秀吉は本当に一夜で城を完成させたの?岐阜・墨俣城を訪ねてみた

その後の信長の美濃攻めは?

その後の信長の美濃攻めは?

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『武功夜話』はかなり膨大な書物で、一夜城の他にも信長の恋話や秀吉の若いころの話など、様々な話がかなり詳しく書かれていて、その分、読む人を惹きつけていったのではないかと考えられています。
ただ、『前野家古文書』全てが公開されているわけではなく、原本も非公開であるため、どうしても、後の世の創作なのでは…という疑問が付きまとってしまうようです。

とはいえ、墨俣が戦略上、非常に重要な場所であったことには違いありません。
この時はまだ、秀吉は下っ端だったので、単に名前が残っていないだけかもしれませんし、墨俣一夜城の実態については、今後、さらに重要な史料や古文書の発見が待たれるところです。

そして、その後の墨俣城の動向ですが、残念ながら、墨俣城からの稲葉山城攻略は実現しませんでした。
砦を築くことはできても、そこから先に駒を進めることができなかったようで、しばらくの間睨み合いが続きましたが、信長は別の方法で攻略しようと考えたのか、墨俣を後にします。

翌年、斎藤氏の内紛が起き、これを好機と見た信長は稲葉山の西側から攻略。
城下の町を焼き討ちし、稲葉山城の包囲に成功します。
この内紛を手引きしたのが秀吉だったとも。
信長は念願の稲葉山城を手にし、美濃を手中に治めるのです。

墨俣城のからの眺望

展望台からの眺めは見ごたえあり!

展望台からの眺めは見ごたえあり!

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墨俣模擬天守内の資料館には、墨俣城築城当時の川の様子と周辺の城の配置図がわかりやすく展示されています。
墨俣周辺は川だらけで、木曽川、長良川、揖斐川を始め、支流が細かく分かれて中州だらけ。
物資を運ぶだけでも相当な苦労があったと思われます。
川はたびたび氾濫し、現在とは形が大きく異なっていたことも、資料館の展示で詳しく解説されているのでとてもわかりやすいです。
川が複雑な地形を生み出し、その間に城が築かれ、その一番上に稲葉山城の文字が。
その手前に、幾重にも川が重なり合い、行く手を阻みます。
その難解さもさることながら、衛星写真もない時代にこれだけ細かく川の様子を描いたことに、大きな驚きを感じずにはいられません。

展示をひととおり見た後は、是非、展望室になっている最上階へ。
窓が大きいので、全方向、周囲を見渡すことができます。
北方面を見ると、地平線のかなたにこんもりと山が連なっているのが見えるので、こちらを是非お見逃しなく。
一番高い尖った山の上に建っているのが、信長が長年かけて攻略した稲葉山城(後の岐阜城)。
晴れた日なら、肉眼でも何となく、山頂に何か建っていることがわかります。
望遠付きのカメラをお持ちなら是非、ズームして撮影してみてください。
現在は、川の向こう側にビルが建ち並んでいますが、墨俣城築城当時はおそらく何もない平原が広がっていたはず。
稲葉山城から墨俣城がどれほど見えたかはわかりませんが、今まで何もなかったところに突然何か出来上がっていれば、きっと誰かしら「なんだあれは?」と気づいたに違いありません。







あわせて訪れたい「岐阜城」

あわせて訪れたい「岐阜城」

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時間があれば是非、あわせて訪れたいのが、展望室から小さく見えていた稲葉山城です。
織田信長が斎藤氏から奪い取ってから岐阜城と名前を変え、その後、息子織田信忠に城主の座を譲って、自らは安土城築城へ。
この岐阜城の改修が、後の安土城の構想へと繋がっていったとも考えられているように、山の上から城下を見下ろすようにできています。
戦う城(籠城のための山城)から、城主が住む城・見せる城へ、その片鱗が伺える城の構造になっているのです。
信長が築改修した建物は焼失してしまっていますが、3層か4層の、大きな建物が建っていたと考えられています。

現在の天守は1956年(昭和31年)に再建されたもので、残されている絵図などをもとにして設計された外観を持つ鉄筋コンクリート建築3層4階建て。
最上階はやはり展望台になっていて、岐阜市街地を一望することができます。

ただ、残念ながら、天候の影響もあり、思った以上に市街地が広がっていて、岐阜城から墨俣城を探すことができませんでした。
双方から見えたらよかったのですが残念。
ただ、岐阜城の展望台からも、長良川や木曽川のうねるような流れを見ることはできるので、攻め込まれる側の気持ちになって周囲を見渡すことは可能です。

是非、墨俣城の眺望と合わせて、美濃の風景を楽しんでください。

墨俣一夜城の謎が解明される日を信じて

墨俣城の模擬天守は美しくてカッコいいので、実際の墨俣城とは関係ないにしても、お城がお好きな方ならきっと満足できるんじゃないかと思います。
屋内の資料館の展示もかなり充実していて見ごたえあり。
一夜城と秀吉の関係については、今後、何か新しい史料の登場で、いつの日か明らかになるのではないかな、と密かに期待しています。
見て楽しい知って楽しい墨俣城、是非、訪れてみてください!
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