「レゴブロック」を生み出した世界的メーカー「レゴ」が歩んできた歴史とは?

子ども時代に名前を聴くことの多いおもちゃの1つ「レゴブロック」。デンマークの玩具メーカー「レゴ」が生み出したこのブロックは現在まで「国民的おもちゃ」として世界で親しまれ、最近では2017年4月に名古屋市港区に完成した「レゴランドジャパン」でも注目を集める存在になっています。そんな長い歴史を誇る国民的おもちゃ「レゴブロック」を生み出した会社「レゴ」はこれまでにどのような歴史を歩んできたのでしょうか。

レゴは「多くの危機」を乗り越えて生まれた

レゴは「多くの危機」を乗り越えて生まれた

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レゴの歴史の始まりは今から約90年前のこと、1916年にデンマーク・ビルン基礎自治体にある街・ビルンでオーレ・キアク・クリスチャンセンが開いた木工所が原点。
オーレ・キアクはこの木工所で地域の農家向けに家、家具を作っていましたが、1924年に家事によって木工所が焼失。
そこから再起を目指したオーレ・キアクでしたが今度は1929年の「世界恐慌」に見舞われ、そこから製作費を切り詰めながら梯子(はしご)、アイロン型の模型など生活雑貨を作ることに。
これがのちに玩具製作へ踏み出すきっかけとなるのですから、何がその後の事業にかかわるかはわからないものです。

こうしてオーレ・キアクは引き廻して遊ぶ木製玩具や豚形の貯金箱などを製造。
1930年代中盤に「ヨーヨー」が流行したこともあって仕事は順調かと思われましたが、流行が終わるとヨーヨーの売れ残りが増え仕事は再び危機に。
こうした状況でオーレ・キアクはヨーヨーの未使用部分を再利用することを考え、玩具のトラックとして利用することに。
大きな危機は視点を変えれば乗り越えられる、子どもの想像力を引き出すおもちゃの原点はここにあるのですね。

レゴ・現在へ続くブロックの誕生

レゴ・現在へ続くブロックの誕生

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大きな危機に立ち向かったオーレ・キアクは1934年に社名を変更。
デンマーク語で「よく遊べ」を意味する「Leg Godt」から考えた言葉が、ラテン語で「組み立てる」を意味する「LEGO」という言葉でした。
オーレ・キアクはプラスチックの使用が一般的になりつつあった時代の流れに合わせプラスチック製の玩具政策を開始、部品を組み替えられるトラックなどを発売するように。
1949年には以前入手していた「キッディクラフト (Kiddicraft) 」社製「プラスチック製結合ブロック」の型見本をヒントに「自動結合ブロック」を発売。

このブロックは「アセチルセルロース製」の相互に結合するブロックで、ブロック上部に数個の突起、底面は長方形の空洞が設けられたもの。
こうしたブロックは1953年に「LEGO Bricks(レゴブロック)」と名前を変えて発売されることになりますが、当時の人々には受け入れられず売れ行きも不振。
これでもオーレ・キアクは製造・開発をやめることはありません。
「これは将来必ず支持を得られる」という信念があったのでしょう。

こうして開発が進められたブロックは1958年に改良が加えられ、それまで空洞になっていた底面に上部の突起をはめ込む円筒が設けられることに。
こうして現在まで続くブロックの形が完成することになります。

再び迎えた危機・安全性を高める製品造り

再び迎えた危機・安全性を高める製品造り

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ブロックの原型が完成した1958年、創始者のオーレ・キアクが亡くなり、息子・ゴッドフレッドが会社を引き継ぐことに。
息子に引き継がれた会社はその後も成長を続けますが、1960年に倉庫で火災が発生。
このとき木製玩具の在庫の大半が焼失してしまいますが、ブロックの製造設備は幸いにも家事を逃れることに。
これを機に会社では木造玩具の製造を止めることになります。

火事を機に会社としての方向性を定めるとブロック開発に集中、1961年から1962年にかけて自動車を作るためのタイヤを登場させ、この頃には「システム・オブ・プレイ(遊びのシステム)」は50以上のセットができることに。
生活に密着したものを作れるようにすれば、遊びのバリエーションはより増えますからね。

ブロック開発を進める中では「素材の改良」にも手を抜かず、1963年には素材をそれまでのアセチルセルロースからABS樹脂に変更。
ABS樹脂はアセチルセルロースと比較して毒性が無く変色・変形の少なさ、薬品や熱への耐性に優れており、2017年現在も製造時はこの素材を採用。
現在のブロックは素材が採用され始めた当時の製品と組み合わせることも可能で、時代を超えて末長く使えることは「国民的おもちゃ」の必須条件ですね。

乳幼児用・女児用など広がる方向性

乳幼児用・女児用など広がる方向性

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素材改良など開発を信仰させる中で新たなシリーズが登場したのは1966年。
この年に登場した「レゴトレイン」は4.5Vモーターとレールが付いたもので(2年後には12Vモーターが登場)、これらの部品を組み合わせると鉄道が出来上がるというもの。
これも日常生活場面に見られるものですから、こうしたおもちゃで社会環境を知ることができるのも良いですね。

