「南方産の真珠」と呼ばれるサハラ砂漠の入口にあるモロッコ「マラケシュ旧市街」の歴史

wondertripでは世界の絶景を紹介していますが、歴史地区や古代都市などの絶景スポットは、その歴史を少しでも知ることでより観光を楽しめます。今にも残る世界遺産のストーリーは、知識欲も刺激されますね。本日は「マラケシュ旧市街」をご紹介します。






アトラス山脈の麓に佇むマラケシュってどんな町?

アトラス山脈の麓に佇むマラケシュってどんな町?

image by iStockphoto / 47130870

マラケシュは、モロッコの中心部近くに位置する、ベルベル語で「神の国」という意味を持つ地域。
カサブランカ、ラバト、フェズに続くモロッコ第4の都市で、力強くエネルギッシュなパワー漲るモロッコを代表する大都市の一つです。
町の背後にはオート・アトラスの肥沃な大地と遥か南にある世界最大のサハラ砂漠との隔壁となっています。
3千~4千m級の雄大な山々が町を守っているかのように聳えているのも印象的。

新市街地にはショッピングなどを楽しめる近代的な街並みがあり、旧市街地には日干し煉瓦でつくられた赤い街並みがとても素敵な情緒に溢れた地区となっています。
迷路のような旧市街地を歩くと迷子になった気分を味わえる趣ある雰囲気が素敵です。
中心にあるジャマ・エル・フナ広場では、夕方から屋台や大道芸人が集まり、毎晩お祭り騒ぎの活気に満ちています。
広場の周りは世界最大級のスーク(市場)が広がり、夜はその市場の灯りはとても煌びやかです。
また、スークの側に建つクトゥビーヤ・モスクのミナレットは最も美しいといわれています。

北アフリカ最大のマラケシュ旧市街の始まり

北アフリカ最大のマラケシュ旧市街の始まり

image by iStockphoto / 15697680

街そのものがパラダイスのようなマラケシュは、フェズの次に2番目に古い町です。
マラケシュには古代よりギリシア語で「わけのわからない言葉を話す者」を意味する、ベルベル人が住んでいたようですが詳しい内容は分かっていません。

マラケシュが都市として機能し始めたのは、ベルベル人による最初のイスラム国家スンニ派の王朝ムラービト朝(1056~1147年)の時。
彼らはサハラ砂漠の南部に遠征し、ガーナ王国を滅ぼしたついでにモロッコを征服しました。
1071年以来本格的な整備がされ、このマラケシュが首都になっています。
モスクの建設や灌漑路の整備などが行われました。
この王朝が大きくなるにつれキャラバン貿易が始まり、異文化が入り込み商工業と文化が栄えたようです。

更にイベリア半島までを征服し一大帝国となりました。
この王朝では様々な建物が建てられたようですが、そのほとんどがこの王朝時代に取り壊されました。
遊牧民族だったベルベル人が一ヶ所に定住することは、ハングリー精神を退化させてしまうことになったのです。
そして、信仰にも揺らぎが出てしまいどんどん弱体化。
1147年にはムワッヒド朝に倒されてしまいます。

ムラービト朝の繁栄と新しい朝廷ムワッヒド朝の起こり

ムラービト朝の繁栄と新しい朝廷ムワッヒド朝の起こり

image by iStockphoto / 99541031

ムラービト朝の時代に北アフリカ、イベリア半島・西アフリカまで勢力を拡大していたベルベル人は、サハラ交易や地中海貿易によって繁栄していました。
マラケシュは地中海とアラブ、アフリカを結ぶ交通の要所だったのです。
1121年にイスラム神秘主義(神の唯一性)のムワッヒドという信仰を創り出したベルベル系の定着民マスムーダ族のイブン・トゥーマルトは新しい宗教を掲げ反乱を起こします。
1124年にはティンマルに拠点を造りました。

1130年にトゥーマルトの弟子アブド・アル・ムーミニーンが教団のカリフ(イスラム国家の指導者)を継ぎ、世襲王朝のムワッヒド朝を建国しました。
マラケシュを占領した時に、この町に造られていた宮殿やモスクはことごとく粉々にされ、ムラービト朝時代の遺構は、ジャマ・エル・フナ広場やクバ・アル・バディン廟などごく一部のみ残っています。

貿易、商業、学問の中心となったムワッヒド朝時代

貿易、商業、学問の中心となったムワッヒド朝時代

image by iStockphoto / 19100854

1147年にムワッヒド朝(1130~1659年)はマラケシュを再建しました。
この時に高さ5m、厚さ2m、総延長12kmの城壁を築いて街を囲みカナート(地下灌漑施設)を作りオアシス都市として更に発展させました。
この時にクトゥビーヤ・モスクやメナラ庭園などが造られ、今も迷路のような街並みが印象的な、北アフリカ最大級の旧市街地の基礎が築かれました。
クトゥビーヤ・モスクの77mもの高さを誇るミナレットは、旧市街のシンボルの一つとなっています。

