メキシコ独立戦争の舞台となった街、古都グアナフアトとその銀鉱群の歴史

中南米には15~16世紀にスペインが侵攻し、植民地を造りました。メキシコのグアナフアトにはスペイン人によって銀山が開発され街が栄えたのです。銀によって得た富が造りだした美しい街並みと、メキシコ独立戦争の舞台となった重要なこの街の歴史について見ていきましょう。

古都グアナフアトとその歴史

古都グアナフアトとその歴史

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メキシコの首都メキシコシティーから北西に370㎞、バス利用で5時間ほどかかる古都グアナフアトは、海抜1996mに位置する鉱山都市です。
グアナフアト州の州都にもなっています。

 

グアナフアトという名は、先住民タラスコ族の「カエルのいる山がちな場所」という言葉を語源としているとも言われています。

1548年に地下400mの場所で銀が発見され、1554年にはスペイン人がここに街を開きました。
以後、多くの人々が銀を求めて移り住むようになったのです。
採掘は約400年間続きました。

18世紀には世界の銀の3分の1を産出したとも言われ、世界屈指の銀鉱山となりました。
街にはヨーロッパと現地の建築様式を融合させた優雅なコロニアル様式の建物が立ち並ぶようになり、これは中央メキシコ自体の建築にも影響を与えたのです。

 

1810年、スペインからの独立戦争(メキシコ独立戦争)が起こりました。
グアナフアト州はその舞台となり、司祭ミゲル・イダルゴが立ち上がり原住民や農民たちを従えてグアナフアトへ進撃したのです。
後にイダルゴは政府軍に捕まり処刑されてしまいましたが、独立の気運はここから各地に飛び火していくこととなったのです。

車は地下道しか走れません!

車は地下道しか走れません!

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グアナフアトの街には大きな特徴があります。

街の中心には大きな川が流れており、この水を銀の精錬に使うため、川の周囲に街が造られました。
川の下にも地下水道を造ったのですが、今はこれが普通の道路として使われるようになっています。
そのため、街には細く入り組んだ小道しかなく、車はもっぱら地下水道だったトンネルを利用しなくてはなりません。
なので、街に車が見られないという不思議な光景があります。

しかし川があるために洪水が多発し、20世紀半ばには建造物を持ち上げたり、ダムを造って川の流れを変えたりするなど、行政は苦心しているようです。

 

車の往来がほぼないグアナフアトにはコロニアル様式の優雅な教会が見られますが、こうした建造物はすべて銀で得た富によるものです。
また、カラフルな街並みも特徴的です。

このように特徴的な街並みを生かし、映画「レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード」の撮影がここで行われました。

 

特徴あるグアナフアトの街全景を映すには、ピピラの丘というこの街の名所に登ってみると良いですね。
ここにはメキシコ独立運動の英雄エル・ピピラの像が建っています。

ピピラの丘から街を映すと、写真に必ずといっていいほど映り込む白亜の建物が、南米最古の大学のひとつでもあるグアナフアト大学です。
1732年にイエズス会が設立した学校を母体とし、1955年に大学として開校しました。
音楽や芸術面で優れ、メキシコを代表する学校でもあります。

中世スペインの学生服を着た楽団「エストゥディアンティーナ」が練り歩くのを見られますし、毎年10月に行われる国際セルバンテス祭の会場となっており、演劇やコンサートを見ることもできます。
学生でなくても訪れる価値がありますよ。

ヨーロッパの風を感じる建造物群

ヨーロッパの風を感じる建造物群

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グアナフアトには幾つも教会がありますが、最も有名で豪華なものは、街の郊外にあるヴァレンシアーナ教会です。
グアナフアトの街で力を持っていた銀鉱主のスペイン人が建てたもので、内部には見上げるほどの巨大な黄金の祭壇が設置されています。
これもまたグアナフアトの銀がもたらした富の象徴なのです。

