運河と風車と教会が彩るオランダの歴史的スポットを巡る

国土の4分の1以上が海抜下という「低地の国」オランダ。オランダの歴史は水との戦いの歴史でもあります。洪水から街を守るため、川を整備し運河を張り巡らせ、水車で水を汲み上げる排水システムを築いてきたオランダには、この国ならではの風景がたくさんあるのです。今回はそんな”これぞオランダ”といった歴史あるスポットをご紹介してまいります。


オランダならではの風景が見たい!運河と風車を堪能するならココ!

オランダの原風景を求めて「アムステルダムの運河」

オランダの原風景を求めて「アムステルダムの運河」

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その昔、現在のオランダやベルギー、ルクセンブルクがある一帯は広く「ネーデルラント」と呼ばれていました。
これはオランダ語で”低地の国々”を表す言葉。
17世紀半ばにオランダとして独立を果たす前から、川が入り組んだ海沿いの土地は様々な外部勢力の支配を受けつつ、織物工業や交易で大変にぎわっていたのだそうです。

そんなオランダの首都・アムステルダムは「北のヴェネチア」と呼ばれるほど、街中に美しい運河が流れる水の都として知られています。
17世紀には既に彫られていたとされるヘーレン、プリンセン、ケイザーという名の主要な運河を中心に、街中に円を描くように張り巡らされた運河は100㎞以上とも。
17世紀、多くの移民が流れ込み、急速に発展する都市を護るため、水運と防衛の両目から、運河はアムステルダムの街の発展に無くてはならない存在だったのです。

そんなアムステルダムの運河は、観光スポットとしても大人気。
街の至るところに橋が架けられ、周囲に1500を超えるという歴史的建造物が建ち並ぶ美しい街並みを一目見ようと、季節を問わず多くの観光客が訪れます。
運河の流れはどこまでも穏やかで、川沿いを散策する人もあれば、船で運河を行く人の姿も。
水上から見上げる街並みはまた格別です。

とんがり屋根の城門と運河「古都デルフトの東門」

とんがり屋根の城門と運河「古都デルフトの東門」

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アムステルダムから南へ。
オランダを代表する都市ロッテルダムとハーグのちょうど中間に位置するデルフトは、「デルフト焼」と呼ばれる青い染付の陶磁器で有名な古都。
この街の運河も大変美しく、アムステルダムとはまた違った趣があります。

オランダを代表する画家フェルメールの『デルフトの眺望』という絵をご存知でしょうか。
1660年頃描かれたとされている風景がの中には、大きな運河の向こう側に塔や建物が建ち並んでいて、既に大きな街が出来上がっています。
その絵の風景を一目見たいと、絵葉書片手にフェルメールファンが訪れる街としても有名です。

運河沿いの、オランダらしい風景を写真に撮りたい!と思ったら、少し足を延ばして、東門周辺を散策してみるのがオススメです。

都市部とは少し雰囲気の違う、緑豊かでのどかな運河沿いを歩いていると、不意に2本のトンガリ塔が見えてきます。

その昔デルフトは、街全体が運河と城壁で囲まれていたのだそうです。
街への入口は何か所かあったそうですが、現在唯一残っているのが「東門」と呼ばれるこのトンガリ塔。
何とも可愛らしい形に見えますが、れっきとした防衛施設。
手前には跳ね橋が設置されていて、中を見学することも可能です。

街を水害から守る秘策がここに「キンデルダイクの風車」

街を水害から守る秘策がここに「キンデルダイクの風車」

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オランダに行ったら絶対に見たいものは?運河もステキですが、オランダと言ったらやっぱり風車でしょう。

国土の4分の1が海抜下というオランダは、昔から幾度となく洪水や水害に悩まされてきました。
土地が低く、無数に川が流れ込む海沿いの大地に都市を築くためには、干拓が不可欠。
その際に水を汲み上げる装置として使われたのが風車でした。
そんな風車が19基も連なる風車網を見ることができる場所がキンデルダイクです。

