世界的バンド誕生や巨大フェスティバルの開催「1960年代ロック」が歩んだ歴史とは?

現代の音楽で人気ジャンルの1つとなっている「ロック・ミュージック」。1950年代に誕生したロックは誕生から時代に合わせて発展を続け、現在は「ロック」だけでも多様なジャンルが誕生しています。今回はそんな長い歴史を持つロックミュージックから「1960年代のロック」を見ていきましょう。


「キング・オブ・ロックンロール」の登場

ロックの歴史初期に欠かせない人物の1人が「キング・オブ・ロックンロール」と呼ばれるエルヴィス・プレスリー。
1935年にアメリカ・ミシシッピ州テュペロに生まれたエルヴィスは、黒人の人々が多く住む環境の中で「ゴスペル」などの音楽を聴いて育ちます。
1953年に高校を卒業したあとにトラック運転手をしていたエルヴィスがテネシー州メンフィスのサン・スタジオで曲を録音していると、スタジオの主催者サム・フィリップスに注目されることに。
フィリップスは黒人の人々と関係の深いブルース、R&Bを歌える歌手を探しており、エルヴィスはそんなフィリップスの考えに合った歌い手であったのです。

こうしてフィリップスに認められたエルヴィスは1956年に発表した「ハート・ブレイク・ホテル」で全米1位を獲得。
その後も『監獄ロック(Jailhouse Rock)』や『ラヴ・ミー・テンダー (Love Me Tender)』など数多くのヒット曲を生み出したエルヴィスは若者たちに影響を与えるスーパースターに登り詰めていきます。

史上最も成功したバンド「ビートルズ」

エルヴィスが登場したあとには世界を巻き込む「巨大バンド」が生み出されます。
1962年にイギリスからデビューした「ビートルズ」は1963年にデビューアルバム『プリーズ・プリーズ・ミー』を発表すると国内での人気は高まり続け、1964年にはアメリカ上陸が実現することに。

アメリカに上陸したビートルズはアメリカの人気音楽番組「エド・サリヴァン・ショー」への出演を果たし、このときの視聴者数は7300万人との説も。
こうしてビートルズがアメリカでも人気を高めていくと、その勢いに続こうとイギリスのバンドが次々にアメリカ進出。
進出したバンドがアメリカで人気を獲得するようになると、この現象は「ブリティッシュ・インベーション」(イギリスの侵略)と呼ばれるように。
アメリカのミュージシャンにとっては大きな脅威と言えますね。

プロテストソングの旗手「ボブ・ディラン」

イギリスから登場したビートルズ人気が高まる中、アメリカではボブ・ディラン人気が高まることに。
当時のアメリカは「反体制運動」が全盛となっていた時代でしたが、ディランはそうした中で社会的なメッセージを込めた曲を歌う「プロテスト・シンガー」として支持を集めることに。
1963年に発表した「フリーホイーリン・ボブ・ディラン(The Freewheelin’ Bob Dylan)」に収録された「風に吹かれて(Blowin’ in the Wind)」は1960年代に行われた「アメリカ公民権運動」の賛歌とも呼ばれるようになり、同じアルバムに収録された「戦争の親玉(Masters of War)」は反戦を取り上げた曲として支持されることに。

ディランはビートルズ、ローリング・ストーンズといったイギリスのミュージシャンと交流を持つようになると楽曲に影響が現れるようになり、1965年に発表したアルバム「ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム(Bringing It All Back Home)」はロックサウンドを取り入れた作風に。
一方ディランの存在はビートルズのメンバーにも影響を与え、ジョン・レノンは作風などに大きく影響を受けることになります。
互いに得るものは大きかったのですね

1960年代後半の「サイケデリック・ロック」

1960年代後半の「サイケデリック・ロック」

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進化してたロックは1960年代にさらに進化。
1960年代に登場する「ヒッピー」と呼ばれる人々は「伝統・制度など既成概念を否定、人間本来の理想の世界を模索する人々で、そうした「ヒッピー」たちはLSDなどの幻覚剤が引き起こす「サイケデリック」と呼ばれる文化を生み、それがアメリカ西海岸を中心に広がっていくことに。

