政府公認観光ガイドが伝授!イタリアの世界遺産30選

イタリアは世界で一番世界遺産が多いことをご存知でしょうか?イタリアが統一されたのは19世紀後半。それまでは各地域が自治を行っていたので今でも場所によってそれぞれの地域色が出ているのが特徴です。そんな見所たくさんのイタリアの世界遺産を、イタリア政府公認観光ガイドである筆者が、カテゴリー別に厳選して30カ所紹介します。

この記事を書いた人/政府公認フィレンツェ観光ガイド 加藤まり子

イタリア政府公認観光ガイド。本場イタリアから最新のイタリア情報をお届けします。
大手外資系企業で勤務中のある日「トスカーナの風に吹かれたい!」と思いつき、キャリアを捨ててイタリアに移住。フィレンツェ公認観光ガイドとして、大好きなルネサンス発祥の地フィレンツェで、現代にも通じる芸術、歴史、ライフスタイルを紹介しています。
Twitterでほぼ毎日イタリアの「生」の情報を提供中。

政府公認フィレンツェ観光ガイド 加藤まり子

海の青と大地の緑を感じられる自然の世界遺産

真っ青な海からアルプスの山まで、イタリアの魅力の一つが豊富な自然の風景です。大自然の恵みをたっぷり感じられるイタリアの世界遺産をご紹介します。

#1 映画の舞台にもなったアマルフィ海岸

映画の舞台にもなったアマルフィ海岸

image by iStockphoto / 67439627

映画の舞台にもなり有名になったアマルフィ海岸。海に面した断崖絶壁に張り付くようにして建てられたカラフルな家がここの特徴です。複雑に入り組んだ海岸線は見所満載。絶壁の上のハイキングコースは地元で「神々の小道」と呼ばれるほど美しい眺め。青の洞窟で有名なカプリ島もここから一望できます。

海産物が美味しいのはもちろんですが、忘れたくないのがこの地域特産のリモンチェッロ。レモンを強いリキュールに漬けたアルコールですが、食後の消化を促進すると言われています。

中世には海運国として栄えたアマルフィ。貿易先であったアラブのスタイルを取り入れた教会も印象的です。ブーゲンビレアが咲き誇る展望台から最高の光景を味わうことができます。

#2 美味しいトスカーナワインでも有名なヴァルドルチャ

美味しいトスカーナワインでも有名なヴァルドルチャ

image by iStockphoto

なだらかな丘陵地帯が続くトスカーナ地方。ここはイタリア料理に欠かせないオリーブオイルやワインの産地としても知られています。イタリアにはアグリツーリズモと言って農家の家に宿泊できるシステムがあります。朝食にはとれたてのフルーツやハチミツ、そしてもちろん地元で作ったオリーブオイルも提供されます。

時代を超えて多くの画家たちを魅了してきたトスカーナののどかな風景。レオナルド・ダ・ヴィンチもこの光景を愛し、モナリザの背景としても使用しました。自然の産物に見えるこの光景ですが、実は地主と農家が力を合わせて開拓した賜物。現代に至るまで代々大事に守られてきた風景なのです。

テルメという日本の温泉が多く存在するのもこの地域ならでは。のどかな景色を眺めて湯に浸かれば心も体も癒されること間違いなしです。

#3 切り立った山に大自然の大きさを感じたいドロミーティ

切り立った山に大自然の大きさを感じたいドロミーティ

image by iStockphoto

スイスのイメージが強いアルプス山脈ですが、イタリアの北部でも見ることができるんです。ドロミーティはイタリアの北東部に位置する山脈。3000mを超える山々が18も連なっています。切り立った山の険しさは大自然の偉大さを感じさせてくれます。真夏でも山頂に氷河が残るこの地域は大人気の避暑地。ヨーロッパ各地から訪れる観光客がハイキングやトレッキングを楽しみます。

山脈の間には大自然が育んだ湖や清冽な川、そして高山植物が咲く丘も広がります。夕日に照らされて真っ赤に映える山は感動的。別名南チロルとも呼ばれ、小さな村や牧草地帯で草を食む牛たちを見るのもここの魅力です。西の入り口ボルツァーノから東のコルティナ・ダンペッツォまで約100km伸びるドロミーティ街道をたどりながら、自然と人々の素朴な生活を感じられます。

