「ゴシック建築」など、ゴシックの歴史。パリから広まったゴシック様式の頂点と歴史を探る

wondertripでは世界の絶景を紹介していますが、歴史地区や古代都市などの絶景スポットは、その歴史を少しでも知ることでより観光が楽しめます。今にも残る世界遺産のストーリーは、知識欲も刺激されますね。本日は「ゴシックの歴史」をご紹介します。

ロマネスクとゴシックの違い

ロマネスクとゴシックの違い

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中世にはビザンチン時代、ロマネスク時代、ゴシック時代を経て近世のルネサンス時代が到来します。
ロマネスクといえば、10世紀後半~13世紀の最初のヨーロッパ建築で古代ローマに東方の影響を受けたもの。
ロマネスクを直訳すると「ローマ風」という意味を持ち、重厚な石造りの建築で薄暗い内部空間が特徴です。
代表的なサンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂が語るように技術的に未熟な時代で小さい窓しか設置されていませんでした。

パリでゴシック美術が生まれた理由の一つは、ロマネスク様式が根付かなかったからという説があります。
12世紀の中ごろから、パリでは高い建物の中に大きな窓が取り付けられ美しいステンドグラスがはめ込まれた誰もがうっとりするような華やかな空間のゴシック様式が栄えました。
ゴシックの特徴としては尖塔アーチ、交差リヴ・ヴォールト、フライング・バットレスという3つの特徴があります。

専門的なことはさておき、ロマネスクは窓が小さく暗いイメージ。
ゴシックは技術が進化し広々とした空間造りにより、美しく大きなステンドグラスで彩られた空間といった感じでしょうか?今回は、パリで生まれたゴシックを紐解いてみたいと思います。

ゴシックの誕生

ゴシックの誕生

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ゴシックの前に広まったロマネスクは巡礼や十字軍の影響により異文化の特徴を取り入れ、ヨーロッパのさまざまな場所で多発的に開花しました。
ゴシックは、パリやその周辺のイルド・フランスを中心に起こり、ここを中心に放射線状に広まっていったスタイルです。
ロマネスクは地域ごとの個性が魅力でしたが、ゴシックではヨーロッパ全体の様式として統一されるようになっていきます。

ですが、ロマネスクが根付いていたイタリアなどでは、ゴシックが定着するのに時間がかかったようですね。
ロマネスクの代表的な存在のピサの大聖堂も華やかな装飾はされていますが、実際の内部は窓が小さく光が採れないため薄暗い雰囲気は否めません。
しかし、石造り独特の重厚感と荘厳な雰囲気を感じられる素敵な様式です。
14世紀の後半にはようやく北イタリアでもイタリア・ゴシックが取り入れられるようになりました。

ゴシックはロマネスクに比べて規模がかなり大きなものになります。
高く聳える塔や内部の空間の垂直性が強調される造りです。
石造りの重厚感はロマネスクほど感じられませんが、窓の割合が大きくなり、神々しく神秘的な光が高い位置から降り注く、天へと昇天するような穏やかな雰囲気が漂っています。

ロマネスクからゴシックへシャルトル大聖堂

ロマネスクからゴシックへシャルトル大聖堂

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フランスゴシック様式の代表作として名高いシャルトル大聖堂は、ローマ時代からの古い歴史を持つロマネスク様式を基調に建てられました。
1194年の火事で焼失しその後26年の歳月をかけてゴシック様式に再建されています。
西正面の彫像は12世紀半ばのロマネスクからゴシックへの移行期に造られました。
南北の扉口の彫像は13世紀初頭のゴシック最盛期に造られました。
たった50年の間に急激な建築様式の変化を見ることが出来ます。

西側正面にはロマネスク芸術の傑作と呼ばれる「王の扉」があり、円柱の長細く引き伸ばされた人物像が建物と一体化する石材に彫られています。
南北の扉口から独立し丸彫りの彫刻に進化しており、今にも建物から飛び出て来そうな躍動感が溢れる装飾も必見です。

