モロッコの不毛地帯に突如として現れる有名映画のロケ地としてお馴染みのアイト・ベン・ハドゥの集落の歴史

wondertripでは世界の絶景を紹介していますが、歴史地区や古代都市などの絶景スポットは、その歴史を少しでも知ることでより観光を楽しめます。今にも残る世界遺産のストーリーは、知識欲も刺激されますね。本日はモロッコの「アイト・ベン・ハドゥの集落」をご紹介します。


砂漠エリア観光のハイライト、アイト・ベン・ハドゥとは?

砂漠エリア観光のハイライト、アイト・ベン・ハドゥとは?

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モロッコ中部のアトラス山脈の山の中にある、ワルザザートの西33kmに位置する村。
この村は、イスラム系アラブ人の侵略によって西に追われたベルベル人が造ったクサル(要塞化された村)です。
クサルの代表的な例としても有名なのが、「アイト・ベン・ハドゥ」です。

クサルとはカスバ(ベルベル人が南地方に造った要塞・砦・城郭)が集まったもので、いくつもの塔を持つ城壁で囲まれています。
他の国とは違い司令官などだけでなく、複数の家族が住む一つの村という形が特徴となっています。
また、このクサル内には土産物屋やカフェなどもあるので、歩き疲れたらちょっと寄ってみるのもおすすめです。
結構お店も綺麗で、モロッコらしい雰囲気も味わえます。

アイト・ベン・ハドゥはモロッコの中でも一番美しい村といわれ、「アラビアのロレンス」、「ソドムとゴモラ」、「ナイルの宝石」や2001年に公開された「ハムナプトラ2」、2010年の「プリンス・オブ・ペルシャ/砂の時間」などの映画の撮影にも使用されています。

ここにある建物の特徴としては、外気が40度を超えても室内の風通しがよく涼しい空間。
この建築方法は古代の技法を伝える重要な文化遺産として高い評価を受けています。
ベルベル人のモン・サン・ミッシェルと呼ばれ、1987年にはユネスコ世界遺産に登録されました。

美しい要塞の村アイト・ベン・ハドゥの始まり

美しい要塞の村アイト・ベン・ハドゥの始まり

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7世紀に先住民ベルベル人がアラブ人に追われるようにアトラス山脈を越え、砂漠のオアシスにカスバと呼ばれる城塞のような邸宅を建てて住み始めました。
日干し煉瓦でつくられた堅固なカスバにはたった一つ入口があり、盗賊や周辺民族の侵略から身を守るための巨大な門が造られています。

見張り塔や高い塀には銃眼も設置されていました。
この頃の城壁には、さまざまな危険から身を守るための役割が強かったのでしょう。
砂漠のオアシスとはいえ殺伐とし、砂埃が舞う光景は、砂漠の厳格さと迫力を感じます。

カスバが集まって要塞集落として出来上がった村をクサルと呼んだようです。
そのクサルは、オアシスのあらゆるところに点在し、その数は1000以上あるといわれています。
中でも最も壮大で美しい姿を見せているのが、ハドゥ一族が500年前に築いた、アイト・ベン・ハドゥです。
この遺跡は周辺地域にある他の村より、当時の状態に近く保存状態も良好で素晴らしいものです。

また、1ヶ所しかない入口から入ると中はまるで巨大迷路のようです。
一度入ると、今自分がどこにいるのかわからないように工夫されてます。
この辺りは砂漠の中のオアシス的な存在で、孤立していたため盗賊や敵に狙われやすく、その侵略を防ぐための一つの方法だったのです。

キャラバンたちの癒しの地アイト・ベン・ハドゥ

キャラバンたちの癒しの地アイト・ベン・ハドゥ

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砂漠の中のオアシスの奥にある、丘の斜面の岩肌に沿って立体的に造られた要塞村。
このアイト・ベン・ハドゥはサハラ砂漠を縦断するサハラ交易の要衝に築かれ、砂漠を渡ってくるキャラバンの癒しの地となっていました。
この辺の道筋をカスバ街道といいます。
この要塞村も荒野の中に築かれたキャラバンたちの癒しの場として繁栄しました。
この地特有のさまざまな気候が生み出す特産物はバラエティに富み、隊商交易も盛んに行われていました。