#4 色とりどりの家が並ぶ5つの漁村チンクエテッレ

色とりどりの家が並ぶ5つの漁村チンクエテッレ

image by iStockphoto

チンクエテッレとはイタリア語で5つの土地を意味します。その名前通り地中海を望む切り立った絶壁の間に5つの漁村が広がっています。交通が発達するまで船でしか出入りができなかったこの地域は独自の文化が生まれました。海に面して色とりどりの家が並びますが、いったん村の中に入ると小さな小道が複雑に入り組みます。

海からの眺めも最高ですが、ここでぜひ体験したいのが「愛の小道」。マナローラからリオマッジョーレまで海岸線の上に作られた遊歩道です。ここからは断崖絶壁の下に広がる海はもちろん、人々が長い年月をかけて作ってきた段々のブドウ畑を見下ろすこともできます。このブドウ畑から作られるのがシャッケートラという白ワイン。潮風に吹かれながら人々の築いてきた文化に思いを馳せてみましょう。

#5 そびえ立つ山の上にある独立国家サン・マリノ

そびえ立つ山の上にある独立国家サン・マリノ

image by iStockphoto

イタリアの国土の中には2つの独立国家があります。その一つがこのサン・マリノ。イタリアの北東部に位置する面積66㎢、人口約3万2千人の世界で5番目に小さな国家です。アペニン山脈の一角をなすティターノ山の頂上がサン・マリノ共和国の首都。標高750mのここからは遮るもののないパノラマを楽しむことができます。

高い山の一番高い場所に建てられているのが13世紀の要塞です。サン・マリノは世界で一番古い共和国と言われていますが、長い間共和制を保って来られたのは地理的な条件に加えてこの抜群の眺めの要塞のおかげ。国家の独立性を重要視し、他国を侵略しなかったのも国を守る要素となりました。小さい国ですが、最高の眺めと大国にも負けずに保って来た中世の町並みが楽しめます。

何千年も続く歴史を感じる遺跡の世界遺産

古代ローマ帝国が建国されたのは紀元前7世紀。長い歴史を誇るイタリアには数多くの遺跡が残っています。何千年も続く歴史を感じられる遺跡を見てみましょう。

#6 火山の噴火で消えた町ポンペイ

火山の噴火で消えた町ポンペイ

image by iStockphoto / 11932827

海に面した商業の町として栄えたポンペイ。その街がヴェスヴィオ火山の噴火により一瞬にして消滅してしまったのは74年のこと。18世紀に発掘され、当時の発展した技術と豊かな生活についての調査が進められました。水道管や道路標識、居酒屋など現代の生活でも十分に通用する施設が揃っています。そして裕福な商人たちが建てた豪邸には、生き生きとした色使いのフレスコ画が描かれています。

この遺跡には、考古学者たちが石膏で型取った当時の市民の姿があります。火山の噴火から子供を守ろうとした母親の姿や、お互いを助けようとした夫婦の姿など、2000年前の人々の息遣いがそのまま表れているのが特徴です。時間があれば貴族の保養地だったエルコラーノにまで足を伸ばすのがオススメ。モザイクの床が贅沢な生活を物語ります。

#7 神殿の谷にギリシャ建築が広がるアグリジェント

神殿の谷にギリシャ建築が広がるアグリジェント

image by iStockphoto

イタリアの南に位置するシチリア島。島の西側に位置するアグリジェントは、紀元前6世紀からギリシャの植民地の重要な都市として栄えました。地中海貿易で本国を凌ぐほど栄えたこの街には、20あまりのギリシャ神殿の遺跡が残っています。特に紀元前5世紀に建てられたコンコルディア神殿には、建設当時の面影が残ります。さらに古いエルコレ神殿に並ぶ巨大な柱は、2500年前のギリシャの偉大さを感じさせます。

ギリシャの詩人が「世界で最も美しい」と呼んだアグリジェント。春から夏にかけて花が咲き乱れ観光客を迎え入れてくれます。南国の灼熱の太陽の下、2500年の人間の歴史を見てきた遺跡。長い歴史を超えて伝わる人々の祈りの場を体験することができます。

