アズレージョを知らなければポルトガルの芸術は語れない!アズレージョの歴史を少しだけ見てみませんか?

wondertripでは世界の絶景を紹介していますが、歴史地区や古代都市などの絶景スポットは、その歴史を少しでも知ることでより観光が楽しめます。今にも残る世界遺産のストーリーは、知識欲も刺激されますね。本日はポルトガル「アズレージョの歴史」をご紹介します。






アズレージョって何?

アズレージョって何?

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ポルトガルの首都リスボンをはじめ、ポルトガルの街をあること至るところで、青く美しいタイルに出会うことができます。
ポルトガルの芸術を語る上では欠かせない、タイル装飾のこと。
とはいってもポルトガル語でアズレージョとは単に「タイル」のことなんですが。

ポルトガルの人々は古くから、歴史や文化、伝説など様々なものをアズレージョに描くことで、私たち現代人に伝えています。
このアズレージョを見るとポルトガルの人々の穏やかで優しい人柄を感じられるようです。
また、青色からは、かつて海洋国家として栄えたことに誇りを持つ人々の気持ちがタイルに込められているんですよ。

リスボンのシアード地区にあるアンティークショップには美しいアズレージョがたくさん並んでいます。
1枚10ユーロから並んでいるので、ポルトガルへの旅行の記念のお土産にいかがでしょう。
ということで、今回は、ポルトガルを彩る青く美しいタイル装飾の「アズレージョの歴史」にちょっとだけ触れてみたいと思います。

ポルトガルにおいてのアズレージョのはじまり

ポルトガルにおいてのアズレージョのはじまり

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アズレージョをポルトガルに持ち込んだのはスペインでした。
元々アズレージョはイスラムの中東やペルシアで生まれたものと考えられています。
14世紀ごろにイスラム教徒が装飾タイルとして、スペインに持ち込みました。
スペインではこれを「アレスホ」と呼び、大量生産したのです。
ポルトガルには1503年に当時の王マヌエル1世がスペインから帰国した後、15世紀後半には、スペインのセビーリャから大量に輸入するようになっています。
その時に王は、グラナダのアルハンブラ宮殿やセビーリャのカテドラルを訪れています。
多分お気に召したんでしょうね!

これは、単色の上に釉をかけたもので、幾何学模様などの装飾を施したものです。
世界遺産に登録されているシントラ国立宮殿の紋章の間やアラビアの間で見ることができます。
ポルトガル王家の夏の離宮となっており、王は美しいと感動したアズレージョをここに飾ったのです。
保存状態も良く当時の王族の暮らしぶりが蘇ってくるようですよ。
実は、1415年にはポルトガルがセウタを攻略し、自らがアズレージョを作る技術を手に入れています。
それなのになぜだか16世紀までは輸入に頼っています。

建物の壁装飾で使われるアズレージョ

建物の壁装飾で使われるアズレージョ

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15世紀後半から16世紀初頭までは建物の壁を覆うという方法で使われることが多かったのです。
16世紀になると、王宮はもちろん教会や修道院などの壁にどんどん使われるようになりました。
やっとこの頃になって「アズレージョ」という名前も伝わりました。
ほとんどがスペインからの輸入でしたが、アントウェルペン産やイタリア産のものもわずかに輸入しています。

スペイン、フランドル、イタリアから陶工らが、ポルトガルにやってきました。
ここにきてポルトガルにも国内工場ができました。
彼らがこの時に持ち込んだのはルネサンス期に発症したマヨリカ焼きでした。
これは、タイルに直接色を付けることが可能となったことで、多くの芸術家たちが自分の思い思いの作品を描くことができるようになったのです。
1565年にはバルカリョア邸にある『スザンナと長老たち』をまた、現在国立アズレージョ博物館にある『羊飼いの崇敬』もこの頃に造られています。
1584年にはポルトガルで初めてアズレージョを組み合わせた構成図の『聖ロクスの奇跡』(サン・ロッケ教会)も作成されました。

17世紀から大いに繁栄するアズレージョ

17世紀から大いに繁栄するアズレージョ

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16世紀中ごろにフランスから「イタリア・マヨリカ様式」のタイルが入り込んだことにより、飛躍的に発展したアズレージョは、17世紀から18世紀にかけて大量生産されることになりました。
この頃になると、素焼きの状態ではなく、表面が滑らかで装飾性に優れた上に耐久性もいいものが作られるようになっています。
デザインも一新され、単色タイルから多彩色タイルに変化していき、バラやツバキを描いたマニエリスム装飾が組み合わされたものもこの頃から流行しました。