1969年には通常のブロックより2倍以上大きく設計された「デュプロ」シリーズも新登場。
これは小さな子どもが誤って飲み込まないように設計されたもので、このシリーズは大きさが違う通常ブロックと組み合わせて遊ぶことが可能。
どの発達段階にも対応できる応用性と安全性の高さを兼ね備え、廃棄という無駄を生まないおもちゃ。
こうしたおもちゃはエコに役立ちますし、こうしたものを生むのもおもちゃ開発者が持っておきたい精神と言えますね。

1970年に従業員数が900人を超えた会社は、さらにブロックの方向性を拡大していきます。
1971年には女の子向けに「ドールハウス」シリーズ、翌年には水に浮かべて遊べるボートと船のセット1974年には人形付きの「ホームメーカー」シリーズが初登場。
本格志向の製品も誕生しており、1975年に発売した「ホビーセット」シリーズは細かい部品を組み立てて本格的な車を作れるものに。
1978年には手足が動き笑顔が印刷されている人形「ミニフィグ」が追加され、より精巧な街の再現が可能に。
ブロックを「子どもだけでなく、誰でも親しめるものに」という考えですね。

試練のとき・迷走と経営不振

試練のとき・迷走と経営不振

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巨大玩具メーカーとして進化を続けたレゴでしたが、そのレゴは1980年代に大きな危機を迎えます。
この頃になると各国で基本特許が切れ始め、それによってレゴに類似したより安いブロックが次々に登場。
さらにテレビゲームが発達したことによりブロックで遊ぶ子どもの平均年齢も下がり、環境変化に対応できなかった会社の売り上げは次第に下降していくことに。
最新技術を前にして「アナログ」な遊びのブロックは「時代遅れ」になっていたのですね。

こうした低迷期から抜け出そうとした会社1998年にデンマークの高級音響機器メーカー「バング&オルフセン」を再建したポール・プローメンをCOO(最高執行責任者)に招聘、プローメンは「脱ブロック」を掲げテレビゲーム開発、従来のレゴブロックと互換性のない新シリーズ投入などの施策を実施。
しかしこうした施策はそれまでの固定ファンから反感を買い、結果的にはブランドの信頼を落とす結果に。
新しい血と伝統のぶつかり合い、まったく異なる2つの流れを両立するのは難しいことです。

その後2002年に「スター・ウォーズ」シリーズによって営業利益は過去最高となる8億デンマーク・クローネ(当時の約140億円)を記録しますが、映画のない年は業績が大下落。
2004年12月期には18億デンマーク・クローネ(当時で約310億円)の損益を記録して赤字、身売りの噂が流れることも。
伝統が守られないことには厳しい目が向けられていたのでしょうね。

原点回帰・教育分野への貢献

原点回帰・教育分野への貢献

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低迷にあえいだレゴは2005年35歳の元コンサルタント、ヨアン・ヴィー・クヌッドストープをCEOに抜擢。
再建に乗り出したクヌッドストープはゲーム、テレビ番組制作事業から撤退を決め、レゴの事業を「ブロックの開発・製造」と改めて定義。
創業当時の理念である「子どもたちに最高のものを」を目指すべき方向として再確認。
いくつもの策を実施・迷走を続けた末に会社が選んだ道は「原点回帰」であったのです。

こうして会社としての方向性を再確認したレゴは「デュプロ」シリーズより低年齢層向けの乳幼児向けシリーズ「クワトロ」 シリーズを発表。
これは通常製品より柔らかい素材を使用、ケガをしにくい造りに仕上がっており、デュプロシリーズと混在も可能。
子どもの発達に寄り添った製品を生み出す、かつての姿を取り戻してきましたね。

2010年にはミニフィグ同士をスピナーにセット・回転バトルができる「レゴ・ニンジャゴー」を発売すると、会社として初めてのアニメーションテレビ番組「スピン術の使い手」「レゴ・ニンジャゴー」も制作。
2012年には女児向けの「レゴフレンズ」を発売し、2014年上期業績は115億400万デンマーク・クローネ(約2,011億1,888万1,119円)で玩具世界一に。
紆余曲折を経てブランドの信頼はようやく回復したのです。

レゴの影響は教育現場にも拡大しており、1980年から教育部門「レゴ・エデュケーション」を設立。
この部門では現在まで約35年以上にわたり先生、教育専門家の協力を得ながら教材、ソリューションの開発に取り組んでおり、最近ではブロックを組み立てながら簡単に「プログラミング」技術を学べる画期的教材「LEGO WeDo 2.0」を開発。
この教材はプログラミングが「学習指導要領」で必修化される日本でも注目され、取り入れる学校も出てきています。

レゴにまつわるエピソード

Junya Higashi

Writer:

これまで旅行に行った土地は鹿児島・霧島や韓国・ソウルなど。世界の土地や風習のことなど、自分の知らない世界を調べて見るのが好きです。旅行経験やライター活動で得た知識が、これから旅行を楽しむ人の役に立てば大変嬉しく思います。どうぞよろしくお願いいたします!

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