改築することを決定したのです。
パリにあるヴェルサイユ宮殿に負けじと、1752年に既に冬の宮殿建設に関わっていた宮廷付き建築家バルトロメオ・ラストレッリに改築を依頼しました。
ラストレッリはイタリアの建築家で、ロシア・バロック様式を定着させることに尽力した人物です。

エリザヴェータの命は「壮麗かつ壮大なバロック様式に改築するように」というものでした。
1752年5月から4年の年月を費やし1756年7月に完成しました。
この時に水色と白のコントラストに加え随所に金箔をあしらった宮殿に造り変えられています。
規模も現行の大きさで全長325mの宮殿でした。
エカテリーナ宮殿の威風堂々たる姿の原型は、このラストレッリによって作られました。

眠っていた琥珀の間の目覚め

眠っていた琥珀の間の目覚め

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眠っていた琥珀の間の豪華なパネルに目を付けたのもエリザヴェータでした。
彼女はラストレッリに琥珀の間を旧冬宮内に造るように命じました。
彼はこのパネルにロココ調のデザインを加えて設計し、1746年に完成させています。
1755年にはエリザヴェータがお気に入りだったエカテリーナ宮殿に移築されました。
ここで問題が発生したのです。
エカテリーナ宮殿の間取りがパネルよりも大きかったのです。

これを手掛けたのが34年も女帝として君臨したロマノフ王朝第8代皇帝でドイツ人のエカテリーナ2世(在位1762-1796年)でした。
彼女は美術愛好家として知られ、300人もの愛人を造ったといわれる愛憎劇を繰り広げたことで有名な人物です。
琥珀の間は、彼女の指示のもと鏡や宝石のモザイク、金メッキの装飾などを取り入れ、足りない部分には仮のパネルを埋め込みました。
こうして職人によって新たに作られたパネルと交換され1770年エカテリーナ宮殿に琥珀の間を完成させました。

琥珀の間が大好きだったエカテリーナ2世はここには、彼女の許しを得なければ誰も入れないようにしたといいます。
この後も貴族など賓客を迎える間として活躍した琥珀の間は、150年もの間大切にされました。


ロマノフ王朝黄金時代のエカテリーナ宮殿

ロマノフ王朝黄金時代のエカテリーナ宮殿

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歴代ロマノフ王朝の中でもっとも繁栄した時期はエカテリーナ2世のころ。
彼女はゴシップ話で世の中を騒がせたことでも有名ですが、実際は貧窮していたロマノフ王朝を立て直した功労者です。
政治手腕はかなりのもので、ポーランドの分割や露土戦争でオスマン帝国(現在のトルコ)を討ち破り領土も拡大しています。
学校や病院の建設にも力を尽くし司法改革もやってのけました。
仕事漬けの毎日で手にしたお金を海外の美術品収集に使いその驚くべき数は数千点に及んだといわれています。

彼女はこれらのコレクションを冬宮の敷地内に造らせたサロンに並べて楽しみました。
これが世界三大美術館のひとつ、エルミタージュ美術館の始まりです。
彼女は美しいものが大好きだった女帝で、このエカテリーナ宮殿も大のお気に入りでした。
琥珀の間だけでなく、宮殿内には純度の高い金を100kg以上も使い改築しました。
キンピカの絢爛豪華な宮殿にしたのはまさに彼女です。

エカテリーナ宮殿の見どころ

エカテリーナ宮殿の見どころ

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1791年6月に伊勢の商人でロシアに漂着した日本人の大黒屋光太夫がエカテリーナ2世に謁見した大広間は必見です。
ヴェルサイユ宮殿の「鏡の間」を模して造られた広間で、「ロシアの勝利」と題した見事な天井画や陽の光が金色の彫刻や床、鏡などに乱反射する空間は広大なロシアを感じられます。
現在は大広間で時々コンサートが開かれています。
また、一面がカンヴァスで覆われ外交目的のレセプションなどが頻繁に行われた絵画の間や古代ローマ風の浮き彫りと壁画、上品なインテリアを配した緑の食堂など贅の限りを尽くした部屋が続きます。

“美しい”の一言しか出ないこの宮殿のメインスポットの「琥珀の間」は壁一面が琥珀のパネルで覆われ異様な迫力を感じます。
一つ一つ違う輝きを放ち、琥珀自体が持つ神秘的な美しさには言葉を失います。
職人が細部にまでこだわった細工も見事でため息ものです。

奪われた琥珀の間の復元

奪われた琥珀の間の復元

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第二次世界大戦中の1941年9月にエカテリーナ宮殿はナチスドイツに占領されました。
1944年に彼らが撤退する際、この宮殿にある金や美術品、お宝など根こそぎ奪われてしまったのです。
もちろん琥珀の間にあるパネルも分解されて持ち去られました。
行方不明とされている琥珀の間のパネルはドイツ軍に奪われた後「ケーニヒスベルク城」に保管され、その後、イギリス空軍の空爆にあい琥珀は全て消滅したといわれています。

琥珀の間は1979年から24年の歳月をかけて復元作業が行われ2003年には完全に完成しました。
資料も乏しく職人さんたちの苦労はひとしおだったと思われます。
2003年のサンクトペテルブルクの建都300周年に合わせて復元され、幻となっていた「琥珀の間」は人々にお披露目されました。

現在のエカテリーナ宮殿は、29の部屋が修復されています。
宮殿自体の美しさはもちろん、装飾や備品に至るまで何もかもが絢爛豪華です。
また浴場や小宮殿、橋や彫刻などが点在する宮殿の南東に広がるエカテリーナ公園も緑豊かで魅力に満ちています。

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