驚異!明治時代、日本大躍進の歴史

明治時代は驚きの時代です。東洋のはしっこの島国、ウブな外交ビギナー国家・日本は、たった数十年で世界の列強に肩を並べました。司馬遼太郎の言葉を借りるならば「坂の上の一朶の雲を目指し」て邁進した日本人は、はたして何を目指して、どんな世界を見ていたのでしょうか?明治の日本人が体験した2つの大きな戦争、そしてその後の袋小路の先で、日本人はどのような苦悶をしたのでしょうか。ところどころ世界史の動きも入れながら見ていくと、その正体が見えてきます。日本史、そして世界史の上でも類を見ない驚異の発展期・明治日本の世界へ、いざ。

〈明治〉って?激動の世界の中で

〈明治〉って?激動の世界の中で

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そもそも明治時代って一体どういうものだったのでしょうか?この章では当時の世界情勢を最初におさえながら、大きく転換した日本という国の形を見ていきましょう。
世界史を見れば、日本史が見えてきます。
日本が漕ぎ出した国際社会は激動の〈帝国主義時代〉。
世界各地が軍事力によって西洋列強の植民地となっていく中、日本は「近代国家として列強に肩を並べなければ国が滅ぶ」――切々とそんな脅威の前にいたのです。
そして、新しいもの好きの日本人、勤勉な日本人は時代の新しい形をどんどん吸収していきます。
さて明治人が眼に前にしていた世界とは、一体。

嵐の国際社会デビュー――そのころ世界は

まず世界史の観点から明治時代をとりまく状況を見ていきましょう。
日本が世界に門戸を開いたころ、世界はイギリスからはじまった〈産業革命〉で大隆盛!ワットが蒸気機関を発明したとき日本は江戸末期ごろ。
ペリーの黒船は最新の蒸気船でした。
技術を制するものは世界を制す、イギリスは世紀の大発見によって世界のトップに躍り出ます。
蒸気機関技術は世界に伝播していき、日本にも到来するのです。

さて翻って世界地図を見ると、世界の大地の4分の1がイギリスの植民地!〈大英帝国〉はヴィクトリア女王のもとで栄光を謳歌していました。
それに続いてアフリカやアジアに植民地を持つフランス、ドイツ、東欧を支配し中国にも手をのばすロシア……〈列強〉と呼ばれる宗主国によって世界は構成されます。
〈植民地〉をめぐって世界中で戦争が繰り広げられることになるのです。
アメリカも〈米西戦争〉でスペイン相手に戦争をしてキューバとフィリピンを植民地としてゲット。

軍事力によって他国を自分のものにする〈帝国主義〉が時代の主流となっているそのさなか、日本は国際社会デビューしたのです。
西洋に押されないため、西洋に負けないため、日本も〈帝国主義〉的方針をとる必要がありました。
アジアをはじめとした国々は、西洋列強に呑みこまれないためにあがきます。
アフリカ諸国、インド、そして中国……。
日本はそれらの国の二の舞いになるわけにはいきませんでした。

大規模な国家改革と大進歩

さて日本は幕末すったもんだ15年間の挙句に、開国と自由貿易を決意。
鎌倉時代から続く武家政権下で、幕府より低い権限しか持つことがなかった〈天皇〉という存在が、国家権力のトップにふたたび据えられたのです。
〈天皇〉お一方を〈現人神〉としてあおぎ見ることによって、各藩の君主に忠誠を誓っていた日本人は〈日本人〉という国民に生まれ変わっていきました。

前の項のとおり、国際社会は弱肉強食。
なりふり構ってはいられません。
若き人材を育てるべく政府はガンガン留学生を西洋に派遣します。
国家の誇りと将来を背負っているわけですから、今の留学生とはなにもかもが違います。
そうして育った人材を官僚として採用し、日本は国家の基盤を盤石にしていきます。
また、国民性として勤勉で新しいもの大好きの日本人はどんどん西洋世界の知識を学ぶ意欲がありました。

1889年2月11日、アジア初の近代的憲法発布。
同年には貴族院・衆議院の二院制の国会成立。
……明治という時代がはじまってわずか22年間のあいだで、西洋が数百年かけて築いてきた〈民主政治〉〈立憲君主制〉の大枠を日本も学び実践しました。
西洋の猿真似でもいい、猿真似から本物に近づけばいい……日本はとにかく邁進しなければなりませんでした。