地中海からは塩、西アフリカからは金を交換する地で塩金交易と呼ばれ膨大な富をもたらしたといわれています。
交易ルート上に、クサルを築き通行税を取る代わりにキャラバンの安全を保障しました。
この交易ルートが「カスバ街道」と呼ばれ、この街道沿いの一つにこのアイト・ベン・ハドゥがあるのです。

段々畑のような小高い丘に直方体の建物が集まり、まるでピラミッドをイメージするような村を形成しています。
正面には小川もありこれは日本のお城の周りにあるお堀のような役割を担っていたようです。

不思議に包まれた住居

不思議に包まれた住居

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倉庫と要塞が一体となった住居が造られています。
1階は窓がなく家畜小屋などに、2階は食糧庫、3階以上がが住居となっています。
これは他のベルベル族と同じ間取りで造られているのです。
個人の家にも貯蔵室はありますが、丘の上には大きな貯蔵庫があり、水と食料が保管されています。
これは、ろう城戦に備えて、敵が襲ってきてもすぐさま逃げてこの貯蔵庫に隠れることが出来るという仕組みです。
また、クサルの外では堀としての機能も持つ川の水を利用して農業を行っていました。

この建築物の様子はイエメンの世界遺産「シバームの旧城壁都市」と似ているような気がします。
砂漠の中のオアシス的な存在でキャラバンの中継地であり、住居の間取りもよく似ています。
中東のイエメンとアフリカのモロッコなんてすごく離れた所にあるのにこんなに似ているところがあるなんて、世界ってとてつもなく広いような気がしますが、実は狭いのかもしれませんね。

土づくりの集落クサルとはどんなもの?

土づくりの集落クサルとはどんなもの?

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人の手で加工されていないのが、アイト・ベン・ハドゥの魅力の一つです。
ちょっと現実離れしたような幻想的な雰囲気のクサルには、現在も約5~6家族のベルベル人が住んでいます。
かつては彼らが住んだ住宅が一つ一つの砦となり、敵の襲撃から、我が領地を守る難攻不落の村となっていたのです。

丘の上から見下ろすとカスバ自体が城壁のように連なっている様子を見ることが出来ます。
個々の住居の屋上は敵を偵察し、襲われたらすぐ攻撃できる体制づくりが成されているのも印象的です。
孤立した村だけに盗賊たちに狙われやすいからこその工夫だったのでしょうね。

このカスバの材料は砂や粘土にワラなどに有機物を加えたアドベで造られています。
このアドベは現存している最古の建築物などによく使われているようです。
アドベで造られた建物は非常に耐久性がよく、固めて日干し煉瓦にしたり、壁に塗り込む漆喰としても利用されています。
このアドベで造られた建築物は、熱を吸収しゆっくり放出するので、内部は涼しく暑くて乾いた気候にも適し、寒暖の差や伸縮にも強いようです。
だから、砂漠の真ん中にあるこの地で、約500年も保存状態がいい形で残すことが出来たのではないでしょうか。

ベルベル人の生活振りが蘇る美しい村

ベルベル人の生活振りが蘇る美しい村

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城壁をよく見ると上にはアドベの日干し煉瓦が使われ、下は石垣で出来ています。
石垣は結構朽ちているのですが、日干し煉瓦は意外と状態が良い形で残っています。
中には天井が崩れ落ちているところもありますが、これも自然風化なので情緒として見れば美しいものの一つなのかも。
青い空と荒涼とした大地の中に見える緑のコラボがとても美しく感動的な景観を見せています。
その中に広がる岩山と同じ茶褐色の家並みが一体化する光景は言葉も出ないくらいの美しさです。

”さすが、多くの映画のロケ地として選ばれるだけのことはある”と、心の底から感動する景色がココにはあるのです。
日本では絶対に味わうことのできない景色を見に、ぜひ訪れて感動のひとときを過ごしてくださいね。
この村にはまだ電気や水道などのライフラインが整っていません。
きっと、昔からここで生きてきた人たちの生活振りが垣間見られるはずです。

カスバ街道に残る美しい村を訪れてみませんか?

現在は住む人も数えるほどの廃墟と化した要塞村ですが、迫力ある劇的な街並みや人を惑わすような道が続いています。
かつて、アトラス山脈を越えて定住したベルベル人が造った美しい村ををのぞいてみませんか?
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