ヨーロッパの経済成長による価値観の多様化

ヨーロッパの経済成長による価値観の多様化

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ロマネスクからゴシックへの移行はどこから生まれたのでしょうか?実はゴシックへの転換は11世紀末期から12世紀初期にイングランドとノルマンディ地方においてもたらされていたといわれています。
既に交差リヴ・ヴォールトが組み込まれ、しかもフライング・バットレスという建物を補強するような空中にアーチをかけた飛梁に発展する構造まであったのです。
これは後に、イルド・フランスに引き継がれゴシックを開花させることに繋がります。

12世紀になりヨーロッパ各都市が経済的に繁栄し始めると、世俗権力も教会もヨーロッパという土台による仲間意識が始まりました。
キリスト教の名のもとに諸地域を一つにとの動きが広まっていきました。
これまで農村が主流でしたが、都市の発展により価値観も多様化してきたのです。
ここから人々を束ねる精神的な拠り所が必要となりました。







キリスト教布教により広まったゴシック

キリスト教布教により広まったゴシック

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キリスト教の信仰を主とした一体感を生み出すために芸術がなくてはならない存在となっていました。
都市においては全ての信仰者を収容できる聖堂が必要となり、文字を読めない人のために聖堂のステンドグラスは聖人の伝説や聖書の一説を描いていたのです。
また彫像も同様に聖書の世界へと人々を誘いました。
象牙細工や写本の挿絵も小ぶりで、精密な美術品などは日常生活にまで密接に入り込んでいます。

多くの人々にキリストの世界を広めるための芸術としてゴシックは、時代の流れと共に浸透し開花したといえるでしょう。
パリのノートルダム大聖堂は、初期ゴシック建築の最高傑作としても有名ですね。

ゴシックの確立

ゴシックの確立

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パリ周辺でゴシック美術が開花したのは、偶然ではなかったんですよ。
実はパリでは12世紀中ごろからフランスだけでなくヨーロッパの中心として急速に発展したのです。
これはフランス王家がパリに宮廷を構えたことも要因となっています。
パリを中心に多くの都市で競うように聖堂の建設が行われました。
ゴシックは技術的にもデザイン的にもどんどん発達しより大きく成長していったのです。

これは、宮廷や聖職者たちだけでなく、芸術家たちの地域を越えた交流が盛んになる要因となりました。
実力のある芸術家たちはこぞってパリに住むようになり、朝まで熱い議論が行われるようになっています。
パリを中心とした地域では、多種多様なストレートに人々の心の突き刺さるような新しい芸術が求められ、それに答えるように進化しました。
これが現在人々に認識されるゴシックの完成です。

ゴシック様式の頂点!サント・シャペル

ゴシック様式の頂点!サント・シャペル

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パリのノートルダム大聖堂とシャトルのノートルダム聖堂は先ほどお話ししましたが、もう一つ忘れてはならないのがサント・シャペル礼拝堂です。
パリ最古のステンドグラスで知られるこの教会は、ゴシック建築が最も繁栄した頃の傑作といわれています。
1248年に完成した礼拝堂は、ルイ9世が収集したキリストの聖遺物を納めるために造られました。

壁面を最小限にし、燦然とかがやくステンドグラスで埋め尽くした美しい建物です。
2層に分かれた礼拝堂の1階は王家の使用人のためのもので、窓は小さくリヴ・ヴォールドを列柱が支える堅固な空間でした。
上部の礼拝堂は1113景もの場面が描かれた15のステンドグラスに囲まれた幻想的な世界となっています。
光の強さによる表情の変化も見ものです。
双眼鏡を持ってぜひ、訪れてみてくださいね!フランス革命の時は行政の事務所として使われ、窓も整理棚で隠されていたため破壊されなかったという裏話も残っています。

次のページでは『中世の人々を魅了したゴシック芸術』を掲載!
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