#8 洞窟住居の不思議な光景が広がるマテーラ

洞窟住居の不思議な光景が広がるマテーラ

image by iStockphoto

バラエティ豊かなイタリアの光景を表すのがこのマテーラです。イタリアの南東部に位置するマテーラはサッシと呼ばれる洞窟住居が広がります。ここに人が住み始めたのは新石器時代、およそ1万年前です。その後8世紀頃にキリスト教の修道士たちが洞窟に教会を建て始めました。今でも洞窟の壁には聖母子像など修道士たちが描いた絵が残されています。

遠くからは真っ白に映るマテーラの街。洞窟住居は今でも現役の家として使われています。家の中も外と同じように真っ白の壁。2005年まではマテーラ市民しか住めなかった洞窟住居ですが、現在では内部を改築しホテルとして泊まることもできるようになりました。岩の形をそのまま使用した不思議な空間。普段とは全く違った雰囲気を味わえます。

#9 おとぎ話の中に迷い込んだようなアルベルベッロ

おとぎ話の中に迷い込んだようなアルベルベッロ

image by iStockphoto

白い壁にとんがり帽子のような屋根でできたトゥルッリが並ぶのがアルベロベッロです。16世紀に領主から移住を命じられた小作人たちが作ったのが始まりと言われるトゥルッリ。二重壁になっており暑い夏も寒い冬も快適に過ごすことができます。生活するためのスペースと屋根裏部屋があるのが特徴。乾燥しているこの地域では水は貴重な資源。雨は樋を伝って地下に貯めるような作りになっています。

この可愛い建物を作っているのは地元の石灰石です。しかし石灰石の多い土壌では作物は育ちません。乾燥にも強いオリーブの木がこの地域一番の農作物でした。一時は過疎化も進みましたが、おとぎ話に出てきそうなこのトゥルッリが話題になり、現在では世界的にも有名な観光地として発展しています。

#10 巨大なギリシャ神殿とローマ遺跡が混在するパエストゥム

巨大なギリシャ神殿とローマ遺跡が混在するパエストゥム

image by iStockphoto

古代地中海で最大の国家を築いていたギリシャは、現在のイタリア南部に多くの植民地を作りました。もともとポセイドニアと呼ばれ海の神様であるポセイドンに捧げられたパエストゥム。大型の古代ギリシャ神殿が3つと、その後この地域を支配した古代ローマの遺跡が混在する空間です。どっしりとしたギリシャ神殿の建設は3つに共通していますが、よく見ると少しずつ違うことに気がつきます。例えば一番古いと言われるバジリカは通常のギリシャ神殿と異なり正面の柱の本数が奇数です。

そしてすぐ近くにある考古学博物館にもぜひ足を伸ばしてみましょう。ここには神殿や近くを流れるセレ川からの発掘物が並びます。その中でもみておきたいのが「飛び込み男の墓」です。シンプルな図案ですが、この世からの旅立ちを表すとされています。

町全体が世界遺産編

一つ一つの町が都市国家として独立していたイタリア。時に文化は町と一体不可分で発展しました。町全体が世界遺産に登録されている都市を紹介します。

#11 古代からバロックまで永遠の都ローマ

古代からバロックまで永遠の都ローマ

image by iStockphoto

ローマが建設されたのは紀元前8世紀。古代最大の勢力を誇ったローマ帝国の首都として現在でもその魅力が色褪せません。観光名所は数え切れないほどありますが、その中でもローマ帝国の栄光を伝えるコロッセオとフォロ・ロマーノは見ておきたい遺跡。実際にここでグラディエーターたちが戦ったと思うと、時を超えて胸に迫るものがあります。

ローマは古代遺跡だけではありません。16世紀以降ローマ教皇のバックアップでバロックが花開きました。街には意匠を凝らして作られた噴水がたくさん。ナヴォーナ広場やトレヴィの泉、そして「ローマの休日」にも登場するスペイン広場など歩くだけで華やかさに圧倒されます。アン王女になった気分でジェラートを手に散歩するのがオススメです。

#12 世界で一番ロマンチックな町ヴェネツィア

世界で一番ロマンチックな町ヴェネツィア

image by iStockphoto

干潟の町として知られるヴェネツィア。ヴェネツィアの最大の魅力は町のいたるところを流れる運河です。100を超える小さな島が集まってできているので少し歩くとすぐに運河に出ます。そして交通は今でもゴンドラとボートのみ。町を歩いているとまるで異空間に来たような気分になります。

