世界遺産「小笠原諸島」の魅力と歴史。世界でここだけの秘密とは?

「自然環境を守ろう!」とはよく言いますが、いったいなぜ、どうやって自然環境を守るのでしょうか?今回の記事の舞台は、2011年に世界自然遺産に登録された小笠原諸島。この島の自然を保護するためには、常に侵入のすきをうかがう外来種と闘う関係者の並々ならぬ努力があったのです。今回の記事では、小笠原諸島の魅力をたっぷりと紹介すべく、歴史や環境保護の取り組みを中心にご紹介していきたいと思います。

小笠原諸島とはどんなところ?

小笠原諸島とはどんなところ?

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一応東京都・・・でも1000km離れている!

「小笠原」の言葉だけであれば聞いたことのある人がほとんどでしょう。
しかし、「南の島」という認識ぐらいで、実際どこにあるかよく知らないという人も多いはずです。

小笠原諸島は、東京から南へ約1000キロメートル離れた、太平洋に浮かぶ島々の総称。
「群島」とは、群集している島々をまとめたときの呼び方で、「諸島」は、群島を含めてポツリポツリと点在する島々をまとめたときの呼び方です。
小笠原諸島は、小笠原群島に南鳥島や沖ノ鳥島などといった島を合わせた諸島になります。
小笠原群島には、父島や母島、兄島、姉島、弟島、妹島などがあります。
家族のようでおもしろいですね。

東京から1000キロメートルも離れていますから、本当に遠いです!実は、小笠原諸島から見ると、東京に行くのもグアムやサイパンに行くのもほとんど同じくらいの距離になります。
2016年現在では飛行場が島にありませんので、東京から船で24時間ほどかかります。
しかも、人を乗せられる船は観光シーズンですら3日に1回、オフシーズンともなると6~7日に1回しか運行していません。
観光客は、船に合わせた観光スケジュールを立てる必要があります。
日本にある世界遺産の中では、最も行きにくいところと言っても過言ではないでしょう。

大陸とつながったことがない島

このように、小笠原諸島は太平洋の真ん中に浮かぶ島々です。
なんと、歴史上他の大陸とつながったことがありません。
このような島のことを「海洋島」と呼びます。
日本本土(内地と言います)から遠く離れており、面積も小さい(最大の父島ですら24平方キロメートルほど)ために、無人島だった期間が長かったのです。
現在ですら、人が住むのは父島と母島だけ。
人口は3000人ほどで、公務員と観光業に携わる人が大半を占めます。

日本列島に住むほとんどの人から見ると、小笠原諸島での生活はとても不便なものです。
前述の通り、船が来るのは多いときでも3日に1回しかありません。
船が来るときにしか物資が輸送されませんので、船が来る前で観光客も少ない日は休業している商店がほとんどです。
新聞の宅配も船で行われますから、数日分から一週間分がまとめて届けられる形になります。

小笠原に住む人々はこうした生活を送っていますので、交通手段の充実が全島民の悲願でした。
首相や東京都知事などの要人、急病人を運ぶための自衛隊機は発着可能ですが、民間航空機用の飛行場は2016年現在においても存在していません。
環境保護との兼ね合いで、なかなか着工が実現されないのが現実のようです。

世界でココだけ!小笠原諸島の特異な生態群とは?







固有種が多いのはなぜ?どこがすごい?

固有種が多いのはなぜ?どこがすごい?

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小笠原諸島は、生物の固有種の多さが評価されたことから世界遺産(世界自然遺産)への登録が実現されました。
その経緯について見ていく前に質問があります。
固有種が多いのはなぜか、そしてどこがすごいのか、お分かりでしょうか?

前述の通り、小笠原諸島は大陸と陸続きになったことのない海洋島。
したがって、植物も動物もなかなか小笠原諸島まで到達することができません!例えば、風で種子を運ぶブナ科やマツ科の植物が小笠原では繁殖できません。
動物でも、シカやヤギなどの草食動物、海水の苦手なカエル・イモリなどの両生類、クマやオオカミといった肉食動物が小笠原には本来いません。
これらの動物のような「捕食者」が小笠原では不在なので、本来であれば食べられてしまう動植物が独自の発達を遂げることが可能な環境があるのです。
だから小笠原固有の生物が異常に多くなっています。

では、固有種が多いとなぜ「すごい」のでしょうか?一言で言うと、それは私たちが生物のダイナミックな進化を目の当たりにできるからです。
「進化論」という説は聞いたことありますよね。
生物は神様が創ったわけでもなければ、不変なわけでもなく、環境に対応する形で変化してきた、という説です。
今では一般的に知られている進化論ですが、生物の「進化」を証明するのは至難の業。
実は、小笠原のように他地域から孤立した島の生物を分析することで、その生物がどのように環境に適応してきたかをじっくり見ることができます。
小笠原諸島は進化論の実験場のようなもの。
「生物の進化」という大きなテーマを研究する上で、きわめて貴重な土地なのです。

固有種だらけ!カタツムリの固有種率は94%

特に小笠原の生態系の特別さを示すのが、カタツムリ(「陸産貝類」と言います)です。
動きも遅く武器も持たず、他の地域ではすぐに食べられてしまうカタツムリたちにとって、捕食者がほとんどいない小笠原は楽園。
信じられないくらいに爆発的な多様化を遂げた結果、なんとこれまで小笠原で記録された陸産貝類106種のうち、94%に当たる100種が固有種とされています。
しかも、現在でも謎の(データに記載がない)種が次々と発見されているため、固有種の数はより増える可能性が高いのです。
小笠原諸島の中でも、島同士の距離が大きいために同じ種でも色や形が異なるケースが多くなっています。
島の中でも一つの種が異なる色・形に変化しているケースもあり、注意深く観察することで私たちは進化の過程を現在進行形で目にすることができます。
小笠原諸島は、まさに「進化の実験場」なのです。

後述しますが、小笠原諸島は明治時代以降に森林破壊、戦争、外来生物の侵入と次々に試練を経験してきました。
環境に大きなダメージを受けているのですが、それでも在来種の8割方は絶滅することなく現在まで生き延びています。
他の太平洋の島々では、環境破壊や外来生物の影響ですでに半数の陸産貝類の種が絶滅してしまいました。
そうした意味でも、小笠原諸島の環境を守ることは大きな価値があると言えるでしょう。

山と海がごちそう!観光ポイント

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Writer:

和菓子好きの34歳男。某塾で歴史を教えていた経験があります。複雑な情報をうまく整理できたときの快感がたまらなく好きです。私の文章がそんな「快感」を共有できるものになれば・・・と思いながら、日々文章を書いています。

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