物語の舞台「ジュリエットの家」もある、北イタリア・ヴェローナ市の歴史

北イタリアのヴェローナは、古代ローマからの長い歴史を持つ街です。特に中世以降は文化や商業の中心となり、あの「ロミオとジュリエット」の舞台となったことでもおなじみです。雰囲気ある中世の街並みには、古い建造物が自然にマッチしていて散策しがいがありますよ。

歴史ある街、古都ヴェローナ

歴史ある街、古都ヴェローナ

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アルプスの麓に位置する北イタリアの都市ヴェローナは、ミラノとヴェネツィアのちょうど中間点にあり、列車でも約1時間半の距離です。

S字を描くアディジェ川沿いに造られた街は、古来より多くの街道が交わる要衝で、たびたび戦いや政争の舞台にもなりました。
そうした歴史からシェイクスピアの名作「ロミオとジュリエット」のモデルに採用されたのです。

 

ヴェローナには、先史時代にすでに集落が作られていたそうです。
紀元前1世紀に古代ローマの植民地となると、円形闘技場やローマ劇場などが建設されました。

その後ローマ帝国は東西に分裂しますが、476年にはゴート族のオドアケルが西ローマ皇帝を追放し西ローマ帝国を滅ぼします。
しかし、その後やって来た東ゴート族のテオドリックがオドアケルを破り、この地を支配するようになりました。
テオドリックはヴェローナを気に入り、城壁を修復して事実上の都とみなしていたようです。
昔から魅力ある街だったのですね。

政情はなかなか安定せず、東ローマ帝国やランゴバルト王国などの支配下に入ったこともありました。

 

1136年、ヴェローナはコムーネ(基礎自治体)となります。
このころから、イタリアは皇帝派と教皇派に分かれて争うようになっていました。
ヴェローナの街も二分され、支配層の貴族たちが激しい争いを繰り広げたのです。
13~14世紀にヴェローナの全盛を築いたデッラ・スカラ家、ヴィスコンティ家、カッラーラ家などの争いは、熾烈をきわめました。

1405年にヴェローナはヴェネツィア共和国の支配下に入ります。
ルネサンスが興ったのはこの頃で、街は商業と文化の街として栄えました。

 

ヴェネツィア支配が終わったのは、1797年にナポレオンがヴェネツィアを制圧したときでした。
ヴェローナはこれでフランス領となりますが、後にオーストリア領となり、1866年のイタリア王国成立によってイタリア領となったのです。

古代ローマの象徴、アレーナ・ディ・ヴェローナ

古代ローマの象徴、アレーナ・ディ・ヴェローナ

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ヴェローナの長い歴史を物語るいちばんのスポットが、古代ローマ時代初期に造られた円形闘技場「アレーナ・ディ・ヴェローナ」です。
アレーナとはラテン語で「砂」の意味を持ち、演劇や闘いの際に敷き詰めた砂から採られていると考えられます。

闘技場の大きさは、長径139m、短径110mの楕円形で、イタリアではローマ、カプアの闘技場に次ぐ3番目の規模を誇ります。
現在はヴェローナ市街中心部にありますが、かつては市壁の外側にあったそうですよ。

 

2階建てのアーチが連なる様子は迫力満点ですが、本来はさらに3階建てのアーチの外壁があったそうです。
残念ながら地震で崩れてしまいました。

ここでは剣闘士どうしの戦いや、剣闘士と猛獣の戦い、演劇などが行われ、市民を楽しませていました。
収容人数は約22000人とも25000人とも言われていますので、その大きさにはびっくりします。

 

1913年にヴェルディ生誕100年記念の野外オペラ・フェスティバルが開催されて以降、毎年6月中旬から8月末まで野外オペラが催されるようになりました。
ヨーロッパ屈指の水準のオペラを見に多くの観光客が訪れます。
古代の大理石で造られた闘技場の音響は素晴らしいそうで、ぜひ見てみたいものですね。