町を歩くだけでその甘い雰囲気を十分に味わえるのですが、その中でも絶対に外したくないのがサン・マルコ広場。町の中心のこの広場にはモザイク画が美しいサン・マルコ寺院、そして政治の中心であったドゥカーレ宮殿があります。海側に向けてハトが飛び立っていく様はまるで映画のワンシーンの中に入り込んだよう。そしてヴェネツィア名物のゴンドラに乗るのをお忘れなく。ゴンドリエーレ達の歌を聴きながら最高にロマンチックな気分に浸れること間違い無しです。

#13 ルネサンスを生んだ花の都フィレンツェ

ルネサンスを生んだ花の都フィレンツェ

image by iStockphoto

ピンクと緑の大理石でできた大聖堂に赤い屋根のドームが映えるフィレンツェ。この街は15世紀にルネサンスが生まれた街として知られています。宗教が中心だった中世から人間の素晴らしさに焦点が当たるようになったのがルネサンスです。人間の肉体や表情をリアルに表現し、遠近法を使った絵画が生まれました。

この街で見ておきたいのがドゥオモです。約600年前に作られた直径54mのドームは現在でも世界で3番目の大きさを誇ります。そして忘れてはならないのがミケランジェロ広場。街から徒歩でも30分程度の小高い丘からは絶景のフィレンツェの街を眺めることができます。レオナルドやミケランジェロも住んだ街。ぜひ街の隅々で天才の息遣いを感じてください。

#14 世界で一番美しい広場を持つシエナ

世界で一番美しい広場を持つシエナ

image by iStockphoto / 65917883

中世に銀行業で繁栄したシエナ。12世紀から15世紀にかけて建てられた建物が現在でもそのまま残っているのが特徴です。近くのフィレンツェと永遠のライバルであり続けましたが、その傾向は芸術のセンスにも大きく表れています。シエナの芸術は厳かな雰囲気が特徴です。必見は街の最大の教会であるドゥオモ。装飾された柱と金色のモザイクのファサードが夕日に映える様は中世にこの街がどれだけ繁栄したかを物語ります。内部は象嵌と掻き絵で描かれた床で埋め尽くされており、技術の高さを伺うことができます。

もう一つの見所はカンポ広場。毎年7月と8月にはパリオと呼ばれる競馬が行われます。扇型に広がる広場で繰り広げられる熱い戦いは必見。この日に合わせて旅行に行けば地元の人の気分を味わえること間違い無しです。

#15 ロミオとジュリエットの舞台にもなったヴェローナ

ロミオとジュリエットの舞台にもなったヴェローナ

image by iStockphoto

恋人の代名詞とも言えるロミオとジュリエット。17世紀にイギリスのシェイクスピアが書いたこの名作の舞台がヴェローナです。なんとこの街にはジュリエットの家と呼ばれる建物があります。ここに立つジュリエット像の左胸を触ると恋が叶うとか。また映画でも取り上げられましたが、恋の悩みを書いて投函するとジュリエットの秘書から返事をもらうことができます。

そんなロマンチックなエピソードの残るヴェローナのもう一つの目玉は、古代ローマ時代に建設された円形闘技場アレーナ。なんと2000年の歴史を誇ります。1万8千人が入れるこの建物では、毎年夏に野外オペラが上演されます。川を挟んでバラ色の建物が並ぶ街並みは、ラブストーリーの舞台にぴったりのロマンチックな街です。

心和む田舎の風景編

独特の美学を持つイタリア。田舎といえどもその美学がしっかり生かされています。心和ませる田舎の風景をみていきましょう。

#16 聖フランシスの優しい心が生きている聖地アッシジ

聖フランシスの優しい心が生きている聖地アッシジ

image by iStockphoto

イタリアの聖地はローマ教皇がいるバチカン市国だけではありません。イタリアの中央ウンブリア州にあるアッシジもその一つ。ここには12世紀に生きた聖フランシスに捧げられた聖堂があります。裕福な商人を父に持つフランシス青年でしたが、ある日天啓を受けてキリスト教のために身を捧げる生き方を選びます。常に貧しい人に寄り添って生きた彼の元には、多くの信者が集まりました。

