どんな国?意外と知らないポルトガルの”絵になる”歴史的スポット10選

ヨーロッパ大陸の最西端に位置するポルトガルは、お隣スペインと共に長い歴史を持つ国。古くは古代ローマ帝国やゴート族、イスラムの支配を受けていた時代を経て、12世紀半ば頃にイベリア半島の中から分離独立。絶対王政化をはかり、大航海時代の礎を築きます。外洋へと漕ぎ出したポルトガルの船は遠く日本へも。海洋帝国としてよく知られているポルトガルですが、では有名な歴史的スポットや観光地は?と聞かれても、すぐ思い浮かばない、という人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、見ればきっと行きたくなる”絵になる”歴史的スポットを中心にご紹介してまいります。


メルヘンあり魔宮あり?!個性豊かなポルトガルのお城たち

カラフルでカワイイ!おとぎ話に出てくるお城のような「ペーナ宮殿」

カラフルでカワイイ!おとぎ話に出てくるお城のような「ペーナ宮殿」

image by iStockphoto

ポルトガルの首都リスボンの北西の街シントラ。
この街を一望する標高528mの山の頂上に、赤や黄、青など色とりどり鮮やかな建物からなる宮殿があります。
「シントラの文化的景観」として世界遺産にも登録されている「ペーナ宮殿」です。

この場所にはもともと修道院が建っていました。
しかし1755年のリスボン地震の後、周辺地域の荒廃と共に使われなくなり、長らく放置状態になっていたのだそうです。

時が流れ19世紀、そんな修道院跡に目を付けた人物が現れました。
ポルトガル女王マリア2世の夫のフェルナンド2世です。
彼は山頂に赴き、地震による崩壊を免れた建物に魅せられます。
そしてこの場所に理想の宮殿を造ろうと考えたのだそうです。
残念ながら、宮殿の完成の前にフェルナンド2世は亡くなってしまいましたが、彼が遺した建築計画に従って改修工事は続けられました。

一見、遊園地かテーマパークに建てられた城のような、オモチャの世界に迷い込んだような、見る者をワクワクさせる造形が何とも言えず魅力的。
でも決してごちゃごちゃせず、品の良さ・荘厳さも兼ね備えています。
黄色く塗られた外壁を見て「うっ」と思う人も多いようですが、フェルナンド2世は大変教養の高い人だったそうで、きっとこの城造りを楽しんでいたのでしょう。

外部はもちろん、内部も一般公開されていて、調度品などを見学することができます。
また、小高い山の上に建っているため、眺望も抜群です。

まるでドラクエの世界「レガレイラ宮殿」

まるでドラクエの世界「レガレイラ宮殿」

image by iStockphoto

シントラには他にも、歴代王室の宮殿や城がたくさん残されています。
そんな中にひときわ異彩を放つ、怪しげな雰囲気を漂わせる建造物が。
至るところに抜け道、隠し通路、洞窟が散りばめられ、まるで魔王の棲む魔宮のような建造物。
それが「レガレイラ宮殿」。
名前からして勇者がやって来そうです。

もとは17世紀頃に王族のレガレイラ男爵の別荘として建てられた庭園でしたが、一族が衰退したのち、売却されてしまいます。
その後何度か持ち主が変わり、19世紀に入ってから、ブラジル生まれのポルトガル人大富豪アントニオ・モンテイロが買い取り、かなりの資産をつぎ込んで改修。
設計はイタリアの建築家ルイジ・マニーニが担当しました。

モンテイロは少々変わり者だったのだそうで、改修された宮殿には錬金術の研究所が建てられたり、中世の怪物を模した石像がそこかしこに置かれたり、洞窟や地下通路が無数に張り巡らされたりと、何とも異様な、不思議な空間になっています。

この不思議な宮殿は一般公開されており、中を見学することができます。
敷地が広大な上に奇妙な造りになっているため、地図やガイドが用意されていて、気分はすっかりロールプレイングゲーム。
中でも特に有名なのが「イニシエーションの井戸」と呼ばれるスポット。
ダンテの『神曲』をモチーフにしたという深さおよそ27mの井戸。
渦を巻くように地下深くらせん階段が繋がっていて、底まで降りることが可能。
一番下にはもしかしたら宝箱があるかも?しれません。

リスボンの街を見下ろす四角いお城「サン・ジョルジェ城」

リスボンの街を見下ろす四角いお城「サン・ジョルジェ城」

image by iStockphoto

マリオがゴールするとき入っていくお城みたいな形、と言ったら、どんな形かおわかりいただけるでしょうか。
石積みの四角い建物で、てっぺんがカクカクしていて旗が建っている、あのお城の形。
いかにも「西洋の城塞」といった感じの外観をしているのが「サン・ジョルジェ城」です。

首都リスボンの市内にある人気の観光スポットですが、その起源は非常に古く、紀元前6世紀かそれ以前には既に、イベリア半島に住んでいた地元民たちの手によって、何らかの建造物が建てられていたと考えられています。
その後、古代ローマ帝国や西ゴート王国など、半島を侵略する数々の外部勢力たちによって支配され、増改築され、利用されていったようです。

9世紀頃からムーア人(北西アフリカのイスラム教教徒)によって支配されていましたが、1147年にポルトガルの初代国王アフォンソ・エンリケスによって奪還。
改修を加え、以後、新しい宮殿が建設されるまでの間、王族の居城として使われてきました。

