一人の建築家独自の建築様式が開花した世界遺産の街!ヴィチェンツァ、パッラーディオの街

wondertripでは世界の絶景を紹介していますが、歴史地区や古代都市などの絶景スポットは、その歴史を少しでも知ることでより観光を楽しめます。今にも残る世界遺産のストーリーは、知識欲も刺激されますね。本日はイタリアの「ヴィチェンツァ、パッラーディオの街」をご紹介します。






中世とルネサンスがコラボした「ヴィチェンツァ」ってどんな街?

中世とルネサンスがコラボした「ヴィチェンツァ」ってどんな街?

image by iStockphoto / 95885919

ヴィチェンツァはパドヴァの北西30kmに位置し、ヴェローナとヴェネツィアの中間に位置するヴェネト州の都市。
ルネサンス最後の大建築家といわれる「アンドレア・パッラーディオ」が残した宮殿群を見ることができる、建築物好きの方にはたまらない街です。
この街は、B.C.2~B.C.1世紀にローマの都市が起こり、A.D.15~18世紀にヴェネツィア共和国の統治下で繁栄しました。

パッラーディアン様式は、ローマで古代建築を学んだパッラーディオが、ローマ様式の建物に近代美を調和させた建築スタイルです。
従来のギリシャ・ローマ様式に大きな柱の間に小さな柱で支えられたアーチを加えたデザインで、優雅さを演出する調和のとれた美しさが特徴。
ヴィチェンツァの街は、パッラーディアン様式が開花した16世紀の壮麗な建築物が、独特の雰囲気を醸し出しています。

ドイツを代表する文豪のゲーテも彼の書いた「建設四書」を読み、その能力を高く評価していたそうです。
そんなパッラーディオが作り出した、様々な建物が立ち並ぶ上品な街、ヴィチェンツァの歴史にちょっとだけ触れてみませんか?

Vicenzaの住所・アクセスや営業時間など

名称 Vicenza
住所 Vicenza, Italy
営業時間・開場時間 24時間
利用料金や入場料 無料
参考サイト http://www.comune.vicenza.it/
最新情報は必ずリンク先をご確認ください。

Vicenzaのスポットページ

紀元前から始まった古都ヴィチェンツァのはじまり

紀元前から始まった古都ヴィチェンツァのはじまり

image by iStockphoto / 59356858

ヴィチェンツァは、ヴェネト州内でも古くからある街です。
最初にこの地に住んだのはエウガネイの人々だったといわれています。
彼らがいつごろから定住したかなど詳しいことは分かっていません。
B.C.3世紀ごろにガリアから来たウェネティにより征服され、紀元前157年には古代ローマが、ガリア人から領地を奪いました。
この街の名前は、「勝利」を意味するヴィチェンティアといわれ、由来はここから来ています。

更に、B.C.48年にはローマの市民権を得ました。
このころは、メディオラヌム(現在のミラノ)と中世初期までイタリア北東部の中心地だったアクイレイアを結ぶボストゥミア街道の宿駅として重要な存在でもあったのです。
B.C.1世紀~A.D1世紀には、水道橋やベルガ劇場、パッキオーネ川にかかる橋まで作られていました。
また、東西に延びる現在のパッラーディオ通りや南北を繋ぐボルティ通りやモンテ通りも古代時代に建設されたのです。
特に、パッラーディオ通りは、「ドクマーノ」という古代ローマの構成する街路と一致し、この街の原型を今でもとどめています。

これを見るとやっぱり古代ローマ人の、土木建築技術の素晴らしさには目を見張るものがありますね!

ヴィチェンツァの街の起こり

ヴィチェンツァの街の起こり

image by iStockphoto / 77756259

西ローマ帝国崩壊後は、ヴィチェンツァは様々な民族の支配下に置かれてしまいます。
しかし、489年ごろには東ゴート王国の支配下にくだりますが、その後、ランゴバルト人やフランク王国の主要都市となり、中心的な役割を担うようになりました。
6世紀になると、西方教会唯一のベネディクト会の修道院の建物が、数多く建てられています。

12世紀にはやっと完全な自治権を得て、現在のヴィチェンツァの街の基礎が築かれ始めた時期です。
しかし、13~14世紀には近隣のパドヴァやヴェローナの戦乱に巻き込まれ、支配下に置かれてしまいます。
しかし、支配下に置かれたことにより、ヴィチェンツァは都市としての整備が行われました。

ヴェネツィア支配を受け独特の景観が出来上がる中世

ヴェネツィア支配を受け独特の景観が出来上がる中世

image by iStockphoto / 37397104

1404年にはヴェネツィアの支配下にくだってしまいます。
この15世紀初頭から16世紀の頃は公共建築が革新され、多くの貴族や文化人、富裕の市民たちの邸宅が建てられました。
今でもこんなに小さな街なのに、たくさんの宮殿が残っているなんて、このヴィチェンツァがかつていかに多くの富裕層の人々が住んでいたかを証明している光景ではないでしょうか?今で言う、ハリウッドや日本では成城やシロガネーゼが住む高級住宅街といった感じです。