彼の死後に建てられたのがアッシジのサン・フランチェスコ聖堂です。この地域で取れるピンクの石で作られたファサードはまるで彼の優しさを表すよう。聖堂の内部は上下に分かれており、中世に活躍した多くの画家が壁がを手がけました。その中でもジョットーによる聖フランシスの生涯は必見です。

#17 中世の面影を残す塔の町サン・ジミニャーノ

中世の面影を残す塔の町サン・ジミニャーノ

image by iStockphoto

ローマと北ヨーロッパを結ぶフランチジェーナ街道沿いにあって中世に発展したサン・ジミニャーノ。町の端から端まで徒歩で20分程度の小さなこの町には最高54mの塔がニョキニョキと14本も立っています。街道の町として栄えた際に町の有力者たちが競って隣よりも高い塔を建てました。多い時には72の塔が立っていたそうです。町の最大の教会があるドゥオーモ広場からは4本の塔を同時に見ることができます。14世紀にローマ法王がフランスに移り、町は衰退します。そのため町は21世紀まで中世の姿のまま残ることになりました。

この町のもう一つの魅力はグルメ。トスカーナ地方はイタリアでも有数のブドウ畑を誇ります。サン・ジミニャーノはその中でも甘さが特徴の白ワインの産地です。そして近年世界一に輝いたジェラート屋さんもあります。中世の石畳をジェラートを手に歩いてみませんか。

#18 ローマ教皇が故郷に作った理想の町ピエンツァ

ローマ教皇が故郷に作った理想の町ピエンツァ

image by iStockphoto

カトリック教会の最高の地位がローマ教皇。15世紀に教皇になったピウス2世はその権力を使って生まれ故郷を自分の理想の町に作り変えました。そして出来上がったのがピエンツァ、すなわちピウスの町です。人間の理性が重視されたルネサンス時代の建築は、幾何学に基づいて建設されました。小さな町の中心にある教会はこの思想を使って作られたもの。黄金比率に基づいた長方形と神の目を表す円がモチーフとして使われています。

この町を取り囲むのがトスカーナの美しい丘陵地帯です。理想の町は理想の自然の中に作られるべきものと考えられていました。見た目にも美しいこの自然の風景ですが、そこから取れる農産物もこの土地の魅力。トスカーナ料理に欠かせない羊のチーズ、ペコリーノをお土産屋さんで探してみましょう。

#19 ルネサンスの天才画家ラファエロを産んだウルビーノ

ルネサンスの天才画家ラファエロを産んだウルビーノ

image by iStockphoto

人間の素晴らしさに焦点が当たったルネサンス時代には多くの権力者たちが理想郷を作ろうとしました。マルケ州にあるウルビーノもそんな町の一つです。15世紀にこの土地の君主だったモンテフェルトロは元軍人でしたが、哲学や音楽にも造詣が深く、自分の町を豊かにすることを目指しました。そして作り上げたのがドゥカーレ宮殿です。豪勢な家具ではなく、高い教養に基づいた装飾を施したのもモンテフェルトロ伯の性格を表します。

芸術家のパトロンでもあったモンテフェルトロ伯の元にはたくさんの芸術家が集いました。ドゥカーレ宮殿内の美術館には、ピエロ・デッラ・フランチェスカの傑作「キリストの笞刑」があります。この雰囲気の中生まれたのが画家のラファエロ。後にルネサンスの頂点を極め、その後の芸術家のお手本となります。

#20 作る途中から傾きだしたピサの斜塔

作る途中から傾きだしたピサの斜塔

image by iStockphoto / 76419335

世界の7不思議の1つとしても数えられるピサの斜塔。海洋国として栄えたピサは世界に誇る大聖堂を建て始めます。そしてその隣に建てたのが斜塔です。教会の鐘のために1173年に建て始められた塔。しかし建設途中から傾き始めてしまいます。ピサは海に近く地盤が柔らかいのがその原因。大理石の重さに耐え切れず傾いてしまったのです。

20世紀に入りさらに傾きが大きくなったため改修工事が行われました。工事は2001年に完了し、現在は塔に登ることができます。最下層と最上層の中心軸は3mのずれがあるとか。この傾きを利用して実験を行ったのがガリレオ。塔の上から大小2つの玉を落とし、重さと時間に関係がないことを証明しました。天才になった気分で塔に登ってみましょう。