風車とは、羽根車に風を受けて回転させて動力を得る装置。
粉をひくための建物、というイメージがありますが、起源はよくわかっていないのだそうです。
ただ、紀元前3000年頃のエジプトで灌漑に使われていた記録があるそうで、もともとは水を汲み上げるために考え出されたものなのかもしれません。
その後10世紀頃、中東周辺で粉をひくために風車が使われていたという記録があり、それがヨーロッパやアジアへ広まっていったようです。

排水のために建てられた風車は、他にも粉ひきや油搾など、様々な作業の動力として街の人々を支え続けました。
時代が進み、蒸気機関や電気の発明により、動力源としての役割を終えた風車たち。
それでもキンデルダイクには、今でも現役で稼働している風車が残されています。

なぜか多い!?オランダの街を見下ろす背高のっぽの教会たち

水色の王冠をかぶった塔が印象的「アムステルダムの西教会」

水色の王冠をかぶった塔が印象的「アムステルダムの西教会」

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心なしか、オランダには背の高い塔を持つ教会が多いような気がします。
土地の隆起が少なく高低差のない街が多いので、背の高い教会は街のどこにいても視界に入り、人々の暮らしを静かに見守っているかのようです。

そんな背高のっぽの教会の中でも、ひときわ印象的な外観を持っているのがアムステルダムの西教会。
1631年に建てられたオランダ最大のプロテスタントの教会で、塔の高さは85mもあります。
世界的に見ると、もっと大きな教会はたくさんあると思いますが、アムステルダム市街地には高い建物が少ないので、間近で見るとその迫力に圧倒されます。
船上から見上げるのもオススメです。

深い色合いのレンガと白い窓枠のコントラストが美しい外観。
塔には50個のベルがあり、美しい音を街中に響かせています。
塔のてっぺんには、神聖ローマ帝国のマクシミリアン一世を称えて造られたという鮮やかな水色の王冠が。
この王冠、一時期金色だったそうですが、2006年にまた青色に戻したのだそうで、大変鮮やかな色をしています。

この塔、実は上に上ることができるんです。
エレベーターはありませんので、ガイドさんについて、狭いらせん階段をひたすらぐるぐる。
地上から40mほどの位置まで上がってアムステルダムの街を見下ろすことができます。
階段は少々キツイですが、上がった先にある風景は一見の価値ありです。

古都を一望!「デルフトの新教会と旧教会」

古都デルフトにも、背高のっぽの教会があります。
しかも2つも。
新教会・旧教会と呼ばれるそれらの建物は、高い建物が少ないデルフトの街中でひときわ目立つ存在となっています。

運河沿いに建つ旧教会は13世紀頃に建てられたとされるゴシック調の建物。
塔の高さは75mほどで、トンガリ屋根の塔と大時計が印象的です。
外観もステキですが、内部も秀麗で、特に色鮮やかなステンドグラスは、時を忘れて見入ってしまうほど。
建物は古いですが、明るい光の差し込む暖かな空間が訪れた人々の心を和ませてくれます。

実はこの教会、ほんの少し、傾いているんだそうです。
そう言われて見上げてみてもちょっとわかりませんが…でも、少し離れた運河から見てみると、あれ、確かに運河のほうに傾いているかな?傾きがわかるポイントを探して市街地を散策してみるのもデルフト観光のポイントかもしれません。

旧教会から数ブロック離れたところに建っているのが新教会。
デルフトの中心地マルクト広場の前に立つ荘厳な外観で、こちらもやはりツンと尖ったトンガリ塔となっています。
高さは108mほどにもなるそうです。

新教会の塔も、実は上ることができます。
しかもかなり狭く長いらせん階段。
376段あるそうです。
お金払って階段かよ!と思うう人もいるかもしれませんが、その先の眺望、デルフトの街並みも旧教会もよく見えて、苦労して上がっただけのことはあります。
オススメです。

Writer:

歴史と歴史小説と遺跡を愛してやまない東京都在住の主婦。子供のころからの大の時代劇ファン。国内外問わず歴史小説を読むようになり、NHK人形劇「三国志」を見て中国史にはまって大学では東洋史学を専攻。愛猫とじゃれながら歴史小説を読み漁る毎日を送っている。趣味は古地図を眺めることとカメラ片手の街散策。

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