17世紀の特徴としては、王宮や貴族の館では戦争や狩りの場面のデザインを施したタイルを、タペストリー代わりに壁に飾るようになりました。
教会ではキリストや聖人の生涯、聖書の一場面を描写したものも造られ装飾されています。
中国や日本の時期の影響を受けたオランダのデルフトタイルも流行しています。
デルフトタイルとは、ブルー単色タイルを用いたもので、当時は大量に作られました。
これはアズレージョが美しい宮殿として知られる、リスボンのマルケゼス・デ・フロンティラ宮殿で見ることができます。
特に素晴らしいのは、「戦いの間」で、ポルトガルの再独立をかけてのスペインとの戦いが描かれています。







更に発展し黄金期を迎えたアズレージョ

更に発展し黄金期を迎えたアズレージョ

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18世紀になると宮殿や教会だけでなく、公共施設や一般家屋などにもどんどん使われるようになりました。
これまでのデザインから、風景画や神話、寓話なども描かれるようになり、アズレージョをより芸術性の高いものへと成長させました。
これまでは、内部装飾など建物の内側に使われていたアズレージョですが、外壁にも使われるようになります。
ここで登場したのが、ドイツの陶芸を取り入れた「アントニオ・デ・オリヴェイラ・ベルナルデス」です。

彼はポルトガルタイルの主要作家と呼ばれる人物で、ブルーの他に黄色やピンクなど明るい多彩色タイルを復活させました。
同時にこのタイルは外壁にも使用されるようになります。
これは植民地にアズレージョが持ち込まれるようになったのがきっかけです。
当時は新大陸が発見された後ヨーロッパが新大陸を支配していました。
ブラジルは雨風から家を守るために、このアズレージョが使われたのです。
それがポルトガルに逆輸入される形になりました。

震災による復興で装飾から実用的なものへと変化したアズレージョ

震災による復興で装飾から実用的なものへと変化したアズレージョ

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1740年ごろからは大きなパネルから、小さく繊細なものが好まれるようになったのです。
フランス画家のアントワーヌ・ワトーの作品が好まれ、優美で牧歌的なものが流行りました。
これは、メスキテラ公邸や毛留守宮殿で見ることができます。
一方、大量生産されるタイルは多彩色で不規則な買い方のモチーフが主流となりました。

1755年には不幸にもリスボン大地震が起こってしまいます。
しかし、めげずに立ち上がったリスボン市民たち、復興事業では装飾よりも機能性を重視し実用的なものとしてアズレージョが使われるようになったのです。
これは復興を指揮したボンバル候に因んで、ボンバル様式として広まりました。
魔除けのために建物に取り付けられている宗教的な題材を描いた小さなパネルが作られるようになっています。

近代から現在のアズレージョ

近代から現在のアズレージョ

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1890年代のリスボンの工場では、クリーム色の陶器の余白を用いた転写法を新たにはじめ、どんどん生産されるようになりました。
しかし手塗りのタイル芸術は廃れることはありませんでした。
タイル工場の好評長だったルイス・フェレイラは、工場のファサードを寓話的なタイルで多い騙し絵の技術を取り入れたのです。
この手塗りタイルは19世紀後半の折衷主義ロマン文化の優れた実例として評価されています。

20世紀に入り1930年にはアールデコのアズレージョの巨匠アントーニオ・コスタを輩出しました。
ポルト市のサン・ベント駅構内のアズレージョも有名です。
これは、2万枚ものアズレージョから作られており、歴史的題材を基に作成されています。
作者はジョルジェ・コラソです。
他にもポルトガルの街には、至るところにアズレージョを見ることができます。
また、国立アズレージョ博物館には14世紀から現在までのポイル尖るタイルを所有し、見学することができます。
また、アズレージョで飾られたカフェを併設しているので、寄ってみてはいかがでしょう。

次のページでは『アズレージョに囲まれた美しい国ポルトガルに訪れてみませんか?』を掲載!
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Writer:

世界遺産ブームをきっかけに歴史に目覚めてから、国や城、庭園などの成り立ちに魅了された主婦です。何だろう?と思ったことを調べて、皆さんにお伝えすることで気持ちを共有できたら幸せだな~と感じながら仕事をしています。ちょっとマニアックな歴史記事ですが、軽い気持ちで触れてみてくださいね!

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