世界最高峰の技術を鑑賞する芸術編

ローマ時代からルネサンスやバロックと、イタリアでは最高の芸術が生まれました。その後のヨーロッパの基準となった質の高い芸術作品を鑑賞できる世界遺産を紹介します。

#21 レオナルドの最高傑作「最後の晩餐」

ルネサンスの天才と言われるレオナルド・ダ・ヴィンチ。絵画だけでなく科学や飛行機の設計など彼の才能は多岐に及びました。彼の作品の魅力は徹底した観察力と遠近法に基づく科学的な絵画を制作したこと。その中でもミラノのサンタ・マリア・デッレ・グラッツィエ教会の「最後の晩餐」は彼の最高傑作として名高い作品です。

この作品のすごいところは完璧なる一点透視図法を使って描かれているところ。もともと修道院の食堂だった壁に描かれていますが、まるで壁の向こうに一つの空間があるかのように感じられるのは天才の技術ならでは。弟子たちの動揺がまるで伝わってくるかのような緊迫感があります。小説や映画でも取り上げられたレオナルドが隠した秘密に想いを馳せて見たい作品です。

#22 ビザンチン様式のモザイク画に魅せられるラヴェンナ

ビザンチン様式のモザイク画に魅せられるラヴェンナ

image by iStockphoto

アドリア海を望む海辺の街、ラヴェンナ。西ローマ帝国の首都であったこの街は荘厳なモザイク画で彩られた教会が多くあることで知られています。教会の中に入ると、シンプルな外観からは想像もつかないような壮麗なモザイク画が目に飛び込んできます。ガラスや貝殻の小さなかけらをはめ込んで作ったモザイク画は、時を超えて美しさを現代にまで伝えます。

八角形のサン・ヴィターレ教会には、この教会を寄進したユスティニアヌス帝とその妻テオドラ妃が主祭壇の壁に描かれています。ビザンチン帝国を支配した彼らは、その力を表すかのようにきらびやかな装飾品をまとっています。また皇帝の妹を祭ったガッラ・プラチーディア廟は、真っ青な天井に金の石片が散りばめられてまるで星空を見上げるかのような美しさです。初期キリスト教の絢爛豪華なモザイク画を楽しめます。

#23 世界最高峰の芸術が集まるヴァチカン市国

世界最高峰の芸術が集まるヴァチカン市国

image by iStockphoto

ローマの街にある独立国家ヴァチカン市国。ローマカトリックの総本山であるサン・ピエトロ大聖堂には年中多くの信者が訪れます。15世紀から16世紀にかけて歴代の教皇が最高の芸術家を集めて作ったこの教会。みどころ満載の中でも必見なのが、ルネサンスの天才ミケランジェロが手がけたシスティーナ礼拝堂。天井に描かれた「創世記」は聖書の物語です。宗教画であるにも関わらず「アダムの創造」などはまるでドラマを見るよう。そして正面の「最後の審判」は目の前に地獄と天国が実在するかのように生き生きと描かれています。

もう一つ見ておきたいのが「ラファエロの間」です。ミケランジェロと並びルネサンスの三大巨匠の一人である彼は「アテネの学堂」でギリシャ時代からの偉人たちを、当時の偉人たちに置き換えて描きました。世界最高の芸術が集まる必見のスポットです。

#24 イタリア一の才女を生んだ芸術の街フェッラーラ

イタリア一の才女を生んだ芸術の街フェッラーラ

image by iStockphoto

様々な都市国家が繁栄した15世紀に、洗練された宮廷文化を誇ったのがイタリア中部にあるフェッラーラです。この街の君主だったエステ家のエルコレ1世は先進的な考えの持ち主で、芸術家や音楽家を宮廷に呼びました。そんな華やかな宮廷で育ったのが娘のイザベッラです。幼い頃から才女として知られた彼女は後に芸術家の庇護者となりました。レオナルドの手による彼女のドローイングも残されています。