マラケシュに都をおいたムワッヒド朝は、1152年にはアルジェリアのハンマード朝や1152年にチュニジアのズィール朝を滅ぼし、マグリブ地方を統一しました。
これにより彼は、北アフリカの交易路を支配しました。
ムラービト朝が滅亡の後、イベリア半島のイスラム教は小国家に分裂し争いが絶えなくなっていました。
1160年にはアブド・アル・ムーミンはジブラルタル海峡を渡り、アンダルスの征服に着手し、息子の時代に完結しました。
1170年にはセビリアを副都にしました。
しかし、ユダヤやキリスト教徒を信仰していた多くの人々が、彼らの厳格な宗教についていくことが出来ず他国に亡命しています。







第3代カリフ、ヤアクーブ・マンスールの時代

第3代カリフ、ヤアクーブ・マンスールの時代

image by iStockphoto / 39259776

彼の時代は十字軍と戦うアイユーブ朝を支援するようになります。
それと同時に彼自身もキリスト教への攻撃を強大にするため、1195年にはイベリア半島に大軍を引き連れ攻めています。
コルドバとトレドの間にあるアラルコスでレオン王国のアルフォンス8世(カスティーリャ王在位:1158-1214年)に大勝しました。
その後何度も遠征し、トレドを攻撃しました。

あくまでも首都はマラケシュに置いていましたが、セビーリャは彼らの副都として栄えました。
彼の時代にはイブン・ルシュドが活躍し、現存する「ヒラルダの門」が有名な大モスクも建設されています。
やっとこの頃に西方イスラム文化が開花したのです。
その後ムワッヒド朝は、1212年に十字軍に敗北。
イベリア半島を失ったことで大打撃を受け、急速に衰退しました。

この12世紀には王宮近くにある繰り込み模様のアーチが美しいアグノウ門や27の橋脚に支えられたテンシフト橋が架けられました。
このアグノウ門は宮殿に向かう際に王が通った門で、上の壁にはコーランの章句が刻まれ風格に満ちています。
死刑にされた人の首をさらす場所で、小さな2つの大砲も据えられています。

ムワッヒド朝の滅亡とマラケシュの復活

ムワッヒド朝の滅亡とマラケシュの復活

image by iStockphoto / 85135111

栄華を誇っていたムワッヒド朝は1269年に滅亡してしまい小国に分裂します。
その後、マラケシュはフェズを首都とする、マリーン朝の支配下にくだってしまいます。
モロッコは実は幸運なことにマグリブ地方の中で唯一、オスマン帝国の征服がなされなかった地域です。
15世紀のマラケシュ周辺ではポルトガルなどの占領が始まっていました。
名門シャリーフ家のムハンマド・カイームが1511年にポルトガル人に対する侵略を防ぐためサアド朝を起こしました。

1549年にサアド朝がマラケシュを首都に置き、そこから再び繁栄が始まります。
1578年にセバスチャン王国(ポルトガル)がモロッコに遠征しましたが、アルカセル・キビールの戦いでモロッコ軍に大敗。
ポルトガルはスペインに併合されました。
この戦いで勝利したサアド朝はマンスール王のもと勢いにのり、1583年にサハラ中央にあるオアシス「トゥワット」を、1585年に岩塩の産地「テガザ」(現在のマリ共和国北端)を征服しました。

サアド朝の最大の繁栄期と滅亡

サアド朝の最大の繁栄期と滅亡

image by iStockphoto / 39843416

彼はこれまでに造られていた建築物のほとんどを壊しましたが、バイーヤ宮殿やアグダル庭園が造られました。
サハラ以南のスーダン地方を支配するソンガイ帝国の征服も行い、これによってアンダルシア人のムスリムがモロッコに亡命しました。
彼らの不満を一掃するため、スペイン出身兵2000人で造られた鉄砲隊も組織されています。
ソンガイ帝国征服に成功し、毎年1トンもの黄金が流れ込むようになり、マンスール王は「黄金に輝く」という異名もつけられています。

しかし、17世紀に現王朝のアラウィー朝に滅ぼされてマラケシュの都としての地位はなくなりましたが、多くの歴史的建造物が残されていたため、地方の有力都市としての地位は保ち続けています。
1985年には、マラケシュの旧市街地は世界遺産に登録されました。

次のページでは『北アフリカ最大の旧市街地マラケシュ旧市街を旅してみませんか?』を掲載!
次のページを読む >>

関連記事を見る

アフリカの記事を見る

【エジプト旅行】憧れのピラミッド&神殿巡りで歴史三昧の旅へ!
アフリカ系アメリカ人選手が活躍した野球リーグ「ニグロリーグ」の歴史とは?
アフリカの歴史に光を!『人類生誕の地』母なる大陸一周の旅へ
マケドニア観光なら次はここ!「オフリド」で見たい絶景10選
移住者が伝える沖縄の魅力!沖縄本島で行けるビーチ20選
ガーナ観光なら次はここ!「アクラ」で見たい絶景10選
モロッコ観光なら絶対ここ!青い絶景の「シャウエン」で見たいスポット10選
ディズニーシーの未来的空間 ポートディズカバリーの ”ホライズンベイ・レストラン”でミッキーと出会おう!
紀元前800年代には港町として栄えていた街。モロッコ「エッサウィラ」観光で見たい絶景10選
ローマ時代の名残そのまま感じる、モロッコの「ヴォルビリスの古代遺跡」
政府公認ガイドが教える!フィレンツェ観光完璧ガイド
アフリカの玄関、モロッコの「タンジェ」観光の見どころ