屋久島の「あまりに多様すぎる自然」と世界遺産登録へのあゆみ

屋久島は、1993年に世界遺産(世界自然遺産)に登録されました。樹齢数千年に及ぶとも言われている「屋久杉」をはじめ、豊かな森は人気の観光スポットになっています。しかし、なぜ屋久島は世界遺産になりえたのでしょうか?今回は、屋久島の大自然の魅力だけでなく、世界遺産に登録された理由と経緯についてご説明したいと思います。屋久島に行く前に理解しておけば、旅行がより楽しくなること間違いなしですよ!

屋久島とはどんなところ?

屋久島とはどんなところ?

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沖縄県ではなく鹿児島県です!

屋久島と言われても、どこにあるかはっきりと知らないという方も多いのではないでしょうか。
つい沖縄と混同してしまいそうになりますが、屋久島は鹿児島県に属する島です。
鹿児島県最南端の大隅半島佐多岬から、南に約60キロメートル下った場所にあります。
ちなみに、鹿児島県と沖縄本島との直線距離は約640キロメートル。
こうした地理的な位置づけを考えても、屋久島は沖縄のような「南の島」というよりは鹿児島に近い「離島」として考えた方がよさそうです。

屋久島の面積は約500平方キロメートルで、東西が約28キロメートル、南北が約24キロメートルの円形に近い形をしています。
東京23区と同じくらいしかない小さな島ですが、その小さな島にしては珍しく、豊かな森林が島のシンボルであり続けています。
大昔から、山や森林は島民の畏怖や信仰の対象になってきました。
樹齢7000年以上とも言われる屋久杉だけではなく、島全体としても面積の90%が森林で占められています。
深い森と山、多様な生態系を持つ世界的にも珍しい島で、「洋上のアルプス」「東洋のガラパゴス」など、数々の異名を持っています。

屋久島は「山島」!標高の高い山のうち九州上位7位までが集中

もう少し、屋久島の地理的な特徴についてご説明します。
一般的に離島と言うと、美しい海が売りになっていることが多いですよね。
例えば沖縄にある沖縄本島や石垣島などの島々では、青い海と青い空が素晴らしい観光地です。
もちろん、屋久島にも美しい海はあり、ダイビングや海水浴など、海のアクティビティを楽しむ人が多く訪れます。
しかし、屋久島は海だけではなく山の魅力にあふれた「山島」なのです。

その代表例が宮之浦岳になります。
宮之浦岳は標高1936メートルで、屋久島最高峰であるどころか九州最高峰。
標高1500メートルを超える山が20もあり、九州における標高の高い山上位7位までが屋久島に集中しているのです。
阿蘇山(高岳)の山頂でも標高1592メートルですから、屋久島がいかに「山島」であるかご理解いただけると思います。
こんなに高い山が、わずか500平方キロメートルほどの小さな島(それでも日本で7番目に大きいのですが…)に集中しているというのは、とても珍しいことです。

ここまで屋久島に高い山が集中しているのは、地殻変動に伴う海底の隆起によるものと考えられています。
恐竜が活躍していた頃は、屋久島は海底にあったのです!海底の亀裂部分にマグマが漏れはじめ、それが隆起して島ができました。
実際、屋久島のほとんどは花崗岩(かこうがん)というマグマ由来の地質でできています。

屋久島の気候の多様性と豊かな自然

屋久島の気候の多様性と豊かな自然

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山頂では積雪も!屋久島はただの「南の島」ではない

前述の通り、屋久島は鹿児島県よりもさらに南にあることから、かなり気温が高めです。
冬でも最高気温が15度を下回ることはあまりなく、6月から9月にかけて最高気温の平均が30度を超える猛暑日が続きます。
そういった意味では、屋久島は典型的な「南の島」と言えるかもしれません。

しかし、宮之浦岳を初めとした山の頂付近では様相が一変します!標高が100メートル高くなるごとに平均気温が0.6度ずつ下がっていくとされていますので、単純計算でも宮之浦岳の山頂では地上より12度も平均気温が低いのです。
秋の終わりから春の初めにかけて最低気温が氷点下を記録、雪に覆われて立ち入りは厳しく制限されます。
当然、日本国内で積雪が観測される最南端です。
3月のお彼岸以降ですら、降雪と凍結で通行止めになってしまうことがあります。

地上と森の中では気温差が大きいので、初めて屋久島に来た方の多くが服の選択に失敗します。
屋久杉を見に行くツアーの目的地も標高が1000メートルほどありますので、防寒着は必須。
「月に35日雨が降る」と言われるほど雨量も多いです。
屋久島観光には、沖縄や奄美大島といった他の「南の島」とは違った入念な準備が必要不可欠と言えるでしょう。

豊かな自然相はトレッキングにぴったり!

このように、屋久島は気温の高い亜熱帯地域に属していながらも、沖縄と同じくらい暑い地域から北海道と同じくらい寒い地域までがギュッと詰め込まれていることが特徴。
そのため、日本全体の約7割、1500種にものぼる植物相が見られるという奇跡のような自然環境を誇っています。
屋久島は、山のアクティビティやトレッキングが大変魅力的な島でもあるのです。

海岸に近い低地では、沖縄や台湾でよく見られるアコウやガジュマルなどといった亜熱帯性の植物が自生しています。
内陸に入っていくと、カシやシイ、標高1000メートル付近まではスギ、それ以降は屋久杉、標高1600メートルを超える山岳地帯ではササやシャクナゲなどといった高山植物が見られます。
しばしば巨大な屋久杉だけが注目されがちな屋久島の自然ですが、少し目をこらせばこれだけ多様な植物たちを目の当たりに。
屋久島だけに自生する「固有種」も約40種発見されていますから、ぜひここでしか見られない貴重な植物を見つけてみましょう。
もちろん、自然環境の保護を意識して、決められたルート以外には入り込まない、植物は傷つけない、ゴミは捨てない、などのマナーは大前提ですよ。

屋久杉の大きさと魅力!

屋久杉の大きさと魅力!

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次のページでは『屋久杉はなぜこんなに大きくなるの?』を掲載!
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Writer:

和菓子好きの34歳男。某塾で歴史を教えていた経験があります。複雑な情報をうまく整理できたときの快感がたまらなく好きです。私の文章がそんな「快感」を共有できるものになれば・・・と思いながら、日々文章を書いています。

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