そんな機知と美学に富んだエステ家の趣味がたっぷり表れているのがスキファノイア宮殿です。別荘であったこの宮殿には「12月の間」と呼ばれるフレスコ画に囲まれた部屋があります。神話や日常生活それに加えて12星座が描かれるのが特徴。エステ家の高い教養を伺うことができます。

#25 多文化が入り混じった美しさを誇るパレルモ

多文化が入り混じった美しさを誇るパレルモ

image by iStockphoto

長靴の形をしたイタリア半島の先にある三角の島、シチリア。地中海のほぼ真ん中に位置するこの島は古代より様々な文化が交差した場所として知られています。その中でも最大の街パレルモの宮殿は11世紀にアラブ人が作った城壁の上にノルマン人が宮殿を建てた、アラブ・ノルマン様式と呼ばれるオリジナルな建築です。

内部のパラティーナ礼拝堂は祭壇から壁まで全て金のモザイク。見るものを圧倒させる荘厳さです。そしてここの特徴はキリスト教の題材を扱いながらも、その前に支配していたアラブの模様が残ること。街の中心から少し離れたモンレアーレも同じくアラブ・ノルマン様式のモザイクが美しい教会です。昔からいろいろな文化を受け入れているこの街の人たちは、今でも明るく開放的。南国のおおらかな雰囲気で最高の芸術を体験してください。

最高の贅を尽くした別荘の世界遺産

古くはローマ時代から18世紀に至るまで、イタリアでは権力者たちが贅を尽くして別荘を建ててきました。その中で世界遺産に登録されているものを見てみましょう。

#26 巨大なローマ帝国の景観を復元したヴィッラ・アドリアーナ

巨大なローマ帝国の景観を復元したヴィッラ・アドリアーナ

image by iStockphoto

現在のトルコからアフリカまで広大な敷地を誇ったローマ帝国。その絶頂に君臨したのが2世紀に活躍したハドリアヌスです。映画「テルマエ・ロマエ」にも登場するこの皇帝は、自らが支配する広大な帝国の素晴らしい景観を復元しようとこの別荘を建てました。噴水やプールなど水をふんだんに取り入れているのもここの特徴。

その中でも「海の劇場」は皇帝がプライベートな場所として建設したこだわりの場所です。円形の池の中に作られた人工の島が皇帝に安らぎをもたらしたことを想像できます。そしてもう一つのこだわりがカノプスと名付けられた池です。エジプトの神殿をかたどった洞窟と池を囲むギリシャ風の彫刻は、この時代いかにローマ帝国が偉大だったかを物語ってくれるでしょう。

#27 「百の噴水」の中を散歩したいヴィッラ・デステ

「百の噴水」の中を散歩したいヴィッラ・デステ

image by iStockphoto

古代から皇帝や貴族の別荘地として知られたローマ近郊のティヴォリ。その中でもひときわ豪華な別荘として知られるのがヴィッラ・デステです。もともと質素な修道院を、エステ家が16世紀に別荘として改築したのが始まり。この別荘にはなんと500近い噴水があるんです。

洞窟のような「楕円の噴水」は前から見るだけでなく内部に入ることもできます。水力を利用して音を奏でる「オルガンの噴水」は当時の有力者たちも驚かせました。別荘の前にある「ネプチューンの噴水」は水が落ちる滝と、下から吹き上がる噴水がコントラストを見せてくれます。そして忘れてはならないのが「百の噴水」です。緑の小道に沿って配置された噴水の間を、ルネサンスの貴族になった気分で歩いてみましょう。

#28 三方を湖に囲まれたルネサンスの宝石マントヴァ

三方を湖に囲まれたルネサンスの宝石マントヴァ

image by iStockphoto

15世紀以降イタリアではルネサンス文化が大きく花開きます。人文主義といって人間の理性をに基づいた哲学がルネサンスの特徴。王侯たちはこぞって新しい文化に基づいて町の建設を始めます。マントヴァは小さいながらも高い美意識をベースに作られた芸術の町です。

この中で訪れたいのが統治者のゴンザガ家が住んだドゥカーレ宮殿。豪勢な宮殿には500ものの部屋があり全部を見るには1ヶ月かかると言われています。最高の芸術作品が揃うこの宮殿の中で見逃せないのが「結婚の間」。この天井画はルネサンスの画家マンテーニャが手がけました。だまし絵を使ってまるで天井が開いて天使が覗き込んでいるかのように描かれているのが特徴。遠近法を研究し続けた彼の才能が存分に発揮された作品を鑑賞できます。