 

一方、街中にはグアナフアトのランドマークとされるグアナフアト聖母大聖堂があります。
17世紀末に建てられたバロック様式の教会で、黄色い壁と茶色の縁取りが、白っぽい街並みの中でとても目立ちます。

内装はとても華麗で、メキシコ最古のキリスト教関連の像が保存されています。
特に、8世紀頃の聖母像は、スペイン王フェリペ2世が寄贈したものです。
これは、800年間スペインの洞窟に隠されていた者だそうですよ。

 

ランドマークと言えば、フアレス劇場も忘れてはいけません。
1903年に完成し、ギリシャ風の大きな柱廊がそびえる神殿風の建物で、先住民初の大統領となったベニート・フアレスの名を取って名付けられました。
内装は深い赤と金色がメインで、外観の圧倒的な豪勢さよりもかなり落ち着いた雰囲気です。
重要な文化イベントが行われるため、とても格式ある場所です。

グアナフアトの人気スポット!

グアナフアトの人気スポット!

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グアナフアトには見どころがたくさんありますが、細い街路を利用したとてもロマンティックなスポットがあります。
その名も「口付けの小道」です。

細い道に沿って立ち並ぶ家々がより接近して密集している場所があり、バルコニーから互いに手を伸ばしても余裕で届いてしまいます。

ここには逸話があります。
隣同士の息子と娘が恋に落ちたものの家同士は仲が悪く、大っぴらには会えないでいたそうです。
そのため、2人は毎晩互いの家のバルコニーからキスを交わしたという、まるでロミオとジュリエットのような話があるそうですよ。

そのため、ここは終日たくさんのカップルで賑わい、映画のようなキスシーンを演じるために行列ができるそうです。

 

もうひとつ、グアナフアトで超人気スポットとなっているのがミイラ博物館です。
名前の通り、100体以上の状態の良いミイラが展示されています。

高地であり乾燥した気候のグアナフアトでは、死体は処理をしなくてもミイラ化してしまうそうです。
また、かつては法律により埋葬した遺体を保管するために税金を払わなくてはなりませんでした。
そのため、3~5年ほど支払いがないと、遺体は掘り起こされてスペースを空けることになったのです。

そうした理由で掘り出されたミイラが、ここに展示されています。
服装などから当時の生活の様子もわかり、風俗や文化を知る点でも役に立つそうですよ。

そもそも、メキシコには「死者の日」などという日もあるくらいなので、人々はミイラを怖いとかグロテスクだとか思ったりはしません。
だからこんな博物館があるのでしょうね。
お土産にはミイラをかたどった「ミイラ飴」がおすすめです。

メキシコ独立戦争の舞台として

メキシコ独立戦争の舞台として

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現在はグアナフアト地域博物館となっている建物は、メキシコ独立戦争の舞台となりました。
その時はアロンディガ・デ・グラナディータスといい、メキシコ独立戦争が始まるとスペイン軍が使用し、前述の神父イダルゴの率いる解放軍と激しい戦いを繰り広げたのです。
籠城したスペイン軍に対し、解放軍は火を放って多くのスペイン兵を焼き殺し、結果的に解放軍が政府軍に初めて勝った戦いとなりました。
ピピラの丘に像があるピピラが先頭を切って突撃したという話が残されています。

ところが1年後、アロンディガ・デ・グラナディータスは再び政府軍に奪い返されてしまいます。
イダルゴは処刑され、他の指導者たちの首と共に建物の四隅に吊るされました。

内部には力強い壁画が描かれ、メキシコ独立戦争の歴史を語る建物として重要なところです。
いかがでしたか。

古都グアナフアトには、スペイン支配の歴史とスペインからの独立の歴史があります。
この街を訪れる際には、その2つを合わせた歴史を辿りながら見学してみるといいと思います。
歴史とはこうして造られていくのだなと実感し、感動を覚えるはずですよ。
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