この16世紀ごろがヴィチェンツァの一番の繁栄期。
ヴェネツィアに守られることにより、平和が保証され芸術が発展するとともに経済も大いに発展しました。
もちろんパッラーディオの功績は目覚ましいものですが、このころにこの街と出会った人々の心の優雅さがこの上品な町並みを作り出したといっても過言ではないのでは?と思います。








パッラーディオが築き上げた古代美の建築物

パッラーディオが築き上げた古代美の建築物

image by iStockphoto / 94180679

16世紀には、ヴィチェンツァに建築ラッシュが訪れます。
駅を出て最初に見えてくるのが、パッラーディオが設計したボニン館や荘厳な建物のヴァルマローナ館。
他にもバルバラーノ館やティエーネ館の中庭とファサード。
この街にはまだまだ、ゴシック様式やルネサンス様式の魅力的な建築物が数多く残っています。

パッラーディオならではの世界観を現した、彼の代表作といわれるバジリカは見応えがあります。
15世紀には中世の市庁舎だった複数の建物を覆うようにラジョーネ館が作られました。
16世紀に更にパッラーディオが周辺に、イオニア式とドーリス式の白く壮麗なロッジア(回廊)を取り付けます。
更に、パッラーディアン様式のアーチで飾り、力強さと優美さを感じさせてくれます。
円熟期のパッラーディオの素晴らしさを見せつけているようです。

晩年パッラーディオの傑作とイギリスでも開花したパッラーディオの世界

晩年パッラーディオの傑作とイギリスでも開花したパッラーディオの世界

image by iStockphoto / 99221549

マッテオッティ広場左側の庭園の一角にあるオリンピコ劇場は、世界で最初に作られた室内劇場。
パッラーディオの最後の作品(1580~1585年)であり、完成させたのは弟子のスカモッツィです。
この劇場は13世紀の城の中庭に作られました。
木と漆喰が巧みに使われ、遠近法とだまし絵を用い、室内にありながら屋外ステージのような雰囲気を演出しています。
音響効果も抜群で、凱旋門風の列柱と彫像をはめ込んだ壁で構成されているのも魅力的です。

また、ルネサンス建築への展開が遅れたイギリスでも、彼の素晴らしいパッラーディアンの世界が影響を及ぼしています。
17世紀の半ばイギリスで人気が出始めましたが、イギリス内戦などの経済圧迫によって長続きはしませんでした。
しかし、美しい円柱とアーチを随所に見ることができ、このパッラーディオスタイルはフランスやオランダの影響が強かったイギリスの所々で見ることができます。
少なくとも、イギリス建築に多大なる影響を与えたことは確かです。

ヴィチェンツァのその後

ヴィチェンツァのその後

image by iStockphoto / 87308777

古くからあるものを壊して新しいものに作り替えるのではなく、建造物に古典的モチーフを加えることで新しく生まれ変わらせるという偉業をやってのけたパッラーディオの素晴らしさには感動します。
“パッラーディオの街”と称されるヴィチェンツァの旧市街とその郊外にあるパッラーディアン様式の23邸宅が1994年にユネスコ世界遺産に登録されました。
1996年にはヴェネト州内に点在する16の建物も追加登録されています。

18世紀にナポレオンに侵入されました。
19世紀になるとナポレオンが倒れ、1813年にオーストリアの支配下にくだります。
1866年にはイタリア国王に併合。
世界大戦でもこの街は悲劇の場となりました。
第一次世界大戦では大規模な戦闘が行われ、第二次世界大戦では同盟軍の爆撃により街は大損害を被っています。
現在は、1950年から経済と工業の発展により、イタリア北東部で最も裕福な街の一つに挙げられるほどに成長しました。

もし時間があれば、ヴィチェンツァから南西へ約3kmのところにある、パッラーディオの作品の中で最も有名な「別荘ラ・ロトンダ」に訪れてみてください。
安定感のある佇まい、列柱の美的感覚、遠心的な効果もあり、見事なバランスを見せています。
これぞ、パッラーティアン建築という素晴らしさに触れることができるはずです。

関連記事を見る

イタリアの記事を見る

ユニークな税を導入したものからを持つものから暴君まで・個性的な歴代ローマ皇帝まとめ
【イタリア観光】古代も中世もルネサンスも見れるイタリアへ
イタリア在住15年の私が決める!イタリア観光スポットランキングBEST 20
イタリア観光、リピーターにおすすめのマニアックコースならこれ!3選
毒殺に暗殺!?スキャンダラスな一族「ボルジア家」とは
日本でも話題の世界最古の薬局!イタリアフィレンツェにある「サンタ・マリア・ノヴェッラ薬局」の歴史を調べてみた
【イタリア在住者が伝授】イタリア観光の攻め方&モデルコースを徹底解析
イタリアの観光名所が目白押し?!夫婦の離れた心の変化を描いた映画『イタリア旅行』をご紹介
「ローマの休日」を辿るイタリア・ローマ観光のすすめ。観光スポット・舞台はここ!
ヨーロッパ最大の帝国となったローマ!ローマはなぜ帝国になったの?ローマ帝国への道
政府公認観光ガイドが伝授!アルベロベッロとプーリア州
ローマ在住者が伝授!ローマのおすすめの美術館20選