#29 1200の部屋と3kmの庭園に圧倒されるカゼルタ宮殿

1200の部屋と3kmの庭園に圧倒されるカゼルタ宮殿

image by iStockphoto

18世紀にナポリ王のカルロス7世が、フランスのヴェルサイユを上回る宮殿を作ろうと建設したのがカゼルタ宮殿です。イタリアで最も華麗と言われる巨大な宮殿は縦247m、横184m、なんと1200もの部屋があります。中は全て大理石造り。ロココ様式の調度品が豪華さを盛り上げます。

巨大なのは宮殿だけではありません。その裏には3kmにおよぶ遊歩道を有する庭園が広がります。庭園を彩るのがなだらかな坂に沿った滝です。もともと乾燥地帯だったこの場所に広大な滝を築くため、約40km先から水を調達する水路も同時に建設されました。この水路は美しい庭園だけでなく、周辺の農家にも提供され畑や家畜を育てるのに使われました。水牛のミルクを使用したモッツァレラが生まれたのもこの水路のおかげ。王様のスケールを超えた贅沢ぶりを体験できます。

#30 最高の経済力と審美眼を誇ったメディチ家の庭と館

最高の経済力と審美眼を誇ったメディチ家の庭と館

image by iStockphoto

15世紀から18世紀まで中部イタリアのトスカーナ地方を治めたメディチ家。彼らは15世紀に最大の経済力と最高の審美眼を持って、ボッティチェリやミケランジェロといったルネサンスの天才を支援しました。そんなメディチ家が贅と独自の哲学を駆使して作った館と庭、合計14が世界遺産として登録されています。

その数もさることながら、これらの建築物がその後の芸術の世界に与えた影響は計り知れません。映画「インフェルノ」の舞台としても使用されたボーボリ庭園は、大きな宮殿から丘の上まで広がる設計でイタリア庭園のモデルとなりました。フィレンツェ近郊の別荘ペトライアにも足を伸ばしてみましょう。豪奢なダンスフロアに飾られるオール水晶のシャンデリアは必見です。

自然から芸術まで魅力がいっぱいのイタリア旅行へ

町並み、芸術、自然と最高数の世界遺産を誇るイタリア。北から南までそれぞれ魅力たっぷりのイタリアにぜひ遊びに来てください。
photo by iStock

政府公認フィレンツェ観光ガイド 加藤まり子

Writer/Editor:

イタリア政府公認観光ガイド。本場イタリアから最新のイタリア情報をお届けします。 大手外資系企業で勤務中のある日「トスカーナの風に吹かれたい!」と思いつき、キャリアを捨ててイタリアに移住。フィレンツェ公認観光ガイドとして、大好きなルネサンス発祥の地フィレンツェで、現代にも通じる芸術、歴史、ライフスタイルを紹介しています。 Twitterでほぼ毎日イタリアの「生」の情報を提供中。

この記事のカテゴリ

イタリア
ヨーロッパ

イタリアの記事を見る

メルヘンな絶景とは裏腹に、イタリア「アルベロベッロ」の歴史は貧困との戦いだった
観光ガイド資格保有者が直伝!イタリア旅行であなたがするべき100の体験
世界屈指の収容人数を誇るイタリアのサッカースタジアム「ジュゼッペ・メアッツァ・スタジアム」
政府公認観光ガイドの私が厳選!イタリアで買うべきお土産30選
ヨーロッパ旅行に行きたい!女子旅におすすめの美しい都市30選
安らぎと幸せを与えてくれるイタリアの自然美溢れる『トスカーナ地方』
かつては地中海最強だった!?美しき水の都・ヴェネツィアの歴史
「ダヴィデ像」って誰?なんでレプリカが飾ってあるの?イタリアの世界遺産「ダヴィデ像」をご紹介
イタリア『ランぺドゥーザ島』が絶景ビーチ!あまりの透明度に船が浮いて見える
世界の七不思議に選ばれている建造物7選
たぶんこれでマスターできる!イタリアの歴史
イタリア観光なら次はここ!「ペルージャ」で見た絶景7選

おすすめ記事を見る