そうした「サイケデリック」文化は音楽界にも広がるようになり、LSDなどによる幻覚をロックとして表現した「サイケデリック・ロック」が流行。
このブームの中でビートルズは『リボルバー(1966年)』や『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(1967年)』、ローリング・ストーンズが『サタニック・マジェスティーズ(1967年)』で「サイケデリック・ロック」に分類される作風のアルバムを発表することに。
当時の音楽界を代表するバンドをも巻き込むのとは恐るべし流れです。

巨大ロックフェスティバルの開催

巨大ロックフェスティバルの開催

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この時代には現在行われている「ロック・フェスティバル」の最初とされているフェスティバルが開催。
1967年に開催された「モントレー・ポップ・フェスティバル」。
6月18日から3日間アメリカ・カリフォルニア州モントレーで行われたからロックフェスの歴史は始まったとされています。

このフェスティバルが開催されるきっかけになったのは1966年にスイス・モントルーで開催された「モントルー・ジャズ・フェスティバル」をみた興行主が「ポップのフェスティバルをやろう」と考えたのがきっかけ。

このフェスティバルにはジャニス・ジョプリンやジミ・ヘンドリックス、ザ・フー(The Who)といったロック史に名を残すミュージシャン、バンドが参加していましたが、この中では圧倒的なパフォーマンスとともにギターを燃やし、破壊するという衝撃的なパフォーマンスを披露。
現代のロックフェスであればすぐ問題になってしまいそうですが、観客にとってはこれぐらい衝撃的なパフォーマンスの方が見ごたえはありますね。

激しく実験的「ハードロック・プログレッシブロック」

激しく実験的「ハードロック・プログレッシブロック」

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1960年代の終わりに入ると、ロックはより激しいものになっていきます。
この時代に登場した「レッド・ツェッペリン」「クリーム」といったバンドは「ブルースをよりロックらしく演奏」するバンドとして活躍。
そうした「ハード・ロック」はのちに誕生する「ディープ・パープル」や「ブラック・サバス」といったバンドにつながっていき、世界にハード・ロックが広がることに。

その一方では別のロックジャンルも誕生しており、実験的・前衛的なロックとして「プログレッシブ・ロック」が生まれることに。
こうしたロックでは変則的な拍子、長時間に及ぶ曲、クラシックやジャズなどを取り入れた高度な演奏技術を有する音楽が多く、イギリスでは「ピンク・フロイド」や「キング・クリムゾン」といったバンドが結成されています。

ロックのジンクス「27クラブ」

ロックのジンクス「27クラブ」

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ロックの世界では「27クラブ」と呼ばれるジンクスが存在します。
これはロックなど音楽の世界で活躍した人物が薬物乱用とアルコール依存症、殺人などによって27歳で亡くなるというもの。

特に1969年から1971年にかけては人気ミュージシャンが亡くなっており、ジミ・ヘンドリクスは1970年9月18日未明に女性と2人でロンドンのホテルに泊まった際に睡眠前に酒、睡眠薬を併用、睡眠中に嘔吐して窒息死。
1967年にデビューしてからわずか4年で姿を消すことに。
ジャニス・ジョプリンは1970年10月4日にアルバム『パール』を録音するために滞在していたハリウッドのホテルで高純度の薬物「ヘロイン」を摂取して突然死。
ドアーズのジム・モリソンは1971年7月3日、モリソンはフランス・パリのル・マレにあるアパートのバスタブの中で亡くなった状態で発見。
死因は心臓発作、ヘロインの多量摂取と言われていますが、検死が行われなかったことからはっきりした死因はわからず。

このジンクスは70年代以降も続きカート・コバーン(1994年)、R&Bシンガーのエイミー・ワインハウス(2011年)もここに名を連ねることに。
時代が変わってもジンクスは簡単に消えないものですね。

Junya Higashi

Writer:

これまで旅行に行った土地は鹿児島・霧島や韓国・ソウルなど。世界の土地や風習のことなど、自分の知らない世界を調べて見るのが好きです。旅行経験やライター活動で得た知識が、これから旅行を楽しむ人の役に立てば大変嬉しく思います。どうぞよろしくお願いいたします!

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