2500年以上もの間、リスボンの街を見守ってきたサン・ジョルジェ城。
現在では公園として整備され、一般に公開されています。
城内には10もの塔があり、上がるとリスボンの街を一望することが可能。
多くの観光客が集まる人気スポットとなっています。

ポルトガル王国の栄光を今に伝える荘厳な建造物

大航海時代の栄光を称える巨大建造物「ジェロニモス修道院」

大航海時代の栄光を称える巨大建造物「ジェロニモス修道院」

image by iStockphoto

ポルトガルと言えば「大航海時代」の中心的存在となった国。
15世紀から17世紀にかけて、ヨーロッパの国々が外洋へ、アフリカ、アジア、そしてアメリカ大陸へ、新しい大陸の発見と香辛料や織物など様々な産物の獲得を目指して大規模な航海が行われた時代。
ポルトガルは常にその先陣を切る存在だったのです。

ポルトガルをそんな一大海洋国にのし上げたのは、インド航路開拓に従事した航海者ヴァスコ・ダ・ガマ(1460年頃~1524年)であり、航海事業を人材育成や資金面から牽引し続けたエンリケ航海王子(1394年~1460年)といった、いち早く外洋に目を向けた著名人たちでした。
この二人に関する史跡や記念碑はポルトガル国内にたくさん残されていますが、その代表的なものが、首都リスボンのベレン地区にある「ジェロニモス修道院」です。

ポルトガル王国の黄金期を築いたことでも知られるマヌエル1世によって1502年に建てられた巨大建造物。
ヴァスコ・ダ・ガマ、エンリケ航海王子の偉業を称えるため、香辛料貿易によってもたらされた巨万の富をつぎ込んで造られた、マヌエル建築様式の最高峰とも言われる装飾の数々は息を飲むほどの迫力です。
マヌエル1世の死や隣国スペインとの政治的関係などの影響で、完成までに300年ほどかかっているのだとか。
死後なおポルトガルに莫大な富をもたらし続けた大航海の先駆者たちの存在の大きさを、肌で実感できる歴史遺産です。

川を見つめる麗しき貴婦人「ベレンの塔」

川を見つめる麗しき貴婦人「ベレンの塔」

image by iStockphoto / 47881426

ジェロニモス修道院と一緒に「リスボンのジェロニモス修道院とベレンの塔」というくくりで世界遺産に名を連ねているのが「ベレンの塔」です。
リスボンの中心部から少し西へ、イベリア半島を流れる大河・テージョ川沿いに建つ、白く美しい塔。
修道院と比べるとそれほど大きな建物ではありませんが、石灰岩で造られたその姿は秀麗で「白いドレスをまとった貴婦人」と称されることもあるほど、観光客にも大変人気があります。

こちらもかのマヌエル1世の命によって建てられたもの。
ヴァスコ・ダ・ガマの偉業を称えて築かれた、テージョ川の船の出入りを監視するための要塞でした。

塔の高さは35mほど。
豪華で優美なマヌエル様式の特徴が随所に見られ、石の細工とは思えないほど精巧で柔らかな印象の細かい彫刻には誰しも目を奪われます。
川岸から小さな橋が架けられていて渡ることができ、内部の見学も可能。
まるで海のように広いテージョ川を見渡すことができ、監視要塞として建てられたのだということがよくわかります。
潮の満ち引きがあるため、満潮時には地下は水で満たされるのだそうです。

次のページでは『ポルトガルを代表する歴史的建造物「バターリャ修道院」』を掲載!
次のページを読む >>

Writer:

歴史と歴史小説と遺跡を愛してやまない東京都在住の主婦。子供のころからの大の時代劇ファン。国内外問わず歴史小説を読むようになり、NHK人形劇「三国志」を見て中国史にはまって大学では東洋史学を専攻。愛猫とじゃれながら歴史小説を読み漁る毎日を送っている。趣味は古地図を眺めることとカメラ片手の街散策。

この記事のカテゴリ

ポルトガル
ヨーロッパ
歴史

関連記事を見る

ポルトガルの記事を見る

【ブラジルの世界遺産】一度は行きたいブラジルの歴史を感じる!世界遺産を全部解説
ポルトガルのお土産ならこれ!ぴったりのお土産が絶対見つかる20選
リスボン観光なら絶対行きたい絶景・観光スポット12選
アズレージョを知らなければポルトガルの芸術は語れない!アズレージョの歴史を少しだけ見てみませんか?
日本はがっかりされた国だった!?初めて日本に来たヨーロッパ、ポルトガルと日本の歴史に迫る
ポルトガルを代表する祈りの街「ブラガ」で見ておきたいスポット10選
ポルトガル・リスボンの観光なら絶対行きたい見どころ・スポットまとめ
【旅行体験記】中国とポルトガルの2つの文化が交錯する興味深い街、マカオ
ポルトガル「城郭都市オビドス」に見とれてしまう絶景6選
ノスタルジックな風景がいっぱい!ベトナム・ホイアンの魅力5選
大自然の神秘…ポルトガルで見れる海、滝、湖、川、渓谷、沼…水にまつわる絶景
日本にも大きな影響を与えたポルトガル第二の都市、ポルト歴史地区