ローマから中世まで様々な時代を感じる街並み

ローマから中世まで様々な時代を感じる街並み

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ヴェローナ市街に残る古代ローマを偲ばせるものとしては、フォルム(広場)だった場所にできたエルベ広場やシニョーリ広場です。
これらを中心に歴史的な建造物が立ち並んでいます。
市庁舎や、中世以来の高さ84mもあるランベルティの塔はとても目立っていますよ。

ハーブや野菜を売っていたため、「エルベ(=ハーブ)」広場となったエルベ広場には、ヴェローナのマドンナと呼ばれる噴水や、ヴェネツィアのシンボルであるサンマルコの円柱が残されています。
シニョーリ広場には、ヴェローナに滞在歴のあるダンテの像が設置してあります。

 

中世のレンガ色の屋根を持つ街並みが広がるヴェローナには、教会など中世の建物もたくさんあります。

ヴェローナの守護聖人聖ゼノを祀ったサン・ゼノ教会は、ヴェローナの8大司教だった聖ゼノを埋葬した上に祭壇を作り、その上に教会を建てたことから始まりました。
9世紀のことだったそうです。
1117年の地震で崩壊しますが、やがて再建され、イタリア・ロマネスクの傑作と呼ばれています。

装飾の少ないシンプルな正面(ファサード)に美しいバラ窓が配されているのが印象的です。
入口を守る2つの獅子像は魔除けだそうです。

聖ゼノは悪魔祓いで有名な聖人だそうで、彼のレリーフは悪魔を踏みつけている姿になっていますよ。
ぜひ見つけてみて下さい。

 

他にも、ドゥオーモ(聖堂)も美しい教会です。
中に入ってみると印象的なのが、教会を支える大理石の柱が赤いことですね。
これはヴェローナ近郊で採れる特産だそうです。

ぜひ訪れたいあの物語の舞台「ジュリエットの家」

ぜひ訪れたいあの物語の舞台「ジュリエットの家」

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ヴェローナに来たら必ず訪れるべきスポットは、ジュリエットの家です。

中世にヴェローナで起こった貴族たちの抗争をベースに描かれたシェイクスピアの「ロミオとジュリエット」ですが、そのモデルとなったカプレーティ家の娘が住んでいたのがこの家です。
入口のアーチに貴族の紋章であるカッペッロ(帽子)が彫られています。

中世から残る家には、ロミオとジュリエットが物語の中で逢瀬を交わしたあのバルコニーも残っていますよ。
また、中庭にはジュリエットの銅像があり、彼女の右胸を触ると恋愛成就するということで、みんながこぞって触っています。

ちなみに、実はロミオの家も残っているそうですが、今は一般の方の家となっているとか。







スカラ家と詩人ダンテ

スカラ家と詩人ダンテ

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ヴェローナの街を一時期支配したスカラ家の繁栄ぶりは、今も残るヴェッキオ城や廟からうかがい知ることができます。

ヴェッキオ城は14世紀後半からスカラ家の居城となり、赤レンガの城壁と6つの塔、跳ね橋まで備えた立派な建物です。
今は市立博物館となっています。

また、スカラ家の廟は豪奢な彫刻とゴシックの特徴である尖塔がとても美しく、その塔のてっぺんには偉大な君主カングランデ1世の騎馬像が設置されています。
廟を囲む鉄格子には、スカラ家の紋章である梯子があしらわれました。

 

スカラ家は大詩人ダンテとも交流がありました。

フィレンツェで教皇派の内部抗争に敗れたダンテは、永久追放されてしまいます。
北イタリアを点々とした彼に声をかけたのが、スカラ家です。
流浪の旅から執筆活動を始めたダンテは、合計7年ほどヴェローナに滞在し、スカラ家の庇護を受けました。
この時に「神曲」の「天国」の章を書き上げ、ヴェローナやお世話になったカングランデ1世のことを盛り込んだそうですよ。

いかがでしたか。

歴史あるヴェローナ、「ロミオとジュリエット」の世界観はもちろん、古代ローマの風まで感じられるのが素晴らしいですね。
赤レンガの街並みを散歩して、当時の人々の気分に浸るのもいいかもしれません。
大都市からのアクセスも良いので、おすすめです!

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