アジア人として、アジアとの対決〈日清戦争〉

アジア人として、アジアとの対決〈日清戦争〉

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1894年、日本は大きな戦争を経験します。
かつてリスペクト対象でありつづけた大国・中国です。
当時は〈清王朝〉が中国を統治していたので、日本と清国の戦争つまり〈日清戦争〉と呼ばれます。
日本は〈西南戦争〉という内戦を経験し、徴兵制などの整備も整っていました。
一方の中国はアヘン戦争以降、ボロッボロ。
大国のメンツと朝鮮という領土を目の前に、絶対に後に引けない中国。
日本は事実上、清のものだった〈李氏朝鮮〉の開国と独立を求めます。
この戦争以降、朝鮮半島そして満州地方は、日本はじめ東アジアのアキレス腱となるのです。

かつて慕った国・中国の現在

中国の歴史には2つのお決まりがあります。
「汚職と腐敗政治に怒った民衆が政権打倒をもくろむ」「政府軍より反乱軍が強い」です。
中国史で継続して平和だった時期でもっとも長い期間が数十年。
まさしく「乱の国」です。
その東洋の大国にして、有史以来ずっと日本のリスペクト対象だった大国中国・清はアヘン戦争・アロー戦争で大敗北。
かろうじて国体維持(皇帝は無事)という有様。
西洋列強に対し不平等条約を結ばされ、さらには国内情勢の不安定さから内乱が頻発。
内憂外患とはまさにこのことでした。

そんな中起こった日清戦争の正体は〈朝鮮半島の独立と利権争い〉。
事実上中国の属国であった朝鮮において、苦しい生活に業を煮やした農民が立ち上がります。
〈甲午農民戦争〉です。
朝鮮は乱の鎮圧のために、清と日本に協力を求めました。
〈甲午農民戦争〉を鎮圧したのち、日本と清は事後処理で対立します。

李氏朝鮮はそのころ鎖国状態にありました。
日本は朝鮮もまた開国し、中国から独立すべしと考えていたのです。
朝鮮半島の独立と開国を迫る日本、朝鮮を自国のものにしておきたい中国……両者はついに国際戦争に発展します。
日本は〈アジア〉から脱皮しつつありました。

〈日清戦争〉がもたらしたもの

結果から言うと、挙国一致体制で近代化を推し進めていた日本の勝利。
圧倒的な数と地の利を得ていたはずの中国は、軍も政府も内部がガタガタで思うような指揮をとれませんでした。
戦後処理において、清に対し日本は強気に出ます。
多くの領土割譲、朝鮮半島の独立、莫大な賠償金……。
が、ここで横やりを入れる国が。

中国東北部、朝鮮半島の北に位置する緩衝地帯にして要衝〈遼東半島〉をめぐってトラブルが起こります。
ここを日本におさえられると困るの清のみだけではありませんでした。
南下政策で朝鮮半島を狙っていたロシアです。
そこに、中国大陸植民地化を進める、フランス、ドイツが乗ってきました。
日本と清の交渉に「清に遼東半島を返却しなよ!」と、横からくちばしを突っこんできました。
〈三国干渉〉です。
これに対抗するだけの力は、外交力も国力としても、まだ日本にありませんでした。

しかし日本は莫大な賠償金と、初の植民地となる台湾、何よりもアジアの大国というメンツを手にします。
1つの敵に一致して対決した日本は〈国民国家〉として脱皮します。
そうして西洋列強に「不平等条約撤廃」を大声で主張しはじめるのです。

世界と日本の転換点〈日露戦争〉

世界と日本の転換点〈日露戦争〉

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日清戦争から10年。
日本史の一大転換点にやってきました。
ヨーロッパで最も大きな強国の1つ、ロシア帝国との対決です。
ポッと出の新興国が、ナポレオンさえ撃退したあのロシアに挑むという一見あきれた所業に、世界が仰天しました。
はてさて今回の原因も、朝鮮半島と満州地方の利権問題。
南下政策を進める超大国ロシア。
ロシアを食い止め、朝鮮をおさえておきたい日本――。
しかし両者には違いがありました。
ロシア側のもっとも大きな敗因、日本のもっとも重要な勝因、それは〈国〉として一枚岩であったかどうかでした。
この章では〈日露戦争〉に迫っていきましょう。

あきこのむ

Writer:

文学少女が世界文学の時代背景に興味を持ち、調べていたら大学では文学部じゃなくて歴史学部に入ることになっちゃった。生粋の文学好き美術好きの27歳です。現在はライターとして活動中。夢はロシアのサンクトペテルブルクでドストエフスキー「罪と罰」ごっこをすること。楽しくおもしろい歴史と本の世界を少しでも伝えられれば幸いです。

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